明日の法律家講座 東京校第358回

2024年12月20日(金)実施

戦争が止まない世界とICC

 講師

菅野 志桜里 氏

菅野 志桜里 氏
(弁護士、国際人道プラットフォーム代表理事、元衆議院議員、元検察官)

仙台生まれ、東京育ち。社会人デビューは少女時代の初代「アニー」役。東京大学法学部卒業後は検察官に任官。2009年より3期10年衆議院議員を務め、待機児童問題・皇位継承問題・憲法問題・人権外交などに取り組む。現在は弁護士、一般社団法人国際人道プラットフォーム代表理事、消費者庁「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」委員、その他「人権外交を超党派で考える議員連盟」アドバイザー、対中政策に関する列国議会連盟IPAC(Inter-Parliamentary Alliance on China)日本コーディネーター。

講師からのメッセージ  

現代の国際社会では、民主主義国と権威主義国の分断が進むと同時に、米中主導の二項対立から距離を置こうとする国家群も少なくありません。その結果、世界にはミシン目が生まれ、放置すれば裂けてしまうような危うさをはらんでいます。「法の支配」は、政治体制による分断のミシン目を包摂し、再び結びつける役割を果たせるのではないでしょうか。今回は、国際社会の「法の支配」における最後の砦というべきICC(国際刑事裁判所)の現代的課題を取り上げつつ、日本が果たせる国際貢献を考えていきます。
いま、国際刑事裁判所長は日本の検察官出身の赤根智子判事です。ぜひ世界にも目線を向け、キャリアの選択肢を広げてみてください!

明日の法律家講座 東京校第359回

2025年1月17日(金)18:30~20:30

カモフラージュされた軍事組織

 講師

佐藤 文香 先生

佐藤 文香 先生
(一橋大学大学院社会学研究科教授)

1997年 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了
2000年 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学
2002年 博士(学術)
2003年 中部大学人文学部専任講師
2005年 一橋大学大学院社会学研究科助教授、2015年同教授

 
【 主な取り組み・活動】

2011年-12年 ハーバード・イエンチン研究所客員研究員、2016年-21年 外務省女性・平和・安全保障に関する行動計画評価委員、2021年-23年 国際ジェンダー学会会長、2024年-現在 日本女性学会代表幹事。
2002年 女性学研究国際奨励賞、2023年 女性文化研究賞を受賞。


【 主な著書】

『軍事組織とジェンダーー自衛隊の女性たち』(慶應義塾大学出版会、2004年)
『女性兵士という難問ージェンダーから問う戦争・軍隊の社会学』(慶應義塾大学出版会、2022年)

講師からのメッセージ  

2022年に元自衛官の女性が実名で性暴力を世に訴えたことで、自衛隊の女性たちの処遇にスポットライトが当たりました。自衛隊とは無縁な一般の人々にとって、旧態依然たる組織風土は驚きをもって受け止められたことでしょう。そもそも、憲法9条を擁する戦後日本の歴史の中で、女性たちはどのような軍事的貢献を果たしてきたのでしょうか。本講演では「カモフラージュ」という分析枠組みを用いて女性たちの果たしてきた実践的・象徴的な役割を分析します。軍事組織に女性の数が増え、その職域が拡大していくという流れが、ジェンダー平等とは無関係な理由からも促進されうることに光をあててみたいと思います。

明日の法律家講座 東京校第360回

2025年1月25日(土)実施

基地・軍隊と性暴力

 講師

秋林 こずえ 先生

秋林 こずえ 先生
(同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授)

1992年 日本女子大学文学部卒業
1992年~1995年 ㈱日産化学工業勤務
1995年~1998年 コロンビア大学教育大学院(Teachers College Columbia University)M.Ed.(教育学修士)
1998年~2002年 同大学院 Ed.D.(教育学博士)
2004年 お茶の水女子大学ジェンダー研究センター研究機関研究員
2006年 立命館大学国際関係学部助教授
2014年 同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授

【 主な取り組み・活動】

2001年~2022年 WILPF(Women’s International League for Peace and Freedom、婦人国際平和自由連盟)日本支部国際担当理事
2015年~2018年 WILPF国際本部国際会長
2016年~2018年、2023年 日本平和学会理事
2016年~現在 Women Cross DMZ Steering Committee member, International Advisory Board memberなど。


【 主な著書】

川崎哲・青井未帆編著『戦争でなく平和の準備を』地平社(2024年)
富坂キリスト教センター編『沖縄にみる性暴力と軍事主義』御茶ノ水書房(2017年)

講師からのメッセージ  

2024年6月に沖縄で米兵による性暴力事件について沖縄県のメディアが報道しましたが、同時にこの事件が2023年12月に起こっていたこと、発生について日本政府には知らされていたけれど沖縄県には知らされていなかったこと、公表もされていなかったことも明らかになりました。その後、さらに近年に起こっていた駐留米兵による複数の性暴力事件とその隠蔽についての報道が続きました。沖縄での米兵による性暴力はアジア太平洋戦争終結から継続しています。軍事基地の存在は基地だけでなく、戦争をする軍隊の駐留、つまり長期駐留軍という問題でもあります。本講義ではジェンダーの視点から軍隊の長期駐留に取り組んできたフェミニスト平和運動を紹介します。

明日の法律家講座 東京校第352回

2024年9月28日(土)実施

多国籍社会日本におけるNGOと弁護士の役割
~国籍法3条違憲訴訟を題材に~

 講師

近藤 博徳 弁護士

近藤 博徳 弁護士
(TOKYO大樹法律事務所所属)

中央大学法学部卒業。
1988年 司法試験合格(43期)。
日本弁護士連合会人権擁護委員会委嘱委員
 

伊藤 里枝子 氏

伊藤 里枝子 氏
(特定非営利活動法人JFCネットワーク事務局長)

1998年1月
フィリピンの事務所「Maligaya House」のオープニングスタッフ。
1998年6月~
JFCネットワーク@東京で勤務。タガログ語の法廷通訳しても働く。
 

講師からのメッセージ  

 法務省によると、2024年6月末現在で、日本には195カ国、約322万人の中長期在留者及び特別永住者が生活して
います。彼/彼女らの生活場面では、本国法と日本法が絡み合い、当事者には解決困難な問題が度々発生します。
その問題を最も素早く感知し、拾い上げることができるのがNGO/NPOです。また、その問題を法的に整理し、交渉や行政手続、さらに裁判を利用して問題解決に導くことができるのが弁護士です。
NPO法人「JFCネットワーク」と弁護士の協働により獲得した国籍法3条違憲判決を題材に、NGO/NPOと弁護士の
協働の意義と、これからの弁護士に期待される役割を展望します。

明日の法律家講座 東京校第353回

2024年10月19日(土)実施

グローバル南北戦争の時代と日米安保体制の行方

 講師

白井 聡 先生

白井 聡 先生
(京都精華大学国際文化学部准教授)

1977年東京都生まれ。京都精華大学国際文化学部准教授。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。専攻は政治学・思想史。『永続敗戦論―戦後日本の核心』(2013年)により、石橋湛山賞、角川財団学芸賞、いける本大賞を受賞。同書は、韓国、台湾で翻訳されている。他の著書に、『国体論―菊と星条旗』(2018年)、『武器としての「資本論」』(2020年)、『主権者のいない国』(2021年)、『長期腐敗体制』(2022年)などがある。

講師からのメッセージ  

ロシア・ウクライナ紛争の勃発以降、世界の秩序は急速に混沌化しつつあり、さまざまな地域で紛争が実際に発生したり、緊張が高まるなど、「グローバル南北戦争」とも呼ぶべき状況が現れてきた。
この状況は、アメリカを中心とする先進諸国のグローバルな支配力が低下することによって、生じてきたものである。
ゆえに現在、対立軸は「G7体制対グローバル・サウス」というかたちで形成されつつある。
このような情勢下で、岸田政権が進めてきた軍拡と日米安保体制の強化策が何を意味するのか。受講者には、今日の世界情勢の根本的見取り図とそのなかで日本の対米従属体制が向かいつつある道がいかなるものであるのかを理解してもらいたい。

明日の法律家講座 東京校第354回

2024年10月26日(土)実施

憲法の理想と現実についての私見
~どうすれば多くの人に届くか悩みながら~

 講師

三輪 記子 弁護士

三輪 記子 弁護士
(元伊藤塾塾生/三輪記子の法律事務所。憲法YouTuber)

1976年10月24日生まれ。
京都府出身。東京大学法学部を卒業後、司法浪人を経て立命館大学法科大学院に入学。2009年に司法試験合格、2010年12月弁護士登録。
2021年3月に「三輪記子の法律事務所」を開設。
テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。
※弁護士三輪記子のYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@MiwaFusako_B

講師からのメッセージ  

 憲法の理論と実社会との乖離について、弁護士になる前に感じていたこと、弁護士になってから感じるようになったこと、コメンテーターをするようになってからさらに感じるようになったことについて、そこから見えてくる日本社会の課題や課題解決に何が必要かについて一緒に考えたいと思います。
 憲法で最も大切な概念は「個人の尊厳」だと私は考えています。しかし、実社会では本当に「個人の尊厳」は尊重されているのでしょうか。甚だ疑問を感じる事象ばかりだと思うのは私だけでしょうか。そもそも「個人の尊厳」ははっきりと目に見えるものではなく、私たちが「発見」してきたものです。私たちが憲法的な価値観を実社会に浸透させるためには何が足りないのか、どうすれば「個人の尊厳」が真に尊重される社会になるのか。私も日々悩んでいますので、その悩みを共有させてもらえればありがたいと考えています。

明日の法律家講座 東京校第355回

2024年11月15日(金)実施

エンタテインメント法とは何か
~エンタテインメント・ロイヤーという生き方~

 講師

福井健策 弁護士

福井 健策 弁護士
(骨董通り法律事務所)

弁護士(日本・ニューヨーク州)/
日本大学芸術学部・神戸大学大学院・iU・CAT客員教授
1991年 東京大学法学部卒。1993年 弁護士登録(第二東京弁護士会)。米国コロンビア大学法学修士課程修了(セゾン文化財団スカラシップ)、シンガポール国立大学リサーチスカラーなど経て、現在、骨董通り法律事務所 代表。
著書に『改訂版 著作権とは何か』『誰が「知」を独占するのか』(集英社新書)、『エンタテインメントと著作権』全5巻(シリーズ編者、CRIC)、『18歳の著作権入門』(ちくまプリマ―新書)、『ロボット・AIと法』(共著・有斐閣)、『エンタテインメント法実務』(編著・弘文堂)ほか。
多くのコンテンツ企業・クリエイターの顧問、内閣府知財本部・文化庁ほか委員、デジタルアーカイブ学会・エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク理事、緊急事態舞台芸術ネットワーク常任理事・政策部会長、日本文学振興会評議員などを務める。
https://www.kottolaw.com  Twitter: @fukuikensaku

講師からのメッセージ  

エンタテインメント・ロイヤーと言われる弁護士の一群がいます。音楽・出版・映画・ライブ・美術といった分野の、契約や法的アドバイスを専門とする法律家たちです。個人クリエイターの代理人もいれば、米国ではハリウッドなどエンタメ企業の重役にも弁護士資格者は少なくありません。
特に、最近はアニメや漫画、ゲームなどの日本文化の世界的な人気から国際契約のせめぎ合いも多く、またタレントやクリエイターをめぐる契約や働き方の課題など、法的なサポートの必要性も高まっています。変革期にある、文化・エンタメ界が抱えるさまざまな課題と、それをサポートする法実務のなりたち、そしてエンタテインメント・ロイヤーとしての生き方をお話しします。

明日の法律家講座 東京校第351回

2024年9月14日(土)実施

レイシャル·プロファイリングの現状と課題
~「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」ケースを中心に~

 講師

宮下  萌 弁護士

宮下  萌 弁護士
(東京弁護士会/弁護士法人戸野·田並·小佐田法律事務所東京オフィス)

ヘイトスピーチや人種差別とテクノロジー、レイシャル·プロファイリング等に関する活動を行っている。

 
【 関与した主な訴訟】
「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」弁護団員。

【 主な著書】
『レイシャル·プロファイリング  警察による人種差別を問う』(編著、大月書店、2023年)
『テクノロジーと差別  ネットヘイトから「AIによる差別」まで』(編著、解放出版社、2022年)
『AIプロファイリングの法律問題  AI時代の個人情報·プライバシー』(共著、商事法務、2023年)
『国際人権個人通報150選』(共著、現代人文社、2023年)
「保護法益から再考するヘイトスピーチ規制法―人間の尊厳を手掛かりに―」
早稲田大学大学院法務研究科臨床法学研究会Law & Practice 第13号(2019年)等。

講師からのメッセージ  

本来は市民の安全を「守る」はずの警察官が、「外国人」又は「外国人風の見た目である」ということを理由とし、その人を「犯罪者」または「犯罪者予備軍」として扱う公権力による人種差別—それが「レイシャル·プロファイリング」です。
2024年1月29日、勇気ある3名の原告が、レイシャル·プロファイリングの違法性を真正面から問う「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」を提訴しました。この裁判は、「レイシャル·プロファイリング」は許されないのだということを三権の一つである「司法」を通じて真正面から問う闘いです。
本講座では、「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」の概説を行うとともに、日本におけるレイシャル·プロファイリングの現状と課題や社会調査を司法にどのように生かすか等についてお話します。
―人々の尊厳が守られる社会にするため、誰もが安心して暮らせる社会を作るため、差別がない社会を作るため、私たち一人一人に何ができるか―
本講演会がこのような問題について皆様と一緒に考える機会になれば幸いです。

明日の法律家講座 東京校第348回

2024年8月3日(土)実施

学術交流を通じた平和貢献

 講師

髙山 佳奈子 先生

髙山 佳奈子 先生
(京都大学大学院法学研究科教授)

1991年 東京大学法学部卒業
1993年 東京大学大学院法学政治学研究科助手
1996年 成城大学法学部専任講師
2002年 京都大学大学院法学研究科助教授、2005年 同教授

【 主な取組み·活動】
1998-2000年ケルン大学客員研究員、2004年から国際刑法学会本部理事、2016年からドイツ比較法学会連携会員、2022年からアレクサンダー·フォン·フンボルト財団国際助言委員。ドイツ連邦共和国功労十字勲章小授章、フィリップ·フランツ·フォン·ジーボルト賞、オイゲン&イルゼ·ザイボルト賞を受賞、ハンブルク大学名誉博士。
守屋研究奨励賞·季刊刑事弁護新人賞。
【 主な著書】
『グローバル化と法の変容』(共編著、日本評論社、2018年)
『日中経済刑法の最新動向』(共編著、成文堂、2020年)

講師からのメッセージ  

 マスコミの報道だけでは、各国の法律家や市民が何を考え、どのように暮らしているかがわかりません。意図的な情報操作が行われていると感じることも多いです。しかし、一般の方にとって、信頼できる外国語の情報を直接入手して分析することは容易ではないでしょう。研究者の役割の一つは、各国の仲間と連携して、世界情勢の本当の姿に少しでも近づき、また日本について正しく発信することです。また、法学教育において、日本出身の学生や留学生を国際平和に貢献する法律家へと育てることも大切な任務です。今回の講座では、ロシアや中国との関係も含め、日々の取り組みのいくつかを紹介したいと思います。

明日の法律家講座 東京校第349回

2024年8月24日(土)実施

司法試験に受かったら ―伊藤塾OGの一例―

 講師

ベロスルドヴァ・オリガ 弁護士

ベロスルドヴァ・オリガ 弁護士
(元伊藤塾塾生/ポールヘイスティングス法律事務所)

2017年 慶應義塾大学法学部卒業
    予備試験合格
2018年 司法試験合格
2019年 司法修習終了(72期)
2020年 第18回季刊刑事弁護新人賞
2021年 東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻修了
2022年 ハーバード大学(LL.M.)合格
      スタンフォード大学(LL.M.)合格
2023年 カリフォルニア州司法試験合格
    ハーバード大学(LL.M.)修了
    ニューヨーク州司法試験合格

講師からのメッセージ  

 「こんなはずじゃなかった…」
 2020年、パンデミックで一変した世界を前に、弁護士1年目の私の足は竦んでいました。
 しかし、自分の問題すら解決できない弁護士は他の誰からも頼られないのではないか、そんな想いを胸にもがき続けた結果、周囲の方々の支えの下で奮闘することができ、いつの間にか予定より前倒しで留学等もしていました。
 大学卒業はスタート地点、司法試験合格はスタート地点、弁護士登録はスタート地点と、法曹人生はスタート地点ばかりで、私もまた1つのスタート地点に立ったばかりですが、伊藤塾出身者として学生の方々に最も近い立場から、仕事のこと、留学のこと、世界のこと、自らの経験と知識をお伝えします。
 混沌とした世界の中で、法律家としての将来に不安を感じることもあるかもしれません。逆境との向き合い方に正解はありませんが、数年前、皆さんと同じ席に座ってコツコツ勉強していた1人の人間が、司法試験合格後の5年間、何を考えどのように過ごしてきたか、1つの実例について語ります。
 質疑応答では、勉強や留学についてのご相談もお受けします。伊藤塾の塾生に限らず、初学者の方や留学準備中の方々も会場に足をお運び頂けましたら幸いです。