教養区分試験に臨むことで、行政官としての教養や思考法も身につく

 
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Sさん
◆所属大学: 東京大学 後期教養学部
◆受講講座: 国家総合職コース、国家総合職ゼミ

はじめに

国家公務員を志望した理由

 3年生の6月になり、そろそろ勉強をはじめようかと思い、とりあえず過去問を買ったところ、想定以上に問題が難しかったことと範囲がひろかったため、効率的に対策を行わなければならないと思い、効率的に勉強できそうな受験指導校に通うことに決めました。伊藤塾を選んだ理由は同じ学科の友人が複数人受講していたからです。

 

私がとった勉強方法

総合論文試験について

 佐藤講師のゼミが大変参考になりました。この試験はどのように回答したらよいのかわかりづらく、例年あまり差がつかないと聞いていましたが、逆にこの試験で差をつけられると全体として大きく優位に立てると聞いていたので、しっかりと対策をしたいと思っていたのでとても良かったです。
勉強法は、あらかじめ自分の回答を作成してから講義を視聴して、必要な政策的知識等を確認してから自分の回答を作り直すという勉強法を行っていました。また、同じ講座を受講している学科の友人同士でお互いの回答の読み合いを行い論理の欠落を指摘しあったりしていました。
ゼミでは、回答のフォーマットやおさえておくべき政策について講師から情報提供がありましたので、それを参考に自分で学習を進めていきやすかったです。また、佐藤講師の時に厳しいお言葉によって、最後まで慢心することなく試験対策に全力で取り組むことができました。また、総合論文試験は哲学的な考え方を問う一部と政策立案力を問う二部から構成されますが、いずれも行政官として必要不可欠な能力であり、この試験の対策を通じてそうした能力を涵養できたことは試験の対策以上に価値のあることでした。

 

基礎能力試験(知能分野)

基礎能力試験の中でも自分は数的処理が苦手でした。そのため、毎日伊藤塾の数的処理の講座を視聴しながら問題演習を行いました。その結果、問題解答のコツをおさえることができ、試験直前には目標となる正解数をとれるようになりました。実際の試験では目標以上の正解数を獲得し、かなり有利に教養区分1次試験を突破することができ大変満足しています。数的処理は国家公務員試験の中でも最も対策に時間がかかり得意・不得意がわかれる分野だと思います。伊藤塾の講座で、この分野を効率よく学習することができたのはとても良かったです。
勉強法は、講義で基礎的な解法を修得したのち、数的処理の過去問を、時間を図って解く練習をしていました。直前期は試験と同じ時間制限で試験と同じ問題数を解く練習をして本番の環境を再現していました。

 

基礎能力試験(知識分野)

知識分野は社会科学や人文科学、自然科学などから広く出題されます。そのため、限られた時間内でいかに効率よく学習するかが重要な試験区分です。
最初は自分で勉強しようとも考えましたが、そうなるとどこから手を付けていいかわからず、途方に暮れていたと思います。伊藤塾のテキストは、この試験で正解をとるために必要な最低限の知識がコンパクトにまとまっており、とても勉強しやすかったです。また、効率よく勉強するうえでも重宝しました。
勉強法は、学校の行き帰りの時間などの隙間時間を見つけてテキストを読んでいました。また、過去問を解いて、間違えた選択肢の知らなかった知識をノートにまとめておいて後で参照できるようにしました。

 

企画提案試験

企画提案試験は、相澤講師の解説講義を受講し、そこで挙げられていた出題予想に基づいて自分で政策案を作成しました。また、学科に教養区分1次試験の合格者が7名いたため、対策会を開き、個々の出題予想のテーマに対して各人が自分の政策を持ち寄って発表しそれに質問をするという本番同様の対策を複数回行いました。個人的にはこの対策会で政策立案の考えかたが強化されましたし、自分が試験場に持っていける政策の雛型ができました。
当日の試験でも出題予想と全く同じ問題が出たため、準備していた政策をしっかりと書き、質問にもしっかりと答えることができました。

 

政策課題討議

政策課題討議試験は伊藤塾で行われた模擬形式の対策会に参加しました。実際に教養区分1次試験の合格した学生と対策ができ、実戦形式の対策ができてよかったです。また、講師の方からも的確なフィードバックをもらうことができ、それ以降の対策にも役立ちました。
また、伊藤塾以外でも、学科の友人たちと模擬政策課題討議を複数回実施しました。あえて普段自分がしない役割になったりと、色々な形式で対策を行うことができました。そのため、議論クラッシャーへの対応や話題が断線した時にどのように軌道修正するかといったスキルを身に着けることができました。結果として、当日も緊張することなく試験に臨むことができました。

 

加点対象の英語試験について

英検準125点加点。大学受験の時に加点目的で取得した英検が活用できました。
 

普段の生活と試験対策について

伊藤塾の講座はオンデマンド方式でいつでも受講できるので、朝の6時に起きて8時まで2時間受講したり、大学から帰った後に受講したりして、隙間時間を有効に活用しました。
夏には複数の省庁のインターンに参加しました。インターン期間中は試験勉強はできませんでしたが、政策立案等をグループで行うワークショップが多かったので、総合論文試験や政策課題討議試験の練習だと思って臨んでいました。実際にインターンで学んだ知識や政策を作るうえでのフレームワークは2次試験においても大いに役立ちました。

 

どのようにモチベーションを維持したか

同じ学科に自分と同じように行政官を志す仲間がたくさんいたので、一緒に勉強したり論文を読みあったりして刺激を受けながら対策をすることでモチベーションを維持していました。そういった意味で自分は恵まれていたと思います。
また、3年生の夏にはオンラインや対面で色々な省庁のインターンに参加しました。そこで、他大の行政官志望の学生とも交流し刺激をもらいました。

 

最後に

教養区分のメリットは、社会科学や人文科学、自然科学や数的処理など、本当に幅広い分野についての基礎力をもう一度涵養できる点だと思います。大学受験で勉強した範囲もありますが、それ以外の分野についても社会に出る前にもう一度基礎的な部分を確認できたことで自分自身の教養のレベルが底上げされたように感じます。幅広い教養を身に着けることは行政官として様々な分野の政策に関わる可能性にある人にとっては意義深いと思います。そうした意味で教養区分は他の専門区分にはない魅力があると思います。
また、おそらく他の方も指摘されるように春区分に比べて時間的にも精神的にも余裕ができるので、自分のしたい勉強をしたり、民間を見てみたい人はインターン等に参加することもできます。
こうしたメリットもあってか例年受験者が多く競争の激しい区分です。日常の大学の勉強等と両立するのはなかなか大変だと思いますが、受験して合格した時の喜びもまたひとしおですし、この試験を受けることで行政官として必要な基礎的な教養や思考法も身につくと思うので、ぜひ挑戦してみてください。