司法試験と並行して受験可能、選択肢のひとつとして

 
合格者イラスト

Iさん
◆所属大学: 東京大学 法学部
◆受講講座: 司法試験入門講座、国家総合職ゼミ

はじめに

国家公務員を志望した理由

一部学習範囲が被る部分もあり、司法試験と並行して受験可能だったため、選択肢のひとつとしておこうと思った。また、依頼者のために尽くす弁護士と国家のために尽くす公務員は、どちらも他者の役に立つという点で共通するものであり、その点に魅力を感じた。
 

伊藤塾を選んだ理由、伊藤塾のココが教養区分合格につながった!

法学部への入学をきっかけに学習開始。伊藤塾を選んだのは最大手だったため。公務員試験の受験を考えはじめたのは大学2年時。合格者を多数輩出しているため情報が豊富な点が良かった。
 

私がとった勉強方法

総合論文試験について

 2年時から佐藤講師の東大ゼミを受けた。2年時は東京校に通ったが、3年時はオンラインでのゼミとなった。2年時は何回か答案の添削を受けたと記憶しているが、3年時は答案の添削を受けていない。ゼミ以外には特に対策をしていないが、ゼミで扱われた分野については、自ら調べて政策を考えるなどして、本番での出題に備えた。
予備試験の勉強で論文の答案を書いていたため、公務員試験については、ゼミで扱われた問題を含めて、2年間で合計10通程度しか答案を書く練習をしなかった。特に3年時には、ゼミを受ける際には答案構成程度しかしておらず、まともに答案を書いたのは試験本番の前日に2通書いたぐらいであった。予備試験で答案を書くことに慣れていたせいか、本番でも時間や分量については特に問題なかった。
もっとも、やはり自分で答案を書くだけでは答案の出来について客観的な判断ができないので、内容面についてのフィードバックをもらうためにも、添削はしっかり受けるべきだったと思う。実際に、本番での総合論文試験は、自分の中ではよく書けた答案のつもりだったが、開示された点数は12部ともにかなり低めだった。

 

基礎能力試験(知能分野)

本番1ヶ月前になってはじめて過去問を見た。国家総合職ゼミで繰り返し総合論文試験の比重の重さ・重要性が強調されていたこともあって、基礎能力試験についてはやや軽く見ていた部分があったので、これについては、もっと前から調べておくべきだったと思う。後述の通り、知識分野に比べて比重が大きく、知識がなくても点も取りやすい知能分野で点を稼ぐことにして、範囲が膨大な割に点数を取りにくい基礎能力試験の知識分野は捨てることにした。
予備試験も受験していて、今年は公務員試験の数週間後に論文試験が控えていたため、あまり公務員試験の勉強に時間を割きたくなかったというのも、理由のひとつである。実際にこの方法で必要な点数は取れたので、勉強時間を確保しにくい場合には、こうした戦術を取るのもやり方のひとつだと思う。
過去問を解いてみると時間が足りないことが分かったので、問題に慣れるために、特に判断推理・数的処理について、1ヶ月間、ほぼ毎日5問程度WEBドリルで問題演習をした。これにより、短時間で問題を解くコツがつかめたと思う。また、本番では解く順番を工夫したほか、時間がかかりそうな問題を2,3問捨てて、他の問題で確実に点数を取ることを目指した。

 

基礎能力試験(知識分野)

基礎能力試験で知識分野の出題があることは知っていたが、大学受験での知識が多少は残っていること、予備試験の短答試験でも似たような種類の問題があり、同年の予備試験でもある程度点数が取れていたことから、特に勉強しなくても問題ないだろうと考えていた。本番1ヶ月前になってはじめて過去問を見て、20問を選んで解けばよい予備試験と異なり、公務員試験の場合は全問解かなければならないことを知った。ゼミで繰り返し総合論文試験の比重の重さ・重要性が強調されていたこともあって、基礎能力試験についてはやや軽く見ていた部分があったので、これについては、もっと前から調べておくべきだったと思う。
実際に問題を解いてみたところ、半分も点数が取れない状況であった。しかし、公務員試験の数週間後に予備試験の論文試験も控える状況において、かりに科目を絞るとしても膨大な範囲がある知識分野のために時間を割くのは、費用対効果の観点から得策でないと考え、知識分野は捨てることにした。
大学受験で選択しなかった生物については、公務員試験の1週間前になってから、インターネット上の大学受験用サイトで一通り学習したが、軽く読んだだけなので、知識はほとんど身についていない。本番でも全く役に立たなかったので、これは必要なかったと思う。

 

企画提案試験

 1次試験の合格発表後に、伊藤塾の対策講義と模擬企画提案を受けた。まずは、課題とされた白書を2回ほど読んで、全体の内容を頭に入れた。それから対策講義を受けて、模擬企画提案で提示された課題を元にして、提示すべき企画を考えた。考えるにあたっては、市などの地方公共団体や企業などの取り組みをインターネットで調べるなどして、参考にした。
小中学校以外の場で、企画提案のようなプレゼンをしたことがなかったため、模擬企画提案はよい練習になった。模擬企画提案では、政策内容についての詰めの甘さなどについて辛口の批評を受けた。これを踏まえて、本番に向けて、より具体性を増した内容となるように、政策の内容を修正した。また、模擬企画提案で財源について鋭く追及されたため、昨今の財政状況を踏まえたうえで説得力のある説明をするのは困難と考え、本番では特に財源が問題となるような給付金や補助金などの政策は提示しないように心がけた。
模擬企画提案で厳しめの評価を受けたことで、本番での高得点につながったと思う。
なお、白書の内容から、何かしら障害者雇用に関係する出題となると考えたため、引きこもりなど、白書で触れられていた障害者以外の内容については、特に政策は準備しなかった。

 

政策課題討議

 1次試験の合格発表後に、伊藤塾の模擬政策課題討議を受けた。模擬政策課題討議は、事前に時間を測って問題を解いただけで、指定された以上の準備はしていない。模擬当日においても、参加したうえで講評を受けたのみ。これで雰囲気はつかめたと考えたので、それ以外は特に対策はしなかった。なお、インターンでのグループディスカッションなども行っていない。

 

普段の生活と試験対策について

3年から法律系サークルに入ったが、コロナの影響で活動はほぼなかったため、大学授業の他に取り組んだものは特にない。面接の「学生時代に力を入れたこと」は趣味を挙げたが、面接官の反応を見た限りでは、アピールとして弱すぎたように思う。

 

民間企業の就職活動について

今後、官庁訪問で内定がもらえない場合に備えて民間企業の就活をしていく予定。業界については、金融などを考えている。

 

どのようにモチベーションを維持したか

もともと、予備試験に向けた勉強の1年になる予定だったため、モチベーションや意識の変化は特になかった。

 

最後に

 <教養区分合格のメリット>
官庁訪問までは、民間就活に時間を費やす予定。教養区分での最終合格は、春区分の受験に比べて時間的・精神的余裕につながるように思う。
 
<これから受ける方へメッセージ>
教養区分は特定の分野についての専門的な勉強が必要なわけではなく、受験しておいて損はないと思う。少しでも公務員に興味があるなら、受けることを検討してみてほしい。