知識を使って道を開くことの面白さ

中村優介先生

経歴 慶應大学法学部卒業    東京大学法科大学院修了
   司法試験合格
   江東総合法律事務所入所
   日本労働弁護団常任幹事・同事務局次長

※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

中村優介弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

 事務所の特徴としては、弁護士が今5人在籍していますが、それぞれ様々な分野を担当しています。私個人は労働に関する事件を担当することが多いかなと思います。仕事の特徴として、他の人がやっていないと思うのが、労働組合の顧問や、労働組合の事件、それから後見の仕事をしています。今は割と後見の仕事をする弁護士も多くはなったのですが、私は主に法人後見の仕事を担当しています。また、刑事事件では、交通事故の事件が多いかなと思います。
 私たちの仕事は目の前で困っている人の手助けです。それは企業法務でも変わらないと思いますし、労働事件や後見、社会保障、刑事事件でも、広い意味では変わらないと思っています。本当に悩んでいる方が弁護士のもとに来るわけでして、そのような方に対し、「これだったらできるのではないか」と思いつくときや、「やはりこれは難しいのではないか」と悩んだりすることもあります。知識を使ってどうしたら道を開けるか考えているとき、語弊があるかもしれませんが、「面白いな」と思いますね。
 うまく解決しない場合や、依頼者の方から不満を言われたりしたときはつらいですが、うまく解決できた時はこの職業に就いてよかったなぁと感じます。
 仕事をしていて思うのは、色々な人が、色々な分野で相談にきます。前者の色々な人という部分では、やはり対面でのコミュニケーション能力が求められると思います。ただ、その能力は経験を積む中で鍛えられたりします。
 後者の分野という点については、食わず嫌いをしないのが私はいいと思います。「自分はここだけしかやらない」というような仕事のやり方もできますが、色々なことに携わることで見えてくる世界も変わってくると思います。

 私がしている仕事は、一般市民の方との付き合いが多いので、なかなか新しい分野の仕事でいうと私個人の仕事から抜け出しにくい部分はあるのですが、今色々な法律雑誌などを読んでいて思うのは、これからの開ける分野はやはりAIの活用や科学技術に関わる分野だと思います。例えば発電に関する分野や宇宙に関する分野、そういった技術発展に関連する法律の人材がすごく求められているのではないかと感じます。
 他方で、全員が技術発展などに関することを担当する、というわけではなく、私が今やっているような街の弁護士の存在も変わらず必要なわけです。そういう意味では、大多数の弁護士がやっていると思われる街の弁護士の存在も忘れず興味をもってほしい、というのはあります。

私は先ほどご紹介したように労働者側の労働事件が多いので、労働組合との付き合いが多いです。現在、日本労働弁護団というところで事務局次長をしておりまして、労働者のための事件の解決だけでなく、労働政策の提言だったりもしております。これからも実際に労働者、働いている方の声を聴いて、労働組合の方とも力を合わせながらやっていきたいと思っています。

 私は以前よりどのような仕事をしようか悩んでいて、修習のときに弁護修習の先生が、社会保障関係の仕事、特に生活保護引き下げ訴訟をしていて、それに関する話をよく聞きました。私自身はそういった仕事をしている人から話を聞いたことがなく、なるほどこういうこともできるのか、と思いました。たまたまこの事務所に入って最初に担当した事件が60人くらいの残業代請求の事件でした。そこではじめて法廷に立ちました。そして一年後には最高裁判所の法廷に立って、つい先日も最高裁の法廷で弁論をしました。そのような巡り合わせの中で、労働事件に関わるようになりました。
 最初は労働事件をしようと思っておりませんでしたが、社会保障の分野と労働の分野は車の両輪だと私は思っているので、今では自分の中では、その二つが一緒になって回っているなという感じがします。

 司法試験に向けた勉強していく中で飽きたりすることもあると思います。そんなときはいろいろな本を読んでいただいて、気分転換したりするといいと思っています。
 判例を読むときも事実関係を読んでみて、当事者の悩みの部分をつかんで勉強すると、社会の裏側が見えてくるのではないかなと思います。判例の事実関係を見るにあたって、その事件に関与した方の新書や本を読んでみると、見え方が変わったりすることもあると思います。そういったところで知的好奇心が得られると思います。ネットだけだと自分の興味のある部分しか見えてこなくなる側面があると私は思っているので、ネット上であってもいろいろな方向の違うところから物事を俯瞰的にみる訓練が必要だと考えています。本だと目次だけでもおおよその考え方を知れて、より物事を多角的に見られるようになり、そんな中から社会問題に興味を持てるのではないかなと思います。そして、それが仕事に活きているところを想像しながら勉強するといいのかなと思います。

江東総合法律事務所

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