合格後の司法修習や就職活動のために必要なことも、結局現段階の徹底した基礎固めだと思います。

S .K さん(23歳)
 

明治大学法学部4年
【合格校】
・一橋大学法科大学院(既修)
・中央大学法科大学院(既修)
・早稲田大学法科大学院(既修、稲門法曹会奨学生)
・明治大学法科大学院(既修、全額免除学生)

【受講講座】
入門講座本科生+リーガルトレーニング、基礎マスター対応ゼミ

※プロフィールは、2010年合格時点のものです。


はじめに

私は法学部で勉強をしている内に、自分が将来やりたい仕事は法律関係の仕事だと思い、法律家を目指し始めました。とはいえ内心では迷っていて、明確に進路を固めたのは学部の3年生になってからです。それまでも多少は勉強していたのですが、そのまま独学で受験をするのは限界があると感じて、学部3年生の夏に伊藤塾へ入塾しました(その後も部活に打ち込み続けたため真面目に受験勉強を始めたのは12月頃からです)。

私がとった勉強方法 

適性試験対策について

適性試験についてはあまり対策をしていなかったので偉そうなことは言えませんが、強いて言うと適性試験は法律科目試験と違って、対策を始める前の状態でどれだけ得点できるかが人によって大きく異なる試験です。そのため自分がきっちり対策をする必要があるのか、それともその時間を法律科目の勉強に回すべきかといった計画を立てるうえでは、自分の実力を把握することが大事ではないかと思います。この点、伊藤塾の適性試験模試は毎回平均点や自分の順位、偏差値などの詳細なデータを知ることができるので、受験対策上とても有用だと思いました。

法律科目試験対策について

(1) 基礎的な法知識・法理論の修得について
私が伊藤塾の講座を本格的に受講し始めたのは学部3年生の冬という明らかに遅い時期であり、その時点で試験本番までは9ヶ月程度しかなかったため、ひたすら基礎マスターを倍速で聴いて消化していきました。その中で感じたのは、(1)基礎マスターには受験に必要な知識が網羅されていること (2)それらを短時間で身につけるために遅いスタートが役立ったことです。
まず基礎マスターを受講したことで、自分の知らなかった知識を大量に得ることができました。基本書を用いた学習ですと、ある論点が本によって書いてあったり書いてなかったりするので、広い試験範囲を網羅するためには何冊もの本を参照しなければなりません。これに対し基礎マスターでは、多くの知識がコンパクトに集約してあるので、まんべんなく学習することができます。また、確かに基本書などを読めば論点ごとに詳細な解説がなされており理解も深まると思いますが、法科大学院入試で問われるような法理論の標準的な理解は基礎マスターで充分得られると思います。
次に、そのような充実した質と量の知識を修得するために、自分の場合は遅いスタートが非常に役立ちました。それなりに法律知識を身につけていたことで、新しい論点でもそれが体系上どこに位置するのかといったことや、論点同士のつながりがすぐに理解できたため効率よく学習を進めることができました。また基礎マスターを受講する過程で、自分の不正確な知識や論点の位置づけの誤りに気づいたときには、間違いに気づいた点も含めて印象に残り、結果として正しい知識を定着させるのに役立ちました。基礎マスターは学部などで得た知識を引き出し、整理して、新しい知識を吸収し、論文試験に向けての確固たる基礎を作るために非常に役立ったと思います。


(2) 実践段階の学習について
論文対策はリーガルライティングを受講しました。論文の書き方は正直言って独学ではどうすればいいのかがわからなかったのですが、この講座を受講したことで論文の書き方を基礎から身につけることができました(それまでは「AB間の法律関係を論ぜよ」とか「憲法上の問題点を論ぜよ」などと言われても何をどう論ずればよいのかよくわかりませんでした)。
私はどちらかと言うと「論証パターン集」を覚えるよりも「問題研究」の答案例を多数読むという勉強方法を取りました。「論証パターン集」で論証を覚える時間がなかったためというのが正直な理由なのですが、結果としては「問題研究」主体でよかったと思っています。というのも法科大学院入試を受験してみると、例えば小問ごとに(1)原告(検察官)の主張、(2)被告(被告人)の主張、(3)あなた(裁判所)の考えを述べよ、といった具合に複数の立場に立ってそれぞれ論述するように求められることがありました。これは新司法試験や法科大学院での学習内容に対応したものだと思います。このような出題の仕方ですと法律構成やあてはめを複数考えなければならなくなりますが、「問題研究」には1問ごとに複数の答案例が収録されており、色々な表現方法を参考にするということと並んで、異なった立場からの答案構成を準備するという点でも役に立ったと思います。

パーソナル・ステートメント対策について

ステートメントについては、部活などのネタはあったのですが、抽象的な課題文に対してそのネタをどう組み立てればよいか悩んでいました。対策講座では、法科大学院側はステートメントから何を読み取りたいのかといったことから、何をどう書けばよいのかをサンプルとともに教わることができたので、そこまで苦戦することもなく論文対策に時間を取ることができました。

学部成績について

入塾時期の関係で学部成績については伊藤塾の講座が役立った部分は少ないのですが、4年前期の試験に関しては伊藤塾の講座が役に立ちました。私の学部は既修者試験の前後1週間が学部試験で、まさに丸かぶりでしたが、そのような状況でも伊藤塾の講座で履修科目の内容はほぼ押さえられていたため、学部試験の勉強もそこそこに、既修者試験の勉強に専念することができたと思います。

志望校の選択について

私は志望校の選択についてはあまり深く考えずに、結局は自分がこの先どれだけ勉強するかによるのだからという理由で自宅から通いやすく、レベルもそれなりのところという基準で選びました。結果として、中央大学法科大学院などのいわゆる上位校を目標に定めたことは自分の学力の伸びにつながったと思います。

直前期と試験当日

私はとにかく時間がない状態で直前期に突入し、ひたすら論文の講座を聴き続けていました。切羽詰まったこの時期が一番伸びた時期だったと思います。
試験当日はそこまで緊張しませんでした。旧司法試験択一、TOEIC、適性試験×2回、法学既修者試験と受験生活が長く続くので、さすがに試験慣れしてしまったのかなと思います。

伊藤塾の学習と大学生活との両立、学習フォローについて

私は部活がひと段落してから伊藤塾の講座を短期間で受講したので、部活や大学生活と受験勉強とを並行して行うのとは違った形で両立させたことになります。このようなことができたのは、伊藤塾のインターネット講義による倍速学習が可能だったからでした。


入学前準備として

既修者コースに進学するということは、学部4年生の現時点は未修者コースの1年目と同じだという心構えで入学後の演習科目の準備をするつもりです。


合格後に必要なこと

現行制度では起案の仕方など以前の司法研修所での前期修習に相当する部分を法科大学院で修得し、司法試験合格後はすぐに実務修習を開始することになりますが、実際には法科大学院在学中に司法試験の対策に追われて準備不足のまま二回試験で苦労するということがあるそうです。結局のところ合格後の修習や就職活動のために必要なことは、遡って考えれば現段階での徹底した基礎固めなのかなと思います。


最後に

私の勝因は、短期間であっても集中して学習に励んだことにあると思います。勉強が追いついていない状態での切迫感や将来に対する不安は苦しいものですが、それらは合格するための一番の原動力になります。むろん受験勉強はもっと早くから始めるべきで、私がとった勉強方法は決して模範的なものではありません。それでも少しの期間だけ我慢して本気で勉強すれば、少し遅れて入塾しても充分に間に合うのだということを、私と同じような状況の方のご参考にしていただけたらと思います。

(2010年11月・記)

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