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明日の法律家講座 東京校第291回

2020年1月11日(土)実施

マチ弁から最高裁判事へ~お気の毒な弁護士が歩いてきた道

山浦 善樹 氏(元最高裁判所判事、弁護士)
 


講師プロフィール

山浦 善樹 氏(元最高裁判所判事、弁護士)

山浦 善樹氏
1969年 一橋大学法学部卒業、(旧)三菱銀行入社
1970年 三菱銀行退社
1971年 旧司法試験合格
1972年 最高裁判所司法研修所司法修習生(26期)
1974年 司法修習修了、弁護士登録(東京弁護士会)
1979年 最高裁判所司法研修所付
1996年 最高裁判所司法研修所民事弁護教官
1999年 東京弁護士会民事訴訟問題特別委員会委員長
2000年 法務省司法試験考査委員(民事訴訟法)
2001年 日本民事訴訟法学会理事
2003年 法務省新司法試験実施に係る研究調査会委員
2004年 山梨学院大学大学院法務研究科教授
2008年 筑波大学大学院ビジネス科学研究科法曹専攻教授
2011年 中央大学大学院法務研究科客員教授
2012年 最高裁判所判事
2016年 弁護士登録(再)(東京弁護士会)
2017年 旭日大綬章受章

 

講師からのメッセージ 

2011年1月、最高裁判事の推薦人事が進められていることを知らず、いつものように夜遅くまで事務所で仕事をしていたとき電話が鳴った。「山浦君、元気か、今年は最高裁判事のなりてが一人もいないんだって、明日が締切りだが、お前出てみないか」という友人からだった。立候補者がいないことに違和感を感じ、即座に「じゃぁオレ出てみるよ」。そして、もし決まったら事務所をたたむ必要があったので、依頼者に「しばらく事件を受けられない」と言うと、心配そうな顔で「先生、何かあったんですか」。「いや、実は最高裁判事に立候補した、もしそうなると弁護士をやめるしかない」というと、彼は笑いながら「先生、なに考えているの、先生は大学時代は学生運動やバイトばかりでロクに大学にもいかず、銀行員失格で、大学院にもいかず、著名事件の経験もない、大事務所でもない、東大や中大卒でもない、留学経験もない、おまけに金もない…そんな人が最高裁判事になんて、なれるわけないでしょう!」。そういえばそうだと安心した。
そんな弁護士が歩いてきた道を振り返ります。