明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第323回

2023年1月14日(土)実施

在外日本人国民審査権訴訟大法廷判決とその行く先

 

講師プロフィール

吉田 京子 氏
(弁護士、「高野隆法律事務所」パートナー、元裁判官)

吉田 京子 氏
2001年 愛知県立岡崎高校卒業
2005年 東京大学法学部卒業
2007年 東京大学法科大学院修了
2009年 裁判官任官、東京地方裁判所勤務
2011年 退官
2013年 弁護士登録
2020年 UC Hastings College of the Law 修了(LL.M., 刑事法専攻)

【著作等】  
「逮捕の必要性」高麗邦彦/芦澤政治編『令状に関する理論と実務Ⅰ 別冊判例タイムズ34号』(判例タイムズ社、2012年)

講師からのメッセージ

 私は大学で高橋和之先生に憲法を教わりました。高橋先生とほか3名の先生方の書かれた憲法の教科書を読みました。もしかすると、皆さんの中にも、同じ本で憲法を勉強されている方がおられるかもしれません。これは二分冊の分厚い本で、本当のことを言うと、当時の私にとっては少し荷が重く感じていました。
 さて、それから20年経ちました。弁護士になって、最高裁判所の大法廷で弁論をしました。15名の裁判官全員一致で違憲判決を得ました。新聞やテレビでも報じられ、恩師や懐かしい友人たちからもわざわざ祝福と激励のメッセージをいただきました。大変ありがたいことです。でも、それで終わりではありません。まだやらなければならないことがあります。そのうちの一つが、受刑者の選挙権です。
 昨年8月に、受刑者の選挙権を制限する公職選挙法の憲法適合性を問う訴訟を提起しました。その準備のために文献を読んでおりますと、あの懐かしい本に行き当たりました。高橋先生の書かれた『憲法』という本です。共著者のお一人が亡くなっているためか、残念ながら2012年の第5版を最後に改訂はされていないようでした。その2012年のものを手に取って読みますと、そこに、受刑者の選挙権についての記載がありました。もしもお手元にあるようなら、ぜひ皆さんもそれを読んでみてください。
 私がそれを読んだのは、提訴日が迫るある週末の夜です。その日、弁護士として働き暮らす喜びを改めて強く感じることができました。同時に、若く不安な時代にそれでも勉強だけはしていた自分や友人たちのことを思いました。法学徒としての皆さんの日々の先に、どんな素晴らしいことが待っているのか、さらに詳しくお話しさせていただきたいと思います。