伊藤塾で勉強した科目については良い学部成績が取れました。

K.Hさん(23歳)
 

東京大学法学部4年
【合格校】
・東京大学法科大学院(既修)
・慶應義塾大学法科大学院(既修)
・早稲田大学法科大学院(既修)
・中央大学法科大学院(既修・半額免除学生)
【受講講座】
入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、憲民刑集中講義、東大ロースクール突破小教室、慶應ロースクール突破小教室 など
 
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。


はじめに

私は小さい頃から弁護士に対する憧れがありました。その憧れがいつしか目標に変わり現在に至っています。まだ明確なビジョンを見出せずにいるのですが、少なくとも企業や官庁に就職するよりは面白いことができそうだと考えています。伊藤塾には2年生の9月という比較的遅い時期に入塾しました。

私がとった勉強方法 

適性試験対策について

 私は適性試験については、読解系の問題が苦手でした。その原因を突き詰めると、読書速度が遅いことに気づきました。そこで、読書速度を上げるためあれこれ試行錯誤していると、速読の存在を知るに至り、速読教室に通うことにしました。速読は一定の効果があると思います。書籍やインターネットなどで簡単に調べることができるので、興味のある方は一度調べてみることをおすすめします。

法律科目対策について

(I)総論
 最初に断っておきますが、以下に書くことは一受験生の方法論に過ぎず、あくまで参考としてとらえてください。人それぞれ能力や得意不得意が異なるので、結局、試行錯誤して自分に合った勉強方法を見つけていくしかないと思います。私自身、伊藤塾の講座、書籍、合格者のブログなどを参考に自分の勉強方法を確立しました。
  受験生の目的は試験に合格することであり、試験に合格するとは、試験当日に合格最低点以上の答案を提出することだと考えます。その他の事情は一切考慮されません(詳しくは、『最小の努力で結果を出す超合格法』)。以上のことから、受験生は常に試験の点数を上げるための勉強をしなければなりません。私は、アウトプット(答練や模試の点数)を重視し、点数をいかに上げるかを基準に勉強方法を考えていました。 (II)論文試験対策について
 論文は、基礎知識をしっかり固めることが何よりも重要です。どこまでが基礎知識か明確に線引きをすることは難しいのですが、私は旧司法試験の過去問において問われた知識を基礎知識と位置付けていました。なぜなら、旧司法試験の過去問はどの法科大学院を受験しようと、受験生が当然に押さえてくる知識だと考えたからです。これを基準に、「問題研究」、「入門講義テキスト」、「試験対策講座」(弘文堂)を重点的に何度も確認しました。
  「憲民刑集中講義」において本田講師が定義の正確性を重視していたので、各科目において、定義カードを作成しました。また、本田講師がパワーポイントで論証を作成していたことを参考に、「論証パターン集」を各科目において作成しました。「論証パターン集」を作成することのメリットは、各論点の理解が深まること、実践的な論証を準備できることにあると思います。ただし、これは非常に時間がかかるので試験までの残り時間を考えて作成してください。
  他に、コンプリート論文答練、ハイレベル論文答練を受講し、答練を受ける度に良かった点、反省点などをルーズリーフにメモ書きして、次の答練で少しでも改善できるよう心掛けました。また、採点された答案が返却されると、答練ごとに点数、順位などを表にまとめ、どの科目の順位が低かったか、どういった答案が評価されたかなどをチェックしていました。そして、順位の低い科目について重点的に「問題研究」などを繰り返す、評価される答案の書き方をルーズリーフにまとめるなどして、勉強に活かすようにしていました。
  各法科大学院の論文対策として、ロースクール突破小教室を受講しました。上記の方法を土台に、法科大学院ごとに過去問を検討し、そこから問題傾向、注意点などを見つけて対策を練りました。

(III)択一対策について
 択一の勉強は、おおよそ論文の知識を土台にいわゆる択一知識と呼ばれる細かい知識を覚えることになると思います。私は『速読勉強術』の方法を参考に脚別本の間違った箇所などを何度も確認しました。脚別本だけでは知識に限界があるので、「情報シート」などの択一六法の条文や判例百選などを何度も読みました。判例の勉強について、「憲民刑判例完成小教室」はとても役立ちました。特に憲法の解説は秀逸だと思います。 
  上記の方法により法学既修者試験は5科目で180点、7科目で234点取ることができたので、上記の方法は一定程度評価できると思います。商法、行政法の点数が低かった原因として、商法は会社法の条文が多い、行政法はそもそも基礎知識が不十分、ということにあったと分析しています。今後受験される方はこの点も参考に勉強に活かされると良いと思います。
(IV)その他
 私が受験に際して有用だったと考える書籍、ブログについて紹介します。書籍について、『超高速勉強方法』(経済界)、『速読勉強術』(すばる舎)、『最短で結果が出る超勉強法』(講談社)、『最小の努力で結果を出す超合格法』(ダイヤモンド社)。ブログについて、「私大卒東大ロー生の、新司法試験と速読(英語も少々)」、「上位ロー受験公開日誌」、「新・単なる勉強記録」、「Absolute Blue」。
 

パーソナル・ステートメント対策について

 私は「パーソナル・ステートメント対策講座」を受講しました。この講座は、ステートメントの骨子を教えてくれるので大変役に立ちました。ステートメントの添削の際には、ロースクールコンサルタントの秋山講師にステートメントを何度も添削していただき、大変お世話になりました。ステートメントについて悩んでいる人はロースクールコンサルタントに相談するといいと思います。

学部成績について

 私は学部成績が良くないので、これについてアドバイスできる立場にはありません。ただ、伊藤塾の基礎マスターでしっかり勉強した科目については、良い成績が取れる傾向にあったので、伊藤塾の講義は学部成績に良い影響を与えてくれると思います。

志望校の選択について

 東大法科大学院の授業は新司法試験の対策をしないことが難点ですが、合格率、就職力、社会における評価、優秀な人々に出会えること、母校であることなどを考慮して選択しました。

直前期と試験当日

 直前期はとにかく「問題研究」、「論証パターン集」、定義カード等などを確認することに尽力しました。しかし、あまり勉強しすぎて試験当日に体を壊しては逆効果です。試験当日に万全な体調で臨めるよう、試験日の週には体を追い込みすぎないように注意して、多少休みを取るようにしていました。

伊藤塾の学習と大学生活について

 3年生になってからアルバイトはしていませんでした。サークルは入っていましたが、法律の勉強を中心とした生活になっていました。

入学前準備として

 法科大学院生の何よりの目的は司法試験に合格することです。私は司法試験においてもアウトプットを中心とした勉強が重要だと考えています。東大法科大学院は授業の予習などで忙しいと聞くので、入学までに過去問の分析、答練などを通じて、司法試験において求められる力を把握したいと思います。そして、それをもとに法科大学院の授業を活かしていきたいと考えています。

合格後に必要なこと

 冒頭でも申した通り、現時点で将来の法曹のビジョンについて明確なものを持っているわけではありません。大学で受講している知的財産法に興味があるので、その分野について検討中です。

最後に

 私は法科大学院受験のために留年して、幸いにも第一志望のロースクールに合格することができました。現役の時と留年の時とで違うのは、「自分の勉強方法」を確立したことだと思います。合格者や優秀な人と勉強方法が異なると不安になるかもしれませんが、自分が考え抜いた方法を信じ、やり抜くことが大切だと思います。
 今回の受験において、多くの方に支えられてきました。法科大学院の受験について秋山講師や伊藤塾スタッフ、物心両面で支えてくれた両親や親族、精神的に支えてくれた彼女や友人など。これらの方々に、この場を借りてお礼申し上げます。
(2011年1月・記)