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私たちは受験指導開始当初から記述式にこだわり続けています。
配点基準の変更によって、記述式の重要度はますます増加し、まさにこのこだわりが再認識される時が来ました。
記述式問題を模擬の登記申請書作成と位置づけ、実務との関わりをふまえて、また試験委員の問題作成意図を“出題の手口”として考え受験指導を続けてきた蛭町浩講師。そして司法試験受験経験から記述式問題を時系列に整理する方法として、山村拓也講師が考案した答案構成の手法によって、解答時間や論点整理を飛躍的に改善できたことは多くの受験生の知るところです。
今回は記述式指導に大きく影響を与えた、蛭町浩講師山村拓也講師に、「記述式を解くための5つの力」の重要性と記述式答案作成の際の注意点をお聴きしました。
対談の聞き手は、講義のわかりやすさに徹底的にこだわる髙橋智宏講師です。
この対談で、記述式対策の王道を学んで、司法書士試験に合格する力はもちろん、合格後にも実務で役立つ力を身に着けてください。





完全版は各種SNSにて順次配信

髙橋
こんにちは。講師の高橋です。今回は伊藤塾の記述式の合格戦略の王道を示していければと座談会形式でお話をしていきたいと思います。
以前から伊藤塾では記述式対策に力を入れていて、山村講師、そして蛭町講師の講義を筆頭に記述式で大いに評価をいただいてきました。
本試験を終えて記述式の対策をどうしようかと考えている方も多いと思いますので、ここで今一度、伊藤塾の合格戦略の王道を示せていければと思います。



山村
講師の山村拓也です。今日は記述式について、今までの合格者の勉強法などもふまえてお話をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 
蛭町
講師の蛭町です。今日はざっくばらんに記述式の話をしていきたいと思います。私が1番古くから、受験指導をしていますので、試験の歴史もお話ができたらなと思っています。

記述式はなぜ重要なのか

髙橋
それでは記述式がなぜ重要なのかを、数字を踏まえた上で確認をしておきます。配点としては択一式が210点、記述式が140点ということで、6対4の割合になっています。また、択一午前・択一午後・記述の基準点に到達した後に要求される上乗せ点の観点から言うと、昨年の令和7年度本試験であれば35点の上乗せ点が必要でした。択一で言うと約12問分ですが、その上乗せ点の確保源としてもこの記述式が重要になっていくということになると思います。



山村
昨年は択一基準点が50問ですから、プラス12問であれば択一式で62問取っていくことになります。しかしこれはなかなか難しい。合格者の方で多いのが56-57問、プラス6-7問分。そしてその分、プラスα上乗せ点を記述式で取らなければならない。例えば昨年の場合、択一式で56問とった場合に、プラス6問を記述式で取るには18点取らなければならないのですが、記述式プラス6問分解答できる人は記述式の上位20%です。それは令和7年も令和6年も同じです。記述式の成績で上位20%に入るのは皆さんが想像するほど難しいことではありません。ホームラン答案は必要なく、ある程度間違えていたとしても書くべきところ、みんなが書けているところを丁寧に書けていればこの点数は取れます。ですからこれからの時代は、択一式と記述式の総合力が大切です。択一式で上乗せ点が取れなかったとしても記述式と合わせて合格点を取っていけるので、そういう意味では記述式対策の重要性はより一層増しているのかなと思います。
 
髙橋
択一式だけから取っていこう、記述式だけから取っていこうではなく、トータルで対策をしていくことが重要かなと、私も思いますね。

蛭町
私からはそもそも論をお話ししたいと思います。司法書士試験は合格してから即開業ができるというのが建前になっています。それがどういうことかというと、実務能力の検定試験という様相を呈することとなり、記述式が模擬の登記業務という位置づけになります。ですから記述式対策は試験合格のためにもちろん重要ですが、合格後の仕事に直結しているという点で大事ということを忘れてはなりません。試験はどういう習慣を、どういう癖を試験場に持ち込むかということですが、仕事もどういう習慣、どういう癖を仕事の場に持ち込むかによって仕事の質が決まってしまいます。記述式対策をどのようなスタンスでやっていくのか、これはもちろん司法書士試験合格を目指すのですが、その先も含んで、記述式の対策は広がりのある領域なのかなと感じています。
それと、試験の点数について令和7年の採点実態を踏まえると択一式の基準点合計に3問上乗せできれば、記述式で7割取れば合格できます。8割までとらなくても7割で大丈夫というのは、得点変更の大きな効果です。逆に、択一式の基準点10問上乗せできたら択一の点数が約85分と高得点だと思いますが、そういう方でも、記述の点数が54分なら合格、でも52分だったら不合格となってしまいます。今までは、択一式高得点者は記述が基準点でも大丈夫だったものが、択一式の高得点者でも安閑としていられない、そういう変化が生じていると思います。



髙橋
勉強していると実務の視点は机上の空論に思えますが、本試験では、事例の中で司法書士のもとに依頼がきて、模擬ではありますが、受験生自身が実際にその依頼に対応する、そういった実務家としてのスキルが問われているわけなので、司法書士試験は実務家登用試験と言われています。そういった意味でも重要性が高いのではないかと思います。蛭町講師がおっしゃったように実務家になるという視点から、指導を行うことは、他の受験指導校ではなかなかできないところかなと思います。

記述式攻略に必要な
5つの力とは

髙橋
では、記述式を解くにあたって必要となる実力はどういったものなのかということをお聴きしていきます。



大きく分けて5つの力というものを体系的にお聴きします。
知識力』『読取力』連想力』『答案構成力』『雛形力』です。
まずは『知識力』ですが論点の正確な記憶が求められます。それはただ知識としてわかっているだけではなく、別紙や事実関係から読み取る『読取力』が必要になります。さらに、論点として出てきたある情報から他の論点に派生をしていくケースがあるため、網羅的に対応していくには『連想力』が必要です。そして、事例をしっかり情報整理した上でどの登記を申請するのか答案構成をしていく力『答案構成力』も必要になりますし、最後に仕上げの段階で実際に答案を書く時に雛形を頭に入れる必要があるので『雛形力』も必要です。この5つの力を軸にお話をお聴きしていきましょう。
記述式で点数が伸び悩んだ時に雛形をどうしなければならない、あるいは、解法をこうしないと、というように課題を一個に絞りがちです。記述式は総合的な力が問われる試験なので、この5つのパラメーターからどこが課題で、どういう対策をしなければいけないのかということを考えることが重要だと思います。ではこの大きな視点で考えた時に記述式に対する、実力というのはどういったものと考えていますか。

山村
まさに総合力ですね。どれかひとつが欠けても合格答案が書けないので、しっかり分析をしながら自分はどこが弱いのか、どこをしっかり鍛えていかなければならないのか、それを丁寧に分析して、しっかりと勉強に活かしていくことが重要だと思います。

蛭町
先ほどもお話ししましたが司法書士の試験というのは模擬実務の様相を呈しているわけで、試験は実務能力の基本を問うています。では、司法書士の実務とは何なのかと言うと法的問題の解決ですから本試験でも、法的問題の解決に必要な法的知識を主に択一式で、そして知識を前提に法的知識を使い具体的に問題を解決できるかどうかを記述式で問うています。これが大事なポイントです。ですから記述式は択一式と比較をすると応用問題という位置付けになると同時に、手続法と実体法の両方の知識を使って問題を解かなくてはいけないので総合問題の性質があります。ですから、択一式の勉強を一生懸命やっても、その延長で、記述式の得点が高くなるわけではありません。私が強調するまでもなく、択一式の上位者が記述式で失敗して不合格になっている例も近年増えているので、やはり独自の記述式の対策、択一式と違って総合応用問題なのだという認識を最初に持っていただければと思います。

 

髙橋
それでは知識だけではなく使いこなしていくという観点から、この5つの力を分析していきましょう。まず『雛形力』について、実際は答案を書いていく仕上げ段階に位置付けられますが、学習の手順としては最初にインプットしていきますよね。

蛭町
記述式の学習は、入り口と出口があります。その出口に相当するのが、雛形の学習です。具体的に書かなければならない答案のイメージを示しているのが雛形なので、初学者であろうと中上級者であろうと、誰でも雛形の学習は必要になります。
雛形学習には3つのポイントがあります。ひとつ目は、意識の問題です。申請書、申請情報というのは申請書主義という考え方に立ち、適法申請の三要素を反映したものになっています。ですから雛形をそのまま丸暗記するのではなく、必要十分な登記事項の主張はどの部分、真実的法制の立証部分、申請方式やあるいは、添付情報、添付書面、そのような部分はどこなのか、登録免許税の納付はどうなるのか、そういったことをいつでも意識する雛形学習が非常に重要です。
そして、2つ目は学習の方法です。ではどのような教材でどのように学習すればいいのか。「記述式基礎力完成ドリル」あるいは、ペースメイク記述式の「caseform」など、一問一答の事例型の雛形集を使い学習をすることをおすすめします。具体的には10分間でできる限りの枚数を手で書き様式をチェックする。なぜ10分なのかは手の筋肉を鍛えなければ早く正確に文字を書けない、でも10分間であれば腱鞘炎になることなく手の筋肉を鍛えることができるちょうどよい時間です。そして10分間で一体何ができるのか、試験時間最後の10分間をイメージできるようになります。10分間の意識を、雛形を通して自分の体に覚えさせることができます。
そして3つ目は使う教材です。一問一答の事例型の雛形集を使えば、初学者の領域を超えて中上級者になった時にも判断プロセスを意識して雛形学習をレベルに応じて変化させて学習することができます。そのような意味で、事例形式のものを使った方がいいのです。

髙橋
今お話しいただいた中で雛形を、ただ暗記するのではなく各記載の役割を押さえていこうということ。そして書く訓練をしていこうというところがありました。雛形を学習の最初の段階から教える入門講座を担当している山村講師が意識していることはありますか。

山村
今、蛭町講師がお話しされましたが、まず雛形における各記載の役割を理解することが大事です。特に入門生は初めて雛形を勉強していくので、とにかく暗記をするのではなく、なぜその目的になるのか、原因になるのか、なぜこの添付情報が必要になってくるのか、そのような点を含めて一個一個丁寧に理解しながら、そしてそれを繰り返していくところが重要です。
やはり合格者はこの雛形学習、基礎的なところを徹底的にやっています。限られた時間の中で合格答案を作成するということは、最後はスピードが重視されていきます。雛形をいかに早く正確に、体で反応できるぐらいで書けるかという点が合格者の方と、残念な結果になってしまう方の差になります。ですから私は入り口の段階から雛形の学習については、徹底して理解して、そして繰り返し、練習していくということを強調しています。

髙橋
時間制限のある中で書くというのが、蛭町講師が先ほどお話しされた、10分間のトレーニングですね。先ほどの「記述式基礎力完成ドリル」は伊藤塾が出している記述式の雛形集です。事例形式で一問一答になっていますので、雛形集をどうしようかなという方はご検討ください。
次に、記述式の学習のポイントの2つ目『知識力』について、お聴きします。

蛭町
記述式の試験は択一式に比較して、応用総合問題になっています。結論として申請の三要素を決めなければいけないのですが、申請の三要素を決めるためには、実体法を使った実体判断、そしてその実体判断の成果を手続きにつなげていく架橋判断、最後に事実に基づいて具体的な申請の三要素を表現していくということで、実体・架橋・手続3つの判断をしなければいけない局面があって、それぞれの知識が必要になっていきます。総合問題で使う知識としては実体法だけじゃない。その間を繋ぐような知識も問題になるという認識が必要です。それと同時に、知識を使えるかどうかが厳しく問われるのが記述の問題なので、事実に法律要件を当てはめる能力も必要になってきます。民事訴訟法で言うと知識の部分が要件事実、当てはめの部分が事実認定。これが両輪になっています。ではどうやって練習すればいいのか、私は事例を使うのがいいと思います。事例を使えば、問題になる事実、当てはめる法、そして結論の三味一体で学習することができ、整理もできるので、事例を使って必要な知識とその事実に対する当てはめを練習するべきという方針で私は指導をしています。

髙橋
事例を踏まえた学習についてですが、知識をインプットする際に登記法の考え方も制度趣旨からアプローチをしていく方が、他の事例に変えられても対応できるようになりますね。

蛭町
簡単な事例だと事実関係は少ないのですが、書かれてない部分の当てはめも実は問題になっています。例えば不動産登記では申請の個数は原因関係の個数例外と一申請の例外、このチェックが必要なのですが、例えば一申請の例外、1つの不動産の複数登記の一申請ができるかどうか、目的の同一、原因の同一、当事者の同一という要件がありますが、それを当てはめして、判断を進めているのかどうか、そういうことが理解できていない方が結構いらっしゃいます。ですから書かれていないけれども当てはめをしなくてはいけないことを含んで、事例を使った練習を考えていくべきかと思います。

山村
確かに記述式で必要な知識自体は、円で言うと大きく択一式の範囲内には十分入ってきます。択一式の範囲の中に記述式の知識があって、「であれば択一式の勉強をしていれば記述もできるのか」と言えばそうではなく、実際に知識を使いこなせるかどうかです。そうするとやはり事例からアプローチをしてその事例において必要な知識というものをしっかりと押さえていくことで、より実際的に、現実的に使えるようになっていく。また択一式の勉強をしていく中でも記述式の実例をイメージできればこれが記述式になったらどうなるのかということを考え、より効率的に勉強を進めることができるので、単純に知識というよりも、事例を通しながら生きた知識として覚えていくのがいいと思います。

髙橋
択一式と記述式のリンクは大事で、例えば持ち分上に第三者の抵当権の登記がついていた時に、売買があって、共有者全員分の売買があった時に共有者全員、持ち分全部移転の登記を申請することができるかという論点は皆さん知っているかと思います。ただそれが実際に本試験や模試とかで記述式として出題された時に意外と気づかないことがあると思います。そこで別紙の事例のところで当てはめをする力をつけていく必要はやっぱり大いにありますね。

蛭町
やはりその前提として頭の中では、要件をちゃんと思い出してチェックをしているっていうことですね。それもすごく重要で、それができてない方も結構多いです。

髙橋
知識を入れる段階でそこまで押さえていく必要があるというところからも『知識力』と『読取力』はかなり関連性がありますね。
では3つ目の力、『読取力』についてお話をお聴きしたいと思います。ここでは生の事例、記述式の過去問を通して学習することが大事だと思います。以前は記述式の過去問はあまりやらないという方が多かったと思いますが、配点変更を境に記述式の過去問に取り組まれる方が増えた印象です。ではどれぐらいの時期から記述式の過去問に関して触れればいいのでしょうか。もちろんレベルとか実力によっても違うとは思いますけれども…。


山村
中上級レベルで一通り勉強が済んでいる方であればなるべく早い段階から記述式の過去問に当たりながら、『知識力』や『読取力』等を磨いていく必要があるかと思います。入門レベルの場合は、いきなり記述式の過去問はハードルが高すぎるというか取り組みにくい部分があるので、まずはベースの基礎的な問題演習から積み重ねていき、一通りの実戦的な問題の演習が終わったところで記述式の過去問に入ってもらうよう指導しています。

 

髙橋
直前期には答練の問題を繰り返す必要があると思いますので、そこで過去問も両方こなすのは難しいし、焦る気持ちもあると思います。ですから、年内のところではある程度過去問に触れておいた上で年明けに答練に入っていけばよいと思います。
過去問で言うと、蛭町講師は第一回の司法書士試験から問題分析をされていると思いますが、過去問の分析に関してお話しいただけますか。

蛭町
択一式の過去問を解くことによって今の自分の力がどの程度のレベルに達しているのかを検証することはよくあることですし、そのような使い方を皆さんしていると思います。しかし50年近い過去問の蓄積がありますので記述に関して全部を解くということは現実的には難しいですね。それと同時に択一と違い、記述式の場合には過去問をどのように使っていくか、どの論点がどのように出題されているのか、私は出題の手口とよんでいますが、この手口を抽出して分析をする。これが基本的に記述式における過去問の使い方ではないかと思います。
どのような効用があるかというと、ひとつは同じ手口に2度引っかからない。必ず得点をすることが可能になると同時に、出題の手口というのは過去の本試験の出題手法なので、実務の動向、あるいは社会経済の変化、そういったことでこの出題の手口がどう変化するのか、変化しないのかを含んで、それを考えれば出題の予想も可能になります。出題予想というのは、この出題の手口がちゃんと分析把握されていれば想像するだけの問題なので誰でもできます。記述式の過去問の使い方はそういうものであると思います。必要な知識と事実への当てはめ、これと事例をやった方が効率的ですよ、という話をしましたが過去問も本試験も複数の事例の組み合わせになっています。ですから試験の問題を解くのは、組み合せられる事例を分解する、解きほぐすイメージになる。しかし解きほぐすためには、必要最低限をやった方がいい、その必要最低限の過去問を示しているのが、伊藤塾の厳選過去問集です。10問の掲載ですから、必要最低限のピックアップとしては非常にいい問題集になっています。事例の練習、事例を使って勉強した最後に仕上げとして厳選過去問集を使って解きほぐし方を勉強するのはいい勉強法だと考えています。

髙橋
記述式 厳選過去問集」は10問分の問題が収録されていて、これが2つの分類によって成り立っています。まず、2問分が直近の問題を傾向把握の観点から入れているのと、残り8問分に関しては論点把握の観点から再出題がされる可能性が高いもの、パターンとして知って欲しいものをチョイスしています。ある程度のところまで記述式の学習が進んだ方は是非これを通して、過去問の分析というところも行ってください。
では、次に4つ目として『連想力』です。山村講師はよく連想と検証というキーワードを出して、説明されますね。

山村
現場で時間内に合格答案を書いていくには連想と検証これをいかに早く正確にできるかが重要と思います。たまに勘違いされている受験生の方もいらっしゃって、合格者は、ものすごい力があって、現場でひらめいたことをぱっと書いていくのではないか、私にはそんなことはできません、という方がいらっしゃいます。決してそうではなく、徹底的に、これが来たらこれ、これが来たらこれ、ある論点から連想していくことを事前準備しているのです。現場ではそれを問題に当てはめて、検証してくるということです。またスピードですが、合格者の方はある論点が出てきた時に必要なとこを連想・検証していきますが、それを例えば合格者が1分でやるところを、23分とかかってしまえばそれはトータルでかなりの時間になるので、結果的に何十分と差ができてしまう、そう考えた時にはその事前準備としての連想・検証を効率的にしっかりやっていく、ここは合格答案を書いていくためには必要不可欠、避けられないところだと思います。

髙橋
連想と検証については、私は例え話として百人一首を上げています。上の句に対して下の句がある、その札を瞬発的に取るためには事前に覚えることが重要であって、そしてさらにレスポンスとして瞬時にそれが判断できるようにならなければいけません。ただその連想が大事だということはよく言われているし、受験生も知っているはずですが、その連想事項として何を覚えなきゃいけないのかというところがはっきりせずに、その場でなにか連想をして、その場で検討してそれが漏れてしまうというケースが多々あると思うのです。そういった意味では連想事項を事前に入れていく、そして覚え込みをしていく必要がありますよね。

山村
百人一首の例えは私も前からいいなと思っているのですが、百人一首をやる時に上の句、下の句を覚えずに大会に出るなんてことは絶対ないし、それでは当然札は取れないわけですよね。だからいかにその部分をしっかりやるか。もちろん連想事項は手当たり次第やればいいわけじゃないので、私たちがしっかりと分析をして必要な連想事項というものをピックアップしますが、それが1個出てきたらここからいろんなものを連想していき、それを問題文に投げかける。蛭町講師が昔から言われていますが、記述式を解く時にはその知識の網、いわゆる連想事項を問題分に投げかけて、そこから必要なものを拾ってくるという話です。私もそのイメージでずっと指導しています。記述式の話については特に上位者の方、昨年の1位と3位の方のお話も聞かせていただきました。やはり連想・検証というのはものすごく強調されていました。徹底的に準備していて、現場の中であれ何だったか、これは何だったか等と考えている隙は一瞬もない、もうこれが来たらこれ、これが来たらこれとどんどん進めていく。同じことを他の方もおっしゃるのですけれども、本当に繰り返し、繰り返しやって本番では現場のところで合格答案に結びつけていくということなのです。なかなかその認識がない方が多く、事前準備がなく、連想・検証がなく問題を解こうと、その部分で場当たり的にやってしまおうとか、そこは絶対避けていただきたいです。

髙橋
今の連想事項で言うと、その前にお話をした『知識力』だとか『読取力』というとこに繋がっていくところはあると思いますが、その点はいかがですか。

蛭町
特に商業登記は、会社法が制定された後、登記の連続性的な観点から1番典型的な例を1つ上げると、平成20年に監査役会の設置の問題が出ました。その時に監査役会の設置の定款の定めがされるだけではだめで、3人以上の監査役が就任しなければいけないし、その半数以上が社外監査役である旨の登記を済ませないといけない。逆に、その問題では社外監査役の登記ができずに、結果として監査役会設置会社の定めの設定の登記ができなかった。まさに2人がおっしゃる、連想力を必要とする登記が出題されました。私は連携登記・連携論点と呼んでいますが、そういう発想がやっぱり必要になってきていることは間違いないです。

髙橋
得点を安定させていくためにはこの連想がしっかりできなければいけなくて、できてないと点数が取れない。その点は確実にヒットを打っていくという話にも繋がりますけれども、この連想が得点の安定の大きな鍵になっていきますね。

山村
やはり合格者と不合格者の違いはそこの意識です。雛形ひとつ取っても、連想・検証ひとつ取っても、やっぱりこの事前準備っていうものがしっかりできていなくて、問題がうまく解けません、時間が足りませんという方が多いような気がします。ですから今回改めて、一個一個のテーマについて自分はどうなのだろうというところをよく考えてみてください。その中でも連想・検証について、実際どのぐらい真剣にそれに取り組めているのか、自分のものにできているのか、そこが合格者との間にどのぐらい距離があるのかということを、しっかりと分析してみてください。

髙橋
最後に5つ目の力として『答案構成力』です。今、記述式を解くにあたっては、答案構成を使っていくのが受験者の中で定番化しています。これは山村講師が発案されたものですが、どのようにこれを考えたのですか。


山村
私は平成16年の司法書士試験に合格をしたのですが、受験勉強中、記述式の解き方というものがよくわかりませんでした。もちろん、当時から知識を解説するような教材はありました。ただ、どのようなプロセスで解いていくのかは合格者11人が自分なりに考え出しているような感じでした。今みたいに方法論があり、それを訓練していくという時代ではありません。私は要領が悪かったので、実際記述式の問題を解いて、答えを見れば言われていることは分かるけれども、どういうプロセスで考えていくのか、どこを読んでどう連想して、そしてどうすればミスが減るのかそれが分かりませんでした。そこで当時伊藤塾のスタッフとして働いていた時に、合格者11人にどのように解いているのか教えていただきました。10人以上教えてもらいましたがその中である方が今の私の答案構成の原型となる、「こうやって解くのだよ」というメモの取り方を教えてくれて、「あ、これだって」というところから、そのやり方と、蛭町講師の実態・架橋・手続・判断など、全部を自分なりに昇華させながら作り上げていき、平成16年の試験で合格しました。その後、まずはゼミという形で、そして翌年からは講座という形でずっと指導をしています。ですから一番の原点は私自身がどうしていいかわからなかったというのがあり、克服するためのきっかけとして作り出したのが答案構成です。
当時を振り返ると、記述が得意な人は得意だった。自分なりにきっちり組み立てていくことができた。ただその一歩を踏み出せない、最初のきっかけがよくわからない方がものすごく多くて、だから得意な方と苦手な方が二極化した状態でした。ですから答案構成の手法はあくまで土台であってこのようにやってくれとか、こういうメモを取ってということを言ったことは20年間の講師生活で一度もありません。これをベースに、自分なりに練習しながら、付け加えたり削ったり、時間短縮をするにはどうしたらいいのか、逆にメモを増やしてみたりだとか、そういうところの土台を提供する、皆さんにとっての道筋を示すものだと考えています。



蛭町
山村講師が確立した答案構成という考え方は、まず、記述式の問題を解くということを見える化しました。そして誰がやっても同じ結論に達する、そういう考え方ですよね。ですから、最終的には、記述というのは実務、仕事に直結するわけですが、それすごく重要で、ひらめきだとか思いつきだとかではなく、一定のプロセスを踏むことによって同じ結論に達することができるということを確立したということで偉大な功績だと私は思っています。

髙橋
答案構成ですが、どうしてもメモを取るという方に、目がいってしまって、時間によってはメモする時間がないから削ろうと考えがちです。答案構成は、そもそも思考プロセスであり、メモをするかどうかの話ではなく、自分の中で思考過程としてメモをする行為自体はスキップして構わないと思うのですが、実際に答案構成をしっかりメモをしても時間が間に合う人と間に合わない人にはどのような違いがあるのでしょうか。

山村
答案の最終的な作戦とスピードはなにによって構成されるのかというと、ひとつは判断していく判断過程の速さ、それと表現過程の速さ、この2つを意識して欲しいと言います。やはり時間が足りない方のお話を聞いてみると、メモを取るから時間がないのではなく、一個一個の判断に時間がかかっている。例えば、相続の処理手順はしっかり一元化してやりますが、そういうところは合格者であれば流れるように一瞬の迷いもなく、相続財産チェック、推定相続人チェックと考えるわけですが、相続人の判断も相続関係説明の読み取りにものすごく時間がかかったり、そもそも相続分がどうだったかと迷ったり、遺言の解釈どうだったか等、一個一個にスピードが遅くなるのです。
その部分に関してまず見直すこと。本当に判断スピードが速く正確にできているかというところ、これがまず一点。もうひとつとしては、やはり雛形を書く力。どのような登記をどういう順番で申請するか決まり、ここで答案を書き始めますが、この目的は何か、原因、添付情報はというように合格者が迷うことはまずありません。
その2つのスピードが出ているのに、メモを取ることが遅いのであればそこはまた考えていかなければいけませんが、まずは、一個一個のパーツをよく分析して、その上で、トータルで構成を自分なりにどうしていくのかがすごく私は重要だと思っています。ただ単にメモを取るから遅いというのはちょっと考え方としては足りないのではないか、もう少し深く考えていく必要があるのではないかなと思います。

髙橋
それで言うと記述式は総合的な力が必要というところで、『雛形力』であったり、『知識力』であったり、『読取力』、『連想力』、『答案構成力』の全ての中にスピードがあり、それをどう速めるのかということを考えなければならず、答案構成を行う中でのスピードというところだけに囚われてはいけないということですね。このスピードに視点を置くと蛭町講師はいかがですか。


蛭町
スピードをどう出すかに関しては、経験曲線の応用でしかないですね。ある事項に関してどのぐらい回数をこなしたか、こなした回数に比例してスピードは速くなります。ですから、ほとんどの受験生は、判断するプロセスに習熟性が足りない。なぜもっとスピーディに行かないか。それはやってないから。その辺りが1番問題なのではないかと感じています。同時に、答案構成というのは、効率的に合格を目指すためのもの、そして合格した後は実務として仕事になった時に譲れない線も含んでいます。ですから、合格した方も実務で答案構成使って実際に仕事される方も多いので、『守・破・離』という視点で、最初は型を覚えてもらうけれども、自分の頭の個性に応じて大胆にデフォルメ、修正して使ってもらえればと思います。

山村
先程『守・破・離』と蛭町講師おっしゃってくれました。やはり、その型が大切です。いきなりスピードは上がらないし、いきなり解法というのも自分なりのものはできないと思うので、最初は真似てもらう「守」。そこから日々練習していく中でどういう風にアレンジをしていくかの「破」。場合によっては離れていく「離」。よく筆算と暗算の話もしますが、筆算がしっかりできるようになれば時間短縮でメモ取らなくとも頭の中でしっかり処理をして、メモの量も減ります。
印象的だったのですが、昨年の記述一位の方がメモを取ることによって逆にスピードを上げるという発想です。問題用紙の問題文と自分の構成、また問題文という行き来の時間にすごく時間かかっている、であればその時間の短縮として何回も何回も問題文を見なくていいようにメモを取る。これは3位の方も同じことを言っていました。ですからトータルとして、私が提唱している答案構成力というのは、皆さんが主役なのです。どう使いこなしていくのかということがすごく重要なので、そのあたりも含めて皆さんのものにしていただきたいという思いがすごく強いですね。

髙橋
そういった意味では記述式で解法をどう変えるかというところに飛びつくのではなく、まず一度落ち着いて、5つの力の観点を踏まえた上でブラッシュアップをして力を伸ばしていく必要がありますよね。
これまで記述の学習のポイントとして、5つの力『知識力』、『読取力』、『連想力』、『答案構成力』、『雛型力』、について具体的なお話をしてきました。

記述式学習における注意点

髙橋
これまで記述式の学習のポイントとして、5つの力『雛型力』、『知識力』、『読取力』、『連想力』、『答案構成力』について具体的なお話をしてきました。
それではそれを皆さんの血肉にしていくためのこれからの学習・解法においてどのようなところに気をつけなければならないのかということをお話ししていきます。

蛭町
私からは商業登記の記述式の問題点をお話します。商業登記の記述式はどういう問題を含んでいるかというと、問題37問目で1番最後に位置づけられている。それと昭和59年から瑕疵判断が問われるようになり、二重減点を恐れるあまりに検討しているのでなかなか答案を書き出せない。書き出さない結果として、8割型問題の検討が終わっていても、いわゆる白紙答案になっている場合がある。これがあまりにももったいないですよね。ではどのような発想をしたらいいのか1つの提案をしています。昭和59年に瑕疵判断が問われるまでは、問題に含まれる登記事由はすべて適法である、それを前提として答案を作ることできました。ですから、昭和59年までは誰も商業登記が難しいなんてことは考えていなかった。でも瑕疵判断が問われた瞬間から、受験生にとって商業登記法は結構難しいという印象で今のようになかなか答案を書き出せないような受験生が増えてしまいました。そこで私の提案は、段階的に答案を作ったらどうか、まず第一段階として問題に含まれている登記の事由は全て適法だと仮定し、登記の事由、登記すべき事項、登録免許税これを答案にしてしまう。これを「暫定答案」と呼んでいます。そして残された時間の中で、瑕疵判断と前提となっている添付書類の判断をする。時間がなく、瑕疵判断ができなかったとしても、例えば令和7年の出題では登記できない事項の点数は全体10点。二重減点で20点減点されたとしても50点なので、基準点の35点よりもかなり点数が取れるはずです。そういう意味でも、商業登記の答案が白紙になりがちだという方がいらっしゃったら、是非この暫定答案で答案を作ることを試みていただきたいです。原理的には簡単ですが、本試験で暫定答案をやろうとするには訓練が必要なので、たとえば。ペースメイク記述式の商業登記の基礎編ではまさにこの暫定答案を練習するようなそういう内容で指導していますので活用いただければと思います。



髙橋
もったいないのが、第一欄でその瑕疵判断を入念に行い、結局問題の後半である第二欄がほぼ白紙になってしまった。それが蛭町講師の言うところの白紙答案というリスクだと思いますが、ならば最後に議事録だとかの添付書面の記載を埋められたらもっと点数が取れるので先に埋めていくというのもひとつの手ですね。これを緊急避難的に用いるのか、初めからその戦法を取るのかっていうのは人によると思いますが…。


山村
私は緊急避難的にと考えています。私の場合、基本的には構成をしてなすべき登記を判断してから書いていくというのが基本です。ただ講義の中でも言うのですが、本試験の際には残り時間を見ながら今すべきこととして一番点数に繋がっていくのはどれなのかということを選択する必要があります。それを考えた時には、瑕疵判断をせずにどんどん書いていく。合格者の方でも本番時間が足りなくなってしまって蛭町講師の暫定答案の発想で助けられたという方もたくさんいらっしゃるので、そのあたりは臨機応変に柔軟に対応していけるような力をつけていくというのが必要かなと思います。

髙橋
緊急避難だとしても、実際にその暫定答案で作成していくにはどのような訓練が必要になりますか。

蛭町
原理的には、問題に含まれている登記の事由は全て適法だと仮定して、例えば決議であれば議案に着目して、議案が登記の事由に該当するのであれば直ちに答案用紙に答えを書いていく。結構勇気がいるし訓練も必要です。なぜかと言うと、やはり問題見たら、要件を使って検討したくなります。ですが検討すればその分無駄になる場合が多い。だからそれは暫定答案を書いた後にやればいいのであって、そういう意味で時間帯によって大きくやることを変えてしまう。最初の時間帯は法律効果だけ注目して答案を書く。そして残された時間で今度は法律要件をチェックし、瑕疵判断をやる、でもそれには訓練が必要です。

髙橋
山村講師はいかがですか。

山村
よくある悩みとして、記述式の時間が足りない、時間内に答案を書けないという声があるので、そこについての注意をお話しします。どういう風に攻略していくのか、何度強調しても足りないのですが、記述式が苦手ということを抽象的に考えている方が多いです。そこで今日お話ししてきた各要素に分解をして、判断過程が速く正確にできているか、そして表現過程が速く正確にできているか、この部分について「連想と検証」、そして「雛形力」、そこについて改めてしっかりと検証してください。その上で、解法をどうするか、蛭町講師の暫定答案の発想等の解き方もありますし、いろんなものを考えながら今の段階で、自分で分析をして詰めていただきたいです。
とにかく抽象的に記述式が苦手とか、できないとか、考えた時に、これだったらと何か目新しいものに飛びつくのではなく、記述式の王道、勉強の王道に立ち帰って考えていく、分析していくことこそが一番強調したいところです。

髙橋
その意味で、記述式の問題を普段解くとしてもどこの力をつけようとしているのか、5つの項目の中でそれを意識して解くのと、ただ漫然と答練を繰り返していく問題演習とは、身につく力が全然違いますよね。
では特に本試験後のこの時期に記述式の学習上での注意点は何かありますか。

蛭町
記述式の学習の本質は判断プロセスを確立してそれに習熟するということです。ですから時間は短くてもいいので継続して学習をする必要がある。できる限り素早く勉強に戻っていくというのが理想です。しかし、なかなかそうもいかないという人は単純作業ですが雛形学習がおすすめです。意外にそれをきっかけにして勉強をやろうという気になる作業ではあるので、本格的な勉強を始めにくい人は10分間の雛形学習から是非始めていただければと思います。

山村
今この時期に関してなかなかやる気が出ない、なかなか一問レベルの大きい問題に取り組むのはという方に関しては、蛭町講師同様に、10分でも雛形の練習をしていくのがおすすめです。それが起爆剤になってもう少しやってみたいと広がることは多々あるので、できることから始めていく。そして長期的なスパンでそこからだんだんリズムを上げていくといいです。年内のところである程度の連想・検証の前提になる知識等を作っておかないと、年明けに実際的な演習で効果が半減してしまいます。今すぐにフルスロットルという必要はないのですが、徐々に少しずつあげながら、年内にある程度のところまで持っていくということを意識してほしいと思います。

髙橋
実際に答練の中で受講生の方に問いかけをすると事前の準備をせずに知識が0の状態ではそれに答える訓練ができなくなってしまいます。ある程度知識を入れておくと答練の受講効果が上がってくるということですね。

山村
逆に言うとそれがないと答練を受けている意味がないと言えます。一通り勉強をしている2年目、3年目以降の受験生の方の場合には、そこを作っておかないとせっかくのその機会をみすみす逃す、あまり効果があがらないことになるので、注意して欲しいと思います。

髙橋
記述式の学習を早期にしておくと、択一式との相乗効果、より具体的な事例を見ることができて択一式としての理解度も上がってくると思いますので、そのような意味でも記述の早期学習は是非心をかけていただきたいところです。

蛭町
私が担当しているペースメイク記述式の講義が、原則20分の講義、内容は事例を使った学習なので、本格的な勉強はまだという方でも十分再開して勉強をすることができる、そういう教材・講座になっていますのでご検討ください。

髙橋
よくカウンセリングで、択一式と記述式との兼ね合いに関して質問をいただくことがあります。記述式に役立てるという意味では、登記法の択一式の学習は先にしてしまって、そこから記述式の早期学習に結びつけていくというところを私はアドバイスしています。私の担当するプラクティカルコースでは登記法先行のカリキュラムを採用しています。

 

蛭町
調べた感じで言いますと、択一式と記述式の重なりは約8割ほどあります。択一式プロパーの部分は約2割です。ですから、記述式の勉強をしたら、その該当する部分について択一式ではどのような問われ方になっているのかをチェックすれば、記述式の勉強を中心に択一の勉強に繋げていける、そのような勉強は効率的です。

山村
中上級の方については一通り全体の勉強が終わっているので、最初の段階、登記法の部分で択一も意識をしていくことによって相乗効果が出てきますので、私もそれはすごくおすすめかなと思います。

髙橋
択一式と記述式との関係に関してもトータルで考えていく必要があると思います。トータルでコーディネートするにあたり人それぞれ、進捗とか実力とか異なりますので、困ったら是非カウンセリング制度をご利用ください。私たちも担当していますので、皆さんの現状に合わせた、択一式そして記述式トータルでアドバイスします。

蛭町
あと受験生の方からよく相談されるのが枠ズレについてです。不動産の形式は連件申請ということなので申請の個数順序が答案の生命線ということになります。令和7年の採点実態によれば、一言で言うと、個数に厳しく順序に甘い。これが今のところの採点傾向になっています。私の講義では、申請の個数順序に関して50個の公式をまず頭に入れてもらい、そして事例を使って公式をしっかり適用して使えるようにするという感じで、申請の個数順序、枠ズレの対策を行っています。
例えば、申請の個数というと、原因関係の個数例外と一申請の例外と、基本的には2つチェックをしなければいけないものありますが、原因関係の個数例外というのは複数の法律関係がありながら一個の原因関係にまとまってしまうケース。複数の原因関係がありながら、中間省略登記で一個の原因関係として処理ができるケース。そして一個の法律関係なのだけれども複数の原因関係として処理しなければならないケース。このようなもの各々について具体的な公式という形で取り上げているというイメージです。

山村: 
枠ズレは非常に怖いものにはなるのですが、やはり抽象的に枠ズレが怖いから、ただたくさんの問題をこなせばいいというわけはないと思います。一個一個のルールをしっかり覚えて、それをしっかり型にはめていく。そのルートに乗っていけばミスは減ります。私がもうひとつお話をしたいことは、やはり登記を理解するということです。特に近時、名変登記というのは要になっていて、これを1個外してしまうとかなり大きい減点になってしまうわけです。そもそもなぜ名変登記が必要なのか、登記記録にある名義人の住所・氏名と、新しく申請書・申請情報に書いていく、その申請人の住所・氏名が不一致だと同一人として判断されないという理解が必要です。この例1つとっても、なぜそれが必要なのかということを日々の練習訓練の中で理解をする、連件になっていくかも含めて、日々の勉強でそこを意識してください。やたらに問題を解いてこのパターンが来たらこれというのは連想と検証とは違ってきます。日々の勉強の中でなぜこの順番になるのか、なぜこの登記が必要になってくるのかということを理解しながら進めるということです。ただむやみやたらに問題を解いてパターンを覚えるのではない、そこは意識してほしいと思います。

髙橋
ここまで記述式の伊藤塾の合格戦略の王道というものを示してきました。
最後にメッセージをお願いします。

蛭町
記述式は、合格後には仕事として処理をしなければいけないものですから、誰でも同じ結論を出すことができます。そういう判断プロセスを確立して、そしてそれを習熟する。ですから、センスやひらめき等というのは全く問題がなく、やればやっただけ結果に繋がる。それが記述式ですので、それを信じて頑張っていきましょう。

山村
記述式は正しい方法論でコツコツ勉強すれば、本当に誰でもできるようになるものです。ですから、皆さんはしっかり自分の弱いところを分析し、そこを埋めていくことで必ずできるようになるという点を、今回お伝えできていれば良かったと思います。
それともう1つ、「好きこそ物の上手なれ」という言葉があります。是非記述式を好きになってください。そして繰り返し練習して上手になっていただきたいと思います。応援しています。

髙橋
今回は記述式対策に必要な5つの力を整理しどのように学習すればいいのか具体的にお話をしました。通常記述式の学習ではどのような勉強が必要なのかあれもこれもとなってしまうのですけれど、今回は体型的にお話をできたのが非常に良かったと思います。
そして改めて強調しておきたいのは、伊藤塾は合格後の実務の世界、これを想定した上で、問題作成や受験指導を行っています。また伊藤塾で学んだ多くの合格者の方法論を参考に、常に修正しながら受験指導を行っています。
このような記述式の指導理念の実現を可能にしているのは、答案構成を代名詞とする山村拓也講師と記述式の神様と呼ばれる蛭町浩講師の指導、そして各講師、スタッフの試験研究と情報共有でなりたっています。
これからも伊藤塾は今まで以上に記述式の指導に力を入れていきますので、信じてついてきてください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。