法律の知識で人の役に立てるというのは非常にうれしいことだと日々感じています

2010年1月掲載

【岐阜県】 司法書士 水野綜合事務所  水野 祐樹 先生 (司法書士)

■Profile
2007年 司法書士試験合格
2008年 愛知県江南市「司法書士小曽川事務所」入所
2009年 岐阜県瑞穂市「司法書士 水野綜合事務所」開設

司法書士を目指した動機

 私が司法書士を目指したのは大学1年の時でした。大学卒業後に何をしようか考えたときに、ただ何となくサラリーマンになるのが嫌だったし、何か人の役に立てる仕事がしたいと思い、資格を取ろうと思いました。法学部に在学していたので司法試験も考えましたが、昔から地元で働きたいという思いが強く、「街の法律家」というフレーズに惹かれて司法書士を目指すことにし、大学3年の頃に伊藤塾に入塾しました。
 

独立までの経緯

 司法書士は登記のプロフェッショナルです。登記申請の代理人となれるのは現在司法書士だけですので、まずは登記業務の知識を身につけなければならないと思い、1年半登記業務専門の事務所にお世話になりました。実際実務に就くと、受験時代に勉強した知識だけではなく、税法等他の分野の知識も要求され、吸収することが非常に多くありました。まだまだ覚えることはたくさんありましたが、裁判業務や成年後見業務等の登記業務以外の分野もやってみたいと思い、独立することを決意しました。
 

現在の主な業務内容

2008年10月9日 伊藤塾名古屋校にて講演

不動産登記が中心です。不動産売買の決済の立会いが多いですが、新築住宅の登記手続とそれに伴う住宅ローンの登記手続も行っています。業務の流れとしては、依頼がきてから委任状と登記原因証明情報を作成し、お客様のところへ署名捺印を頂きに伺い、本人確認も同時に行います。その後、住宅ローンの申し込みをした金融機関と電話で金銭消費貸借の契約日や融資の実行日の確認をし、担保権の設定書類がそろい次第金融機関に頂きに行きます。そして融資の実行日に、すべての登記を申請します。申請後、法務局からもらった受領書を金融機関にFAXし、融資を実行してよい旨を伝えます。登記完了後には金融機関に書類を届け、お客様に権利証を届けます。
「貸したお金を返してもらえない」「取引先からの支払いが滞っている」等の相談を受け、民事訴訟等の裁判業務も行っています。
 

やりがいを感じる瞬間

登記業務というのは、司法書士の一声で不動産と何千万円という大金が動く業務です。失敗は許されません。この緊張感の中で日々業務を行っていますので、一つひとつの登記が無事完了した時はほっと安心します。通常はハウスメーカーの担当者に権利証をお客様のところに届けに行ってもらうのですが、たまにうちの事務所が直接届けに行くこともあります。その時にお客様から「ありがとう」と言ってもらえた時が一番、やりがいを感じる瞬間です。また、私の勤務する地域には、司法書士が交替で担当する市役所主催の登記相談というものがあります。登記は非常に専門性が高く、一般の方には分かりにくいことが多いため、最初はかなり困った顔をされてみえる方が多いのですが、私達司法書士が事情をお聞きして解決策を提案すると、皆さん晴れ晴れとした表情に変わります。法律の知識で人の役に立てるというのは非常にうれしいことだと感じています。
 
 

必要とされる「プロフェッショナリズム」

司法書士が常に意識しなければならないのは、“人・もの・意思”の確認です。この確認作業こそが司法書士のプロフェッショナリズムだと思います。国民の財産権に対して直接影響を与える仕事ですので、どれか一つでも確認を怠ると、国民に不測の損害を与えてしまうかもしれません。ですから、必ず本人と会って、“人・もの・意思”全ての確認をすることを心掛けています。
 

伊藤塾で得たもの

大学の授業の補助教材として、「伊藤真の憲法入門」(日本評論社)等の伊藤塾が出版している書籍を愛用していたことがきっかけで入塾しました。所講師の講義では、試験勉強に関するものだけではなく、合格後にどのような法律家になるべきかも考えることができました。所講師がいつもおっしゃっていた「常に謙虚であれ」という言葉は、この資格で仕事をする上でとても大切なことだと思いますし、講座を通して法律家としての心構えを学ぶことができたと思います。試験に合格するというのはスタートラインに立つだけのことであり、本当に大切なのは合格後この資格を使って何をするかだと思います。所先生にはこの一番大切なことを教えていただき、とても感謝していますし、今の日々の仕事にも少なからず影響していると思います。

 
これからのビジョンと受験生へのメッセージ

将来的に少子高齢化社会がさらに進んでいく中で、成年後見業務は今後益々伸びていく分野だと思います。また、ご年配の方々をターゲットにした悪徳商法等が増加傾向にあるので、身近な“街の法律家”である司法書士は真剣に取り組まなければなりません。今後も、司法書士が専門性を発揮し、問題解決に貢献できる場が増えてくると思います。
受験生の皆さんには、合格後に実務で活躍する自身の姿を想像しながら頑張っていただきたいと思います。
 
 
 

★CLOSE UP:立会いとは?
立会いとは、不動産売買の決済の現場において、司法書士が立ち会うことをいいます。
決済は、売主、買主、不動産仲介業者、銀行融資担当者、既設定担保権者等の者、そして、司法書士が金融機関の応接室等の場所に一堂に会して行われます。
不動産は、登記をしておかなければ自分が持ち主であることを他人に主張することができなくなる可能性があります。したがって、買主が不動産の売買代金を払う前提として、移転の登記を確実に行うための書類等がそろっている必要があります。
したがって、立会いの現場においては、司法書士は登記関連書類の確認を行います。
また、登記申請手続を行う前提として、申請権者の本人確認や、当該物件の確認、申請意思の確認などを行い、所有権の移転という権利変動が生じているかを確認しなければなりません(人・物・意思の確認と呼ばれます)。
これらの確認が済んで司法書士が「登記ができます」と確認して初めて不動産の代金が支払われることになります。


Information
 
■事務所プロフィール
司法書士 水野綜合事務所
〒501-0222 岐阜県瑞穂市別府1285番地1

■業務内容
不動産登記、商業登記、債務整理、法律相談など

■現在の「ある一日のスケジュール」
06:30 起床
08:30 業務開始、オンライン申請
09:00 銀行に申請書類等FAX、TEL
10:00 法務局に添付書類提出
12:00 昼食
13:00 銀行・業者から必要書類を受け取る
15:00 事務所にて申請書類作成
19:00 帰宅
24:00 就寝