明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第230回

2015年3月14日実施
 

現代中国社会の変動が教えるもの~法曹を目指す皆さんへの期待

 【講師】
阿古 智子 氏(東京大学大学院総合文化准教授)


講師プロフィール

阿古 智子 氏(東京大学大学院総合文化准教授)

阿古 智子 氏
大阪府生まれ。
大阪外国語大学外国語学部中国語学科卒
名古屋大学国際開発研究科修士課程修了
香港大学教育学系Ph.D(博士)取得
在中国日本大使館専門調査員
姫路獨協大学助教授、学習院女子大学准教授、早稲田大学准教授を経て、2013年より現職
 
現代中国の社会変動が主な研究テーマ
「貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告」(新潮選書、2014年)をはじめ著作多数。
 

講師からのメッセージ 

25年にわたって、中国各地でフィールドワークを続けています。
 
低所得者に売血をよびかけ、仲介業者が暴利を得る形で展開された1990年代の血液ビジネスは多くのエイズ感染者を出しましたが、ほとんどの人が補償も賠償も得られないまま泣き寝入りさせられています。環境汚染で農作物がほとんどとれなくなった村では、汚染源である工場の長が村長に就任することで村人たちの訴訟や陳情を抑え込みました。中国では司法の独立が保障されておらず、このように社会的弱者は苦しい立場に追い込まれるばかりです。
一方、中国でビジネスを展開する日本企業も、下請け企業を含む労働問題や環境問題に迅速かつ実質的に対応する必要があり、一層の努力が求められています。
 
日中関係はなかなかよくなりませんが、法の支配は、国境を越えた公共圏をつくるために最も重要な普遍的価値であり、皆さんの国際的な活躍を期待しています。

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明日の法律家講座 東京校第224回

2014年10月1日(水)実施
 

刑事司法のあるべき姿を考える~裁判員制度等に触れながら~

【講師】 
樋渡 利秋 氏(弁護士、「TMI総合法律事務所」顧問、元検事総長)


講師プロフィール

樋渡 利秋 氏(弁護士、「TMI総合法律事務所」顧問、元検事総長)

樋渡 利秋 氏
兵庫県生まれ
1968年 東京大学法学部卒業
1970年 司法修習修了(22期)と同時に東京地方検察庁検事に任官。
1978年 外務大臣官房領事移住部(現領事局)
1980年 東京地方検察庁検事
1992年 東京高等検察庁検事兼最高裁判所司法研修所教官
1995年 法務大臣官房審議官(入国管理局担当)
1997年 最高検察庁検事
1999年 法務大臣官房総務審議官
1999年 内閣官房内閣審議官兼内閣司法制度改革審議会事務局長
2001年 内閣官房司法制度改革推進準備室長
2001年 最高検察庁総務部長
2002年 法務省刑事局長
2004年 法務事務次官
2006年 広島高等検察庁検事長
2006年 東京高等検察庁検事長
2008年7月 第24代検事総長
2010年6月 検事総長を退任。
2010年9月弁護士登録(第一東京弁護士会)、TMI総合法律事務所顧問
 
 

講師からのメッセージ 

 裁判員制度が始まって5年、その間、裁判員・補充裁判員として関わった国民は5万人に及び、その下した判決は6,500件です。
 この制度導入以来、刑事裁判の姿は大きく変わりました。一般の国民にも分かりやすくかつ迅速な審理にするため、法廷での審理の在り方自体を見つめ直すとともに、公判前整理手続制度を入れ、証拠開示の拡充や取調過程の可視化を図ってきたからです。刑事司法の改革はまだ続いています。今年7月、法制審議会に設けられていた「新時代の刑事司法制度特別部会」は、その調査審議の結果を取りまとめ、取調過程の録音・録画の義務化やいわゆる司法取引・刑事免責などの新しい制度の導入など多岐にわたる提言をしています。来年早々にもこれらの改革案が国会で審議されることになるでしょう。
 しかし、制度の改革だけでなく、この一連の司法制度改革には忘れてはならない理念があります。裁判員制度も、裁判に国民の意思を反映させながら、「司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資する」ことを目的としているように、国民の目線での改革ということです。法曹養成制度も、法曹人口問題と微妙に絡みながら様々に批判されていますが、国民の眼にはどのように映っているでしょうか。この視点からの検証も必要でしょう。多くの問題を語るには短い時間ですが、考えるきっかけの一助になればと思います。

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明日の法律家講座 東京校第225回

2014年10月25日(土)実施
 

裁判官から弁護士へ~法曹としてのこれまで、そしてこれから~

【講師】 
白川 敬裕 氏(弁護士、「原・白川法律事務所」パートナー、元裁判官)


講師プロフィール

白川 敬裕 氏(弁護士、「原・白川法律事務所」パートナー、元裁判官)

白川 敬裕 氏
1975年 福岡県北九州市生まれ。
東京大学法学部卒、大学4年在学中に司法試験に合格。
司法修習(52期)を経て、 24歳で裁判官に任官。
任官後、民事訴訟、医療訴訟、行政訴訟、刑事訴訟等に左陪席裁判官として関わる。民事保全、証拠保全、民事執行、破産、令状等も担当。 
2003年 弁護士に転身。
現在の仕事の6割は中小企業の総合的法律援助(紛争予防法務、債権回収、示談・訴訟対応、会社法実務、契約書その他法律文書の立案・鑑定、労使関係等)。
その他は、起業支援、著作権、相続・親族関係、交通事故、借地借家等。
 
医療やメンタルヘルスの分野にも力を入れており、2011年NPO法人日本融合医療研究会の理事に就任。
 
[著書]
「会社の健康リスク対策は万全か」(フィスメック)
「ビジネスの法律を学べ!」「憲法がヤバい」(ディスカバー・トゥエンティワン)
「本物の勉強法」(ダイヤモンド社)
 

講師からのメッセージ 

弁護士も、裁判官も、やりがいのある仕事です。私は、裁判所に絶望して裁判官を退官したわけではありません。3年間の裁判官時代は、刑事裁判(1~2年目)、民事裁判(3年目)の両方を経験し、その間、令状発布、個人破産、少年審判等も担当したほか、2年目には、4か月間、大手通信会社で研修し、海外出張にも参加しました(裁判官の民間企業研修)。裁判官としての経験は、現在の弁護士業務に確実に活かされています。
 
個人的な事情で裁判官を退官した後、数年間は、いわゆる「イソ弁」として法律事務所の事件を担当しました。その後、事務所の突発的な事情により、急きょ、パートナーに就任。給与がゼロになり、専ら自分の仕事だけで稼ぐ必要に迫られました。収入が厳しい時期もありましたが、私の身を助けたのは「勉強」でした。「勉強」には、自己の実力を高める効用だけでなく、他者との関係を築く効用もあります。現在の私の弁護士業務は、「勉強」によって築かれた人間関係によって支えられています。
 
私が裁判官だった頃は、「裁判官は世間知らず」というフレーズが流行りました。私が弁護士になってからは、弁護士人口が急増し、「弁護士過剰」という語句が流行っています。しかし、弁護士も、裁判官も、将来性のある魅力的な職業です。法律家を目指す皆さんには、流行りの文句に惑わされることなく、プラスの将来像を思い描きながら、日々の勉強に励んで頂きたいと願っています。
 
その一助となるべく、今回の講演では、弁護士と裁判官、それぞれの実情とやりがい、私が裁判官から弁護士に転身した理由、受験時代の勉強習慣が活かされた経験、これからの法曹に求められる素養などをお話ししたいと思います。

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明日の法律家講座 東京校第220回

2014年5月31日(土)実施
 

『電通→弁護士→経産省→中国で経営者』に至るまでの軌跡と雑感

【講師】 
分部 悠介 氏(IP FORWARDグループ総代表・CEO/日本国弁護士・弁理士・元伊藤塾塾生)


講師プロフィール

分部 悠介 氏(IP FORWARDグループ総代表・CEO/日本国弁護士・弁理士・元伊藤塾塾生)

分部 悠介 氏
日本国弁護士・弁理士
東京大学在学中1999年司法試験合格
2000年 同大学経済学部卒業。
同年   株式会社電通入社、映画・音楽・キャラクタービジネス等のコンテンツビジネス実務に関与。
2003年 弁護士登録。
同年   日本最大級の総合企業法務弁護士事務所の長島・大野・常松法律事務所に入所し、企業法務、知財法務全般に関与。
2006年~2009年 経済産業省模倣品対策・通商室に出向し、初代模倣対策専門官弁護士として、中国、インド、東南アジア、中近東諸国の知的財産権法制度の調査・分析、関係各国政府との協議、権利者企業からの知的財産権侵害被害に係る相談対応などを担当。
2009年 渡中後、模倣品対策専門調査会社、中国律師事務所での勤務を経て、IP FORWARDグループを創設。
現在   同グループを統括すると同時に、多くの日本、欧米企業に対して、中国、知財に係る問題を中心にサポートしている。

論文等
2014年 JETROバンコク委託事業「ASEANにおける模倣品及び海賊版の消費・流通実態調査」
2014年 JETRO上海委託事業「中国製模倣品のグローバル拡散状況実態調査」
2014年 知財研フォーラム96号「中国商標法第三次改正の要点と実務への影響」
2013年 国際商事法務618号「中国商標法第三次改正の要点と実務への影響」
2013年 知財研フォーラム92号「中国税関における知的財産保護制度の概要」
2012年 知財研フォーラム91号「中国における効果的なデザイン保護戦略のあり方」
2012年 知財研フォーラム89号「中国不正競争防止法の模倣対策への効果的活用と改正概況」
2012年 知財研フォーラム88号「中国商標法最新改正案の主要なポイントの紹介及び考察」
講演も多数行い、テレビ等にも多数出演している。
 
 

講師からのメッセージ 

 私が司法試験に合格した15年前、何か人と違うことをしたいという思い、知的財産権分野への興味から、電通に入社して、映画やアニメへの投資、権利売買の仕事をさせてもらいました。その後、総合法律事務所、経産省出向を経て、中国・上海で知財、模倣対策専門のコンサルティング会社を設立起業し、現在は、中国に8拠点、社員総数60名(中国人社員が9割)の体制となり、業務範囲も東南アジアに拡大し、最近は、アニメ・漫画の売買・ライセンスの仲介等の権利ビジネスのサポート等も行っています。
 私が弁護士になった時には、まさか自分が中国で経営することになるとは夢にも思っておらず、単に、弁護士の資格を武器に、オンリーワンの業務ができないか、と常に考えて、色々と新しいことにチャレンジし続けた結果、今の立場に至ったというのが正直なところです。昨今、弁護士の数が増加しているため、特に企業法務の分野では既存の確立された業務だけをやろうとしても容易ではございません。他方で、時代が様々な点で急速に変化する中、弁護士が活躍できる新しい分野も出てきており、今後、常に、新しい分野を自分で見つけて、創っていく、という発想はより重要になってくるように思います。
 私も、まだ道半ばですが、今までの私の軌跡、考えを説明することで、少しでもこうしたことを考える上でのヒントになれば、と思っています。

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明日の法律家講座 東京校第221回

2014年6月14日(土)実施
 

今こそ司法を国民、市民の手に!~元裁判官からの提言

【講師】 
瀬木 比呂志 氏(明治大学法科大学院教授、元裁判官)


講師プロフィール

瀬木 比呂志 氏(明治大学法科大学院教授、元裁判官)

瀬木 比呂志 氏
名古屋市出身。
東京大学法学部在学中に司法試験に合格(修習は31期)。
1979年以降 裁判官として東京地裁、最高裁等に勤務、アメリカ留学。
       並行して研究、執筆や学会報告を行う。
2012年    明治大学法科大学院専任教授に就任。
        民事訴訟法、同演習、民事執行・保全法等を担当。
 
 
<著書>
研究の総論『民事訴訟の本質と諸相』、体系書『民事保全法〔新訂版〕』(以上日本評論社〔後者は近刊〕)、実務と法制度の理論的解明書『民事訴訟実務と制度の焦点』、弁護士実務と法的思考に関するケースブック『ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断』、論文集『民事裁判実務と理論の架橋』(以上判例タイムズ社)等のほか、関根牧彦の筆名による『内的転向論』(思想の科学社)、『心を求めて』(騒人社)、『映画館の妖精』(同)、『対話としての読書』(判例タイムズ社)等多数。
特に本年2月発刊の日本の裁判所・裁判官制度の包括的批判『絶望の裁判所』(講談社現代新書)は、司法界に大きな問題提起を行ったのみならず、多くのマスコミ等で取り上げられ、韓国版翻訳が決定し、アメリカ等海外からの反響も高まっている。
 

講師からのメッセージ 

 私は、33年間民事系の裁判官を務め、うち20年余りについては、研究、執筆も並行して行ってきました。しかし、2000年前後から、裁判官の支配、統制が急速に進行し、裁判官たちの能力やモラルが低下するのを肌で感じ、もはや裁判所に自分の居場所はないと考え、いくつかの大学からのお話しがあった中、2012年に明治大学に移りました。
 『絶望の裁判所』は、司法、法律系の書物、新書としてはほとんど初めてといってよいほどの大きな反響を呼びました。部数もありますが、法律家やビジネスマンを始めとするインテリ層の反応はそれ以上に大きく、また、40以上のさまざまなメディアが取り上げ、その扱いも大きなものが多かったのです。さらに、海外からの反響も徐々に出てきています。
 この書物が広く受け入れられた理由の一つは、日本の裁判所、裁判官が抱えるさまざまな問題を、インサイダーとアウトサイダー双方の視点から包括的、構造的に批判、分析した書物がそれまでに存在しなかったことによると考えますが、もう一つの理由として、司法、裁判に対する人々の不信と不満が耐えがたいほどに鬱積していたことがあるのではないかと思います。この講演では、そのような司法の現状、また今後の展望についてお話しし、明日の法律家にとっても他人事ではない問題について一緒に考えていただきたいと思います。

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明日の法律家講座 東京校第222回

2014年7月5日(土)実施
 

財務官僚から弁護士への転進

【講師】 
山口 真由 氏(弁護士、「長島・大野・常松法律事務所」所属)


講師プロフィール

山口 真由 氏(弁護士、「長島・大野・常松法律事務所」所属)

山口 真由 氏
1983年(昭和58年)札幌市出身。
筑波大学附属高等学校進学を機に単身上京。
2002年に、東京大学へ入学し法学部に進み、3年次に司法試験、翌年には国家公務員 I 種<現:国家公務員(総合職)>に合格。
また、学業と並行して、東京大学運動会男子ラクロス部のマネージャーも務める。
学業成績は在学中4年間を通じて“オール優”で、4年次には「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け、2006年3月に首席で卒業。
同年4月に財務省に入省し、主税局に配属。
主に国際課税を含む租税政策に従事。
2008年に財務省を退官し、2009年に弁護士登録。
現在は主に、企業法務を担当する弁護士として活動するかたわら、テレビ番組や執筆等でも活躍中。
 
【業務分野】
企業買収(M&A)、プライベートエクイティ・ベンチャーキャピタル、国際法、メディアロウ、刑事事件、その他一般企業法務
 
【使用可能な言語】
英語
 
【著作・論文】
2014年 扶桑社『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。』
2012年 組織再編における株式買取請求等・組織再編等の差止請求
2010年 Amending the Civil Code
2009年 Consumer Affairs Agency
 
 

講師からのメッセージ 

 「ブラック企業」という言葉をネット上などで見るようになってから久しく、労働法を守らない企業に対する風当たりは厳しい世の中になっています。もちろん、悪質な企業に対してその是正を求めるのが法律の役割の一つです。
 しかし一方で、労働法遵守を叫ぶがあまり、逆に犠牲になっている労働者がいることをご存じでしょうか。
 法律は常に正しいのでしょうか?
 労働法といえば、使用者と労働者の対立構図で議論が進むことが多いのですが、実は、正社員と非正規との間など、「労労対立」の場面も少なくありません。なぜなら、究極的には、労働問題は賃金原資の適正分配というパイの問題になるからです。
 世代間の公平、実績に対する公平な処遇などを考えたときに、本当の意味での労働法の正義とは何か、これまで教科書で学んでいただけでは分からない価値観があることをお伝えしたいと思っています。
 私も伊藤塾の卒業生として、これから法曹を志す皆さんと一緒に、真のブラック企業対策とは何か、非正規雇用対策とは何か、そして、「今後の労働法はどうあるべきか」などを考えていきたいと思います!

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明日の法律家講座 東京校第223回

2014年8月30日(土)実施
 

労働法の正義を考えよう~使用者側弁護士の立場からみた、労働法の「ひずみ」とは~

【講師】 
倉重 公太朗 氏(弁護士、「安西法律事務所」所属、元伊藤塾塾生)


講師プロフィール

倉重 公太朗 氏(弁護士、「安西法律事務所」所属、元伊藤塾塾生)

倉重 公太朗 氏
慶應義塾大学経済学部卒業 
安西法律事務所所属
伊藤塾基礎マスター10期生
第一東京弁護士会所属(58期)
第一東京弁護士会労働法制委員会外国法部会副部会長
経営法曹会議会員
日本CSR普及協会雇用労働専門委員
経営者側労働法専門弁護士。労働審判・仮処分・労働訴訟の係争案件対応、団体交渉(組合・労働委員会対応)、労災対応(行政・被災者対応)を得意分野とする。企業内セミナー、経営者向けセミナー、社会保険労務士向けセミナーを多数開催。
 
著作は多数あるが、近著に「なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか」(労働調査会 著者代表)、「企業労働法実務入門」(日本リーダーズ協会 編集代表)等がある(「Amazon 倉重」 で検索)
 

講師からのメッセージ 

 「ブラック企業」という言葉をネット上などで見るようになってから久しく、労働法を守らない企業に対する風当たりは厳しい世の中になっています。もちろん、悪質な企業に対してその是正を求めるのが法律の役割の一つです。
 しかし一方で、労働法遵守を叫ぶがあまり、逆に犠牲になっている労働者がいることをご存じでしょうか。
 法律は常に正しいのでしょうか?
 労働法といえば、使用者と労働者の対立構図で議論が進むことが多いのですが、実は、正社員と非正規との間など、「労労対立」の場面も少なくありません。なぜなら、究極的には、労働問題は賃金原資の適正分配というパイの問題になるからです。
 世代間の公平、実績に対する公平な処遇などを考えたときに、本当の意味での労働法の正義とは何か、これまで教科書で学んでいただけでは分からない価値観があることをお伝えしたいと思っています。
 私も伊藤塾の卒業生として、これから法曹を志す皆さんと一緒に、真のブラック企業対策とは何か、非正規雇用対策とは何か、そして、「今後の労働法はどうあるべきか」などを考えていきたいと思います!

明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第215回

2013年12月14日(土)実施
 

民事裁判改革へのNコートの挑戦~裁判官と大学教員の経験から~

【講師】 
西口 元 氏(早稲田大学大学院教授、元裁判官)


講師プロフィール

西口 元 氏(早稲田大学大学院教授、元裁判官)

西口 元 氏
国家公務員上級職(甲種)及び司法試験合格後、早稲田大学大学院法学研究科博士課程(民事訴訟法)修了。その後、裁判官に任官し、検事に転官した後、人事院在外研究員として、アメリカ(ジョージタウン大ロースクール等)において、集団訴訟の研究に従事する。その後、裁判官に再任官し、東京地裁判事、大阪地裁判事、東京高裁判事等を経て、2013年3月に依願退官し、早稲田大学大学院教授となる。その間、早稲田大学及び立教大学において、民事訴訟法及び倒産法の講義等を担当する。
西口教授は、Nコート(対話・対席・対質を基本とする訴訟運営)の提唱者として有名であり、旧態依然とした民事訴訟の改革を唱え、「明治維新の志士」と評されることもある。また、西口教授は、裁判官時代から20年以上の間、早稲田大学で「アクティブゼミ」を担当しているが、これまで、ゼミから多くの優秀な法曹が輩出している。
なお、編著書として、『現代裁判法体系13民事訴訟』(新日本法規)、『フランチャイズの法律相談』(青林書院)等多数のものがある。
 
 
 

講師からのメッセージ 

常識を疑え
皆さんは、これから法曹実務家になられる方が多いと思います。法曹実務家の仕事の中心は、民事訴訟です。民事訴訟を見学された方も多いと思いますが、準備書面の交換で3分で終わる「3分間弁論」、裁判官が当事者から交互に事情聴取等を行う「交互面接和解」、弁護士が作成した「陳述書」を提出して、証人尋問等においても、証人等が「陳述書のとおりです」と言って主尋問を済ませる「形式的尋問」、当事者が判決言渡しを聴きに来ていても、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は、原告の負担とする。」と読み上げて判決言渡しが終わる「セレモニー判決言渡し」等、現在の民事訴訟は、本当に不思議な世界です。私は、このような民事訴訟の常識に強い違和感を覚えます。どこかおかしいのです。「法律家の常識は非常識」と言われますが、「常識」を疑う「常識」をもってほしい。

「少子高齢化」、「経済の空洞化・国際化」の時代に突入した日本は、従来どおりの民事訴訟を続けていると、利用者から見離され、最後には、外国人の経営する法律事務所の日本人弁護士が法廷を闊歩する時代が到来するかもしれません。

この講座では、前途有望な若者と会話を交わし、弁護士の生活の糧となる民事裁判の在り方について、共に考えたいと思っています。

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明日の法律家講座 東京校第217回

2014年2月15日(土)実施
 

内閣法制局と憲法

【講師】 
阪田 雅裕 氏(弁護士、「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」顧問、元内閣法制局長官)


講師プロフィール

阪田 雅裕 氏(弁護士、「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」顧問、元内閣法制局長官)

阪田 雅裕 氏
和歌山県出身
1965年9月 国家公務員採用上級甲種試験(法律)合格
1965年9月 司法試験第二次試験合格
1966年3月 東京大学法学部卒業
1966年4月 大蔵省入省
1971年7月 苫小牧税務署長
1981年7月 内閣法制局第一部参事官
1989年7月 国税庁長官官房総務課長
1990年9月 大蔵省大臣官房参事官
1992年6月 大蔵省大臣官房審議官
1992年12月 内閣法制局総務主幹
1993年7月 内閣法制局第三部長
1999年8月 内閣法制局第一部長
2002年8月 内閣法制次長
2004年8月 内閣法制局長官
2006年9月 退官
2006年11月 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)
2006年12月 アンダーソン・毛利・友常法律事務所顧問
2007年3月 社会福祉法人全国盲ろう者協会理事長
2007年4月 明治大学大学院ガバナンス研究科特別招聘教授
2013年4月 大阪大学大学院法学研究科客員教授
 
著書
『法制意見百選』(共著)(ぎょうせい、1986年)
『証券取引等監視委員会――日本型SECの誕生』(大蔵財務協会、1993年)
『政府の憲法解釈』(有斐閣、2013年)
『「法の番人」内閣法制局の矜持』(大月書店、2014年)
 
 

講師からのメッセージ 

 憲法を頂点とするわが国の法秩序は、多数の立法を通じて構築されてきました。法律は、近代国家における唯一の、そして万能の統治手段です。いうまでもなく法律を制定するには国会の両院の議決が必要ですが、主要な法律案の大半は、これまで政府が企画立案をして国会に提出してきました。これら政府が作成する法案はすべて、内閣法制局の審査を経なければ、閣議決定されません。
 わが国の政策決定から法制化に至るまでの一連のプロセスを概観し、併せて、明治以来一貫して立法実務の中枢を担ってきた内閣法制局での法案審査の実態や審査の視点などを知ることは、「正しい」法と法治のあり方や法曹人に求められる資質・姿勢を考える上で、また、こうした素養を社会で生かすための方策を探るためにも大きな手がかりになるものと考えています。
 立憲主義の下、「正しい」法の原点は憲法適合性であり、法律や行政活動の合憲性が確保されなければ、国家の統治に対する信頼が失われます。内閣法制局は、現実に即して憲法と向き合い、立憲主義の基盤を支えてきました。この政府の憲法解釈の意義についてもお話し、解釈改憲の当否を考えてもらいたいと思っています。

明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第216回

2014年1月25日(土)実施
 

専門性を確立するには ~新時代を切り拓く法曹を目指して~

【講師】 
上山 浩 氏(弁護士、「日比谷パーク法律事務所」パートナー、元伊藤塾塾生)


講師プロフィール

上山 浩 氏(弁護士、「日比谷パーク法律事務所」パートナー、元伊藤塾塾生)

上山 浩 氏
1981年 3月 京都大学理学部卒業。
同年4月、富士通入社。大型汎用機用オペレーティングシステムの企画・設計などに携わる。
1990年 4月 野村総合研究所に転職。
1998年10月 司法試験合格。
2000年10月 弁護士・弁理士登録。
2003年 2月 日比谷パーク法律事務所に入所。特許訴訟など知的財産関連の係争やシステム関係・I T 訴訟などを多数経験。
 
 

講師からのメッセージ 

弁護士になろうとする方の多くは、将来、知的財産や金融、会社法などの分野の専門家になりたいと考えているのではないでしょうか。しかし、ある分野の専門家になりたいと思っても簡単にその望みがかなうわけではありませんし、専門性を確立するためのメソッドやコツがあるわけでもありません。誰にも等しく巡ってくるチャンスを捉えるしかないのだと、思っています。この講座では、チャンスはどのように現れるのか、それを活かすためには何をすべきかについて、参考として、私の実経験をご紹介できればと思っています。私は、現在は、特許や著作権などの知的財産分野と、システム開発契約の分野を専門としています。しかし、初めからこの二つの分野が専門だったわけではありません。弁護士登録直後からWindowsを侵害被疑品とする特許侵害訴訟や、特許の消尽論が争点となったリサイクルインクカートリッジ特許事件、最近ではアップルのiPodがわが国の個人発明家の特許を侵害しているという判決の事件などを扱っています。比較的短い期間に、このような貴重な事件に関わることができたのは、運もありますが、それだけではありません。また、システム開発契約に関しては、これも最近ではスルガ銀行対日本IBMの訴訟で巨額の損害賠償が認容された事件などを扱っていますが、これが専門分野として確立したのは比較的最近のことです。決して成り行きで専門分野ができたわけではなく、弁護士になる以前の社会人時代の経験を活かすことを意識しながら、様々な機会に長期的な視点で積極的に対応してきた結果だと思います。
専門分野を確立するまでの道のりは人それぞれ千差万別だと思いますが、私の実経験が皆さまの参考になればと思っています。