「やるべきこと」を明確に指示してもらえる点が、伊藤塾を利用する最大のメリットです。

法科大学院在学中

 P さん(23歳)

私立大学法学部卒業、私立大学法科大学院(既修)2年在学中
【受講講座】
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、予備試験論文直前答練、コンプリート論文答練、予備試験口述模試 など

※プロフィールは、2012年合格時点のものです。



はじめに

法学部で学んだ知識を卒業後も活かしたいとの思いから、検察官を目指し、大学2年次の春に伊藤塾へ入塾しました。伊藤塾を選んだ理由は、司法試験において、伊藤塾が顕著な合格実績をあげていたからです。独学で法律を学ぼうとする場合、基本書や問題集の選択も含めてすべてを自分で行わなければなりませんが、右も左もわからない状況でそれをするのは相当に非効率な面があります。初学者の段階から合格レベルに達するまで、一定の「やるべきこと」を明確に指示していただけるという点が、伊藤塾を利用する最大のメリットであると考えます。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

この点については基礎マスターを利用しました。「基礎」とはいっても、テキストに記載されている情報は多く、予備試験合格に必要な知識の8~9割ほどはこれで足りるという印象です。
 もっとも、基礎マスターレベルの知識を全科目完全に押さえることは容易ではありません。私は、まず講師が指定するA、B+の重要事項を押さえたうえで、短答対策などと併行して、やや重要度の落ちる細かい知識を少しずつ身につけていくという方法を採りました。
 メリハリを付け、一度ですべてを完成させようとは思わずに何度も基礎マスターテキストを読み直すことが重要であると考えます。

短答式試験対策について

短答式試験の対策としては、基礎マスターや短答マスターなどで、ある程度細かい知識まで頭に入れたうえで、肢別の問題集を解き、正誤の判定ができなかった肢を別紙にまとめ、それを覚え込むという作業を全科目で行いました。また、憲法・行政法・刑訴法については条文の素読も行いました。
 昨年度・今年度ともに短答式試験の合格基準点は相当に低く、これは次年度以降も維持されると考えられますので、予備試験または司法試験の短答式試験に合格した経験のある方は、可能な限り短答の勉強時間を短くして、その分、論文の勉強に時間を割くという意識を持たれるのがよいと思います。他方、本格的な短答対策を行った経験のない方は、これを機に、司法試験の短答式試験で8割程度の得点ができるレベルにまで知識を引き上げておくと、翌年の司法試験受験を見据えても、安心できるのではないかと思います。

論文式試験対策について

論文式試験の合否は、誰もが知っているはずのことを、どれだけ正確に書けるかという点で決まると考えます。応用問題は大半の受験生が不完全な回答しかできないため、自分の考えを示しながら書けば大きな差は付かず(個々の受験生の考えることは当然違いますが、学識と経験豊かな採点者の方々からすれば、一部の極めて優秀な受験生を除き、結局はどれも同程度に「稚拙」と映るのではないでしょうか)、相対評価という合否判定の方法から、必然的に明暗を分けるのは基礎的な問題のでき具合ということになってきます。つまり、基礎知識が合格に直結するということです。インプット・アウトプットを相互に関連させながら学習すること、換言すれば、インプットの段階でその知識が、(1)論文で詳しく書けなければいけないものか、(2)論文で一応言及できれば足りるものか、(3)論文では忘れても問題ないものかなどを意識しながら勉強することと、アウトプットの段階で問題解説に現れた事項が、暗記を要する基本知識に属するか、その問題を解くためにしか使えない暗記不要の知識かなどを意識しながら勉強することが必要であると考えます。

法律実務基礎科目対策について

基礎マスター法律実務基礎科目を対策に利用しました。この科目は予備試験で初登場したため過去問の蓄積もなく、試験範囲すら曖昧な、非常に対策の打ちにくい科目なのですが、上記講座を利用することで、効率的に科目のアウトラインをつかめたように思います。
 また、実務基礎科目の学習は、民事系・刑事系科目の理解を深めることにもつながります。特に刑事実務基礎科目において学習する事実認定の手法は、司法試験の刑法の問題を解くうえでそのまま使えます。あてはめ能力が向上しますし、「共同正犯と狭義の共犯の区別」のような主要論点につき、説得力ある論述が可能になるからです。

一般教養科目対策について

<1> 短答式試験対策について
  対策は不要です。法律科目だけでも合格基準点を超えることは十分可能ですし、翌年に司法試験の短答式試験を受ける可能性があることからは、むしろそれを目指す方が良いと思います。また、一般教養60問の中には、現場思考や常識で解ける問題も少なからず存在します。その意味でも、事前対策はせず、すべて現場での判断に委ねるのが正しい姿勢であると考えます。
<2> 論文式試験について
  答練や模試で答案を書き、感覚をつかむ程度で十分だと思います。私は今回それしか対策はしていませんが、本試験ではA評価でした(過去に小論文の本格的な対策等を行ったこともありません)。採点者が望む回答像をイメージすることが難しく、課題文との相性もあって事前の対策が非常に実を結びにくいため、法律科目の学習に時間を割く方が賢明であると考えます。

口述試験対策について

模試を受け、試験の空気を体感することは必須であると考えます。また、手続法だけでなく、実体法の知識も復習しておくことをおすすめします。

司法試験受験の準備について 

私は法科大学院生なので、司法試験の対策は予備試験受験と併行して行っていました。内容的には、過去問や論文式問題集を解くこと、基本書の通読など、特に変わったものではありませんが、試験は相対評価である以上、皆がやっていることは自分もやるのが重要であると考えますので、今後も同様の学習を継続する予定です。

合格後を見据えて 

私は検察官を目指しています。正義の執行者として、罪を犯した者に対し、あらゆる事情を慎重に斟酌したうえで最も適した「報い」を与えることが理想ですが、そのためには、経済犯罪などで顕著なように、法律以外の領域に属する事項についても、十分な理解を持っていることが必要ではないかと思います。そのため、合格後はそういった方面での学習も進めていきたいと考えています。

最後に 

最大の勝因は、月並みですが最後まで諦めないことに尽きます。論文式試験の1科目目(憲法)から全く予想外の出題に見舞われても、2日目の法律実務基礎科目で不合格を確信せざるを得ない答案を書いても、諦念を押さえて最後まで受験を続けたことが合格につながったものと考えています。実際、失敗したと思った上記2科目の成績はA、B評価と比較的よく、主観と結果は必ずしも一致しませんし、今年度のように政策的な都合から合格者が増えることで救済される例もあります。そのため、今後予備試験を受験する方は、ぜひ、何科目失敗しても最後まで全力で受験する姿勢を堅持していただきたいと思います。
 拙文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。