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明日の法律家講座 東京校第271回

2018年5月26日(土)実施

冤罪が発生する刑事手続きの問題点の検証~具体的事件を素材にして

【講師】 今村 核 氏(弁護士、「旬報法律事務所」所属)
 
 


講師プロフィール

今村 核 氏(弁護士、「旬報法律事務所」所属)

今村核氏
<学歴と主な職歴>
東京大学法学部卒
司法修習44期
1992年弁護士登録
第二東京弁護士会
<趣味>
(1)将棋
(2)生物学、生理学、生化学、認知心理学等の人間科学、情報科学等のリテラシーを学ぶこと  
<主な活動内容>
日本弁護士連合会全国冤罪事件弁護団協議会座長
法と心理学会 理事

<著書>
『冤罪弁護士』(旬報社 2008年) 
『冤罪と裁判』(講談社現代新書 2012年)
シリーズ刑事司法を考える第1巻『供述をめぐる問題』(岩波書店 2017年、執筆分担「間違った目撃・被害者供述はどのように生じるか」)、等多数。
 

講師からのメッセージ 

 日本の刑事裁判の有罪率は99.9%を超えます。皆さま方には刑事裁判は自分と関係がない、どこか遠い世界のことと感じられ、たまに新聞やテレビ等のマスコミが冤罪事件を報道しても、自分の日常生活とは結びつきにくいかもしれません。
 しかし、私のこれまでの経験では、ごく平凡な日常生活を送っていた人が冤罪の犠牲にされるのです。死刑などの大事件でなく、罰金や軽い懲役刑、執行猶予がついたりする事件では、たとえ無実であっても、被告人は司法の現状に絶望してたたかいをあきらめることが往々にしてあります。この結果、冤罪・誤判が闇に葬られてしまうのです。わが国の刑事裁判が、無実の被告人にとって、どんなに冷たい姿で聳え立っているのか、自分が被告人とされて初めて知ることになるのが現実です。
 2009年度から裁判員制度が始まりました。その結果、以前よりは、刑事裁判に対する市民的な関心が高まっています。ただ法曹界の動きは、「市民の負担を軽くするため、どうやって裁判を早く終わらせるか」という方向に流れつつあります。しかし冤罪・誤判への反省抜きに「裁判を早く終わらせる」ことばかりを目指せば、わが国の司法の状況はより深刻化します。
 私は弁護士として、これまで、いくつもの冤罪事件に立ち会ってきました。これまでの経験を基に、「無実の人が有罪にされる」ことのないようにするためには、わが国の刑事司法はどうあらねばならないかを皆さんとともに考えたいと思います。

伊藤塾から

2016年11月28日と2016年12月20日のNHK総合テレビで、2回にわたって「ブレイブ勇敢なる者 『えん罪弁護士』」というタイトルで今村先生のご活躍の様子がご紹介されました。なお、この番組は、(第54回ギャラクシー賞テレビ部門)で入賞しました。