明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第230回

2015年3月14日実施
 

現代中国社会の変動が教えるもの~法曹を目指す皆さんへの期待

 【講師】
阿古 智子 氏(東京大学大学院総合文化准教授)


講師プロフィール

阿古 智子 氏(東京大学大学院総合文化准教授)

大阪府生まれ。
大阪外国語大学外国語学部中国語学科卒
名古屋大学国際開発研究科修士課程修了
香港大学教育学系Ph.D(博士)取得
在中国日本大使館専門調査員
姫路獨協大学助教授、学習院女子大学准教授、早稲田大学准教授を経て、2013年より現職
 
現代中国の社会変動が主な研究テーマ
「貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告」(新潮選書、2014年)をはじめ著作多数。
 

講師からのメッセージ 

25年にわたって、中国各地でフィールドワークを続けています。
 
低所得者に売血をよびかけ、仲介業者が暴利を得る形で展開された1990年代の血液ビジネスは多くのエイズ感染者を出しましたが、ほとんどの人が補償も賠償も得られないまま泣き寝入りさせられています。環境汚染で農作物がほとんどとれなくなった村では、汚染源である工場の長が村長に就任することで村人たちの訴訟や陳情を抑え込みました。中国では司法の独立が保障されておらず、このように社会的弱者は苦しい立場に追い込まれるばかりです。
一方、中国でビジネスを展開する日本企業も、下請け企業を含む労働問題や環境問題に迅速かつ実質的に対応する必要があり、一層の努力が求められています。
 
日中関係はなかなかよくなりませんが、法の支配は、国境を越えた公共圏をつくるために最も重要な普遍的価値であり、皆さんの国際的な活躍を期待しています。