明日の法律家講座 東京校第368回

2025年5月31日(土)実施

【シリーズ】憲法と国際人権法による人権保障ービジネスと人権ー

なぜ「ビジネスと人権」?社会に変化をもたらすツールとして

 講師

伊藤 和子 先生

伊藤 和子 先生
(弁護士、ヒューマンライツナウ 副理事長)
【プロフィール】
1994年弁護士登録(東京弁護士会所属)、
以後女性、子どもの権利、冤罪など、人権課題に関わって活動。
2004年、ニューヨーク大学ロースクール客員研究員を経て、2006年、日本発の国際人権NGOヒューマンライツ・ナウの立ち上げに関わり、以後2022年まで事務局長。
現在、ヒューマンライツ・ナウ副理事長としてビジネスと人権、ジェンダー平等その他の課題に取り組み、国内外の人権問題の解決を求めて活動中。
2023年、ビジネスと人権に関する研究について早稲田大学から法学博士号を授与される。2025年岩波新書「ビジネスと人権-人を大切にしない社会を変える」を出版。
他の著書に「人権は国境を越えて」(岩波ジュニア新書)「なぜ、それが無罪なのか 性被害を軽視する日本の司法」(ディスカヴァリー携書)など。
日弁連両性の平等に関する委員会委員。WWF ジャパン評議委員、慶應義塾大学ロースクール講師。

講師からのメッセージ  

「ビジネスと人権」という言葉を耳にしたことがありますか?これまで人権保障の担い手は国家のみと理解されてきましたが、企業による人権侵害が深刻化するなか、2011年に国連人権理事会で「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択され、企業に人権を尊重する責任があると明記されました。
日本企業も、この原則に基づく人権の取り組みを進めつつあります。しかし、旧ジャニーズ、フジテレビ問題にみられる通り、企業の取り組みは表面的で不十分、何が「人権」かの理解に欠ける経営層の主導で、今も人を大切にしないビジネスが展開されています。どうしたら「ビジネスと人権」の論理を援用し、社会の様々な課題を前に進めることができるか一緒に考えたいと思います。