本科生を受講すれば合格までに必要な講座が全て含まれています

S.Wさん(22歳)
 

大阪大学法学部4年在学中
【合格校】
・京都大学法科大学院(既修)
・大阪大学法科大学院(既修)
・神戸大学法科大学院(既修)
【受講講座】
入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、京大ロースクール突破小教室 など
  
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。


はじめに

 私が法曹を目指したのは、漠然とした弁護士という職業へのあこがれからでした。伊藤塾に入塾したのは、大学2回生の8月です。数ある受験指導校の中で伊藤塾を選んだのは、(1)大学における評判が非常に高かったこと、(2)本科生を受講すれば基礎知識の修得から論文の書き方・適性試験対策に至るまで法科大学院入試に必要な講座がまんべんなく受講できることにありました。

私がとった勉強方法 

適性試験対策について

 適性試験対策としては市販の過去問集を3回ほど繰り返し、適性試験模試の復習を行いました。私は適性試験に対して苦手意識が強く、特に大学入試センターの第一部・日弁連の第二部が非常に苦手でした。過去問を初めて解いた際には、いずれも平均点を大きく下回るような点数しか取れなかったと記憶しています。しかし、本番では良い点数とは言えないものの、大学入試センター換算で平均+8点という最低ラインを確保することができました。模試を通じて時間内に初見の問題を解くという本番に近いシミュレーションを繰り返したことで、本番もあまり緊張することなく受験できたことも大きかったです。 
 適性試験はたとえ不得意であっても、時間をかけて対策すればある程度点数を伸ばすことは可能であると思います。

法律科目対策について

(I) 基礎的な法知識・法理論の修得について
 多くの方がおっしゃるように、難関校にあっても、基礎マスターおよび「問題研究」の知識のみで十分に対応することができます。私自身、行政法については伊藤塾の教材にあわせて判例百選、基本書も参照していましたが、それ以外に手を広げることはしませんでした。
 法律の勉強は始めから全体が見渡せるわけではなく、ある程度勉強が進んだあとになって理解できることもたくさんあります。論文マスターを受講する中で、基礎マスター段階で漠然と覚えていた論点の位置づけが初めてわかることも多かったです。基礎知識の修得に際しては、始めから全てを理解しようとするのではなく、入試本番に至るまでの長期スパンの中で何度もテキストを読み込み、知識の精度を高めることが大切だと思います。

(II) 実践段階の学習について
 実践段階ではひたすら「問題研究」を繰り返していました。私は本当にこの「問題研究」があったからこそ合格することができたのだと確信しています。論文対策としては、ベーシック論文答練とコンプリート論文答練という2つの答練を受講しました。
 ベーシック論文答練は、範囲が細分化されている分、1つの単元を集中的に学習できるので、1回目の復習の強制の契機としては最適でした。また、答練をペースメーカーとすることで、最低限この日までに講義を聴き終えていなければ…という明確な目標ができ、あまり負担なく論文マスターを受講し終えることができました。
 次に、コンプリート論文答練では、形式面での自身の問題点(加筆修正が多すぎる、答案構成不足での見切り発車etc.)を指摘していただけたことが何よりも大きかったです。覚えたことを吐き出していただけのベーシック論文答練と異なり、初見の問題を扱うコンプリート論文答練では全く歯が立たず、点数は悲惨なものでした。しかし、最終的に到達すべき目標点と現時点での自分の力の差をはっきりと認識できたことで、以後身をいれて勉強に取り組むことができました。
 また、4回生の春からは、コンプリート論文答練と併行して再度論文マスターを聴き直しはじめました。この際、かなり詳しめの答案構成を作ってから講義を受けるようにしました。1回目の受講の際には、とても答案構成と呼べないような代物をつくったうえで講義に臨んでいたため、講義が本当に受け身なものに終わってしまっていたからです。きちんと問題意識を持って受講するのとしないのとでは、理解の深度は格段に違いました。そして、この聴き直しの進度に合わせて、友人と「問題研究」の中から互いに問題を出し合い、実際に答案を書くという訓練を行いました。1週間で各科目計7通の答案を作成し、入試1月前の10月頭までかけて全範囲の復習を終えました。このやり方は時間を要しますが、確実かつ計画的に復習できるのでおすすめです。
 さらに、直前期には京大ロースクール突破小教室を受講しました。講師の方に合格に必要なレベルや京都大学法科大学院の問題傾向などを具体的に教えていただけたことで、入試までのラスト1ヶ月間の勉強の方向性をはっきりと定めることができ、非常に有意義でした。
 

パーソナル・ステートメント対策について

 ステートメントを書く際には、対策講座の添削制度を利用しました。的確に改善すべき箇所やその方法を指摘していただいたことで、各法科大学院に納得のいくステートメントを仕上げることができました。また、添削の提出期限との兼ね合いから比較的早い段階でステートメントに着手・完成させたことで、直前期には法律の勉強だけに専念することができた点もよかったです。

学部成績について

 各法科大学院において、一次の書類審査や二次の合否の決定に際して学部成績をどのように評価するかという基準が公表されていない以上、法律科目だけでなく、一般教養や語学も含めて可能な限り良い成績を修めておくべきです。
 私は、単位認定が厳しい、テスト勉強が大変になりそうといった消極的理由から、大学では法律科目をあまり履修していませんでした。しかし、復習の契機を設けるという意味でも最低限入試に必要な七法については全て履修しておくべきだったと反省しています。
 

志望校の選択について

 新司法試験の合格実績・自宅から通学可能かということを踏まえて、2年ないし3年(阪大については未修も併願していました)の間、自分が本当に通いたいと思える大学院であるかを考え、京都大学・大阪大学・神戸大学の3校に出願することにしました。
 私自身は勉強の進度が遅れていたため結局受験しなかったのですが、試験慣れをしたり力試しをしておくために、8月ないし9月の段階で1校でも私立を受験しておいた方がよかったと後になって思いました。

直前期と試験当日

 試験1ヶ月前からは、受験する各法科大学院3年分の過去問について実際に時間を計りながら答案を書いてみました。試験直前にして何を書いていいやらさっぱりわからないという問題にいくつもぶちあたり、この時期はかなり鬱々としていました。しかし、振りかえってみると、この1ヶ月半の間に初見の問題を数多く検討したからこそ、考える力や書く力が身につきました。吸収力が高まっているこの時期に集中的に学習することで、本当に大きく力を伸ばすことが可能だと思います。
 また、試験の3日前からは、過去問をやめ、全科目の「問題研究」を読み返していきました。今までに何度も繰り返した愛着あるテキストであるため、読んでいると非常に安心できましたし、何よりもまんべんなく知識を再確認できる点もよかったです。 
 試験当日も読み終えることができなかった「問題研究」を持参して、休み時間にぱらぱらと流し読みしていました。京都大学でも神戸大学でも、幸運にも直前の休み時間に見たところが出題されたりしていたので、最後の悪あがきは決して無駄ではないと思います。

伊藤塾の学習と大学生活との両立、学習フォローについて

 インターネット講義を大いに活用させていただきました。頭出しマーカーや倍速機能など便利な機能もたくさんあり、快適に受講することができました。

入学前準備として

 入試のあとしばらくのんびりしている間に知識がだいぶ抜け落ちてしまいました…学部の試験が控えているため、とりわけ民法・刑法・刑事訴訟法の3科目についてはしっかりと学習し直そうと思います。
 加えて、現在受講中の短答マスターを進めていくつもりです。
 

最後に

 試験勉強をしている途中は、もっと深い学習をしなければならないのではと不安になることもあると思いますが、合格に必要なエッセンスは基礎マスターのテキストと「問題研究」の中に詰まっています。これらの質の高い教材を何度も往復すること・アウトプットとして答案を書くことの2つを続ければ、絶対に合格は見えてきます。 
 6月の適性試験に始まり、11月の入試本番まで続く本当に長い試験です。どうしても中弛みしてしまいますが、適度に息抜きしながら頑張ってください。
(2011年1月・記)