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明日の法律家講座 東京校第239回

2015年10月24日(土)実施
 

ノーベル賞に輝いた青色発光ダイオード開発とその後

【講師】 
大川 和宏 氏(東京理科大学 応用物理学科 教授)


講師プロフィール

大川 和宏 氏(東京理科大学 応用物理学科 教授)

1959年 栃木県生まれ
1985年 東京大学大学院 理学系研究科 相関理化学専攻 修士課程修了
1985年~1996年 松下電器産業(現 パナソニック)株式会社 中央研究所
1992年 博士(理学)東京大学 
1996年~1998年 ドイツ国 ブレーメン大学 物理学科 教授(終身)
1998年~ 東京理科大学 理学部 応用物理学科
2007年~2013年 中国 厦門大学 客員教授
青色LED発明者のカリフォルニア大学サンタバーバラ校 教授中村修二氏の友人であり、科学技術振興機構などで共同研究を行う他にも404特許訴訟における技術的根拠の証明にも協力している。
 

講師からのメッセージ 

 2014年ノーベル物理学賞の対象は、青色発光ダイオード(LED)でした。青色LEDの候補は、SiC,GaN,ZnSeという周期律表を見ないと分からないような材料でした。結局、ノーベル賞の対象となったのはGaNであり、その研究を立ち上げた3名が受賞されました。私はZnSeの研究を経て、現在 GaNの研究に挑んでいます。このような研究人生を通じて、研究への執念・努力・才能を知ることができました。最初に青色LEDとして世に出たのはSiCでした。しかしほとんどの人が(私自身も)観る機会もなく消えました。理由は簡単です。“暗い”の一言です。人間の目は青色の感度が低く、余程明るくないと眩しいと感じません。青色LEDの難しさは明るさの問題と思われました。
 GaNとZnSeは、明るさの可能性を秘めながら、共通した問題がありました。その問題は、半導体に不可欠なp型とn型の2種類の伝導型作製が困難だったことです。しかしながら偶然にも同時期にこの問題はクリアされました。そして新たな問題が生じ、これらが運命を決しました。その問題は事前に予想されたものとは双方が逆でした。科学的予測も儚いものでした・・・
 近年、GaNは高輝度青色LEDとして、さらにLED照明として世間に浸透しています。しかしながら世の中は厳しく、更なる進化が要求されています。
 以上のような、予想と現実の乖離を通じて、判断の難しさを皆様方にも知って頂きたいと思っています。