明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第214回

2013年11月30日(土)実施
 

ブレイクダンスと憲法13条~自分らしくあること~

【講師】 
石垣 元庸 氏(弁護士、「上田・小川法律事務所」所属、元伊藤塾塾生)


講師プロフィール

石垣 元庸 氏(弁護士、「上田・小川法律事務所」所属、元伊藤塾塾生)

石垣 元庸 氏
立命館大学在学中にブレイクダンスをはじめる。卒業後はダンスに没頭し、『一撃』というチームで、2002年、2005年と「Battle of the year」の日本予選で優勝。うち2005年は同大会世界大会で準優勝及びbest showを獲得。その他、複数の世界大会で入賞する等の成績を収めたものの、一線を退き、法曹を志す。
龍谷大学法科大学院を経て、2010年に新司法試験に合格。新64期司法修習を修了後、2011年弁護士登録。現在、一般民事・刑事・少年事件を中心に活動中。
2012年からは風営法のダンス営業規制問題に関心を持ち、同法改正運動(「Let’sDANCE 法律家の会」)や、同法違反で摘発されたクラブの刑事裁判(「SAVE THE NOON裁判」)等に取り組んでいる。
 
 
 
 

講師からのメッセージ 

塾生当時、一番印象に残っているのは、『憲法13条 個人の尊厳』に関する塾長の解説です。「人と違って当然で、だからこそ素晴らしい」、当時は意味を理解していませんでしたが、熱のこもったこのフレーズは、私の脳裏に焼き付きました。
ところで、なぜ憲法は個人の尊厳を基本的人権の根本原理に据えているのでしょうか。みなさんは「個人の尊厳」の意味を理解していますか? 私は、その意味を、素晴らしさを、ダンスを通じて学ぶことができたと感じています。
ブレイクダンスは、『自分らしさ』が重視されるダンスです。世界には個性的なダンサーが沢山いますが、中でも、私は、ある義足のフランス人ダンサーの踊る様子を見て心から感動しました。障害を受け入れてありのままに自分を表現する彼と、彼の障害をも個性として受け入れ最高の評価をするオーディエンスの様子を目の当たりにして、個人が尊重されることの意義を感じたからです。個人が尊重される世界は、自分らしくありのままに生きることのできる世界です。誰しも等しくチャンスを与えられ、努力や工夫を重ねれば適切に評価される、皆希望を持って生きることのできる素晴らしい世界です。
以降、私自身も、『自分らしくあること』を心がけるようになりました。ダンスを通じて自分と向き合い、性質や能力等良くも悪くも全て自分であると受け止めました。その上で、自分の持ち味は何か、持ち味をいかに発揮するか、努力や工夫を重ねました。このように自分らしさを追求した経験は、司法試験や、司法修習、就職活動、弁護士の活動でも、確実に活かされています。

法曹を志し、司法試験に挑戦し、司法修習に臨む皆さまに、自分らしくあることの意義を、お話しできれば幸いです。
最後に義足のフランス人ダンサーについて。立って踊ることが苦手な彼は、一体どうやって自分らしさを表現したと思いますか?あなたが彼ならどうしますか?考えてみてください。