真の法律家・行政官を育成する「伊藤塾」
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田中 先生(弁護士)

子どもの頃に感じた「怒り」を胸に、紆余曲折を経て弁護士に

私は子どものころ水俣病の問題に関心を持ち、今まで平穏に暮らしていた人がいきなり不利益を被り、それどころか社会的にも差別を受けることに深い憤りを感じていました。また20代のころは環境問題に興味がありNGOの運動に参加して様々な活動を行っていました。このように人権問題や環境問題に深く関わり、社会的に弱い立場の方に寄り添う仕事をしたいと考え、法律家への道をめざしました。     

しかし受験勉強を始めるまでは紆余曲折があり大学時代は勉強もせず飲食店に勤め、大学を中退しました。その後もアミューズメント業界や飲食店を経験するなど職業を転々と変えていました。しかし自分の不安定な現状を見つめると人権問題や環境問題などの社会的な活動をするには経済的基盤や資格が必要だと考えました。そこでもう一度勉強するために某大学法学部の通信教育学部に入学しました。そのような時期に、偶然手にした伊藤塾長の憲法の本に感激し「この人のもとで法律を勉強したい」と考え、さっそく伊藤塾の講義を受講しました。

今まで法律の勉強をしたことがなく、講義では初めて聴くことばかりでしたが、1日3時間勉強すれば司法試験に合格できる、それなら自分にもできると思いました。特に初めに学習の全体像を示してくれるので安心して勉強が進められました。勉強が進むと司法試験は基礎が重要な試験であり、基礎力が身についていればそこから応用ができると考えました。
ぶれない基礎は裏切りません。伊藤塾の講義はこの基礎を徹底的に学習します。実務に就いた今も、物事の判断をする際の方向性のヒントを受験時代に学んだ基礎力が与えてくれたことも少なくありません。

講義では言われたことだけを徹底して繰り返しました。とにかくひたすら繰り返し、知っている問題は絶対に間違えない、というところまで勉強しました。私はパズル系の応用問題が苦手だったので記憶と努力でこの弱点を補いました。また択一試験が苦手で模擬試験でもなかなか合格レベルに届かなかったのですが、基礎部分を徹底的に繰り返し、直前期には合格レベルに到達できました。よく伊藤塾長は継続することが力になると言われます。また、いろいろなことに手を広げるのではなく、これと決めたら信じ続けることが大事だと言われました。今思うと本当にこの通りだと思います。今はその重要性を身をもって感じています。

原発事故の被害者弁護団にも参加

当初弁護士を目指した目標通り、社会的な弱者を救済したいと考え、事務所のメンバーの人柄も魅力的だった現在の事務所に入所しました。事務所はいわゆる町弁のような事務所で平和や民主主義、人権を守っていくことを考えています。相談された案件は、手間や金銭的な理由では断りません。また自分の興味のある分野にも積極的にかかわらせてもらえます。
私は今、公益的な活動としてチチハル事件と原子力発電所被害者関連の弁護団に参加しています。特に原子力発電所の事件では実際に被害者に向き合い、マスコミでは伝えられないような現場での事例について対応しています。
 
人の話を真剣に聴き、共感すること

相談された案件は決して断らない以前法テラスの事件で離婚の案件なのですが相手方が外国の方でもう日本におらず、さまざまな情報を証拠にしていくのが複雑でとても困難な案件がありました。2年以上かけて状況を確認し、依頼者の希望に添えるような結果になったのですが、依頼者から一通の手紙をいただき、「とっても気持ちがはればれしています。息子と一緒に頑張っていきます」、とお礼の言葉が書かれていました。お客様に喜んでいただけることが何より嬉しいです。

社会的に弱い立場の人や今現在困っている人のために行動することが仕事になるのは素晴らしいことだと思います。困っている人が元気になって前を向いてくれることに喜びを感じます。事件の解決を通じて、下を向いている人が上を向いて歩ける、人を励まして元気にすることができることに、とてもやりがいを感じます。

ですから私も相談された案件は断りません。他の事務所で依頼を断られた方も、こちらが真剣に話を聴き、共感することで、たとえ金銭的な解決が困難でも、その人が道を超えていくための手助けになれば喜んでもらえることがあります。また依頼者の方とはなるべく深く本音で接するように心がけています。時には依頼者から指摘を受けることもありますがこのような時も真摯に対応するようにしています。
 
世界一幸せな福祉施設を造りたい

弁護士として働いていくことのほかに、私には、もう一つ夢があります。
それは、世界一幸せな福祉施設を造りたいということです。介護をしている人が、入所させたいと思える施設が少ないといわれています。施設の中で人として尊重されていない例が多いと聞きます。施設に入所した後は、いろいろ出来ることがある方も、施設内で仕事をする機会がありません。たとえば料理ができる人や掃除が得意な人はそれをすることによって、周りの人に尽くすことができる、社会の役に立つことができる、こんな人として当たり前のことが感じられるような、人の尊厳を大事にした福祉施設を造りたいと考えています。

弁護士としてどのように仕事をするかが大切

弁護士の仕事ほど魅力的でやりがいのある仕事はないと思っています。苦しい時期もありますがそれを乗り越えるだけの価値のある仕事です。合格までどれだけ時間がかかっても勝負は弁護士になってからです。自分のいいところを活かして、法律以外の事にも興味を持って経験していけばそれは必ず活かすことができます。

最後に私の好きな人の一人、マーチティン・ルーサー・キング牧師が残した言葉を紹介させてください。キング牧師は、人種差別に対して命をかけて戦い、ノーベル平和賞を取ったのち、暗殺されました。「あなたが道路清掃人なら、最高の道路清掃人になりなさい。ミケランジェロが彫刻をするように、ベートーベンが作曲をするように、シェークスピアが戯曲を書くようにあなたの道路を清掃しなさい。あなたの死後、すべての人たちが「自分の仕事を立派に成し遂げた道路清掃人がここにいた」と言われるくらいに見事に道路を清掃しなさい。」
弁護士になることよりも、弁護士としてどのように仕事をするかが大切と思っています。
どのような弁護士になってどのように働いていくかを真剣に考えて素晴らしい人生を歩んでください。


【プロフィール】
大学 中退
パン職人、派遣社員、浦安の遊園地のスタッフ等、様々な職業を経験
2004年 旧司法試験 合格