明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第296回

2020年10月24日(土)実施

「検事は弁護士に、弁護士は検事にどう見えるか~冤罪防止に向けて」

市川 寛 氏(弁護士・元検察官)

 


講師プロフィール

市川 寛 氏(弁護士・元検察官)

市川寛氏
1989年 中央大学法学部法律学科卒業
1990年 司法試験合格
1993年 検事任官。横浜地検、大阪地検、佐賀地検などで勤務。
2005年 辞職
2007年 弁護士登録

講師からのメッセージ 

2019年にはいわゆる松橋事件が、2020年にはいわゆる湖東記念病院事件がどちらも再審で無罪となりましたが、これらの事件が再審に至るまでには、検察による特別抗告などの激しい抵抗がありました。また、どちらの事件でも検察が無罪判決につながったかもしれない証拠を弁護人に開示しなかったことも明らかになっており、今日もなお、検察が無罪判決を嫌うことに端を発する問題が山積しています。
 ですが、検察が「無実と分かっていても敢えて抵抗している」とまではにわかに考え難く、無罪判決を嫌うのは検察なりの理由があります。その理由が外部から理解されないことが問題なのです。
 司法試験に合格し、司法修習を終えた人が検事任官すると、直ちに組織的に教育されて名実ともに検事になっていきますが、この教育課程で弁護士に対する見方も固定されます。この偏見とも言える弁護士への視点も、検察が無罪判決を嫌う理由の一つであり、同時に冤罪を招く理由の一つでもあります。
 他方で、刑事弁護を手がける弁護士もまた、平素の検事の振る舞いに業を煮やしてか、検事に対する偏見を強める傾向があります。
 制度上の対立当事者とはいえ、検事と弁護士が過度に争うことが本当に冤罪防止に役立つのか。冤罪防止のため、検事と弁護士はそれぞれどうすべきか。双方の経験を踏まえて語ることができたらと思っています。