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2009年度 新司法試験本試験問題的中情報

2009年度新司法試験論文式試験では,本試験直前に行いました,伊藤塾の「新司法試験 全国公開模試」と類似の事案を用いた問題が出題されました。

【2009/12/07 更新】


2009年実施 伊藤塾「全国公開模試」の本試験問題の的中について<刑事系>

本試験問題(刑事系第2問)

全国公開模試問題

7 Pは,この実験結果につき,実況見分調書を作成した。同調書には,作成名義人であるPの署名押印があるほか,実況見分の日時,場所及び立会人についての記載があり,実況見分の目的として「死体遺棄の手段方法を明らかにして,証拠を保全するため」との記載がある。加えて,実況見分の経過として,写真が添付され,その写真の下に甲の説明が記載されている。

具体的には,岸壁から約5メートル離れた地点に停止している実験車両を甲が指さしている場面の写真,甲が両手で抱えた人形を運転席に向けて引きずっている場面の写真,甲が運転席に上半身を入れて,サイドブレーキを解除し,セレクトレバーをドライブレンジにした場面の写真,同車両の前輪が岸壁から落ちたものの車底部が岸壁にぶつかってその上で同車両が止まっている場面の写真,甲が同車両の後部バンパーを両手で持ち上げている場面の写真,同車両が岸壁から海中に転落した場面の写真,同車両底部の損傷箇所の位置が分かる写真が添付されている。そして,各写真の下に「私は,車をこのように停止させました。」,「私は,助手席の被害者をこのように運転席に移動させました。」,「私は,このようにサイドブレーキを解除してセレクトレバーをドライブレンジにしました。」,「車は,このように岸壁の上で止まりました。」,「私は,このように車の後部バンパーを持ち上げました。」,「車は,このように海に転落しました。」,「車の底には傷が付いています。」との記載がある。

(以下略)
〔設問2〕【事例】中の実況見分調書の証拠能力について論じなさい。

16 警察は,実況見分を平成21年3月4日午後2時ころから午後4時ころまで行った。実況見分の場所は,甲宅敷地内及びL方住居敷地内である。この実況見分の際には,甲による犯行再現が行われて司法警察員警部Fにより実況見分調書が作成されている。この実況見分調書には,実況見分に当たって撮影された写真が11枚添付されている。

まず,実況見分調書に添付された写真の1枚に,半焼したL方住居の勝手口付近を甲が指し示す写真が添付されている。そして,その写真が添付された実況見分調書の当該ページには,甲が「L方住居勝手口の左側にゴミ箱が置いてありました。」と説明した旨の記載(記載@)があり,その様子を撮影したとの説明文が付されている。

次に,同調書の別ページには,甲が,「私は,生垣の手前で,自宅にあった雑誌にライターで火をつけ,L方住居勝手口の横にあったゴミ箱めがけて投げ込みました。」と説明した旨の記載(記載A)とともに,生垣の手前で雑誌に点火する動作と,火のついた雑誌を生垣の上から投げ入れる動作とを行った旨の記載がある。そして,この過程を司法警察職員が撮影したものが犯行再現写真として実況見分調書に添付されている。なお,甲は,同調書に署名押印をしていない。

(以下略)
〔設問3〕 平成21年3月4日の実況見分調書の記載@,A及び記載Aに添付された写真の証拠能力について,立証趣旨並びに各記載及び写真の要証事実を踏まえ,具体的事実を摘示しつつ論じなさい。なお,【事例】19におけるFの証言は信用することができるものとする。


新司法試験では,伝聞証拠に関する問題が毎年出題されています。これは,実務家登用試験である新司法試験において,伝聞証拠が,事例の読み取り及び当てはめの能力を試す上で適切な問題であると同時に,刑事訴訟実務において最も重要な問題となっているためであると考えられます。そこで,全国公開模試では,伝聞証拠に関する問題の中でも,比較的新しい判例(最決平17.9.27 平17重判刑訴法7事件)が出ていた犯行再現写真の証拠能力について,出題していました。直前期にこの問題の答案作成をしていた受験生は,他の受験生より有利な立場で本試験を受けることができたと思われます。

 的中論点

 @実況見分調書の伝聞例外の要件
 A現場指示と現場供述の区別
 B犯行再現写真の証拠能力

※全国公開模試(2010年度版)の詳細はこちらをご覧ください。

2009年実施 伊藤塾「全国公開模試」の本試験問題の的中について<公法系>

 本試験では,設問1にて,建築確認処分に対する取消訴訟に関して,複数の当事者の原告適格を論ずることが重要となっています。上記伊藤塾模試でも同様に,建築確認処分に対する取消訴訟に関して,複数の当事者の原告適格を論ずることを求める問題を出題しました。
  以下、これらの論点に関しての、本試験の出題内容と、全国公開模試の出題内容を比較します。


本試験問題(公法系第2問)

全国公開模試問題

【資料1 法律事務所の会議録】
「(中略)
弁護士J:
次に,訴訟手段についてですが,本件建築物の建築を阻止するためには,どのような方法が考えられるか検討してください。建築基準法第9条1項に基づく措置命令をめぐる行政訴訟も考えられますが,これについては後日議論することとして,今回は検討の対象から外してください。また,検査済証の交付を争っても建築の阻止には役立ちませんから,これも除外してください。

弁護士K:
了解しました。それでは,本件確認を争う手段を検討してみます。

弁護士J:
本件確認が処分に当たることは疑いありませんし,審査請求も既に行われています。出訴期間も現時点では問題ないようですね。訴訟を提起するとして,Fらは本件建築物とどのような関係にあるのですか。

弁護士K:
Fは,本件土地から10メートルの地点にあるマンションの一室に居住しています。Gは,Fの居住するマンションの所有者ですが,そこには住んでおりません。したがって,FとGは,本件建築物から至近距離に居住するか,建築物を所有しているといえます。

弁護士J:
HとIはどうですか。

弁護士K:
Hは,小学2年生で,本件児童室に毎週通っており,Iはその父親です。二人は,本件土地から500メートル離れたマンションに住んでいます。

弁護士J:
そうですか。全員が訴訟を提起する資格があるのか,ここは今回の案件で特に重要だと思いますので,個別具体的に丁寧に検討してください。」

 建築会社Aが,未整地の崖が大部分を占める土地(本件土地)にマンションを建てる計画をし,建築確認を受けた。
「X1は,本件土地から道路(以下「本件道路」という。)を挟んで西側10メートルに位置する宅地に居住する者である(【資料3】(土地周辺の見取り図)参照)。また,X2は,本件土地の北西50メートルに位置する所に倉庫を所有している者である(【資料3】参照)。なお,X2の居住地は隣町であり本件土地からは3キロメートル程度離れている。X2は,ここ数年倉庫を訪れたことはなかった。」
「X1らは,Q市建築審査会に審査請求をし,裁決を求めたものの,3か月が経過してもなお裁決が出ない状態にあった。そこで,X1らは,弁護士Hに訴訟提起をした場合の見通しを相談することにした(【資料1】参照)。」

〔設 問〕
「1.【資料1】を読んだ上で,弁護士Gの立場に立って,弁護士Hの指示に応じ,訴訟の見通しを検討しなさい。」

【資料1 弁護士Hと若手弁護士Gの会話1】
「弁護士H:それでは,X1さん及びX2さんの事件について検討しておきましょうか。考えられるのは,建築確認処分に対する取消訴訟ですよね。この点については,まず,被告は,建築主事Yの所属するQ市となりますね。これに対し,X1及びX2さんが取消訴訟を適法に提起することができるのかを問題にする必要がありますね。(中略)また,X1及びX2さんでそれぞれ事情が異なることに注意して下さい。」


第三者の原告適格については,行訴法9条2項で列挙されている考慮要素を具体的な事案に即して検討することがおろそかになりがちです。伊藤塾では,司法試験法3条4項で「司法試験においては,その受験者が裁判官,検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を備えているかどうかを適確に評価するため,知識を有するかどうかの判定に偏することなく,法律に関する理論的かつ実践的な理解力,思考力,判断力等の判定に意を用いなければならない。」(下線は伊藤塾による。)とされていることを踏まえ,「考える問題」の出題を心がけています。

伊藤塾の「新司法試験 全国公開模試」では,本試験公法系第2問と同様,建築確認処分の取消訴訟において,複数の原告が原告適格を有するかどうかを,各人の事情の違いを意識して論述することを求める問題を出題していました。この点に関しまして,受講生のみなさまに,本試験で実際に答案を書く際に「新司法試験 全国公開模試」での演習をお役に立てていただいたのであれば,幸いです。

※全国公開模試(2010年度版)の詳細はこちらをご覧ください。
 
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