明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第179回

2011年6月11日(土)実施

当初3/12(土)実施予定でしたが、3/11(金)東北地方太平洋沖地震の影響により、6/11(土)へ延期となりました。

 

新分野の法律業務を開拓する面白さ

【講師】 
黒田健二氏(弁護士、「黒田法律事務所」所長)


講師プロフィール

黒田健二氏(弁護士、「黒田法律事務所」所長)

黒田健二氏
大学を1年で中退した翌年、1983年度の司法試験に全国最年少の20歳で合格。日本で弁護士実務経験を積んだ後、中国(北京語言学院、上海復旦大学)、デンマーク及び米国(デューク大学法学部大学院)で学ぶ。米国ニューヨーク州弁護士登録後、1995年に黒田法律事務所・黒田特許事務所を設立。司法試験直後から新しい分野(中国、コンピュータソフト、バイオ、環境保護)に特化した弁護士を目指し、社団法人日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会の顧問弁護士を務め、数多くのコンピュータソフトウェア企業、バイオ関連企業、環境保護企業などのベンチャー企業に対するリーガルサービスを20年以上手がけている。中国語・英語に堪能で、国際案件および交渉の経験も豊富。
黒田法律事務所には、現在、弁護士・弁理士24名(内、中国弁護士9名、台湾弁護士2名)を含む合計約90名の所員が在籍。同事務所の顧客数は、3000社を超える。同事務所は、中国北京市、上海市、広州市の三都市に日本人弁護士と中国人弁護士を常駐させ、日本企業の中国ビジネスをサポートするとともに、中国における投資ビジネス、特許出願、知的財産権分野においては、長年の実績を駆使し、中国の法律事務所との強力な提携関係を活かして数多くの日本企業の中国ビジネスを成功に導いている。また、2009年6月には、日本の法律事務所として初めて台湾台北市に事務所を開設し、日台企業間の紛争解決に従事している。
 
 
  
 

講師からのメッセージ 

私が1995年に開設した黒田法律事務所は、これまで中国分野及び知的財産分野を主要な業務として発展してきた法律事務所です。いずれも司法試験受験当時から、将来の専門分野にと考えてきたものです。
思い起こせば、私が中国に留学したのは1989年の天安門事件直後。その当時は政情不安などもあり、中国分野を専門にと考える弁護士はごくわずかでした。1995年代以降の対中投資ブームを経て、今や中国は世界第2位のGDP、日本にとって第一位の貿易相手国となりました。当初は投資が中心であった法律業務も、中国国内の取引や現地子会社の人事管理、ニセ物対策など大きく広がっています。
また、知的財産分野について見れば、1992年当時はソフトウェアの違法コピー率が90%を超えており、知的財産権に対する意識は低い状況でした。ところが、2000年前後から、特許侵害訴訟で会社の命運を左右するほどの巨額の賠償金額が認められるようになり、2002年2月の知的財産立国宣言が発表されると、知的財産分野の法律業務が注目を集めました。
今後、新たな法律分野を専門にと考える方も増えると思われます。
確かに、新たな法律分野への挑戦には、不安やリスクを伴います。私が両分野の業務を始めた当初は、現在では書籍等で常識のように語られているトラブル事例も、初めて体験するものばかりでした。特に中国分野については、日本との文化の違いに戸惑うこともありました。
しかし、社会の動きに伴って生じる多様な問題を解決し、顧客企業の発展に貢献できたことは、私にとって何よりの喜びです。また、現在も複雑化する様々な問題に取り組み、日々新たな発見を得ることに、やりがいを感じています。
私の体験を通じ、皆様と新分野の法律業務を開拓することの面白さを分かち合うことができれば幸いです。また、今後伸びゆく新分野について、皆様と積極的に意見交換できればと考えます。