在職しながらの合格者が増えれば、多様な人材が法曹界に供給されます。

予備試験ルートで司法試験合格

R・Bさん(30 歳)
 

合格者イラスト
東京大学法科大学院(既修)修了

◆ 予備試験合格時 /東京大学法科大学院(既修)3 年在学中
◆ 出 身 大 学 /東京大学法学部
◆ 受 講 講 座 /司法試験入門講座本科生、司法試験演習秋生、司法試験論文マスター、司法試験合格答案徹底分析講義、最新判例講義など

※プロフィールは、2013年合格時点のものです。

はじめに

2003年に入塾(大学2年生)しました。法律関係の本や論文、判例を読み込み、論理を武器として、働く法律家が自分に向いているのではないかと懐い、弁護士を目指しました。
入塾のきっかけは、横山講師の体験講義を聴いてわかりやすく、これなら楽しみながら通えると思ったため、入塾を決意しました。実際にとてもわかりやすく、それからも継続して通うことができました。横山講師のイントロで基礎講座が良かったです。

予備試験受験を目指した理由と予備試験ルートのメリット

短答式試験は予備試験と司法試験は問題が共通ということで、むしろ司法試験の腕試しで受けていました。新旧司法試験の過去問を解いて、短答論文の対策としていました。後述するように、法科大学院生であっても就職活動でメリットが有りますし、2・3年間という長期の法科大学院で短期目標を設定することで、法科大学院生活にメリハリをつけることができました。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

予備試験合格に必要な知識の8割・司法試験に合格に必要な知識の大半は基本講座で得ることができます。
基本講座については、横山講師の講義は、聴いていてとてもわかりやすく、1年ほど充実して勉強をすることができました。その後も基礎講座のテキストは何度も見直しながら学習を進めました。 工夫点としては、基礎講座のテキストはとても素晴らしいのですが、あくまで「法律」の講義である以上、条文を細かく引き、どのような事案についてどの条文のどの文言が問題となっているかを常に想起しておくことが絶対に必要です。そして、丸暗記をしようとせずに、各論点はこのような利益の衝突が問題になっている等概要をつかむことを最初に心がけましょう。また、似たような論点というのが出てくるので、それらを混同しないようにしましょう。その意味で体系を理解することが非常に重要です。
たとえば、刑法の正当防衛が問題となっているときは、それは体系のどの部分に位置づけられるのか、緊急避難とどのように違うのか、どのような事案で問題となるのか(主要な判例はおおまかな事実関係を頭に入れておくことが理解を早めます)、他の事案とその事案はどのように異なるのか、その事案ではどの条文のどの文言について争いとなったのかということを意識します。そして、どの利益とどの利益の対立が問題となっているか(特に民事系ではその利益衡量が重要)、等という論証の枠組みを完成させて、各論点について、基礎マスターの本を使いながらこれらのことについて意識しながら、勉強することが効果的です。逆にこれらのことを意識しないと基礎マスターの本という宝があっても持ち腐れになってしまいます。

短答式試験対策について

択一の過去問は条文が問題になるので、条文を丁寧に読み込むことが重要です。基本的には、上の基礎的な法知識・法理論の修得について、で述べたことと同じです。過去問をときながら、択一マスターのテキストにわからなかった点を集約し、その部分については付箋を貼っておくなどして、定期的に見なおすことで、同じ間違いをしなくなります。

論文式試験対策について

論文は、論点があり、論点を拾わなければ点数が配点されません。これが法律試験の他の試験と異なる特徴です。端的に論点を拾うこと(簡潔に問題提起ができるようになること)、他の論点と混同しないこと等が重要です。論文マスターを解くときには、この事案では、これらの論点が問題となるということを箇条書風に記憶し、類似する事案とその事案はどのよう事実関係が異なるのかというのも意識しておくべきです。一般論としてはこのようなことが言えると思います。
もっとも、論文の点数が思ったより芳しくなく、高得点をとる秘訣はよくわかりません。特に、会心のできであった公法系や法科大学院の定期試験では良い成績を修めていた刑事系で点数があまり伸びなかったのは不可解でした。逆にそれがわからなくても、合格することができる程度の試験であるということです。ひとつ言えるのは、1科目悪い科目があると、それだけで順位を下げてしまいます。私の場合は、選択科目で失敗して、総合評価にダメージがありました。

直前期と試験当日の対策について

とにかく過去問を繰り返し解き、出題の趣旨・採点実感を熟読して、試験委員が求めているものをできるだけ把握できるように努めました。伊藤塾の答練・模試は欠かさず受講し、特に模試については、リバイバルも受けました。普段の勉強で答案を書くことはあまりしなかったので、伊藤塾の答練・模試がアウトプットの良い機会になりました。

予備試験からの司法試験対策

短答試験は予備試験と司法試験は問題が共通ということで、むしろ司法試験の腕試しで受けていました。新旧司法試験の過去問を解いて、短答論文の対策としていました。また、予備試験で重要なのが実務系科目です。私はこれを得点源にして合格することができました。具体的な方策としては、刑事系ですが、例えば故意を認定する場合、肯定する事情は何があって否定する事情は何があるかなど、実社会に根ざしたものも大きいです。どのような事情が問題となるか新聞などを読むときに意識しましょう。また、公判前整理手続など、Hot Issueは理解が必須ですが、自分がそこで弁護士となったり、裁判官となったりしたことを思い浮かべながら、学習しましょう。手続きは暗記しようとしてもすぐに忘れてしまうので、伊藤塾のゼミなどを取り、練習するのが良いと思います。民事系は要件事実・民訴手続の主要な点を理解し記憶することにつきます。もちろんこれらの対策が、司法試験に有益であることは云うまでもありません。

働きながらの学習方法について 

社会人の期間があった時、伊藤塾がいろいろな情報を提供してくれて、とても役に立ちました。クラスマネージャーには現役の法科大学院生もいるので、法科大学院に行かなくても、ピンポイントで法科大学院生がどのように勉強しているかを知ることができます。社会人の人は絶対に活用すべきです。

予備試験からの就職活動について 

法科大学院生向けのサマー・クラークに行った事務所に、予備試験の合格を報告したところ、修了前・受験前であるにもかかわらず、内定をもらうことができました。予備試験の合格者は、本試験でも高い合格率を誇ることから、就職活動でも非常に強いメリットが有ります。

最後に 

社会人経験者として言えることは、未だに法律による解決が必要なのに、専門家が少ないという分野はたくさんあります。
多様な人材が法曹界に求められていますが、それが可能になるのは、予備試験です。
予備試験経由の合格者が増えると、在職しながらの合格者が増えて、結果として、多様な人材が法曹界に供給され、また、今まで弁護士と無縁な分野に弁護士が進出するでしょう。