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明日の法律家講座 東京校第250回

2016年8月20日(土)実施
 

おっさん司法記者の小言

【講師】 
竹田 昌弘 氏(共同通信編集委員兼論説委員)


講師プロフィール

竹田 昌弘 氏(共同通信編集委員兼論説委員)

1961年富山県生まれ。1985年早稲田大学法学部卒。
1988~1992年毎日新聞静岡支局記者(島田事件再審公判)。
1992~1994年共同通信宇都宮支局記者(足利事件一審)。
1994~2002年社会部記者。司法担当(オウム真理教事件、破防法棄却、2信組事件、薬害エイズ事件、ロス疑惑無罪、連続幼女殺害事件公判など)、警視庁サブキャップ(全日空機ハイジャック事件、池袋通り魔事件、長銀・日債銀事件、安田好弘弁護士逮捕など)、法務省担当(司法制度改革、少年法改正、被害者保護立法など)を歴任。
2002~2005年大阪支社社会部デスク(尼崎脱線事故、雪印牛肉偽装事件、ハンナン事件、奈良女児誘拐殺人、三井検事逮捕、池田小事件公判など)。
2005~2009年社会部デスク、うち2006~2007年は司法キャップ(橋梁談合、ライブドア事件、村上ファンド事件、福島県知事逮捕、光市事件最高裁判決、記者証言拒絶最高裁決定、松本智津夫被告の死刑確定、秋葉原事件、裁判員裁判スタートなど)。
2009年4月参院法務委員会参考人(裁判員法)。
2009年以降社会部編集委員(司法担当)や編集局編集委員(NEWSロースクール担当)などを経て、2016年1月から編集委員室編集委員兼論説委員。
 
著書に『知る、考える裁判員制度』(岩波ブックレット)。共著には『現代ジャーナリズム事典』(三省堂)、『裁判員司法』(日本評論社)、『銀行が喰いつくされた日』(講談社+α文庫)、『裁かれる教祖』(共同通信社)など。
 

講師からのメッセージ 

 経歴にあるように司法や事件を担当する記者、デスク、編集委員をしてきました。内閣に1999年から2001年まで置かれた司法制度改革審議会も取材しました。司法制度改革は規制緩和やコストカット、利益の出る分野への資金・労働力の移行などを進めると、訴訟や法律相談案件が増えるので、法曹を大幅に増やし、司法を強化しようというものでした。審議会の意見書では、法科大学院を創設して法曹の質も高め「国民の社会生活上の医師」として法的サービスを提供するという将来像を描いていました。
 意見書が出た2001年当時、それぞれ約2,200人、約1,400人、約18,000人だった裁判官(簡裁判事除く)、検察官(副検事除く)、弁護士は昨年、約3,000人、約1,900人、約36,000人にまでなりましたが、訴訟や法律相談案件は増えていません。法曹の質はどうでしょう。また法曹の増員とバーター的に導入された裁判員裁判も辞退率65%、選任手続き欠席率40%で、裁判員に就任する有権者は限定されています。これらの問題をめぐり、小言を聞いてください。
 一方、審議会は意見書で「政治部門が心臓と動脈に当たるとすれば、司法部門は静脈に当たると言えよう」と指摘していました。報道にも同様に「静脈」の役割があると考えますが、果たして期待に応えているでしょうか。この点もお話ししたいと思います。