明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第242回

2016年1月23日(土)実施
 

医療機関内弁護士という新分野の確立~開拓する冥利~

【講師】 
水沼 直樹 氏(「亀田メディカルセンター」弁護士、元伊藤塾塾生)


講師プロフィール

水沼 直樹 氏(「亀田メディカルセンター」弁護士、元伊藤塾塾生)

【学  歴】
2004年 3月 東北大学法学部 卒業
2007年 3月 日本大学大学院法務研究科 卒業
 
【職  歴】
2011年 10月 弁護士登録
2013年 1月 医療法人鉄蕉会(現職)
2014年 4月 亀田医療技術専門学校非常勤講師
 
【所属学会】
日本DNA多型学会、日本法医学会、日本医事法学会、日本がん・生殖医療学会(JSFP)、オートプシー・イメージング(Ai)学会、日本賠償科学会ほか
 

講師からのメッセージ 

 私は、医療機関に専属する弁護士です。全国で医療機関に専属する弁護士は約10名程度です。以前は、医療機関に専属する弁護士はおらず、いわば隙間産業のような分野でしたが、医療機関は、随分と法律面で苦労しており、現在は専属弁護士のニーズが高まっています。私たちは、顧問弁護士と違った面から医療機関をサポートすることが求められています。
 医療機関に専属する弁護士の仕事は、一般の企業内弁護士のように、新規プロジェクトの法的支援、契約書の確認、苦情処理、賠償交渉、人事懲戒、コンプライアンス指導、法制度の解説等を担うことはもちろん、医療安全の一翼を担っているところが特徴です。インシデントやアクシデントは、医療従事者個人が原因で起きる場合のみならず、組織的な仕組みにより発生することもしばしばです。そこで、事故原因を調査・分析し、事故の再発防止に繋げるための方策の策定が重要です。法律家としての調査力と分析力を如何に実現するかが腕の見せ所の1つです。面白いことに、医療機関に専属するようになってから消費税法を学びました。どうしてかお分かりですか?実務はとても面白いところです。
 ところで、私は伊藤塾の生徒でしたが、思えば、できの悪い塾生でした。司法試験に合格するまで随分と「遠回り」もしてきました。しかし、その遠回りも、今思うと随分と役立っています。思わぬところで、苦い経験が役立つことがあります。合格してみて気づいたことにも触れられればと思います。