明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第204回

2013年1月19日(土)実施
 

人権としての教育~地球時代・憲法と子どもの権利条約を軸に~

【講師】 
堀尾 輝久 氏(東京大学名誉教授、教育学博士)


講師プロフィール

堀尾 輝久 氏(東京大学名誉教授、教育学博士)

堀尾 輝久 氏
東京大学法学部卒業、同大学院博士課程修了・教育学博士。
東京大学教育学部教授、中央大学文学部教授、日本学術会議会員、日本教育学会会長、日本教育法学会会長、民主教育研究所代表、DCI日本支部副会長等を歴任。
現在、「子どもの人権研究会」の代表世話人の1人。
堀尾氏の理論は、教科書裁判において原告家永三郎に勝訴をもたらした、東京地裁判決(1971年7月17日、通称杉本判決)に理論的基礎を提供したことで知られる。また、「国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟・第一審(2006・9・21東京地裁)判決(いわゆる「難波判決」)の理論的バックボーンにもなった。
仏政府よりパルム・アカデミック賞、トゥルーズ大学名誉博士号を授与される。
 
【著書】
『現代教育の思想と構造』『人権としての教育』『人間形成と教育』(岩波書店)
『子どもの権利とは何か』(岩波ブックレット)
『教育入門』『現代社会と教育』(岩波新書)
『日本の教育』(東京大学出版会)
『未来をつくる君たちへ~“地球時代”をどう生きるか』(清流出版) 等多数
著書は英、仏、中、韓で翻訳されている。
 

講師からのメッセージ 

教育基本法が変えられ、石原都知事の「破壊的教育改革」や大阪の橋下条例などもあって、教師も子どもも父母も教育はこれでよいのかと心を痛めています。この間、教育関係裁判も続発しました。国民の教育権は死語になったのか。「憲法の精神にのっとり」という文言は新教育基本法にものこっています。このことをどう考えるか。「憲法と教育」といえば、すぐに26条を想起する方も多いと思います。それだけなのか。前文、13条、19条、23条、27条などはどうなのか。
他方で子どもの権利条約は日本の学校にも裁判所にもなかなか壁が高くて入れないようにみえます。私たちは日本の子どもの権利の状況の報告書をもってジュネーブの子ども権利委員会(CRC)に3度訪れました(日弁連も)。子どもの権利の視点から憲法(例えば19条や23条)を読めばど うなるのか(国民と子ども)。人権と子どもの権利と子どもの人権、これら3つのコンセプトの関係は?教育裁判にもふれながら、こんな問題をご一緒に考えてみたいと思 います。地球時代を見据えながら。