Vol.16 弁護士 瀨川将平先生
不動産ファイナンスへの始まりは高校時代の進路相談。変わらない、"守る"志。
所属:TMI総合法律事務所
担当分野:ファイナンス法務
反骨心が火を付けた、法律家への道
Q.自己紹介をお願いいたします。
瀨川将平と申します。
主な業務内容は、不動産ファイナンス業務(不動産の取得・開発(レジ、物流施設、ホテル等)に伴う資金調達(銀行からの融資、投資家からの投資)を巡る法務対応(許認可取得、契約書ドラフト・レビュー)、当該不動産の運用中の期中管理支援等)です。
Q.法律家を志した理由は何でしょうか?
高校生の時から(完全に文系脳だった私が就けそうな職業の中で)なんとなく弁護士がかっこいいなと思っていたが、当時の担任の先生との面談で、私の出身校から弁護士になった人がほとんどいないこと等を踏まえて現実的に難しいのではないかといわれ、火が付きました。
その後、大学受験は全て法学部を受験し、最終的には明治大学法学部に入学することにしましたが、そこで入部した法律相談部にて4年間、週に1回、弁護士の監修のもとで一般の方の法律相談に乗る活動をしていました。また、アルバイトとしても中村国際刑事法律事務所にて刑事事件専門の弁護士の活動を間近で見る機会をいただきました。その際に出会った弁護士の先生のお話し等を聞いて、単にかっこいいからというだけではなく、人の相談に乗り、個人や企業の権利を守り、より良い社会づくりに役立つ弁護士として自分も活躍したいと思うようになり、本当の意味で法律家となることを目指しました。
Q.学生時代から今へ、志は変わりましたか?
人の相談に乗り、個人や企業の権利を守り、より良い社会づくりに役立ちたいという志のコアの部分は何も変わっていません。他方で、学生時代には主には個人をクライアントとする弁護士の先生との交流を持つことが多かったところ、現在は企業法務を業務の中心とする事務所に入所し、担当案件としても銀行やファンドをクライアントとするものが多くなっており、このような立場の変化を踏まえて、実際の業務におけるクライアントの利益の最大化を目指すというのが、現在の私の弁護士としての志となっています。
Q.志を持ち続けるうえで、迷いや葛藤があった時期はありましたか?また、どのように乗り越えましたか?(法曹以外の道との比較など)
司法試験の受験勉強中は合格できるのかという不安に日々悩まされ(現在も日々の業務の多忙さから)、法曹以外の道を考えたこともありましたが、どんな仕事であっても楽な仕事はないなかで、最終的に自分が納得して、苦労や努力を嫌にならない道はなにかを考えたときにはやはり法律家の道が良いなと思うので、日々迷いや葛藤を抱えて悩むたびに考え、自分のなかで整理をつけることで乗り越えています。
多種多様なエキスパートが揃う事務所へ
Q.どうして貴所を選びましたか?
私の就職活動時はコロナの影響で長期休暇中のインターン等の実施が制限されていたのですが、面接の際にお話ししたTMI総合法律事務所(以下「TMI」といいます。)の弁護士の先生方がどの先生も非常に素敵で、人柄もよく、この事務所であれば大規模事務所であることで多種多様な業務経験を、非常に良い環境で積むことができると考えたため、所属先のTMIを選びました。
Q.貴所の魅力を教えてください。
TMIの魅力はなんといっても所員の人柄・面倒見の良さと、それによる事務所としての一体感だと思います。また、業務においても様々な分野のエキスパートが弁護士として所属しており、あらゆる法律事務を高いレベルで、ワンストップで行うことができる点が魅力だと思います。
また、アソシエイトの立場からすると、様々な分野のエキスパートから多様な刺激や学びを得て、同期とも切磋琢磨しながら自らの能力を先鋭化することができる点は魅力的だなと思っています。
また、事務所内の交流もユニークなものが多くあり、事務所内に設置されたピアノを用いたピアノサロン(プロの奏者をお呼びすることもあります)や、ワインセミナー等が実施されています。
教科書では通用しない、実務で知った現実
Q.これまで、具体的にどのような実務に取り組みましたか?
これまでには訴訟、デューディリジェンス、企業統合支援、不正調査の他、現在の主要業務である不動産ファイナンス業務を行ってきました。
Q.実務の魅力や遣り甲斐、苦悩を教えてください。
やはり司法試験で勉強してきたことがそのまま妥当しないところに入所直後は戸惑いを感じていました。実際の案件は法律の教科書には書いていない当事者の心情や、当該取引における取引慣行・実務、当該案件特有の専門知識(例えば建築実務等)を踏まえた検討を行う必要があり、司法試験の延長線というだけでは表現できない難しさが実務にはあると思います。このような実務における難しさも、結局は司法試験で学んだことがベースとなり解決に向かうことは間違いがないため、自分の中の知識・経験をベースに新たな知見も吸収しつつ、実務を解決しようとするのが苦悩でもあり、やりがいだと思います。
Q.これまでで最も記憶に残っている実務やプロジェクトの内容と、理由を教えてください。
これまでで最も記憶が残っている案件は不動産ファイナンスにおいては某ホテルの開発・投資案件に携わったことがあげられます。この案件は早朝から深夜までクライアントの担当者と悩みながら案件対応を進めていたのですが、無事にホテル開発が完了し、開業するにいたりました。このホテルにはまだ宿泊できていないのですが、お昼のワイドナショーで取材されるなど社会的に一定の知名度を取得しており、某ホテルの近くに行くたびに案件を思い起こしています。
また、M&Aの売り手側のアドバイザーとして携わった経験も記憶に残っています。この案件では1年目弁護士の際にクライアントの行っているビジネスに対する理解が不十分なままに、株式譲渡契約の検討をしていた際に、パートナー弁護士からクライアントのビジネスがよくわかっていないだろうとの指摘を受けてクライアントの運営している施設等に見学に行き、実際にサービスを受けてみたりして、より深い検討を行うことができるようになり、クライアント利益の最大化を図ることができたと思っています。
Q.志を実現するため、特に磨いたスキルなどはありますか?
現在、4年目の弁護士でまだまだ至らないところばかりであり研鑽中ですが、クライアントのやりたいことが何かを正確に理解するためのヒアリング力、クライアントの意向を正確に聞き出すためのコミュニケーション能力は特に磨いてきた自負があります。また、聞き出したクライアントの意向を法的に正しい方法・内容でアウトプットするための文章力や知見についても磨いているところです。
合格の裏にあった、「添え木」の存在
Q.伊藤塾で、どのような学びや気付きを得ましたか?
伊藤塾では司法試験に合格するためのベースとして必要となる知識を得るとともに、ベースの知識を応用して個別の問題に対応するために必要となる法的な思考力(リーガルマインド)を授けてもらったと思っています。
また、同じく伊藤塾に通う仲間も沢山いたので自主ゼミを組んでお互いの答案を添削しあったりして切磋琢磨もしました。ベースとなる知識が同じなので考え方や点の伸ばし方も同じようなことが多く、議論のスタート地点が同じであることも非常に良かったです。
また、伊藤塾に通ったことで早期に知識をインプットして、アウトプットの訓練や知識の応用に時間を使うことができ、それによって早期合格を果たせたことが私のキャリア形成の根幹にあると思っています。
Q.伊藤塾の最大の魅力や価値は何だと思いますか?
伊藤塾の魅力は教材の網羅性、講師のレベルの高さにあると思います。多くの人がいうように司法試験の勉強は手当たり次第にやれば良いというわけではなく、自分のキャパシティの限度に手を広げるのを抑えつつ、知識を深化させることが肝要になると思いますが、伊藤塾では網羅的なテキストをベースに講師の授業を受けることで、論点の重要度が理解でき、必要十分な範囲で力をつけていくことができます。
イメージとしては添え木のようなものだと思っていて、伊藤塾は私が法律家として伸びていく方向を一定のところまで支えてまっすぐ伸ばしてくれるからこそ、方向性を誤らないで努力をすることができ、早期合格につながったと思っています。
また、価値という意味でいうと法律家としての知識を習得することも言うまでもなく重要であり、伊藤塾においてそれがかなっているという面もありますが、早期合格が叶うことにより、早くに働き始めることができるので生涯年収や多様な経験値を積むという意味でも価値があると思っています。
法律を学ぶと、世界はこう見える
Q.法律家を志す方へメッセージをお願いいたします。
受験勉強中はまさに出口の見えないトンネルで、出口が見えない苦しさがあると思います。しかし、勉強を続けることで確かに前には進んでいて、正しい方向の努力を怠らないことにより道が開けると思います。伊藤塾はまさに皆さんの添え木だと思いますので、伊藤塾で学びを栄養素にしつつ、伊藤塾で出会える人間関係がもたらす情報も糧に、正しい方向の努力を続けてください。伊藤塾の先輩として皆さんと実務の世界で会うことを楽しみにしています。
Q.法律を学ぶ意義はどんな点にあると思いますか?
法律を学ぶことの意義は社会がよりよく見えるようになるという点が1つあると思います。日々のニュースを見ていても例えば刑事事件等は刑事訴訟法を学んでいれば推定無罪の原則等を踏まえて世論に惑わされずに冷静に見ることができると思います。憲法を学んでいれば国会がどのような動きをしているのかより高い解像度で見ることができるようになると思います。法律を知ることで世界を見る目も変わると思いますので、それが法律を学ぶ意義の一つだと思っています。
また、法律は個人や法人の権利を守るものですので、法律を学ぶことにより、自分の大切な人を守ることができたり、それこそクライアントの利益の最大化を図ることができるようになります。人から頼られた時になにもできないもどかしさを感じず済むという意味で法律を学ぶ意義があると思います。
Q.志と実力の関係を、どのように考えますか?
自省も含めてですが、志がなければ実力は身につかないと思います。
また、実力がなければ崇高な志も実現できないと思います。「志半ば、、」ということにならないよう、高い志をもって、日々努力に励むことが法律家として大成するために必要なことだと思います。
「使い勝手の良い」弁護士へ
Q.どのような弁護士像が理想ですか?
クライアントにとって、頼りがいのある使い勝手の良い弁護士になることが理想です。
使い勝手という言葉が色々な受け取り方があるかもしれませんが、困ったときに相談しやすく、要求したアウトプットを適切に出してくれる弁護士というのが「使い勝手の良い弁護士」だと思っています。
Q.今後の展望を教えてください。
今後もきちんと志をもって、大規模事務所の中で埋もれることなく、自分のキャラクターを発揮して自分が活躍できる土俵を探し、作ることでクライアント利益の最大化、ひいてはより良い社会の実現に向けて努力していきたいと思っています。
まとめ
現場を深く理解するために自ら足を運び、相手の立場になって考え抜く姿勢からは、実務への誠実さと探求心が伝わる。
迷いや葛藤を受け止めながらも、納得できる道を選び続けたこれまでの積み重ねが、相手の意図を丁寧に汲み取り、最適な答えを導く現在の実務にも繋がっている。

