【資料1 法律事務所の会議録】
「(中略)
弁護士J:
次に,訴訟手段についてですが,本件建築物の建築を阻止するためには,どのような方法が考えられるか検討してください。建築基準法第9条1項に基づく措置命令をめぐる行政訴訟も考えられますが,これについては後日議論することとして,今回は検討の対象から外してください。また,検査済証の交付を争っても建築の阻止には役立ちませんから,これも除外してください。
弁護士K:
了解しました。それでは,本件確認を争う手段を検討してみます。
弁護士J:
本件確認が処分に当たることは疑いありませんし,審査請求も既に行われています。出訴期間も現時点では問題ないようですね。訴訟を提起するとして,Fらは本件建築物とどのような関係にあるのですか。
弁護士K:
Fは,本件土地から10メートルの地点にあるマンションの一室に居住しています。Gは,Fの居住するマンションの所有者ですが,そこには住んでおりません。したがって,FとGは,本件建築物から至近距離に居住するか,建築物を所有しているといえます。
弁護士J:
HとIはどうですか。
弁護士K:
Hは,小学2年生で,本件児童室に毎週通っており,Iはその父親です。二人は,本件土地から500メートル離れたマンションに住んでいます。
弁護士J:
そうですか。全員が訴訟を提起する資格があるのか,ここは今回の案件で特に重要だと思いますので,個別具体的に丁寧に検討してください。」 |
建築会社Aが,未整地の崖が大部分を占める土地(本件土地)にマンションを建てる計画をし,建築確認を受けた。
「X1は,本件土地から道路(以下「本件道路」という。)を挟んで西側10メートルに位置する宅地に居住する者である(【資料3】(土地周辺の見取り図)参照)。また,X2は,本件土地の北西50メートルに位置する所に倉庫を所有している者である(【資料3】参照)。なお,X2の居住地は隣町であり本件土地からは3キロメートル程度離れている。X2は,ここ数年倉庫を訪れたことはなかった。」
「X1らは,Q市建築審査会に審査請求をし,裁決を求めたものの,3か月が経過してもなお裁決が出ない状態にあった。そこで,X1らは,弁護士Hに訴訟提起をした場合の見通しを相談することにした(【資料1】参照)。」
〔設 問〕
「1.【資料1】を読んだ上で,弁護士Gの立場に立って,弁護士Hの指示に応じ,訴訟の見通しを検討しなさい。」
【資料1 弁護士Hと若手弁護士Gの会話1】
「弁護士H:それでは,X1さん及びX2さんの事件について検討しておきましょうか。考えられるのは,建築確認処分に対する取消訴訟ですよね。この点については,まず,被告は,建築主事Yの所属するQ市となりますね。これに対し,X1及びX2さんが取消訴訟を適法に提起することができるのかを問題にする必要がありますね。(中略)また,X1及びX2さんでそれぞれ事情が異なることに注意して下さい。」 |