講師からのコメントが本試験でのヒントに

 
合格者イラスト

Cさん
◆所属大学: 一橋大学 社会学部
◆受講講座: 教養区分2次試験対策パック

はじめに

国家公務員を志望した理由

高校在学時から新聞を読んで政治や社会のことについてぼんやりと関心を抱いていたため、大学入学当初は新聞記者を志望していました。しかし大学3年次の春、大学のゼミにて新聞記者の方と懇談の機会を頂いた際に、新聞の役割が国民の声の反映等の問題提起にとどまることを実感し、それ自体として素晴らしいものの、個人的にはやや物足りなさを感じてしまいました。公務員は国民の声の反映から課題の解決までをトータルで目指すことのできる仕事として、3年の夏ごろまでには進路のひとつとして考えていたように思います。その後3年夏から4年春まで1年間英国に留学し、帰国後に自己分析をする中で「全ての人の活力ある暮らしを支え」たいという思いを強くし、最終的に4年の6月ごろに公務員を目指すことを決めました。

 

伊藤塾を選んだ理由、伊藤塾のココが教養区分合格につながった!

伊藤塾の強みは、圧倒的な実績に裏打ちされた講師の方々のコメントの質の高さにあると感じます。私自身は2次試験パックのみの受講でしたが、講師からの模擬企画提案でのコメントをはじめ、実際の試験で活用できるヒントを多くいただくことができました。そのため当日は緊張の中で模擬よりも高いパフォーマンスを発揮、合格につながったと思います。

 

私がとった勉強方法

総合論文試験について

総合論文試験で求められているのは論理力と公務員としてのバランス感覚だと感じます。論理力については公務員試験に独特のものではないので、特別な対策をするというよりは、日ごろの大学の授業で課されるレポート等を活用し論理的な文章を書く訓練をすると良いと思います。
公務員としてのバランス感覚とは、特に施策について提案し論じるという設問において、利害関係者への配慮を示すことができているかということです。例えばこれは私が実際に書いたことですが、女性活躍推進のために配偶者控除の廃止を提案したとすると、その制度を利用していた女性が(一時的にしろ)不利益を被ることになるので、それへの対応(女性就業支援等)もセットで提案する必要があるかと思います。このバランス感覚を身につける対策としては、私は公務員試験論文用の市販の参考書を一読し、過去問を1年分解くことで具体的にどうバランス感覚をアピールできるかを考えていました。また当日は途中退席をすべきだといった言説も聞かれますが、個人的には十分な下書きを行ったうえで執筆することでより論理的な文章が書けると思いますし、無理に途中退席を行う必要はないかと感じます(私は2回のトイレ休憩の他は4時間フルに活用しました)。

 

基礎能力試験(知能分野)

基礎能力試験(知能分野)は言語問題と算数的問題(判断推理と数的推理)にわかれています。私は先輩から過去問6年分のデータと問題集を譲り受けていたため、まず夏休み(8月)はじめに過去問を1年分解き、自分の得意な問題と苦手な問題を認識することからはじめました。その結果言語問題はスムーズに解くことができたため、後述の過去問演習の他には特に対策は行いませんでした。一方で算数的問題はひどい結果で、対策の必要性を痛感したため先輩から譲り受けた問題集(判断推理と数的推理)を解きまくることにしました。具体的には大学の試験後の8月初頭からはじめて8月末(試験5週間前)までに1周、9月中旬(試験2~3週間前)までに2周し、試験直前までに3周しました。また2周目に解けなかった問題や解法にコツがある問題については別冊のノートにまとめ、すき間時間に解き方を覚えるようにしていました。その他に、算数的問題の問題集の一週目が終わったころから残りの過去問演習も数日おきに行い、時間内に解き切ることができるよう演習を重ねました(結局解き切ることはなかったので本当に時間の足らない試験だと思います)。当日は結局14点と最低点ぎりぎりであったため、数学(というよりも算数)に自信のない方はもう少し早め(7月はじめ等)に対策をはじめるとよいかと思います。

 

基礎能力試験(知識分野)

 基礎能力試験(知識分野)は範囲が膨大で、真正面から挑もうとすると絶望すら覚える試験だと思います。しかし合格には6割程度の得点でよいことを考えると、対策を行わない分野(科目)を作っても合格できることに気づかれるかと思います。この試験においては個々人の大学受験経験に基づき、対策を行う科目、対策を行わないが自信のある科目、捨て科目に出題範囲を分ける必要があるといえます。私は国立大学の5教科7科目型のセンター試験を経験しており、対策を行う科目が時事、自然科学5科目、人文科学のうち思想、社会科学3科目、対策を行わないが自信のある科目が日本史、捨て科目が人文科学の文学・芸術、世界史、地理と分類し、対策を行うとした10科目の勉強を行いました。まず時事についてですが、この科目は大学受験時の経験に関わらず対策科目としたほうが良いと思います。対策必要範囲が少なく出題量も3問と多めであり、また後述する社会科学3科目との関係も深いためです。具体的には『速攻の時事』という有名な参考書がありますのでそちらを活用し、月並みですが日々ニュースチェックは怠りませんでした(とはいえ付け焼刃でニュースを見ることは、そのニュースが新しすぎて出題範囲ではないと考えられるため不要です)。続いて自然科学5科目ですが、こちらはよく出る問題形式がある程度決まっているため、特別な苦手意識がない限り簡単に対策するとよいと思います。具体的には『速攻の時事』の姉妹本である『速攻の自然科学』を使っていました。最後に人文科学のうち思想と社会科学3科目ですが、こちらは高校の倫理政経の範囲とほぼ合致するため、時事と並んで対策必要範囲が少なく出題量の多いおすすめ科目です。私はセンター試験対策用の問題集を使い勉強していました。

 

企画提案試験

まずは白書を通読したうえで、伊藤塾で提示された予想問題を中心に考えられる出題について予め案を用意し、友人と案を見せあって推敲することが重要だと思います。
私はそのうえで伊藤塾の講師や昨年度の合格者の方に案を見てもらい、最終的な案を書き上げました。ただ自ら予め考えた案のみに拘泥してしまうと、想定外の問題に対処できなくなることがあるかと思いますので、案を考えるうえでは出題分野の高名な(かつ政府審議会等のメンバーの)方の書かれた新書等にもあたり、出題された課題に正対するような最適な理想状態を言語化することを意識していました。
当日はそれらの準備を活かし1つ理想状態を設定しその実現のために具体案を3案用意したのですが、具体案のうち2つが効果を相殺してしまうとの指摘を受けてしまいましたので、そうした面にも配慮ができるとより良いのではないかと思います。ただし現役の職員の方に議論し打ち勝つことは相当困難ですし、それが望まれているわけでもないと思います。むしろ当日その場でいただいた視点を活かして、不足点をカバーするような(私は不足点を認めるのみで終わってしまいましたが)再提案をできるような瞬発力があるとより良いかと感じました。

 

政策課題討議

政策課題討議試験で試験官に見られているのは、協調性と議論の型を身につけているのかだと思います。
ここでの協調性とは、相手の意見を正面から否定することなく合意形成をすることです。公務員の仕事はよく「誰かにとっての100点よりも、誰にとっても70点の納得解を出すこと」と言われますが、まさにそうした調整力が求められていると感じました。
また議論の型についてですが、こちらは練習あるのみだと思います。私はあまり行えていなかったのですが、友人によると民間就活におけるグループディスカッションのスキルも転用できるとのことでした。私自身としてはとにかく数をこなすことを意識し、伊藤塾の模擬の他に財務省の行う模擬講座に出席(教養区分合格による3年目程度の職員の方が、ご自身の経験を踏まえアドバイスしてくださいます)したり、大学の友人とも模擬を行い議論の方法や技術を学んだりしていました。数をこなすといいつつも模擬の回数は全て合わせて5回程度でしたが、模擬の間に司会やタイムキーパー、案出し等一通りの役職(?)を経験することを意識したため十分でした。当日は6人中5人の意見が被ってしまいましたが、伊藤塾の模擬の際に講師の方から「同じ方を選んだ人でも理由には差異があるのでそこから話を広げろ」とおっしゃっていただいていたことを意識し無事うまくまとめることができました

 

加点対象の英語試験について

提出した試験としてはIELTS、スコアは7.025点加点)でした。正直なところこのスコアを取ることができたのは3年次夏から4年次春まで6ヶ月間英国留学をしたおかげであり、公務員試験対策をはじめる前に取得しているスコアでした。
そのためお役に立てることはあまり言えませんが、ひとつお伝えするとしたら英語にあまり自信のない方であればTOEICを利用したほうが良いかと思います。加点対象の英語試験には英検、TOEFLIELTSTOEICがあるのですが、前者3試験が4技能型で加算対象になる得点も比較的高いのに対し、TOEICであればリーディングとリスニングのみの試験でかつ他の3試験に比べかなり取りやすい得点で加算対象となっているからです。TOEIC以外の試験では加点対象の得点がほぼ同じになるように調整されていると推測されるのに対し(もちろん試験が違うので完全に同じではありえませんが)、理由は定かではありませんがTOEICの優遇度はかなりあからさまなので、すでにスコアを持っているなどの場合を除きTOEICの受験をすすめます。教養区分合格後の民間就活でも、他の試験と違い海外経験がない方でも受験経験がある方が多いためかTOEICはスコアに比して社会人の方の反応が良い気がするので、一石二鳥だと思います。

 

普段の生活と試験対策について

学生生活では入学時から3年夏まで、また4年春の帰国後は店舗経営や地域活性化を行うNPO活動に注力しており、3年夏から4年春までは英国に留学していました。そのため試験勉強をはじめたのは4年の夏休みからであり、2次試験対策をはじめたのも1次合格が判明してからでしたが、伊藤塾の講師の方や同じ大学で昨年度に合格していた同期(公務員としては先輩ですが)のサポートを得たおかげで合格することができました。
 

民間企業の就職活動について

官庁訪問に失敗した際のリスクヘッジや、将来公務員として民間企業の方と協業する際に必要な民間企業の視点を得るために行っています。業界としては公務員と同じように社会貢献性を軸としているため金融やインフラ中心ですが、公務員に比べステークホルダーが少なく自由度の高い環境で新たな事業を生み出したり、お客様の成長(≒利益)を追求できたりする民間企業のお仕事にも少し魅力を感じています(もちろん公務員が第一志望ですが!)。

 

どのようにモチベーションを維持したか

コロナ禍前には公務員を目指していなかったのであまり言えることはないのですが、8月から9月にかけて試験勉強に集中していた際にも直前2週間程度を除き週に1回は人に会うなどしてモチベーションを維持していました。ただそれは当時が緊急事態宣言下ではなかったためできたことではあると思います。

 

最後に

教養区分の最大のメリットは官庁訪問までの時間的猶予だと思います。今は民間就活真っただ中なのですが、この時間を使って民間就活や省庁研究をじっくり行うことができることは大変にありがたいことだと感じています。
また教養区分は法律等の詳しい知識が不要で対策も数ヶ月で終えることができるものですので、従来の試験区分科目を専攻されていない学生にも最適だと思います。私自身社会学部で法学にはあまり親しんでこなかったので(省庁にご縁を頂いた際には自学する必要もあるかとは思いますが)、この点は大変良かったです。迷ったら受験されることをおすすめします!
私もまだ官庁に内定をいただいている身分ではないので大きなことは言えないのですが、お互いに目標を実現し、将来霞が関でお会いできたら嬉しく思います!心身の健康第一で頑張ってください!!