Vol.02 弁護士 田原 洋太先生
スポーツロイヤーとしてのキャリア|田原洋太弁護士が明かす「スポーツ×法律」の可能性
専門分野:スポーツ法務、アスリートサポート、チーム法務、誹謗中傷対策
活動理念:アスリート・チーム・ファン全てのステークホルダーが幸せになるスポーツ界の実現
主な取り組み:
・COAS(アスリート誹謗中傷対策団体)設立・運営
・スポーツ大会での講演活動
・メディア記事掲載による啓蒙活動
・弁護士会でのスポーツ法シンポジウム登壇
スポーツロイヤーとしての志と活動理念
Q: まず自己紹介をお願いします。
田原洋太です。私は、スポーツの分野を中心に、アスリートやチームのサポートなどをさせていただいております。
Q: 現在、どのような志を持ってスポーツ法務に取り組まれているのでしょうか?
アスリート、チーム、そして、ファンのいろんなステークホルダーの方が幸せになれるようなスポーツ界になればいいと思って活動しています。
Q: そのような志を持ったきっかけは何でしょうか?
もともとスポーツ観戦するというのが非常に好きだったので、試合を見て一喜一憂したりとか、ほかのファンの方と一緒になって喜んだりする一体感を感じていました。特に自分自身が辛いときとかも、そういったところでエネルギーをもらえたので、今度は私が逆にエネルギーを与える側に立ちたいなと思ったのがきっかけです。
弁護士を目指したきっかけとスポーツ法務への道
Q: 法律家を志した理由を教えてください。
小学生の頃から法律を扱ったテレビ番組が好きで、漠然と弁護士に興味をもっておりました。また国語や社会といった科目が得意だという自負があったので、これを活かすために法学部に進学して弁護士になろうと思いました。
Q: スポーツ法務分野に興味を持ったきっかけは?
私が通っていた高校では、アメリカンフットボール部が人気がありまして、多くの友人が所属しておりました。私もその友人たちが試合や練習をしている風景を見て、アメリカンフットボールに興味を持ち、その後、アメリカのプロスポーツリーグであるNFLの試合も観るようになりました。
そのNFLの試合を観ていくうちに、アメリカでは弁護士やロースクール出身の方がスポーツにエージェントという立場で携わってることを知って、スポーツ分野で活躍できる弁護士になろうと思いました。
Q: その志は学生時代から現在まで変わらず持ち続けられているのですか?
はい。これまでずっと同じ気持ちでここまで取り組んでくることができ、基本的にぶれるということはありませんでした。もともと弁護士になろうと思った当時は、弁護士の仕事自体あまりよく分かっていませんでしたが、実際に弁護士になってみると、まだスポーツに取り組んでる弁護士の数は、ほかの分野に比べると多くないのではないかと思います。
そのため、スポーツ分野における弁護士の活躍の余地というのはまだまだあると感じています。むしろ、これからもどんどん取り組んでいきたいと考えてます。
伊藤塾での司法試験対策と実力向上の軌跡
Q: 伊藤塾で司法試験対策を始めたきっかけを教えてください。
私が本格的に司法試験の勉強を開始したのは大学2年生のときからで、当時、周りに司法試験を目指してる友人があまりいなかったので、そういった同じ志を持ってる方がいらっしゃる環境に身を置きたいなと思ってました。
そう考えたときに、やはり「伊藤塾」は、様々な大学であったり、バックグラウンドを持ってる方が集まって司法試験目指しているという環境でしたので、私も司法試験の合格を目指すのであれば伊藤塾がベストではないかと思い入塾しました。
Q: 伊藤塾の価値や魅力をどのように感じましたか?
一つは、志を持ってる方が非常に多く在籍しているので、皆さん非常にモチベーション高く勉強に取り組まれてます。このような環境の中で勉強できたことは非常によかったです。
また、講師の皆さんやスタッフの皆さんにも非常に熱心にアドバイスなどサポートしていただきました。特に、勉強の方向性というものをしっかり教えていただき、この二つは非常に伊藤塾に入ってよかったと思っております。
Q: 具体的にはどのような司法試験勉強法を取られていましたか?
私の場合は、何回もテキストを読み込んで、過去問を解くことをひたすら繰り返してました。基本的には伊藤塾での基礎マスターテキストを中心に、そこに記載されている論点だったり、重要な知識というのを優先的に覚えて、身に着けた知識を過去問や答練でアウトプットすることを行ってました。
Q: 司法試験勉強中に壁にぶつかることはありましたか?
周りに優秀な受講生の方が多くいたので、自分だけ遅れてるなとか、取り残されてるなとか感じることはありました。
そういうときは、一緒に勉強してる仲間に相談したりとか、あとは講師の方とかスタッフの方に色々お話を伺って、自分の勉強の方向性を見直したりしてました。
Q: 伊藤塾に入り、独学で勉強するのと違いはありましたか?
はい、伊藤塾に入って法律の勉強というのは一人でやるよりも格段に効率よくできたという実感はあります。おそらく私一人だけではなかなか勉強の方向性が決まらなかったり、モチベーションを保つのが難しかったのですが、伊藤塾という環境があったおかげで、司法試験合格する方向性の見直しやモチベーションを保つことができたので入塾してよかったです。
法律学習の意義とスポーツ実務での活用方法
Q: 法律を学ぶ意義について、どのようにお考えですか?
法律を学ぶ意義は、お互いの立場を考えて物事の解決を図る力を身につけられることが、一番意義があると思ってます。
法律の考え方の中に比較衡量という言葉がありますが、一方の当事者の利益だけを考えるのではなく、双方の利益を考えて、妥当な結論を導くことが大事になってきます。
この考え方を身につけられたということは、スポーツをはじめ弁護士として実務を行っていく上で非常によかったです。
Q: その比較衡量の考え方は現在のスポーツ法務でどのように活かされていますか?
スポーツにおいては、「アスリート」「チーム」「ファン」という大きく三つのステークホルダーが存在しますが、時には立場が対立してしまうことがあります。
ただ全てのステークホルダーは、最終的に勝利や優勝という同じ方向を向いて一緒に取り組んでいく必要があります。どちらか一方の利益だけを取ってしまうとその目標に到達することができません。スポーツにおいても、お互いの立場や利益を考えて最終的に解決することが非常に大事なことだと考えてます。
アスリート誹謗中傷対策「COAS」の取り組み
Q: COAS(アスリート誹謗中傷対策を行う団体)について教えてください。
COASという団体は、アスリートへの誹謗中傷を抑止するために活動を行っていこうという目的で設立した団体です。具体的には、今まではメディアでの記事の掲載であったり、あるいはスポーツ大会での講演などを行ってまいりました。
Q: なぜアスリートの誹謗中傷問題に着目されたのでしょうか?
誹謗中傷自体については、最近ニュースでも大きく取り上げられるようになってきていています。昨年のパリオリンピック・パラリンピックでも、実際に誹謗中傷を受けた事例が大きく報道されました。
やはり誹謗中傷を受けてしまうと選手自体が萎縮してしまうというのはもちろんですが、今後スポーツを目指していく子どもたちが安心してスポーツできる環境がなくなってしまうんじゃないかという危機感もありました。そのために何かできることはないかと考え、他の弁護士とともにCOASを立ち上げました。
スポーツ法務の特徴と業務の魅力
Q: スポーツ法務の難しさと面白さについて教えてください。
一口にスポーツ法務と言っても、民法や労働法、独占禁止法、著作権法などいろんな法律が関わってきます。それらの法律が適用される場面場面によって変わってくるところが、スポーツ法の特色だと思ってます。
そのため、いろんな分野の経験ができることはスポーツ法務に取り組む一つの魅力です。しかし反面、さまざまな分野に対応しなければいけないのが大変なところです。
Q: 具体的にはどのような法的問題がスポーツ現場で発生するのでしょうか?
例えば、スポーツのプレー中に怪我をしてしまったというときは、民法の問題になってきます。また、撮影や配信などが絡んでくると著作権法の問題になってきます。
ほかにも、一概にスポーツ選手といっても、プロ野球選手のように個人事業主とされる方ばかりではなく、一般の社員の方が企業のスポーツチームに加入してることもありますので、そういったときは労働法の問題が出てくることになります。
さらに、既存の法律だけではなく、スポーツ独自のルールというのがあります。例えばドーピングだったり、オリンピックのルールというのがあり、日本の法律だけではなく、こうしたスポーツ独自のルールも取り扱うことが、スポーツ法務の一つ面白いところだと思います。
Q: スポーツロイヤーならではのやりがいは?
やはりサポートしたチームだったり、アスリートが実際に試合で活躍していただけると非常に嬉しいです。実際にその選手が出ている試合を見て、ファンの方が喜んでいたける姿を見ると、この仕事をしていてよかったなとやりがいを感じます。
「志×実力」でスポーツ界を変える取り組み
Q: 「志を持って実力を得て、世界を変えていく」という考えについてはいかがですか?
非常にその通りだなと思います。特に、私の場合は周りにスポーツ法務に携わってる弁護士があまり多くない状況から始めたので、スポーツに関わりたい、スポーツ界を良くしたいという志を持ち続けて、それに向かって弁護士としてさまざまな経験を積んできたことが今に活きていると思います。
ですので、志をしっかり持って、力を身につけるというのは非常に大事だと思ってます。
Q: 伊藤塾で学んだ基礎重視の姿勢は現在の実務にどう活かされていますか?
伊藤塾ではまず、「基礎」というのが非常に大事だということを教わります。そのため、テキストを中心にしっかりと何回も基礎的な知識を身につけて、それをアウトプットしていくことを教えていただきました。
実際、実務においても、初めて触れる法律の分野だったり、知識というのが多くありますので、基礎的な知識を大事にして取り組む姿勢というのは活きています。
日本のスポーツエンタメを世界一にする展望
Q: 今後チャレンジしたいことについて教えてください。
日本のスポーツエンタメを世界一にしたいという思いがあります。私自身、今までスポーツを観てきて、勇気をもらったり、感動したり、かけがえのない経験をさせていただきました。
そうした経験をされる方が一人でも増えて、より多くの人に幸せだったり、頑張っていこうという活力が得られるよう、何か少しでもそのような力になりたいと思ってます。
Q: その志を実現するために大切なことは何でしょうか?
まだ日本のスポーツビジネスはアメリカなどに比べると発展途上にあると思ってます。その分、これから取り組んでいくべき課題などもいろいろあると思ってます。
ただ、そういった課題を一気に魔法のように解決するということはできないと思ってます。目の前の課題一つ一つにちゃんと向き合っていくために、法律の基礎的な知識をしっかり身につけて取り組んでいく必要があります。
その中で、伊藤塾で教わった基礎を大事にするという考えが生きてくると思っていますので、引き続き私自身も基礎を大事に一つ一つ取り組んでいきたいと思います。
まとめ:スポーツ×法律の無限の可能性
田原洋太弁護士の歩みは、高校時代のNFL観戦から始まった志を、伊藤塾での基礎重視の学習で実力に変え、現在のアスリート誹謗中傷対策やスポーツ法務での活躍につなげている成功例です。
法律の「比較衡量」思考をスポーツ界のステークホルダー調整に活かし、COASのような社会貢献活動を展開する姿は、志と実力を兼ね備えた法律家の理想像といえます。「日本のスポーツエンタメを世界一に」という目標に向け、基礎を大切にしながら一歩ずつ前進する田原弁護士の今後の活躍に注目したいと思います。
