中学生の頃から夢中になった「ディベート」は、裁判そのもの。

笹原健太氏

船木久義先生

経歴   2007年 福島県立会津高等学校卒業
     2011年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
     2015年 弁護士登録(東京弁護士会所属)
     2015年 虎門中央法律事務所入所
     2021年 不動産鑑定士試験合格




※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

船木久義弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

 私が弁護士を目指すようになったきっかけは、単純ではありますが、父が弁護士をしていたためです。物心ついた頃には既に弁護士になりたいと考えておりましたし、その後中学高校と進学してもその気持ちは変わらなかったので、大学では迷うことなく法学部に進学しました。
 父の仕事ぶりを直接目にしたことは少なかったですが、しばしば父から仕事の話を聞いておりましたので、弁護士の仕事はある程度理解していました。また、中学生の時に職業体験の企画があり、その中で裁判所へ行くというプログラムがありましたのでそれを選んだところ、当日開かれた裁判が偶然にも父が担当していた刑事事件の裁判でした。情状弁護でしたので被告人を叱責する質問が主ではありましたが、法廷に立つ父親の姿をその時に初めて見たので、刺激を受けた記憶があります。親が仕事をする姿を見る機会は多くないと思いますので、その意味では貴重な経験だったなと思います。

 大学に入った時から将来的に司法試験を目指すということは決めておりましたが、どの予備校に通うかということはまだ決めておりませんでした。そのような中、法学部の憲法の授業において、伊藤塾長が来られて講演をされたことがありました。その時に伊藤塾長の存在を知ると同時に、伊藤塾長の流暢な話ぶりと分かりやすい話し方に感銘を受けましたので、伊藤塾に入塾することを決めました。
 勉強以外の面ですと、中学生の頃から大学卒業まで、競技ディベートに取り組んでいました。競技ディベートとは、あらかじめ決められたお題について、肯定側と否定側に分かれて、一定の制限時間やルールの下、自分たちのチームの側に投票するようジャッジ(審判)を説得するという、まさに裁判と同じような形式の競技です。競技ディベートに長らく熱中したおかげで、どのような議論の組み立て方をすればジャッジが納得するのかとか、どういうエビデンスを提出すればジャッジが当方の側に投票しやすくなるのかといったことを常に考えることができるようになりました。当時は論理的に人を説得するという活動そのものが楽しかったのであまり意識していませんでしたが、今思えばそのときに培った経験が現在の業務(特に訴訟遂行)に活かされているなと強く実感しています。

 弊所の紹介ですが、弊所は企業法務を中心として幅広い分野の案件を取り扱っている事務所です。主な顧問先は金融機関ですが、それ以外にも不動産会社やメーカー、製造業、IT関係など、多方面の企業からご依頼をいただいております。また、日本国内の案件のみならず、いわゆる渉外法務として英文契約書のチェック等をすることもありますし、弊所は特に中国の法律事務所と外国法共同事業を実施しておりますので、中国関連の業務の依頼を受けることが多いと思います。その他、弁護士によっては一定期間出向のような形で民間企業に常時駐在し、その企業内の法務の処理に専従するということもあります。
 私も実際に、都内にある不動産会社に約3年弱出向したことがあり、その中で不動産に関する法的な知識を深めることができました。また、業務時間外に勉学を重ね不動産鑑定士試験にも合格しましたので、不動産関係については専門性を持って取り組めるものと考えております。
 余談ですが、私が不動産鑑定士資格の取得を目指したのは、弁護士業務の中で賃料増減額請求事件を取り扱ったことがきっかけです。賃料増減額請求事件とは、賃貸借契約において、従前定めた賃料額が時間の経過とともに不相当になったときに、賃貸人又は賃借人から賃料額の増減(改定)を求めるという事件です。この事件では『現在の適正な賃料額はいくらか』という点が最大の争点となるのですが、ここで用いられるのが不動産鑑定評価です。したがって、賃料増減額請求事件を取り扱うに当たっては不動産鑑定評価に対する理解が必須となるのですが、最初に受任した時には不動産鑑定評価について十分な知識がなかったので、このままでは自分の言葉で上手く裁判官を説得することができないと考えました。そこで、自分自身で不動産鑑定評価について勉強していかないといけないと考えたのですが、そうであるならば資格を取ってしまったほうが早いと思ったので、不動産鑑定士試験の合格を目指すようになりました。その後無事試験に合格したので、現在は不動産鑑定士としての資格登録に向けて、弁護士業務と並行して実務修習を履修しています。

 弁護士の仕事としてやりがいを感じる瞬間は、やはり依頼者に喜んでいただいた時です。特に、受任段階では本当に依頼者の請求が認められるか分からないような難しい事案で、依頼者との打ち合わせや事案の検討、資料収集等を積み重ねつつ、裁判官が納得できるように綿密な準備書面を作り上げ、その結果として裁判官から当方に有利な心証が開示されて上手く訴訟がまとめられた時に、他には代えがたい大きなやりがいを感じます。
 それとは反対に、自分としては努力を尽くしてきたつもりであっても、必ずしも思うような結果に結びつくわけではないこともありますので、そうした時には本当に悔しい思いをしますね。ただ、その場合でも、密に現在の進行状況や裁判官の発言等を依頼者に伝えた上、「裁判官がこの点を気にしているので、この立証が必要だと思います」とか「こういう調査が必要です」というように、今後の方針をきちんと依頼者に連携して準備を進めていくようにしています。そのように依頼者との間で認識共有を適切に積み重ねることで、最終的に上手くいかない結果だったとしても、『できることは最大限やった』と依頼者にご納得いただけるのかなと思っています。

 私が司法試験に合格するまでに得た基本的な法律知識は全て伊藤塾から吸収させていただいたと思います。特に伊藤塾は司法試験合格というゴールを見据えて基礎的な部分を教えてくださるので、『この知識を身につければ司法試験に合格できるんだ。』という安心感がありました。分かりやすい例でいうと論証パターンですね。司法試験は最終的には論文を書けなければ合格できないので、法律論や規範の部分を凝縮してインプットできる論証パターンは極めて有用だと考えています。そういった司法試験合格に必要なものが体系的に整理されているというのが伊藤塾の大きな強みだと思います。

 法律家に向いている人は、やはり一つ一つの案件に対して真摯に取り組める方だと思います。弁護士が扱う案件は、依頼者にとって人生を左右するような重大な事件であることが多いので、事件を解決するためには法的な知識のみならず様々な背景事情や周辺領域の知識を探求していくことが求められます。それらは案件ごとに毎回異なりますので、きちんと一つ一つの案件に向き合っていく、そのために色々準備していくというのが大事かなと思います。


 最後になりますが、弁護士は非常にやりがいのある仕事であるとともに、社会的意義の大きい職業でもあると思います。その分、司法試験に合格するための道のりは決して易しくはありませんが、司法試験に合格する過程で得た知識は当然、法律家になった後も常に使い続けます。ですので、これから法律家を目指される方には、将来社会でご活躍されるための礎を築いているものと信じて、試験勉強を頑張っていただきたいと思います。

虎門中央法律事務所

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