沖縄スタディツアー参加者の声

沖縄スタディツアーこそ最高の学びの場

司法試験受験生 /  S.Tさん

 
毎年参加し、同じ場所、同じ先生方のお話を聞いても、常に新たな学びがある、それが沖縄スタディツアーの最大の魅力だと思います。それも、普通の観光ツアー、平和運動のツアーとは全く違う、伊藤塾ならではの訪問先、偉大な先生方との出会いがあります。
伊藤塾で勉強開始した直後から参加し始めて4回目となりましたが、改めて多くの学びと気づきがありました。
 
1日目読谷村にて
小橋川清弘さんのお話は、ツアーの最大の楽しみの一つです。同じお話を伺っても常に新たな気づきがあり、また年々お話が深く、壮大になっておられる印象を受けます。
80名を超える住民がいわゆる集団自決、「社会的強制死」を余儀なくされた「チビチリガマ」を訪れ、詳しいお話を聞きながら、黙祷を捧げます。同じお話を聞いても、自分の理解がいかに浅かったかを気付かされます。痛ましい歴史から何を教訓に学ぶのか、前回聴いたお話から、教育の持つ影響力について印象を強く持ちました。しかし、教育の問題に解消してはならない、当時の大本営の方針「軍官民共生共死」が根底にあったこと、軍隊は国民を決して守らないこと、を今日的な教訓として学ぶ必要があるということを説明されました。改めて、深く心に刻まれるお話でした。
講演会では、読谷村の基地解消への道のりと、読谷村独自の街作り、文化の継承・発展について詳しくお聴きしました。今回はさらに第2部として、日米関係の問題、SACO合意から、現在の政治情勢まで壮大なスケールのお話を準備され、大変感銘を受けました。さらに何時間もお聴きしたいと思うほど引き込まれました。2019年に本土で行われた天皇代替わりに関連する諸行事、即位の礼、大嘗祭等がいかに異常なものだったか、昭和天皇の拝謁記から読み取るべきこと、など改めて多くの気づきがありました。
普段何気なく過ごしてしまう日常のニュース、出来事について、沖縄の人々の目にはどう映るか、読谷村の人々は、この先生は、とお話を聴きながら想像力を広げていくことで、自分の思いもよらなかった視点や気づきにハッとさせられます。普段の勉強とは全く質の違う生きた学びがあると思います。
講演会後の懇親会を含めて、トータル8時間ほどお付き合いいただき、小橋川さんには本当にいつも感謝の気持ちでいっぱいです。小橋川さんのお話が聞けるだけでも、また来年も参加したいと思えるほど、素晴らしい方だと感じます。
 
 
2日目伊江島にて
昨年に引き続き訪れた伊江島。1日中雨風にまみれた昨年とは打って変わって、最高の快晴に恵まれた今回は、全く別の場所に来たかのような素晴らしい景色でした。特に伊江島のシンボルといわれる城山、「タッチュー」の険しい坂をみんなで登り、頂上から見下ろした島の景色は、しっかりと瞼に焼き付けました。
反戦平和資料館館長の謝花悦子さんのお話は、昨年に引き続きお聴きして、本当に深い感銘を受けました。お聴きしている間、何度も涙が出てきました。冒頭に、「沖縄戦から74年経ちますが、戦後と思ったことは一度もありません。」とおっしゃいました。この言葉は、本当に深く、重いと感じずにはいられません。「沖縄戦」というと過去の出来事と考えてしまいがちですが、いま現在に至る苦難の連続だということを、1時間半のお話全体を通じて、深く心に刻まれました。謝花さんの今日までのひとかたならぬ苦難の体験、義憤というべき、現在の政権に対する激しい怒りのお言葉の数々、阿波根昌鴻さんのたたかいの歴史、これらは2度お聴きしてこそ、より深く理解し、共感できるものだと感じました。「私ごとき者の話を聞くために2年も続けてここへ足を運んでくださる先生や皆さんは本当に素晴らしい。これからの未来に希望が持てる。」と何度もおっしゃって、本当に胸が熱くなる思いでした。普段の書物や映像を通じての勉強では絶対に得られない、生きた体験と学び、出会いがあります。
講演会後に謝花悦子さんに感謝の気持ちをお伝えし、握手させていただきました。温かさと、力強さを感じました。
そして、帰り際にこの講演会場の壁に貼られていた立派な文字を深く心に刻みました。
 
「平和の最大の敵は無関心である
戦争の最大の友も無関心である」
 
3日目久高島にて
本島からフェリーで20分ほどで初めて訪れた久高島。今までの沖縄スタディツアーにはない、新たな体験ができました。事前勉強会で山本先生から久高島の概要を説明いただいたおかげで、あらかじめ強い関心と問題意識を持って訪問することができました。現地ではガイドさんが車で場所場所を案内いただき、とても親切に説明いただきました。小さな島に本島と同じ時が流れているのに、全く違う生活空間、文化、習俗が息づいていることに新鮮な感動がありました。見るもの、聞くもの、すべて初めてで、言葉も地名も聞き慣れないことばかり。なぜこのような習俗が今にも続いているのだろうという知的好奇心が掻き立てられるひと時でした。3時間のツアーがほんの一瞬の出来事に感じられましたが、また訪れてみたいと思う場所でした。
 
 
上記以外にも多くの気づき、感動がありました。
こうした素晴らしい体験ができるのも、伊藤塾の先生方やスタッフの皆さん、現地のバスガイドさん、そして一緒に参加する皆さんとの楽しい交流があってこそだと思います。皆さんとの楽しい交流のエピソードも、ここに書ききれないくらい数々のものがあります。
沖縄スタディツアーを20年の長きにわたり、営々と続けてこられた伊藤塾長はじめ、先生方やスタッフの皆様に心より敬意を表します。謝花悦子さんが繰り返し感動の気持ちを表現されたように、伊藤塾で法律を学び、現地で生きた勉強、体験をすることは、将来にわたって生きた力になるものだと改めて感じることができました。
 
    常日頃から沖縄の問題を自分自身のものとして捉えること、相手の立場に立って想像すること、共感力を高めることは、憲法をはじめ法を学んでいく上で、簡単ではないがとても大切なことだと感じます。
 
    沖縄スタディツアーの経験を糧に、今後とも学びを続けていきたいと思います。