働きながら法曹を目指すということに魅力を感じていたので、社会人一年目の秋に伊藤塾で学習を開始しました。

社会人・既卒者

 X さん(26歳)

東京大学法学部卒業
【受講講座】
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、予備試験論文直前答練、予備試験口述模試、予備試験ゼミ

※プロフィールは、2012年合格時点のものです。


はじめに

私は法学部出身ですが、大学時代は政治学科に所属しており、ほとんど法律の勉強はしていませんでした。しかし、成り行き上、企業の法務部に勤務することになり、改めて法律の勉強をする必要性に迫られていました。そしてせっかく勉強をするならば、資格という形で成果を残したいという思いもありましたし、翌々年に第一回の予備試験を控え、働きながら法曹を目指すということに魅力を感じていたので、社会人一年目の秋に入塾しました。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

時間のある学生さんであれば、受験指導校の講座も受講しながら学校や自主ゼミなどで幅広く勉強することが可能だと思いますし、本来はそれが正しい勉強方法なのだと思います(そのため、私は法科大学院を否定するつもりは全くありません)。しかし、私はフルタイムで働いていましたので、必要な知識や考え方を最小限の労力で手に入れたいという思いがありました。結果、合格できましたので「合格」に限ったことで言えば、基礎マスターの内容で95%くらいは各科目カバーできると思います。基礎マスターでは複雑な法理論をかみくだいて、しかもメリハリ・ランクを付けて説明していただいていたので、後からの復習は非常にスムーズに進めることができました。
 復習についていえば、私は社会人として働いており、重い本を何冊も持ち歩くことはできませんでした。そのため、判例集も含めてオールインとなった基礎マスターテキストを持ち歩き、移動時間などに何度も何度も読み返したのが、かなり利いたと思います(周りの塾生からは「あの人、基礎マスターしか読んでないよね」と言われていたようです)。

短答式試験対策について

短答式試験に必要な知識も、すべて基礎マスターでカバーしていました。予備試験の短答式試験に合格するにはそれでも十分だと思います。しかしその先の司法試験を考えれば、短答式で高得点を取ることが望ましいですし(私の今年の短答は決して高得点ではありませんでした)、短答を苦手とする方もいらっしゃいますので、短答知識についても、時間が許せばきちんと押さえたほうがよいと思います。
 ただ予備試験の短答に合格するだけであれば、基礎マスターと過去問の反復で十分だということを改めて申し上げておきたいと思います。

論文式試験対策について

論文式試験は短答式試験とは違い、ギリギリの時間の中で、長文の問題文を読んで、妥当な結論を確実な基礎知識から導き、それを答案に表現することが求められます。そのため、論文マスターなどを受講して、法律論文の書き方を修得すること、答練を受講して自分なりの論文の書き方を固めることが不可欠です(私は、当たり前の基礎的なことを、面倒くさがらず、きちんと答案に表現することに心がけていました)。
 また論文式試験では、基礎的な知識を表面的に知っているだけでは足りず、きちんと理解することが要求されます。ただ、私のように一人で勉強をしていると、法的知識を正しく理解しているか、確認をする場があまりありません。私は伊藤塾の予備試験ゼミを利用しましたが、何らかの形で、法的知識を正しく理解しているか、独りよがりになっていないかを、他の受験生や講師とのやり取りの中で確認する場が必要だと考えます。

法律実務基礎科目について

法律実務基礎科目は、そもそもイメージもわきづらく、私のような社会人が独学で修得するのは特に困難な科目でした。そのため、私は基礎マスター法律実務基礎科目を受講し、基礎の理解に努めました。結果、論文式試験の法律実務基礎科目では高評価を得られましたので、基礎マスター内容面では必要十分だと思います。また、要件事実論の理解が進むと、民法の理解も進みますので、一度じっくりと実務基礎を勉強することには一石二鳥の効果があると思います。

一般教養科目対策について

<1> 短答式試験対策について
 私は前年の経験から、足を引っぱらない程度の点が採れると踏んでいたので特に対策はしませんでした。そもそも、短答式試験は法律科目だけで合格点を採ることも可能な試験です。一般教養の対策は解きやすい問題から解くなど、模試などで戦略をブレーンストーミングしておく程度で十分だと思います。
<2> 論文式試験対策について
 論文式試験については自信があったにもかかわらず、思いがけず低評価をいただいてしまいました。気の利いたことは言えませんが、とにかく自分の意見を課題文と整合させながら論理立てて伝える訓練を普段からしておく必要があると思います。

口述試験対策について

論文式試験後も気を抜かず、民事法、刑事法、実務科目をバランスよく反復しておけば十分です。私自身は仕事が忙しかったのもあり、論文式試験終了後に気を抜いてしまったので、反省しています。

伊藤塾の学習と仕事との両立について 

私は幸運にも職場に理解がありましたので、仕事との両立はある程度できていました。ただ、大学生や受験専念の方のような学習時間を確保するのは不可能ですので、それらの方々に勝つための戦略が必要だと思います。私の場合、情報は基礎マスターテキストに集約してそれのみを反復すること、すき間時間を有効活用することに心がけていました。

合格後を見据えて 

私は、合格後も現在の職場でインハウスロイヤーとして働きたいと考えています。司法試験の合格枠はかつてより広がっているので、法務部門の職員がスキルアップの一環で法曹資格を取得するという、新たなキャリアパスのモデルになれれば本望です。

最後に 

私は非常に恵まれていました。職場では、理解のある先輩と上司に恵まれ、仕事上顧問の先生から、有益なアドバイスをいただくことができました。塾では大阪梅田校のスタッフの皆様によくしていただき、草島講師、山本講師には、他では得がたい講義をしていただきました。そして心配をかけ通しだったにもかかわらず、家族は温かく応援してくれました。まだ司法試験にも合格していない身ですが、ご支援くださったすべての皆様に厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。