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明日の法律家講座 東京校第243回

2016年2月10日(水)実施
 

“友愛”の精神とわが国の今後~元内閣総理大臣からの提言

【講師】 
鳩山 友紀夫(由紀夫) 氏(東アジア共同体研究所理事長、元内閣総理大臣)


講師プロフィール

鳩山 友紀夫(由紀夫) 氏(東アジア共同体研究所理事長、元内閣総理大臣)

鳩山 友紀夫(由紀夫) 氏
東京生まれ。
東京大学工学部卒。スタンフォード大博士課程修了。
元専修大助教授。
 【政治家としての経歴】
1986年 自民党公認で衆議院に初当選
1993年 自民党を離党し、新党さきがけ結党に参加
1996年 (旧)民主党を結成し、代表に就任。
1998年 4党合同により新しい民主党が結成され、幹事長代理に就任。
1999年 民主党代表に就任。
2002年 民主党代表を辞任。
2009年 民主党代表に就任。
第45回衆議院議員総選挙での民主党圧勝により、9月16日、第93代内閣総理大臣に就任
2010年6月 内閣総辞職
2012年 政界を引退
2013年3月 一般財団法人東アジア共同体研究所設立、理事長就任
 
【親族】
曽祖父:鳩山和夫(元衆議院議長)
祖父:鳩山一郎(元内閣総理大臣)
父:鳩山威一郎(元外務大臣)
弟:鳩山邦夫(元文部大臣、元労働大臣、元総務大臣、元法務大臣)
 

講師からのメッセージ 

 国会議員時代、私が国会の壇上から友愛の必要性を唱えるたびに、蔑んだような野次が飛ばされていました。政治家が愛を唱えることは似つかわしくなかったのでしょう。でも実際は政治家こそ、最も愛を以って事に当たらなければならない職業ではないでしょうか。
 私がクリミアを訪問したとき、また、韓国の西大門刑務所を訪れたときも、日本では批判的な記事が目に付きました。思えば、イランのテヘランで当時のアフマディネジャド大統領と会談したときも、南京大虐殺紀念館に伺ったときもそうでした。売国奴などと言う言葉まで頂戴しました。それらは、私からすればごく自然な友愛精神に基づく行為でした。友愛とは、自分の尊厳を尊重すると同時に、相手の尊厳をも尊重することです。それは人間と人間の間のみでなく、国と国との間にも、また人と自然との間にも成り立つ考えです。自分と相手との共通点を喜び合いながら、違いを認め合って助け合うことです。
 日本は戦後、アメリカには極めて従属的である一方で、アジアの国々、とくに中国と韓国には上から目線で振舞ってきたように思います。行うべきは歴史の事実に目を閉ざさず、過ちを認めて未来に心を開いていくことです。中国を脅威と決めつけて、集団的自衛権の行使を認めたり、普天間飛行場の辺野古移設を強行したりする方向は、武力への依存、アメリカへの依存を高めるだけです。日本は平和憲法の趣旨を大切に守りながら、武力ではなく、協力と対話によって東アジア共同体の構築に向けて指導力を発揮すべきです。そして全ての人々が対等で平和な世界をリードしていくのです。