集中して勉強した期間に圧倒的に実力が伸びた。基本を落とさないことが何より大事

 

合格者イラスト
S.I さん  慶應義塾大学法学部4年
 
◆学部成績
GPA 3.83 / S:A:B:C=50:67:15:4
◆受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、予備試験答練パック、法科大学院別過去問分析講義+法律科目論文模試など

◆合格校
東京大学法科大学院(既修)
慶應義塾大学法科大学院(既修)
早稲田大学法科大学院(既修)全額免除

はじめに

私は中学・高校・大学と内部進学で、受験を経験せずにのんびりと過ごしてきたこと、またもともと机に向かうことが苦ではなかったことから、進路選択では自然と「大学では一念発起、何か究めよう」と考えるようになりました。そして、転職がより積極的に行われるようになっている近年において役割を果たすには、「個人の力」がより重要視されていくと考え、高度な専門性を有する資格に惹かれました。また私は、専業主婦への憧れはなく、働けるうちはたくさん働きたいと考えているので、育児などのライフイベントとの行き来のしやすさという面でも「手に職」は魅力的でした。そこで、専門性の高く最も向上心を掻き立てられた法曹の道を志しました。このように、大学入学時点で希望進路がある程度定まっていたので、入塾は早い方がよいと考えました。また大学では、オーケストラのサークルをどうしてもやりたかったので、勉強が手薄になる時期もあるのではないかと予測し、なおさら着手時期は早めがよいと考え、大学1年の春に入塾しました。そして、まず予備試験の大学在学中合格を目標として掲げ、仮に達成できなくとも上位法科大学院に難なく合格できる学習到達度を目指しました。

私の勉強方法

【基礎学習について】
大学の初めの2年は、サークル活動にのめりこんでいたのもあり、基礎マスター、論文マスターの講義を溜めないように消化するので精一杯でした。まさに「消化」という言葉がぴったりで、塾の講師の方々に口すっぱく言われた予習・復習についても全く十分に行えず、当然ながらインプットの精度も高くありませんでした。また、サークルの練習のため、基礎マスター論文答練や論文マスター答練をリアルタイムで受けることができず、大学3年夏頃まで答案らしい答案もほとんど書けませんでした。もっとも、最終的には合格すると腹を決めていたので、思うように学習が進まないことに悩むことはあまりなく、しがみついていこうという気持ちでした。また講義を溜めたらやる気が削がれて終わりそうだと思い、理解度が6〜7割でも一旦進むことにして溜めないようにすることだけは留意しました。後から考えれば、どうせ復習で何度も確認しに戻ることになるので、完璧な理解を目指さず、まずは全体像を掴もうという方向性はよかったと思います。大学3年になってからは、サークルを休部し勉強に本腰を入れ、問題研究を1科目ずつ解き直しながら抜けている基礎知識、論証を粘り強く入れていきました。また、基本的な問題から少しずつ論文を書く練習を始め、秋からはコンプリート論文答練を受講し、毎週のペースメーカーとしました。そして、何より今年法科大学院入試に対応するための基盤となったのが、大学4年の予備試験短答後、論文試験に向けて2ヶ月の間、予備試験論文直前答練を受けつつ、一日平均12時間集中して勉強したことです。上述のように、私はサークルと両立しながらの勉強を試みてきましたが、振り返ってみてこの2ヶ月の「集中期間」に圧倒的に実力が伸びました。これには人それぞれのタイミングがありますし、年中集中し続けるのは心身ともに疲弊するのでおすすめしませんが、やはり、ここが正念場!という「集中期間」を作ることは合格レベルに達するのに非常に効果的であると感じました。
 
【法科大学院対策について】
〈東京大学法科大学院〉
対策は、私立法科大学院の結果発表後に始めました。私立入試までは現行民法を選択可能だったのに対し、東京大学法科大学院入試は改正民法のみであったため、9月上旬からまず改正民法の勉強をしました。次に、10月中旬に法科大学院別論文模試を受け、同時期から過去問を5年分解きました。東京大学は解答用紙にマス目があり、字数制限がある(表裏両面のみ)という特殊な形式のため、時間配分や分量配分に慣れるべく模試は必須だと思いますし、過去問もマス目用紙で解いておくと慣れて当日落ち着いて書けます。また、出題分野は多岐にわたり、マニアックなテーマ(民事では手形や民事保全、公法では統治など)も出題可能性があるので、出題分野に関する分析や過去3年分の過去問解説を含んだ法科大学院別過去問分析講義は非常に有用でした。ちなみに公法は、3年前に統治(地方自治の本旨など)が出て以来2年連続スタンダードな出題だったので、今年は変わった切り口あるいは分野の出題を予想していましたが、その通りでした。個人的には、公法で「変わった問題が来るぞ」と構えたことにより、動揺せずに書き切れたことが勝因の一つであると感じています。過去問の把握・分析は大事だと思います。もっとも、マニアックな分野からの出題可能性があると書きましたが、大切なことは重箱の隅をつつくような勉強より、基礎を徹底させることに尽きると思います。現場で迷ったら条文をめくり、基本原則を思い浮かべて、自分なりの考えを筋道立てて書くこと。そして典型問題が出たらむしろ気を引き締め、必ず落とさないようにすること。「皆が書けることを書く」ことで十分合格できると思います。

おわりに

勉強法に関しては、「柔軟さ」がキーワードになると思います。私は、試験勉強は暗闇を航海する船の操縦のようなものと考えていて、「この方向が正しい」と信じ突き進む力と、俯瞰した軌道修正を行き来する柔軟さが必要だと思います。それと同時に、自分が優れていると思う基本書など様々な考えに触れることももちろん価値がありますが、試験合格の近道という意味では、膨大なデータを蓄積した受験のプロである受験指導校のやり方にある程度頼る方が合理的です。私は伊藤塾の教材が最も優れていると信じて勉強しましたし、今でもそう思っていますが、独自の方法を過信しすぎず、だからといって思考停止に陥らず、目標との関係で自分にもっとも適した勉強法を柔軟に探していただけたらよいと思います。最後に、丸2年経って基礎の基礎もなっていなかった私でも、ここまで来られたということが、この文章を読まれる方の希望になれば幸いです。心より応援しています。