憲法研究会 実施報告

第10回実施報告 【日時】 2020年1月18日(土)14:00~17:50
【場所】 伊藤塾校舎204教室
【参加人数】 10名
【テーマ】 外国人の人権(第3回)・来年度の活動について
 
2019年の憲法研究会、最終回は雪の日の開催となりました。
これまでとこれからの活動について参加者同士が意見を出し合い議論を重ねる前半と、今年度のテーマのひとつである「外国人の人権」を、法の適正手続きの面から見たチームによる発表の後半、大きく2つのパートに分けての進行となっています。
 
1:来年度の研究会の枠組みについて
今年度の活動における感想や反省点などを踏まえ、来年度で改善できる部分について議論しました。研究会の目的を再確認し、憲法についての知識を得るだけでなく、世の中に伝えていくことも意識した活動の方向性も提示されました。
研究会終了後の次年度に向けた準備についても、ある程度の日程等を考慮した進め方について情報を共有する事ができました。
 
2:外国人の人権:適正手続チームの発表・質疑応答
今年度の最後の発表は「外国人の適正手続保障について」と「在留審査手続」。
憲法第31条の観点から行政手続法・行政不服審査法の範囲までを含む外国人の在留資格取消し・退去強制など含む適正手続全般を中心に知識を共有し、また、特に在留許可期間超過による不法滞留者の出入国在留管理局での長期収容の問題に注目し、入管法の退去強制事由に該当し退去強制令書が発付されたにもかかわらず、強制送還にはならずに期間を限らず収容されたままの例が近年多くあることについて、法の規定と実際の運用状況の解離や、外国人の人権保障を適正手続の観点から検討しました。また、入管法における在留審査手続をはじめ、難民申請手続の実務上の問題点なども取り上げられ、質疑応答の中では難民条約などの国際法の範囲も含めての意見交換も行われました。
 
2019年度の活動はこの第10回で終了となりますが、来年度の憲法研究会をより良いものにしていく為、こうして憲法について話し合える場として継続していく為、来年度のスケジュール等の情報交換の方法を確認して散会となりました。
 
報告者:鈴木梨香

第9回実施報告  
【日時】2019年12月14日(土)14:00~17:00
【場所】東京都人権プラザ・日新窟
 
午前中の発表を聞き終わり、我々は今までもベトナム人留学生や技能実習生の支援をしてきた浄土宗日新窟の方からベトナム人技能実習生に関する話を聞きに、東京都港区にある東京都人権プラザに足を運びました。2時からの予約で、予定通り芝公園駅を降り、人権プラザを少し見学することもできました。
 
進行を務めるのは東京都人権プラザの坂井さんです。最初にNHKスペシャルの「夢をつかみにきたけれど ルポ・外国人労働者150万人時代」というドキュメンタリーを拝見させていただきました。50分ぐらいのドキュメンタリーの中では、日本でいろいろな原因で命を落としたベトナム人の供養を務めてきた日新窟僧侶のティック・タム・チーさんの視点を追って、亡くなったベトナム人の方の足跡を中心に、ベトナム人留学生や技能実習生が直面している現実が描かれていました。
 
そして次に、日新窟寺務長の吉水慈豊さんからドキュメンタリーの補足、ベトナム人留学生や技能実習生の実際の生活状況、労働状況等について、彼らを支援してきた方としての視点から、詳しく話を聞くことができました。
また本日、神戸大学大学院国際協力研究科准教授の斉藤善久先生も偶然いらっしゃったことから、斉藤先生からもそれらに関連する話や、法制度に関する話を聞くことができました。
 
次に質疑応答では、我々の質問に対して、斉藤先生が現実問題や法制度などの視点から、さらにベトナム国内の事情も説明に入れて、一つひとつ丁寧に答えてくださり、ベトナム人留学生や技能実習生だけではなく、技能実習制度全体や既に一部始まっている特定技能制度など外国人がらみの問題について理解を深めることができました。
 
いろいろ質疑応答が終わった後の16時ごろに、我々はいったん東京都人権プラザを離れ、近くある日新窟のお寺に見学に行くことになりました。日新窟のお寺は住友不動産芝公園タワーのすぐ隣で、建物自体もタワーと一体となっている新鮮感を感じる構造でした。お寺の中にベトナム人を祭る供養塔の前で手を合わせ、先ほど拝見したドキュメンタリーの中にも出てきたベトナムの人たちが集まる場所をこの目で実際に見ることができました。中には失踪のベトナム人の方を一時的に保護する時に使う部屋などもあり、実際に我々が来る前に2、3人がそこに住んでいたと吉水さんに言われ、少しでもそのような生活に突き詰められているベトナムの方々が我々のすぐ近くにいることを実感できました。ここでも、お寺が保護の経緯や、妊娠した方とその子どもの援護などを吉水さんから聞くことができました。
 
お寺の見学を終わり、我々は吉水さんと斉藤先生と別れて人権プラザに戻り、人権プラザの坂井さんからパラリンピックに出ている「ボッチャ」というゲームを紹介してもらいました。
「ボッチャ」はもともと重度脳性麻痺者等のために考案されたスポーツらしく、「ジャックボール」と呼ばれる白いボールに向かって、赤と青、それぞれ6個のボールを投げたり転がしたりなどして、どれだけジャックボールに近づけられるかを競う、一見簡単ですが、実際にやってみると奥深さを感じさせられる競技です。実際にその場で2試合をしてみて、「ボッチャ」やパラリンピックの魅力をこの手で感じることができました。
 
報告者:李 昊男

第8回実施報告  
【日時】2019年12月14日(土)10:00~13:00
【場所】伊藤塾校舎204教室
【参加人数】11名
 
まず、ヘイトスピーチについて発表がありました。
・ヘイトスピーチ解消法について
・日本における外国人に対しての差別的発言
・日本と諸外国の実情と法規制
・日本で起こった事件
 
日本では差別的発言の内容によって処罰される可能性がありますが、未だにヘイトスピーチが後を絶ちません。
また、諸外国においては各国の歴史や法律によって、ヘイトスピーチが規制されている国、規制されていない国があります。規制されている国でもどの部分を保護するかで内容に大きな違いがあります。
 
討論をはさみ、次は技能実習制度について発表がありました。
・技能実習の現状と日本企業について
・技能実習制度と特定技能について
 
午後は人権プラザにて外国人の人権についてのお話しを伺うため、その前段階としての発表でした。皆様、事前に学んだことで深い部分まで考えることができ、大変有意義な回だったと感じました。
 
報告者:磯野 由佳

第7回実施報告  
【日時】 2019年11月16日(土)14:00~17:50
      [2019年10月12日(土)台風のため休会]
【場所】 伊藤塾校舎204教室
【参加人数】 14名
【テーマ】 外国人の人権(第2回)
 

  • 次回12月14日(土)の予定についての協議
はじめに、次回について、10月の回が延期されたことにより、人権プラザ訪問前の午前中に、外国人の人権(第3回)の研究会を実施することに決定しました。
その他、外部施設である人権プラザ訪問にかかる事項の協議がされました。
 
  • チーム別発表 「人権保障の範囲」チームから
  1. 外国人の参政権について 
外国人に保障される選挙権・被選挙権(狭義の参政権)と外国人の公務就任権(広義の参政権)の二つの側面から現状と課題について発表されました。
  1. 外国人の社会権・自由権について
外国人に保障される社会権(生存権・教育を受ける権利)と自由権(再入国の自由)の二つの側面から憲法規定・判例をふまえた今日の課題について発表されました。
  1. 外国人の政治的表現の自由について
自然人ではあるが日本国籍を有しない「外国人」と日本国籍はあるものの自然人ではない「法人」とを比較することで、政治的表現の自由の保障がどの程度制限されるべきなのかを検討する発表がされました。
  1. 質疑応答
 
  • チーム別発表 「在日(オールドカマー)外国人に関する人権問題」チームから
  1. いわゆる「在日」と呼ばれる特別永住者がいかにして作られてきたのか
なぜ現在のヘイトスピーチに表れるような差別対象としての「在日」が作られたのかを、長い日本と朝鮮のつながりの歴史を振り返りながら検証する発表がされました。
  1. 在日外国人の人権に関する重要判例
引き続き、台湾人・朝鮮人の国籍問題について、また在日外国人の子どもの権利に関して、主立った事件や判例を検証し、「在日」という立場が直面する今日の課題について発表されました。
  1. 質疑応答
「歴史修正主義」について、ヘイトスピーチをする人たちの背景についての議論が交わされました。
 
次回は、12月14日(土)10:00~ に開催されます。終了後、14:00~ 港区人権プラザ訪問の予定です。
 
報告者:小川 貴美子

第6回実施報告 [日時]2019年9月21日(土)14:00~18:00
[場所]伊藤塾校舎204号室
[参加人数]15名
 
外国人の人権に関する憲法規範の確認
現在日本に外国人はどれ位いるのか、どんな人たちがいるのか、どこにいるのかを統計を基に確認しました。
 その後、外国人の人権は日本ではどの様に捉えられているのか、最高裁判例などを基に、外国人には保障されない人権、保障されるが制限される人権について取上げました。
 最後に、憲法上の人権規定と、外国人への適用が問題になった判例や、今後問題になるであろう論点を上げました。
 
外国人の人権に関する国際法規範の確認
 国際的な国籍問題の原則と例外を上げ、国籍の得喪要件、重国籍・無国籍の国籍抵触問題に触れ、歴史的経緯から現代の国際社会での考え方を概観しました。
 次に、国際的人権保障について、伝統的国際法による人権保護の考えかたから、現代の国際人権保障がどうなっているのかを確認しました。
 最後に、日本において、国際人権規約などの条約締結状況などを通して、日本と外国との人権保障の比較をしました。
 
外国人の人権に関する法規規範の確認
日本に在留する外国人に関わりの深い、「入管法」と「国籍法」についての基本事項の確認を行いました。
そして、入管法と関連する昨今の話題「特定技能」や「技能実習」、「難民」に関して、制度及び、実際の運用、ニュースなどで放送されることなどを議論しました。
  
10月、11月は各チームに分かれて、外国人の人権に関する知見を深め、流動的な外国人政策について、憲法規範の視点から外国人の人権を議論していく予定です
 
次回は、10月12日(土)に開催されます。
報告者:上村 剛

第5回実施報告
[日時] 2019年8月24日(土)14:00~18:00
[場所] 伊藤塾校舎204号室
[参加人数] 18名

〇初参加の伊藤真塾長を含め、18名の参加。
前回までの各班の発表内容とまとめ。

1. 民主主義と憲法はどんな関係?
・「檻の中のライオン」のライオンは誰か?
・ライオンは権力者?ライオンは自分(多数派)かもしれない。ライオンは民主主義でみんなが作り上げてしまったもの?
・「檻の中のライオン」の檻は何か?多数決の過ちや暴走に歯止めをかける「檻」が憲法。
・民主主義と立憲主義は本来対立する関係にある。「立憲主義の枠内で民主主義でやっていこう」というのが今の考え方。

2. なぜ多数決に従わなければならないか?
・「そうじ当番誰にする?」の例を伝える。
・動画、フェイクニュースAI関与への対応どうするか。過去のデータに基づく予測、顔認証などAIプログラムによる人権の価値評価、どう対応できるか。情報リテラシー。
・自由を制限すると暮らしやすい社会になる、よいか? 「個人」から「人」へ。
・立憲主義の枠内でやるとして、なぜ「民主主義」か?
立憲主義の枠内であれば、少数派が多数派に従わなければならないのは何故か?

3. 三権分立が崩れていないか?
・裁判官の任命権が内閣にあることから、一定の待遇は保証されていると言え、三権分立が実質的に確立しているとは言えないのではないか。
・同じ敗戦国のドイツは戦後に司法改革を行い、裁判官相互の待遇格差を圧縮したことで、裁判官の独立を待遇面でも支えるようになっている。
・我が国の司法制度や裁判官の任命制のプロセスは法律で変えられるが、・司法改革に政治が関心を持っていないことが問題。

4. 主権者教育はいかにあるべきか?
 ・スウェーデンー少数者の保護、自分が世論を形成することを教える教育。政治が身近。
 ・ドイツー仕事が終わった夜議会開催、市民が集まり議論する。納税者意識が高い。
 ・スイスー納めた税金がどのように使われるかがわかるから、喜んで納税する。
 ・日本―ルールは守るもの、権利・義務がわからないまま有権者になっている。
 欧州各国は日本よりも人口が少なく、また連邦制を採用している国が多いことから、比較的小さな単位で、従ってより具体的かつ身近に「政治」を考えることが出来る。これに対し、日本は人口規模が大きいうえに中央集権志向が強く、地方分権が進んでいないことから、どうしても「政治」が抽象的で日々の生活から縁遠いものになりがちで、ルールは守るだけのものではなく、自分たちが作ったり、変えたりするものでもあるという意識が育ちにくい。

5. 憲法に関する今後の課題は何か?
 ・「個人の尊重」は、自立(自律)した個人、自分で決める一定の能力・強い個人が前提。
 ・自己決定ができない人はどうするか?(本人の幸福のため、或いは最新の科学技術に基づいた措置と称して不妊を強制した優生保護法の過去) 
 ・今後、科学技術の進歩に合わせた個人の人権意識の進歩が重要。
以上

報告者:岩田とみゑ

第4回実施報告
[日時] 2019年7月20日(土)14:00~18:00
[場所] 伊藤塾校舎203号室
[参加人数]17名

 まず、高校生2人を含む新人3名の自己紹介を行ったうえ、前回の発表を振返りました。
 次に、今回の発表へと移り、最初に「最新論稿」チームの残り2名が発表いたしました。各々テーマは「AIと憲法問題」、「公文書管理の現状と課題について」です。そして質疑応答の後、「その他」チームの発表へと移りました。
 「その他」チームのテーマは『スウェーデンと日本の民主主義教育の比較』で、まずイントロダクションとして日本とスウェーデンの国政選挙の投票率及び若者の政治への関心度について比較し、順に「スウェーデンの歴史」、「スウェーデンの民主主義教育」、「日本の小学校教育」等について発表し、最後にまとめとして、スウェーデンの民主主義教育の特徴をふまえたうえでの、わが国の民主主義教育のあるべき姿について発表されました。
 その後、伊藤塾長が特別に参加される次回8月の研究会の内容について審議したうえ、残りの時間で本日の発表内容についてのディスカッションを行いました。日本の民主主義教育と若年層の投票率の低さとの関連性を中心に、高校生2人の意見を聞きながら、約1時間にわたり活発な議論が交わされました。


次回は8月24日(土)に開催されます。

報告者:高田直樹

憲法研究会 実施報告書 第3回実施報告
 【日時】  2019年6月15日(土)14:00~17:00
 【場所】  伊藤塾校舎204教室
 【参加人数】18名
 
はじめに、全4チーム(A、B、C、D)共通のメインテーマである「民主主義の再検証」について、前回発表を行った「A古典チーム」5名の内容を簡単に振り返りました。ここでは主に、民主政の歴史、古代直接民主制の特徴、後のフランス革命への影響など過去の民主制の歴史を振り返り、更に間接民主制などについても言及し参加者全員で自由に意見を述べ合いました。
 
次に、本日の担当である「B判例通説チーム」と「C最新論稿チーム」の発表に移りました。判例通説チームでは、「夫婦別姓と同性結婚について」と「一票の価値について」をテーマに、先週発表済みの1名を除くメンバー3名が全員発表を行いました。夫婦別姓と同性結婚について、選択的夫婦別姓は認められるべきか、一部自治体で多様性を尊重する動きがあることや諸外国の動向などについての発表を行いました。また一票の価値については、判例動向などをもとに、一票の格差の実態を中心に選挙区別一人あたりの選挙権の価値や都道府県単位の選挙区の発想について転換すべきかなどの発表と議論を行いました。
 
この後、次の発表担当である最新論稿チーム4名の内、本日は2名の発表が行われました。今日の民主主義の後退は選挙によって始まること、選挙で選ばれた指導者によって、自分を権力の座へと押し上げた民主主義制度そのものが、見えにくいプロセスによって少しずつゆっくりと侵食されながら破壊されることもあるという民主主義の危機的状況について発表しました。ここで時間がきたのでここでの議論は次回継続となりました。
 
次回は、7月20日(土)に開催されます。当日は本日のおさらいに加え「Dその他チーム」として6名の発表が行われます。民主主義の再検証の検討として更に発展した自由闊達な議論が行われる予定です。
 
報告者:石井裕基

第2回実施報告
【日時】  2019年5月18日(土)14:00~18:00<延長>
【場所】 伊藤塾校舎203教室
【参加人数】19名

今回の主なテーマは「民主主義の再検証」として古典チーム及び判例通説チームにて発表質疑応答を実施いたしました。
内容については下記のとおりです

Ⅰ民主主義の再検証<古典チーム>

①民主制の歴史における古代ギリシャから近代までのあらましについて
②間接民主制について
・直接民主制は物理的に不可能ではあるが、ICT(情報通信技術)を利用すれば可能になるのではないか。
・間接民主制の方が直接民主制より優れている、理由として直接民主制はポピュリズムに陥りやすい。
・間接民主制は反民主的か
近代の議会において議員は選挙民に拘束されない、ゆえに私たち市民の意思とは別に、議員自身の意思によって決定を行う。
つまり議員が代表者であるというのは「擬制」である
③国民主権と民主主義はおなじものなのか
・国民主権は権力的契機と正当性の契機の2つの異なる要素からなる複合的なもの
・統治の権限を委ねられる組織には立法権と執行権があるが、これらは憲法によって創られた権力であり、憲法制定権ではない。(シィエスによる2つの権力区分)
・国民主権論としての憲法制定権力論は、国民主権論を憲法制定までの段階だと位置づけるものであり、制定した憲法の内容や解釈に影響を与えるものではない。(ナシオン主権論)
④ナシオン主権論とプープル主権論
・ナシオン主権論
主権者は抽象的な国民としており、制限選挙も可能。不可避的に間接民主制。
・プープル主権論
国民主権と民主政を同視する。国家の統治権を民主化し、普通選挙が要請される。
ルソーは「社会契約論」において直接民主制を求めた。
⑤違憲審査制と民主主義
・違憲審査制の問題
議会が制定した立法を裁判官が自己の判断によって覆すことは民主主義に反するのでは。
・違憲審査制は人民によって民主的に制定された憲法の執行である
・民主主義プロセス論
民主主義プロセスを歪める恐れのある法律に対しては裁判所は積極的に介入すべきであり、これは二重の基準論の根拠となる
⑥直接民主制について
・古代直接民主制の特徴
古代ギリシャでは直接民主制であったが、公開・市民の意見を直接反映することができる反面、ポピュリズムに陥る懸念あり
・「社会契約説」(ルソー)の直接民主制について
直接参加型民主主義のみを真の民主主義としてとらえ、構成員が自由平等な単一の国民となり、国家の一員として政治を動かすと考える
⑦間接民主制の理念について
最善の統治形態の条件 「代議制統治論」(ジョン・スチュアート・ミル)
・実行可能であり、一定の望ましい環境下で将来にも有益な結果を生み出す統治形態でなければならない
意見の多様性「自由論」
・意見の違いがありうる問題の場合、真理は対立し衝突しあう二つの意見をあれこれ考え合わせることによってもたらされる
現在に通じる問題意識
・自由を制限する根拠と限界
危害原則(他人に危害を与えない限り、個人の行動の自由は保障されるべき)
・多数派の専制の危険
⑧民主制と分業について
・ミルが19世紀に評価した官僚集団による政治は現代の日本においてもさいようされ、継続されている
・議員や大臣の権力が大きいので、特定集団への利益還元を目的とした政治、権力の私物化が行われやすい。
⑨憲法改正権の限界
 ・国民主権原理を変更することはできない
 ・憲法改正手続を変更することはできない
 ・憲法に改正禁止規定があれば、それに反するような改正はできない
 ・憲法の基本原理(人権保障、平和主義)を否定するような改正はできない

Ⅱ民主主義の再検証<判例通説チーム>
※山田先生より下記項目につき解説講義いただきました。

①憲法総論
・憲法について
・法の支配
・日本国憲法の基本原理
・天皇の機能
・法の下の平等
・裁判所の組織と機能
・司法権の独立
・違憲審査権
・憲法改正の限界

Ⅲ本日の決定及び告知事項について

以上、次回は6月15日(土)14:00~17:00の予定です
引き続き「民主主義の再検証」として古典チームの質疑応答及び判例通説他チームにて
発表質疑応答を行います。

報告者:越智 秀也

第1回実施報告
 【日時】  2019年4月13日(土)14:00~17:00
 【場所】  伊藤塾校舎203教室
 【参加人数】16名
はじめに、座長の藤井さんより企画班の紹介、基本的な運営方針及び年間スケジュールの説明があり、続いて参加者の皆さんから自己紹介をしていただきました。
次に、具体的な運営方針の説明がありました。今年の前半は「民主主義の再検証」、後半に「外国人の人権」というテーマを全員で議論していきます。
今回は、前半のテーマ「民主主義の再検証」について(A)古典 (B)判例通説 (Ⅽ)最新論稿 (Ⅾ)その他 の素材別にチームを作り、チームごとにリーダーを決め、話し合いをして担当する具体的な資料を選定しました。チームごとに資料の内容を整理して5月と6月に発表することになります。
最後に、司法書士の野村先生による「日本国憲法の基本原理」と「自民党憲法改正草案」について講義が行われました。皆さん熱心に聴いていました。
少しでも多くの人に憲法の理念を知って貰えることを願います。
次回は、5月18日(土)に開催されます。

報告者:櫻井三起子

【2019年度 憲法研究会オリエンテーション】 
【日時】2019年3月23日(土)15時~17時
【場所】伊藤塾東京本部第一校舎201教室 この日は、2019年度のオリエンテーションを大要以下のとおり進めました。
・オリエンテーションの流れを説明
・研究会の目的を説明
・昨年度の活動報告
・昨年の活動についての感想
・今年度の活動内容について(※1)
・憲法ミニ講義:憲法の概要・憲法改正について
・質疑応答
・企画班メンバーとして自己紹介と一言コメント
・アンケート記入
なお、]17:30から懇親会を開催
※1 座長挨拶
みなさん、こんにちは。
私は今年度、秋桜会憲法研究会の座長を務めさせていただく藤井輝久と申します
今日お集まりいただいたみなさんは、伊藤塾で学ばれ、そして行政書士試験に見事合格された方々ばかりだと存じます。皆様の中には既に開業され、ばりばりと実務をこなされておられる方、あるいは現在開業を準備もしくは検討中の方、あるいは当面は開業をお考えでない方もいらっしゃるのかもしれません。
そのように、獲得された資格を皆さんの人生にどのように活かしてゆくかは、皆さんが夫々の人生のなかでお考えになられ、お決めいただくことかと思います。
しかし、受験勉強の過程で培った折角の知識もともすれば忘れてしまいがちですし、社会の変化に応じて知識も更新してゆかねばなりません。或いは皆さんの中には受験勉強の過程で心中に様々な「思い」や「気づき」が生じた方もいらっしゃるかもしれませんが、見事合格したからと言ってそれらを封印してしまうのはもったいないと思います。
その意味では「学び」というのは受験勉強で終わりではなくて、合格を新たな出発点として生涯続けていくものなのかもしれません。
その点、そのような学びの機会は行政書士会の各種の研修会や秋桜会でも各種の実務講座を数多く開設していますが、こと「憲法」については、そのような研修会や実務講座、あるいは行政書士としての実務や日々の生活においてそれほど頻繁に登場する分野ではないと思います。
しかし、如何なる分野であれ憲法と決して無関係ではないこと、憲法の意義や役割が問い直される場面が以前よりも増えつつあることは皆さんも良くご存じだと思います。
ただし、私たちは実務家であって研究者ではありません。
だとすれば、憲法の特定の分野の理論や判例を深く追究するというよりは、伊藤塾で学んだ者として、「日本国憲法」を幅広く学び続けることでその知見を深め、深めた知見を日々の業務を通じて社会に還元してゆくことが私たちの責務だと言えます。
また、本来「学び」というものは各自がお一人でするものですが、お一人だけで学習を続けてゆくことが決して簡単ではないこと、複数の学習が効果的であることはここに集まりの皆さんが誰よりもよくご存知かもしれません。
かく言う私も2015年度の行政書士試験に合格した後、2017年の春に「伊藤塾で学んだ者ならば、例え合格後であっても憲法の勉強が疎かにならないようにしましょう。」という呼びかけに魅かれて秋桜会憲法研究会に参加しまた。
そこで、秋桜会憲法研究会では、「日本国憲法」に関する基本的な判例、学説などの学習に留まらず、関連する時事問題や行政書士実務における憲法の現れに関する考察、専門家の先生をお招きしての討論その他、幅広い角度から自由に研究しています。また、教室内での活発な議論に留まらず、時には有名判例の現場検証のために教室外にでかけたりもしました。
また、秋桜会憲法研究会は年齢も経験も様々な方々が参加していますが、会員の間に立場の上下は一切ありません。行政書士試験合格の年次や研究会への入会の時期、さらには実務経験の有無・長短などに関わらず、皆さんが全く同等の立場から互敬の精神を常に忘れずに議論に参加しています。そして、互いの意見や判断の違いを認めることを旨として議論をしますが、特定の考え方への同調を要求することは決してなく、議論が終われば楽しく懇親会を開いています。
そのような会ですので、伊藤塾で学んで行政書士試験に合格された方であれば、どのような経歴の方であっても大歓迎です。秋桜会憲法研究会への参加を通じて憲法に関する理解を深め、行政書士としての実務に関する知見を得るとともに、様々な意見交換を闊達に行える仲間と出会い、かけがえのない縁を結ぶことが出来れば幸いです。
総括
時間が大幅に余ったり足りなくなったりすることはなく、予定通りの進行が出来、所期の目的は達せられたかと思います。但し、昨年度企画班メンバーによる昨年度の活動に関する報告や感想、今年度座長や企画班メンバーの説明、やひとことコメントの内容が結果として似たような内容となってしまった。この点、参加者に対する実務的な説明をもう少し加えることが出来ていればなおよかったのではないかと思われる。
以上