依頼者の幸せのために働く何十時間、何百時間 「ありがとう」の言葉に、充実感や達成感を覚えます

岩崎 大 先生(弁護士)

沢山の「ありがとう」を目指して  
法曹を志したのは高校時代のある出来事がきっかけでした。友人が暴力事件に巻き込まれ、私も取調室にて警察から事情聴取を受けました。当時の私の未熟な応対が一因だったと思いますが、被害者であるはずの友人をまるで加害者であるかのように扱う警察官との応対で憤慨したことを今もよく覚えています。警察官が言い放った「正当防衛」とは何なのか。そもそも「法の番人」にいう「法」とは何なのか。あの時生じたこれらの疑問が現在の私へつながる線の一端です。その疑問を解き明かそうと勉学を進めていく中、困っている人々の気持ちを踏みにじることは決してしない、沢山の「ありがとう」を頂ける弁護士になりたいと思うようになっていったのです。私が司法試験の勉強をする上で伊藤塾を選んだのも、抽象的な問題であっても、まるでそこに困っている人が本当にいるかのように説明する、「人の気持ち」を大事に出来る伊藤塾長の指導方針に強く共感したからです。また、合格後も意識した伊藤塾長の講義は、弁護士像をイメージし易くし、日々の勉強のモチベーションを高めてくれました。

企業法務との出会い
 
法曹を志した理由が刑事関連であったにもかかわらず、ビジネス法務を多く手掛ける大規模事務所に入所した理由。それは、父の経営していた会社の経営統合や、複数の事務所でのアルバイト経験などによる、法曹界の諸先輩方との多くの出会いです。自分の知らなかった企業法務の世界には、知的好奇心をくすぐるような案件や世間を騒がす興味深い案件が沢山ありました。複数のプロフェッショナルが集まり、協力しあって、大きなプロジェクトを適正且つ迅速に実行することで、より多くの人々を幸せにすることが出来る、そこに私の求めている「ありがとう」がある、と確信出来たのです。それら案件を多く取扱いつつ、魅力あふれる人々の多い、このアンダーソン・毛利・友常法律事務所ならば自分の思いを実現できると考えたのが、現在の事務所を選んだ理由です。

費やした時間が人に役立つ喜び
 
私の所属するアンダーソン・毛利・友常法律事務所は、一般企業法務、M&A、国際金融、資本市場等の分野に加え、訴訟・仲裁、知的財産権、労働法務、競争法、国際租税など多岐にわたる案件を数多く取り扱っています。
現在私は、その中でも訴訟、一般企業法務、M&Aに関する業務を中心に携わらせていただいております。訴訟関係においては、依頼者や関係者に対するインタビュー、資料の収集及び準備書面のドラフト等を、一般企業法務関係においては、会社が日常関与する取引に関する契約書や株主総会関連書類等の作成や検討、人事労務関連の相談に対する対応を、M&Aにおいては、依頼者の意図に照らしてどのようなスキームが最も適切かをそのスキーム案を練ることから始まり、その後のデューディリジェンス等々を行います。
案件毎に異なる特性が必ずあり、必ずしも十分な時間のない中、個々の事案に適切且つ緻密に配慮した対処を行う事には大変な苦労を要します。また、事案自体が複雑な上に膨大な資料がある事も多く、業務が連日深夜に渡るため、肉体的精神的に厳しいと感じるときもあります。しかし、「自分がやらねば誰がやる」という想いや、私を支えてくれる先輩弁護士や優秀なスタッフのおかげで、非常に充実した仕事が出来ています。
案件が無事に終わり、苦労をともにした先輩・同期・後輩の弁護士、スタッフ、時にはクライアントとともに一杯を交わす時、そして何といっても、「ありがとう」の言葉を受けたときにやりとげたという充実感及び達成感を感じます。自分の自己満足ではなく、誰かのために役立った自分の何十時間、何百時間があったこと、ここに弁護士としてのやりがいがあるのだと思います。

合格後にも活きる基礎の理解
 
伊藤塾から得た基礎知識は、新司法試験及び二回試験はもちろんのこと、実務においても役立っていますが、何よりも伊藤塾から得た一番大事なものは(小手先の受験テクニックではなく)基礎を大事にする姿勢、そして、伊藤塾長が口にされていた「Festina lente」(急がば回れ)の精神です。
「これはAランクだから覚えて下さい。」との伊藤塾長の説明を受け、何度も繰り返し暗記及び理解に努めた「Aランク」は、試験問題として取り上げられやすいものや司法試験受験生であれば当然知っておくべき知識に付けられています。
「Aランク」と指摘されていたにもかかわらず、正確にこの知識をアウトプット出来ないという同じ失敗を繰り返すことも度々ありました。何故と悩みつつも、そういった失敗を繰り返す中、何が基礎かを理解し、それを大事にする姿勢が身に染み込んでいきました。ただの暗記ではなく、正確に理解して覚えることが大切であり、それには時間がかかることを身をもって学ぶことが出来ました。
新司法試験及び二回試験はもちろんのこと、実務でもこういった姿勢、精神を身につけていたことは大いに役立っています。基礎知識の正確な理解に基づいての適確なアドバイス・回答は十分な説得力を持ち、依頼者からの信頼を勝ち得ることが出来ます。合格後も意識しているとの伊藤塾長の言葉の意味を、現在実務に携わりながらも肌で感じ、大変感謝しております。

不安を超えて得る一生ものの価値

昨今弁護士の「就職難」がニュースで取り上げられています。従前「イソ弁」として法律事務所に所属する弁護士が多かったにもかかわらず、それが困難になってきています。また、弁護士のみならず法曹を取り巻く状況は大きく変わりつつあります。司法試験受験生及びその関係者の多くの方が、将来目指す法曹界について不安を覚えるかもしれません。しかし、いつの時代においても将来に対する不安はつきものです。私の受験当時も、法曹界の激変が叫ばれていました。
法科大学院の設立、新司法試験制度の始まり、法曹人口の急激な増加。適性試験、法科大学院試験、新司法試験、新制度の下の司法修習、いずれも不安を抱えての挑戦でした。
不安ばかり抱えても仕方ありません。しかるべき人に相談し、悩みを軽減し、自分に出来るだけのことを一生懸命やるしかありません。今皆様がやっている勉強は、将来に役立つ実用的な知識を身に付けられるものですし、この勉強を通じて得られる姿勢もまた一生ものの価値があります。今行っている勉強が必ずや自分や社会に役立つものと信じて頑張ってください。私も皆様に負けないよう、社会に役立てるよりよい弁護士となれるように、そして、よりよい法曹界及び社会を築けるように、努力を続けます。
同じ法曹の一員として、皆様と働くことの出来る日を心より楽しみにしております。

(2010年11月・記)

【プロフィール】 2006年 新司法試験合格
2006年 司法修習所入所
2007年12月 弁護士登録
2008年 1月 アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所
(先生のプロフィールは取材当時のものです)
  ■事務所プロフィール
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
〒107-0051 東京都港区元赤坂一丁目2番7号 赤坂Kタワー22階


■所属弁護士等数

433名
 (日本弁護士389名、外国法事務弁護士7名、外国弁護士16名、弁理士18名、行政書士2名、司法書士1名)
 (2016年10月1日現在)

■取扱案件
企業買収・提携(M&A)および会社法務
商事取引法務
訴訟・仲裁・その他紛争処理手続
金融法務
キャピタル・マーケッツ
ストラクチャード・ファイナンス
知的財産関連業務
労働関連業務
独占禁止法・競争法規関連業務
租税関連案件
中国関連案件
特殊法律問題