1 全体について
全体の問題数・肢数、配点とも08年度と変わらず(5肢×19問、全問2点)、会社法から13問、商法総則・商行為から4問、手形法・小切手法から2問という配分も同じ形式になりました。ただ、顕著な変化として、手形小切手は2問とも手形理論を正面から問うており、細かい知識がなくても、基本的理解をベースとして現場思考で解けるものが出題されていたことが挙げられます。一方で、総則・商行為からは判例問題が(明示していないものも含め)半数の10肢を占め、うち百選非掲載のものも4肢ありました。昨年が百選掲載のもののみ2肢しかなかったことを考えると、これも見逃せない変化といえます。会社法は、ここ2年連続して出題されていた、会社法の理論を正面から問う問題が姿を消し、「単純な条文知識」又は「単純な条文知識+α(異論の余地のない解釈)」を問う問題が約9割を占め、単純条文知識最重視という傾向がさらに強まったという印象を受けます。
2 内容面(会社法のメジャー分野)
単純条文知識の多寡が大きな影響を及ぼすということは上述した通りですが、単に条文を丸暗記していればいいかというとそうではありません。1つの条文だけで片がつく問題はむしろ少なく、読替規定・準用規定等を駆使した問題がかなりの割合で出題されています。特に48問肢2(組織再編の問題)は、確信に至るためには非常に細かい条文知識を要求されるものでした(問題自体は、消去法で解けるものですが)。これに限らず、今年は全体的に迷わせる肢が多く、難易度は確実に上がっているといえます。
3 内容面(それ以外)
会社法からは、持分会社・社債が出題されました。いずれも内容的には容易で、短時間で確実に正答することが求められます。
商法総則・商行為は、条文問題(50問、53問)こそ容易ですが、判例問題(51問、52問)は難しく、特に52問を2つとも正解することは至難の業です。この分野に限ったことではありませんが、問題数の増加により配点に幅をもたせにくくなり、難問も易問もおしなべて2点となったとあれば、受験生の実力にもよりますが、難問に時間をかけることは得策とはいえません。
手形・小切手は、確かに細かい知識は不要とはいえ、人的抗弁の切断や善意取得という基本的な事項についての理解は必要なので、全く何の知識もないとなれば、正答できないものとなっています。
4 今後の傾向
会社法で重要なのは、個別の条文の丸暗記ではなく、読替規定等も含めた有機的な理解です。ただ全ての規定を理解するのは困難といえるので、重要性を踏まえ、メリハリを付けた上で確実に押さえたいところです。判例は、短答対策で何かをやるというよりも、むしろ論文で必要なものを押さえておくという方針で勉強することが必要です。
総則・商行為は回を追うごとに問題数・難易度が増しており、重要な条文・判例を確実に押さえておく必要があります。判例は他の科目と異なり、ただ百選を読むよりは、基本書で丁重に扱われているものをピックアップした上、結論だけは覚えておきたいところです。
また、手形・小切手についても、基本的事項の理解が今後も必要といえるでしょう。
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