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2009年度 新司法試験 出題分析速報 Vol.1

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問題内容の詳細な分析結果と、学習方法をお伝えします!
<公開講座>2009年新司法試験 出題速報

《短答式試験編》〜出題内容〜
→vol.1《短答式試験編》〜出題傾向〜についてはこちら

2009/5/14(木)
※行政法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法に関しましては、5/15(金)掲載

公法系 【憲法】

1 全体について  
 出題分野を見ると、基本的人権から11問、総論・統治機構から9問であり、過去の本試験とほぼ同様といえます。
 基本的人権の分野では最高裁判所の判例についての理解が、統治機構の分野では条文と見解についての理解が、それぞれ主に問われています。

2 学説についての理解を問う出題
 今年度においては、見解(判例)に対する「批判となり得るもの」「批判となり得ないもの」を判断させる問題が4問出題されています(第8問、第16問、第17問、第19問)。そこで示されている見解(判例)と記述内容とを読み比べて、現場思考で批判となり得るものを答えさせる、というよりは、その見解(判例)を理解しているか、また、その見解(判例)に対して、そのような批判があることを知って(理解して)いるかを問う問題となっているといえます。
 また、そのほかにも、学説についての理解を問う問題が3問出題されています(第4問、第17問、第20問)。これらの問題についても、現場思考で解答することも可能ですが、1問2分半という時間制限の下においては、事前に各学説の内容・根拠、それに対する批判について正確に押さえられていることが求められているといえます。
 これらの問題は、主に統治の分野から出題されており、条文の形式的文言だけではなく、判例や、重要論点についての学説に関する理解に重点を置いた出題となっています。

3 判例の深い理解を問う出題
 出題のテーマとなっている判例は、例年通り著名な重要判例ばかりといえます。
ただ、昨年との比較では、第3問、第5問、第9問など、判例の結論のみを押さえていたのでは対応しきれない出題が、若干ではあるが増えているといえましょう。
 もっとも、第3問に顕著なように、一見判例の原文まで押さえておかなければならないかに見えますが、この判例は百選登載の重要判例であり、そこで問われていることも、百選の解説部分で述べられている範囲にとどまっています。
また、第5問において、比較的新しい判例が問われていますが、内容的には、その判旨について一通り押さえていれば容易に解答することのできるものとなっています。
 判例の知識を問う問題については、単に結論のみを押さえるだけではなく、どのような筋道を通ってその結論に至っているのか、丁寧に判旨を読み込んで理解していることを求める出題となっているといえます。

公法系 【行政法】

1 全体について
 08年度から、全体の問題数・配点に変化はなかったものの(20問、計50点)、問題形式については顕著な変化がみられました。昨年出題された穴埋め問題、表問題、組み合わせ問題などが全て姿を消し、1・2問題型、○×問題型、個数問題型の3パターンのみで全20問を占めることとなりました。これらに共通するのは、全ての肢の正誤を確実に判別しないと正答にたどり着けない(個数問題は稀に正解もあり得ますが。)という点です。また、憲法では昨年から1・2問題型が、1問につき3肢に減少されましたが、行政法は今年も4肢を堅持しています。形式面だけを見れば、行政法はかなり難化したという印象を受けます。
 出題分野は、行政法総論8問、行政救済法11問、行政組織法1問。行政組織法の復活は予想通りという方もおられるかと思われ、その分総論分野から1問削られていますが、ほぼ例年通りの配分といえるでしょう。あと、細かいことですが、国賠と損失補償が行政法の冒頭から通常の教科書どおりの位置へ移動しました。

2 内容面
 条文の正確な記憶が必要で、かつそれで十分な問題は行手法、情報法、不服審査法など少数にとどまり、何かしら考えさせる問題が大半を占めています。条文問題の範疇に属するものでも、単に文言の知識があれば足りるのではなく、文言の抽象的な表現が具体的には何を意味するのかを考えなければならないものが出題されています(第36問など)。判例問題では、1問を丸ごと使って最新判例の知識・読解を試す問題が2問出されていたのが眼を引きます。昨年も同じ形式のものは出題されていますが、やや古い判例でした。特に第30問は、青写真判決を変更した昨年の大法廷判決をテーマにしたもので、これは非常に重要な最新判例です。このくらいの重要判例であれば、やはり最新判例も押さえておく必要はあるでしょう。
 その他、目新しいものとして、民訴法と行訴法との関係についての基本的な理解を問う問題(第33問)が挙げられます。
 行政法では個別行政法を参照条文として付した問題が多数出題されるのが特徴的ですが、今年も5問(計20肢)+6肢の計26肢あり、昨年の2問(計8肢)+8肢の計16肢と比べて増加しています。このことから、個別行政法を現場で読み、理解する力をつけることの重要性が増しているのは明らかです。

3 今後の傾向
 細かい知識を積み重ねる勉強法では、高得点を取ることは難しいと思われます。裏を返せば、論文の勉強法がそのまま短答にも通用する科目と言えないこともありません。特に、最新判例は、結論に至るロジックの正確な理解が不可欠といえます。

民事系 【民法】

1 全体について
 分野別の出題数は以下の通りです(括弧内は、08本試験の出題数です。)。総則6問(7問)、物権5問(4問)、担保物権5問(3問)、債権総論6問(6問)、債権各論9問(10問)、親族・相続5問(5問)、合計36問(35問)となっています。昨年度より問題数が1問増え、また物権・担保物権の分野からの出題がやや増えていますが、大幅な変化というほどではありません。親族・相続の分野から5問出題されるということは、来年以降も続いていくと思われます。

2 基礎的な知識を問う出題
 今年度の本試験においては、例年通り、条文知識・判例知識を中心に、各分野からまんべんなく出題がされています。
 第2問で、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の知識が問われるなど、受験生の多くがあまり準備していないであろうと思われる分野からの出題がありましたが、決して特別法にまで手を広げて、条文の文言を押さえていることが求められているわけではなく、一般社団法人等に関する基礎的な理解があれば解答することができるものでした。したがって、第2問においても、重要事項について基礎的な理解を求める出題趣旨であることは、他の問題と変わりはないといえましょう。
 それ以外については、いわゆるマイナーな分野からの出題はなく、条文の文言や、重要判例の判旨について正確に押さえられていれば、容易に解答できるものばかりでした。特に、条文の文言をそのままストレートに問う問題が数多く 出題されており、条文の文言を正確に押さえていることが求められているといえます。
民法典以外からの出題は、上記第2問のほか、第28問で借地借家法の知識が問われています。過去にも出題があるところであり(08、09年度)、借地借家法については、民法典同様、正確な条文の知識が求められているといえます。

3 横断的な知識が求められる出題
 今年度においても、例年通り、問題がほぼ民法の体系順に並べられていますが、昨年同様、その中に分野横断的な出題が盛り込まれています。果実に関する第3問、錯誤に関する第5問、利益を受ける者の意思の尊重に関する第25問においては、財産法と家族法の分野にまたがって条文知識が問われており、また、契約と書面に関する第24問、契約の解除に関する第26問においては、ユニークな切り口で、債権各論全般にまたがって知識が問われています。
 民法全般について、穴のない正確な知識が求められているといえましょう。

民事系 【商法】

1 全体について
 全体の問題数・肢数、配点とも08年度と変わらず(5肢×19問、全問2点)、会社法から13問、商法総則・商行為から4問、手形法・小切手法から2問という配分も同じ形式になりました。ただ、顕著な変化として、手形小切手は2問とも手形理論を正面から問うており、細かい知識がなくても、基本的理解をベースとして現場思考で解けるものが出題されていたことが挙げられます。一方で、総則・商行為からは判例問題が(明示していないものも含め)半数の10肢を占め、うち百選非掲載のものも4肢ありました。昨年が百選掲載のもののみ2肢しかなかったことを考えると、これも見逃せない変化といえます。会社法は、ここ2年連続して出題されていた、会社法の理論を正面から問う問題が姿を消し、「単純な条文知識」又は「単純な条文知識+α(異論の余地のない解釈)」を問う問題が約9割を占め、単純条文知識最重視という傾向がさらに強まったという印象を受けます。

2 内容面(会社法のメジャー分野)
 単純条文知識の多寡が大きな影響を及ぼすということは上述した通りですが、単に条文を丸暗記していればいいかというとそうではありません。1つの条文だけで片がつく問題はむしろ少なく、読替規定・準用規定等を駆使した問題がかなりの割合で出題されています。特に48問肢2(組織再編の問題)は、確信に至るためには非常に細かい条文知識を要求されるものでした(問題自体は、消去法で解けるものですが)。これに限らず、今年は全体的に迷わせる肢が多く、難易度は確実に上がっているといえます。

3 内容面(それ以外)
 会社法からは、持分会社・社債が出題されました。いずれも内容的には容易で、短時間で確実に正答することが求められます。
 商法総則・商行為は、条文問題(50問、53問)こそ容易ですが、判例問題(51問、52問)は難しく、特に52問を2つとも正解することは至難の業です。この分野に限ったことではありませんが、問題数の増加により配点に幅をもたせにくくなり、難問も易問もおしなべて2点となったとあれば、受験生の実力にもよりますが、難問に時間をかけることは得策とはいえません。
 手形・小切手は、確かに細かい知識は不要とはいえ、人的抗弁の切断や善意取得という基本的な事項についての理解は必要なので、全く何の知識もないとなれば、正答できないものとなっています。

4 今後の傾向
 会社法で重要なのは、個別の条文の丸暗記ではなく、読替規定等も含めた有機的な理解です。ただ全ての規定を理解するのは困難といえるので、重要性を踏まえ、メリハリを付けた上で確実に押さえたいところです。判例は、短答対策で何かをやるというよりも、むしろ論文で必要なものを押さえておくという方針で勉強することが必要です。
 総則・商行為は回を追うごとに問題数・難易度が増しており、重要な条文・判例を確実に押さえておく必要があります。判例は他の科目と異なり、ただ百選を読むよりは、基本書で丁重に扱われているものをピックアップした上、結論だけは覚えておきたいところです。
 また、手形・小切手についても、基本的事項の理解が今後も必要といえるでしょう。

民事系 【民事訴訟法】

1 全体について
 09本試験の全19問は、ほぼ代表的な基本書等の体系順に、幅広い分野から出題されています。そして、第56問(除斥及び忌避)、第57問(移送)、第71問(訴訟承継)、第73問(控訴審)など、受験生が手薄になりがちな分野からの出題や、第58問(株式会社の代表者)、第62問(当事者の欠席)など、一定のテーマからの横断的な理解を問う出題が多く見られます。

2 条文・判例の正確な理解の必要性
 まず、条文知識が問われる問題でも、単純にそのまま聞かれるだけではなく、第57問(移送)、第59問(訴え却下の判決の該当性)など、具体的な例にあてはめさせる問題が多く出題されています。
 次に、「判例の趣旨に照らし」て答える問題が6問に増えたほか、判例の立場で答えさせる肢(肢中に「判例によれば」とあるもの)も多く出題されており、判例学習の重要性がうかがえます(なお、今年は、「判例によれば」という言葉が、文章の途中に置かれた問題が多くなっています。)。
 もっとも、「判例の趣旨に照らし」とは書かれていても、実際には、学説においても争いのないものとされている制度趣旨の基本的な理解を問うている場合も多く、単なる知識の暗記では対応できない出題が多いことに注意する必要があるでしょう。

3 実務上重要な点についての出題
 まず、第74問では、「要件事実に関する」と明示される出題がなされました。また、第66問は、直接的には、条文・判例上で「推定」という言葉が使われている場合などにおける訴訟上の効果を問うものであるが、要件事実の理解でほとんどの肢の正誤が判断できるものでした。これらの点からすれば、類型別などでの要件事実の基本的学習が欠かせないものであったといえます。
 その他、既に述べた第57問(移送)、第58問(株式会社の代表者)、第59問(訴え却下の判決の該当性)、第62問(当事者の欠席)、第71問(訴訟承継)、第73問(控訴審)に加え、第64問(文書提出命令)、第67問(訴訟上の和解)などでは、随所で実務的に重要な知識が聞かれており、司法試験の実務家登用試験たる傾向は顕著であることがうかがえます。

刑事系 【刑法】

1 全体について
 総論から10問、各論から10問出題されており、08本試験と同様です。また、総論と各論の問題が交互に並んで出題されている形式も08本試験と同様です。
 問題冊子のページ数については、08本試験では23ページだったのに対し、09年度では26ページとなり、問題数・解答欄数については、08本試験では40問・55個だったものが、09本試験では40問・76個となり、純粋にこの数字だけを見ると、08本試験よりも解答に時間を要するものとなったとも思われます。しかし、08本試験では、一定の見解を前提に事例や記述へのあてはめを求める問題など、解答に手間を要する問題が6問程度であったのに対し、09本試験では3問程度に減少しており、解答に要する時間自体は短縮されていると考えられます。また、いわゆる1・2問題が08本試験では1問のみにとどまったのに対し、09本試験では5問出題されたことも特徴的です。
 現場における短い時間の中での「事務処理」よりも、条文・判例の正確な知識を問う傾向が、年々顕著になってきているといえるでしょう。

2 条文・判例の正確な知識の重要性
 一定の見解を前提に事例や記述へのあてはめを求める問題等の減少、1・2問題の増加という傾向から、条文・判例の正確な知識の重要性がさらに高まったといえます。条文・判例の知識が曖昧であると、正解することが困難であるため、その知識の正確性が重要になります。条文・判例を正確に理解していれば、素直に正解を導くことが可能な問題が多く、時間短縮にもなることから、かなりの高得点も望めるでしょう。
 求められる条文や判例の知識の内容としては、いわゆる典型論点に関しての知識が多数にのぼるといえますが、不動産侵奪罪や信用毀損罪の構成要件に関する知識を問う第1問や、逃走罪からの出題(第7問)、刑法の適用範囲・罪数・刑罰のように実務上正確な知識が不可欠な分野からの出題(第16問、第18問、第20問)など、いわゆる択一プロパーの範囲からの出題もあります。条文・判例について基本的な事項は幅広く学習することが重要と言えるでしょう。

刑事系 【刑事訴訟法】

1 全体について
 出題分野については、分類しづらい問題もありますが、捜査の分野が7問、公訴の分野が2問、公判の分野が3問、証拠の分野が4問、裁判の分野が2問、上訴の分野が1問、分野横断的問題(弁護人の権限)が1問となっており、例年とそれほど異なるところはなかったと思います。
 ただし、条文・判例の正確な知識を問う問題が多いのは例年と同じですが、事例へのあてはめを問う問題が4問と昨年(1問)より増加しています。その意味では、昨年よりも具体的思考を問う傾向があったといえると思います。

2 法改正点の出題
 本年においても、近年の法改正に関する問題が多数出題されました。公判前整理手続に関する第29問肢エ、第31問、第33問肢エ、窃盗罪に罰金刑が認められたことに関する第29問肢ア、被疑者に対する国選弁護人制度に関する第24問肢3、即決裁判手続に関する第29問肢イ、第34問肢ウなどです。
 重要な法改正点は、他の科目と比較しても特に注意を要するところといえるでしょう。

3 出題形式の難化
 昨年は2問しかなかったいわゆる「1・2問題」が、本年は4問と増加し、昨年出題がなかった個数問題も本年は2問出題されています。その意味では、部分点の付け方にもよりますが、高得点が取りにくい出題形式になっていると思います。
 また、ページ数も昨年より1頁強増えており、解答にも時間がかかったと思われます。

4 特徴的な問題
 本年は、事例に対するあてはめを問う問題で4点問題が出題されました(第32問)。事例を読んで、それに関する記述の正誤を問う「1・2問題」です。落ち着いて記述をしっかり読めば解ける問題ですが、時間がなくてあせって解くと間違う可能性のある問題であると思います。今後は、このような出題形式に対する対策も考えておいた方がよいと思われます。

 
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