岡本 紫苑 先生(弁護士)

法曹を志した理由
私の場合は、弁護士になろうと決意するに至った具体的な出来事があるわけではないのですが、漠然と、社会に貢献できる仕事につきたいと考えていました。法律の専門家である弁護士であれば、専門知識を活かしたアドバイスにより、依頼者の力になることができ、また将来的には法改正、法整備支援等にも携わることができるのではないかと思い、徐々に弁護士という職業を具体的に考えるようになりました。
伊藤塾を選んだ理由は、同じ大学の友人に勧められたことと、自宅から通いやすい場所にあったことです。個人の好みによりますが、私の場合は自宅で勉強するよりも塾に通って勉強する方がリズムを作りやすかったので、通いやすい環境の伊藤塾を選んだことが良い結果につながったと思います。

大手渉外事務所でのやりがい

現在は、大手渉外事務所で、主にM&A関係の業務に携わっています。もっとも、大手の事務所であることから、案件の種類は豊富で、株式取得、合併・会社分割等の組織再編、Due Diligence等の典型的なM&A案件もあれば、ファンド関係、買収ファイナンス、買収防衛策、一般法律相談、損害賠償請求の交渉等、様々な案件を経験させていただいています。やりがいを感じる瞬間はいろいろありますが、やはり、大きな案件が無事クローズした時は、チーム全体で喜びを共有できる嬉しい瞬間ではないかと思います。また、ある程度案件を任されるようになり、クライアントと個人的な信頼関係が築けた時は、信頼を裏切らないような仕事をしていかなければならないと実感します。加えて、多くの優秀な弁護士と議論し、ともに仕事をすることのできる環境にあることは、非常にありがたいことだと日々感じています。
 

法解釈の基本は「趣旨から考える」

伊藤塾ではまず、基礎的な法律知識を勉強できたことが非常に重要だったと思います。現在の執務でも、会社法・民法等の基本的な知識は大変重要です。司法試験受験中に得た知識が、現在の業務に活きることは多々あります。
次に、法律の基本的な考え方、発想等を学べたこともまた大変貴重だったと思います。実際の執務では、様々な法律を新たに勉強しなければなりませんが、趣旨に遡って考えるという基本的な発想は、どの法律を勉強するにあたっても活きてきます。伊藤塾の講義で、「趣旨から考える」というフレーズを何度も聞き、実際に何度も実践したことで、法律を解釈する際の基本を身につけることができたと思います。
伊藤塾でたくさんの友人に出会えたことも、大変貴重な財産だと思っています。伊藤塾時代の友人は、同じ事務所で執務している友人や、違う事務所の友人、違う業界で活躍する友人等様々ですが、ともに勉強し、語り合った仲間はとても大切な存在です。
 

クライアントから選ばれる弁護士が目標

弁護士の人数が増え、収入低下や就職難が取り上げられるなど、弁護士を取り巻く環境がますます厳しくなっていることを感じます。一度弁護士になれば生涯安泰、という時代ではもはやないと思いますので、専門性を高め、クライアントから選ばれる弁護士になれるよう、精進していかなければならないと思っています。
他方で、弁護士の人数が増えていることから、様々な働き方が実現できるようになってきていると思います。最近は、インハウス・ロイヤーとして、法律事務所ではなく一般企業に勤務する弁護士も増えていますし、弁護士の経験を活かして違う業種に進む人もいるなど、選択肢が広がってきているのではないかと思います。
 

地道な努力が合格への道

法曹を取り巻く環境は厳しくなっていますが、それでも個人的には、弁護士の道を選んでよかったと思っています。法曹を目指される理由は様々かと思いますが、司法試験に合格することがゴールではなく、あくまで法曹としてのスタートですので、合格後にどのような法曹を目指すのかをイメージしながら、勉強に取り組んでいただければと思います。受験勉強はとても辛いですし、自分は合格しないのではないかと不安になることも多々あるのではないかと思います。私もそうでした。しかし、合格後に振り返ってみると、やはり根気よく地道に努力することが一番重要であり、そのような地道な努力を怠らない人が合格していくのだと思います。煮詰まったときには思い切って気分転換するなどして、長期的に勉強を継続できるよう工夫してみるとよいのではないかと思います。
皆様の合格と、法曹としての輝かしい将来をお祈りしています。

(2010年11月・記)
【プロフィール】 2005年 司法試験合格
2007年 司法修習所入所
2008年 森・濱田松本法律事務所入所
森・濱田松本法律事務所
（先生のプロフィールは取材時のものです）

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森・濱田松本法律事務所
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 （2016年10月現在）