伊藤塾で学ぶことは合格にたどりつくための有効な方法だと考えます。

大学在学中

 Iさん(21歳)

東京大学法学部4年在学中

【合格校】
・東京大学法科大学院(既修)
・慶應義塾大学法科大学院(既修)

【受講講座】
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、論文直前答練、短答答練 など

※プロフィールは、2011年合格時点のものです。



はじめに

 私が法律の学習を始めたのは、周りに流されて、というのが本当のところです。伊藤塾の講義を聴き始めた時も、特に法律家になりたいと強く願っていたわけではありませんでした。法律家を目指すようになったのは、記念受験のつもりで申し込んだ最後の旧司法試験の受験勉強をしていた時です。きっかけは、ひとつは大学の友達が皆真剣に旧司法試験を目指しているのを見て、本当は自分もこうでなくてはいけないのではないか、と思ったことです。もうひとつは、基礎マスターの民法62回目か72回目か覚えていませんが、伊藤塾長が、勉強したくてもできない人が本当はたくさんいて、あなたたちはもっと皆に感謝して頑張らないといけない、とおっしゃっていたのを聴いたことです。 
 受験指導校を利用せずに予備試験に挑戦される方、どこかの受験指導校を利用する方、どれが正解というわけでもないと思います。ただ短期合格ということを考えた時、重要なポイントを指摘してくれる、短答式試験、論文式試験の対策を講じてくださる方の存在は大きな意味を持ちます。その意味で伊藤塾で学ぶことは、合格にたどりつくための有効な方法ではないかと考えています。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

私は大学の最初の2年間授業にほとんど出席せずにいたので、法律を学んだのは伊藤塾が初めてでした。最初は知らない法律用語がひたすら1時間連発されて、メモは取ったけど頭には何も残らない、という状況でした(講義が分かりにくかったということではありません。目的意識を持って聴いてなかったので頭に残らなかっただけです)。なのでとりあえず、伊藤塾長がAランクだとおっしゃったところの、さらに自説のみを復習して覚えました。法律自体に慣れてない間はそれくらいが限界ではないかと思います。試験には当然B+やBランクも出題されますし、反対説に触れなければならない時もありますが、それは2回目以降に覚えればいいことです。
 私の場合は、予備試験ゼミの滝澤ゼミ長が講義を映像で3回受講されたというのを聴いていましたが、旧司法試験論文試験直前ということもあって、映像での受講は1回のみにして、あとは自分の学習で3回分勉強して頭に刷り込みました。
 旧司法試験の論文式試験に落ちてからは、大学の学部試験のためと、より深い理解が必要だと考えたことから、教授が書かれた基本書を各教科2冊ずつ程度読みました。受験指導校か基本書か、どちらかしか使わない方も多いと思いますが、私は両方のいい所をとるのが一番効率がいいのではないかと考えています。法律の学習を円滑に始めるためには、いきなり基本書の難しい文章と格闘するのではなく、講義を通して耳で聴き、図表を通して目で見る、という過程が大変重要です。他方学習が進んでくると、基礎マスターテキストには書いてない疑問が出てきたり、自説を理解するうえで重要な反対説との対立点について、まだ理解が足りていないと思うところが出てきます。そういうときは基本書で学者の意見を参照することが有意義だと考えています。
 私は最終的には、基礎マスターや基本書に書かれていることで重要な部分を論証パターンに書き込み、あるいは自分で番号を付して書き足すようにして、試験前に繰り返していました(予備試験合格に必要な知識について基礎マスターでカバーできる割合は、私の中では憲法9割、民法8割、刑法7割、商法5割、民訴6割、刑訴6割、行政法4割、一般教養は受講してません、民事実務8割、刑事実務7割と考えています)。

短答式試験対策について

 短答式試験は旧司法試験よりも複雑でない、条文・判例を知っているかどうかだけの問題が多く、基礎マスターの知識以上のものは不要でしょう。 
 一般教養科目は私自身が壊滅的だったので何とも言えませんが、今年の難易度のまま出題され続けるのだとしたら、それなりに時間をかけないといけないかもしれません。

論文式試験対策について

 論文式試験対策といえば論文マスター(=プロブレムメソッド論文マスター)というイメージかもしれませんが、私の場合は論文マスターの答案例を見た当初、自分はまだこのレベルではないなと思い、結局基礎マスターと基本書の併用に戻りました。その結果、論文式対策は結局論証パターンへの書き込みと、論文直前答練に終始しました。
 最初は何か他にもアウトプットの練習をすべきか迷いましたが、論文直前答練初回の質がとても良かったことと、余白に質問を書いたら添削者の方が毎回丁寧に答えてくださった(TWO-WAY添削制度)ので、アウトプットはそれに任せてインプット(趣旨から説明できること)の学習に集中することにしました。 
 予備試験の試験時間は旧司法試験と比べて10分長い割に問題文はそこまで長くありません。本番で問題と向き合った時の感触は、論点がない、今自分は初めて書くようなことばかり書いているような気がする、といった感じです。おそらく試験委員の方々はその場で考えないと分からないような問題を慎重に練っておられるのだと思います。私は暗記で解かせないため、現場思考のための10分なのかなと思いました。
 現場思考とは、今まで学習してきた基礎知識を論理的に使いこなして妥当な結論を導くことができるか、ということだと考えています。そしてその要求に応えるためには、前提となっている基礎知識の精度が必要不可欠であり、その精度は反復によって高めるしかありません。答案作成や真新しい論点の理解など論文式試験直前期は目を奪われやすい事柄が多々ありましたが、結果的にそれらは一切問われず、今まで基礎マスターと基本書を使って作ってきた論証パターンの毎日の繰り返しが、合格につながったと思います。

法律実務基礎科目対策について

 実務基礎科目は伊藤塾の指定してくださった教科書が非常に良かったので、それ以外は特に手を出していません。具体的には新問題研究要件事実、紛争類型別要件事実、民事実務の基礎、刑事実務の基礎、刑事系の基礎マスターテキスト(事実認定の部分)を繰り返しただけです。回数はだいたいどれも3回です。

一般教養科目対策について

(1) 短答式試験対策について
 対策はあまりしませんでした。理科系は明らかに分かるもの以外はできるだけ取らず、英語と社会科学、人文科学のみとれば30点くらい得点できるかと思っていたので、何とかなると思っていました。
 試験時間は90分あるので、40問全てを見る時間は十分にあります。確実に分かるものだけとればそこまでひどいことにはならないでしょう。 (2) 論文式試験対策について
 対策は特にしませんでした。法律科目とは別にわざわざ設けたことから、法律の知識を書くと減点されそうな気がしたので特に活かそうとかは考えませんでした。

口述試験対策について

 実務基礎科目という科目名となっていますが、民事訴訟法、刑事訴訟法の論文式試験の知識からかなり細かい短答式試験の知識まで掘り下げられます。頭が真っ白になるととても答えられるレベルの問題ではありません。口述模試や友人との練習などで緊張に慣れることが一番重要です。間違っているかもしれないと思っても誘導に期待してとにかく発言しましょう。 

法科大学院入試との併願について 

 私の大学では私立の法科大学院入試と学部の試験が全く同じ時期にあり、第一志望が国立の法科大学院であったことから学部試験を優先させ、私立の法科大学院入試についてはあまり準備しませんでした。それでも予備試験の短答式試験の知識で私立の法科大学院入試は十分に対応できましたし、論文式試験も時間制限は厳しいですが、予備試験の論証の理由を適度に省いたりすることで対応は可能です。

伊藤塾の学習と大学生活との両立 

 私は2回生の終了時までサークル活動や日々の生活に没頭してしまい、それを止めてからは司法試験に向けて勉強に専念してきました。なので両立ができていたとはいえません。  

司法試験受験の準備として 

 労働法は大学の授業を去年の冬に履修して一通り学びました。これから論文の練習に入ります。

合格後を見据えて 

 私はまだ何か大きなことを成し遂げたいという強い願望があるわけではありません。法律家の道を選んだのも、今まで自分が学んできたことが初めて誰かの役に立つと思えたからです。でもたしかに抽象的過ぎるのも良くないと思うので友人に聞いてみたいと思います。

最後に 

今まで支えてくださった全ての方が勝因だと思っています。
 そのうえで、勉強以外のことを捨てて、予備試験に専念する気持ちを維持できた要因として、塾長雑感第163回「求め、捨てる」 の最後の段落がとても支えになりました。
 私もまだ受験生です。頑張りましょう。  

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