明日の法律家講座 東京校第326回

2023年4月15日(土)実施

インハウスとプライベートプラクティスの双方を経験して

 講師プロフィール

藤井 友弘氏
(生命保険会社弁護士)

藤井友弘氏
2010年3月 中央大学法学部卒業
2012年3月 上智大学法科大学院修了
2014年4月 弁護士登録、株式会社みずほ銀行入行、同営業店勤務
2015年4月 株式会社みずほ銀行/株式会社みずほフィナンシャル 
      グループ法務部勤務
2019年4月 外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ入所
      ( 外資系証券会社へのパートタイム出向を含む。)
2023年4月 生命保険会社入社
【執筆】
  •  稲田博志・笹川豪介編『銀行員のためのトラブル相談ハンドブック』(新日本法規出版㈱、2017年2月、共著者として参加)
  • 金融法務事情 2017年3月25日号「関西金融判例・実務研究会報告メインバンクが融資先から受けた弁済が支払不能後になされたものとして否認された事例―高松高判平26. 5 .23の検討―」
  • 銀行法務21 2018年5月号「 民事執行法改正―財産開示制度を除く諸論点」
  • 改正債権法実務研究会編『これ一冊でよくわかる 改正債権法と営業店実務』(㈱経済法令研究会、2020年7月、共著者として参加)
  • 金融取引法研究会編『銀行取引約定書参考例 実務解説』(㈱経済法令研究会、2021年7月、共著者として参加)

笹川 豪介氏
(LINE Pay株式会社執行役員CISO IT統制本部長・弁護士(インハウスハブ東京法律事務所))

笹川豪介氏
2004年3月 慶應義塾大学総合政策学部卒業
2004年4月 中央三井信託銀行株式会社
      (現三井住友信託銀行株式会社)入社
2009年3月 筑波大学大学院ビジネス科学研究科法曹専攻
      (法科大学院)修了
2011年4月 弁護士登録
2014年10月 岩田合同法律事務所入所
      (三井住友信託銀行からの出向、2016年9月まで)
2019年2月 LINE株式会社入社
【執筆】
  • 中央三井トラスト・グループ信託業務研究会編『Q&A信託業務ハンドブック[第3版]』(金融財政事情研究会、2008年5月、共著者として参加)
  • 金融法務事情2014年5月25日号~2016年9月25日号「実務にとどく相続の基礎と実践1~24」(連載)
  • 新井誠編『信託法実務判例研究』(有斐閣、 2015年3月、共著者として参加)
  • 稲田博志・笹川豪介編『銀行員のためのトラブル相談ハンドブック』(新日本法規出版㈱、2017年2月、共著者として参加)
  • 金融取引法研究会編『銀行取引約定書参考例 実務解説』(㈱経済法令研究会、2021年7月、共著者として参加)他多数

講師からのメッセージ 

『企業法務』をやりたいです。これは、司法試験の合格を目指す皆さんからよく聞くフレーズです。しかし、『企業法務』は必ずしも訴訟や紛争が関係しないことも多く、司法試験の論文式試験対策として紛争をベースとした事例問題を多く解かれている皆さんにとっては、実際には何をやっているかイメージが湧きづらい分野であるように思います。また、一口に『企業法務』といっても、会社の規模、取り扱っているビジネス、その顧客層、法律分野等によって、実際の業務内容は異なりますし、法律事務所に所属する弁護士として『企業法務』を取り扱う場合もあれば、企業に所属するインハウスロイヤーとして『企業法務』を取り扱う場合もあります。加えて、インハウスロイヤーの中でも一般的な法務部門での勤務のみならず、コンプライアンス部門、情報セキュリティー部門、企画部門等にて勤務する者も増加しており、その活躍できるフィールドは今まさに拡大しているところです。私たちは、『企業法務』と呼ばれるものは一義的なものではなく実際にはバライティに溢れ、このバライティこそが『企業法務』の魅力の1つであると考えています。
私たちのキャリアは、インハウスロイヤーとプライベートプラクティスの双方を経験する等、決して、皆さんが思い描くような弁護士としての王道のキャリアではありません。しかし、様々な経験を経たからこそ得ることができた知見から、企業法務を志す皆さんにキャリア選択の一助となるべく『企業法務』の業務内容、やりがい、魅力、キャリアプラン、弁護士業務の拡大の可能性等をざっくばらんにお話しさせていただきたいと思います。

明日の法律家講座 東京校第327回

2023年5月20日(土)実施

法律実務家として活躍するために大切な考え方

 講師プロフィール

西尾 有司氏
(「弁護士法人心」代表弁護士(愛知県弁護士会所属)、元伊藤塾塾生)

西尾有司氏
弁護士法人心、税理士法人心、社会保険労務士法人心、行政書士法人心相続、㈱心経営、㈱心デジタル、㈱心デザイン、㈱心不動産、㈱心会計、㈱心相続、㈱心保険等からなる『心グループ』代表。
勤務弁護士2年目で年商1億円超を達成した経験をもとに、独立後14年で弁護士47名を含む総勢200名体制を構築し、年商25億円のグループへ成長させる。
相続、交通事故、債務整理、刑事事件、中小企業法務などに注力している他、税理士法人、社会保険労務士法人、行政書士法人、不動産会社、保険代理店、デザイン会社、システム会社等を経営するなどして、幅広い分野で活躍している。

講師からのメッセージ 

近年、採用活動をしていると、司法修習生(予定者)の方から、「弁護士の仕事が減っているのが不安だ」などという声をよく聞きます。
確かに、弁護士数の増加により弁護士一人当たりの仕事が減り、困っている弁護士もいるのかもしれません。しかし、試験科目だけではなく、弁護士として実務で求められる専門的知識をしっかりと学ぶことに加えて、コミュニケーションや心理学等に関する「正しい考え方」をきちんと身に付ければ、仕事に困ることはありません。
弁護士法人心には、案件を対応するごとに、依頼者、紹介者の方からとても喜ばれ、どんどんと紹介が増えていき、一人では対応しきれないほどに仕事が来て、売上としても年間1億円を超える弁護士が何人もいます。弁護士としてうまくいかない方の最大の原因は、「我流でやる」ということです。自分で最初に思いついたやり方が、正しい方法である可能性は天文学的に低いといえます。他方で、「マニュアルを丸暗記する」というのもうまくいきません。弁護士のところに相談に来られる方は、状況、性格、職業、経歴などが様々で、とおり一辺倒の対応では、到底、真の満足は得られません。当法人では、「マニュアルを丸暗記するのではなく、考え方を身に付ける」というのを徹底し、弁護士各自が成長しています。
今回の明日の法律家講座では、考え方の中でも中核となる「おおもと主義」「チャンキング」「マーケットインとプロダクトアウト」「3C分析」「H-GLOWモデル」「S-CAPDサイクル」等を中心にお話しいたします。実務に出てからだけではなく、試験対策や就職活動にも役立つ考え方も多くありますので、ぜひ、このタイミングでご参加いただければと思います。

明日の法律家講座 東京校第328回

2023年6月10日(土)実施

発達障害者法律相談室を通じて見えてきた発達障害当事者が直面しがちな法律問題及び生きづらさ

 講師プロフィール

伊藤 克之氏
(弁護士、「日野アビリティ法律事務所」主宰)

伊藤 克之氏
1976年、横浜生まれ。中学時代、運動が苦手なことからイジメにあうが、持ち前の集中力で東大法学部に入学し、司法試験に合格。卒業後、中堅法律事務所に就職し、多くの労働事件に従事しながら、順調な弁護士人生を歩みはじめた。しかし、5年目に過労がたたってうつ病に罹患、休職に陥る。復帰したものの、思うように売り上げが伸びず、焦りを感じるが、それが空回りし、再びうつ病に罹患する。その治療中に自分が発達障害を有することを知り、子供の頃からの生きづらさの原因が判明する。発達障害の当事者会に通って自身の特性を受容し、環境を一新、新たな法律事務所及び発達障害専門の法律相談室を立ち上げ、発達障害について学びながら働いている。回復後、発達障害の特性を持つ弁護士として同じ障害、同じ生きづらさに苦しむ当事者の力になるべく奮闘中である。

講師からのメッセージ 

私自身、発達障害の特性が長年分からずに右往左往しながら人生を送りました。その私が、発達障害特性が分かったことによって、この特性とどう付き合っていくかを学ぶことで、弁護士としての仕事を継続することができているだけでなく、発達障害特性を有している方の相談に乗ることにも踏み込んで活動することができるようになりました。皆様が、法律家を目指すにあたって、私の話が、少しでも参考になれば幸いです。

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明日の法律家講座 東京校第320回

2022年10月1日(土)実施

弁護士として自由に生きる~大手法律事務所、巨大企業、留学、パートナー、そして独立へ~

 講師プロフィール

永田 幸洋 氏(「弁護士法人 伏見総合法律事務所 東京事務所」パートナー弁護士、元伊藤塾塾生)

永田 幸洋氏

 
1996年 3月 滋賀県立膳所高等学校卒業
2001年 3月 京都大学農学部生物生産科学科卒業
2004年 3月 京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻修了
2005年 4月 最高裁判所司法研修所入所
2006年 10月 弁護士登録(第二東京弁護士会)  
TMI総合法律事務所勤務
2012年 5月 ジョージタウン大学ロースクール(LL.M.)卒業
2012年 9月 ロスアンゼルスのギブソン・ダン・アンド・クラッチャー法律事務所勤務
2014年 2月 カリフォルニア州弁護士資格取得
2019年  1月 TMI総合法律事務所パートナー就任
2022年 2月 弁護士法人伏見総合法律事務所東京事務所にパートナーとして参画

京都市出身
『【イノベーションを阻む法律たち】MaaS実現への課題_ライドヘイリングの導入なるか?』Wedge(2021)等著書多数

主な取扱分野
■ 国内外のM&A、IPO、合弁、組織再編、スタートアップファイナンス、投資案件
■ ITを中心としたスタートアップの支援(資金調達、ストックオプションの発行等)
■ 顧問業務を中心とした各種企業法務
■ 国際取引(英文契約の作成、海外進出・撤退の支援等)

講師からのメッセージ 

私は、元々、他学部(理系)の出身で、伊藤塾京都校で法律を学んで、大学院を修了した年に、旧司法試験に合格しました。友人の影響ではじめた司法試験でしたが、伊藤塾で必要なことを効率的に学ぶことができたため、スムーズに合格することができました。これにより、私の目に映る世界は大きく変わりました(それまでは、大学の実験室にずっといましたので、笑)。東京の大手の法律事務所に入所し、それまでは想像もしていなかったような、大型のM&Aを担当したり、誰もが知る日本を代表する企業に出向したり、米国のロースクールに留学したりという非常に面白い多くの経験ができました。今は、独立して、司法修習の同期の友人と一緒に法律事務所を経営しています。独立すると、更に自由度は広がり、自分の好きな同僚の弁護士と、自分の好きな依頼者のために、非常に面白い仕事ができています。やはり弁護士の仕事の最大の魅力は、この自由ということにあり、自分の好きな人を幸せにすることができることにあるのだと思います。合格後にどのような世界が待っているのか、少しでも具体的にイメージできるように、15年以上にわたって、大手法律事務所、巨大企業(証券、メーカー等)、アメリカ留学、パートナー、そして独立というこれまで辿ってきたキャリアや、独立後の日々のチャレンジを振り返りながら、お話できればと思います。企業法務に関心のある方には非常に参考になると思いますし、また、大手法律事務所から独立する弁護士は多くはないですので、実際のところ、このご時世に独立してやっていけるのかなども含め、その双方について実体験に基づいてお話できればと思います。

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明日の法律家講座 東京校第321回

2022年11月12日(土)実施

改めて大崎事件を考える~再審弁護から法制度の改革へ

 

講師プロフィール

鴨志田 祐美 氏(弁護士、元伊藤塾塾生)

鴨志田 祐美氏

 
1981年 神奈川県立湘南高校卒業
1985年 早稲田大学法学部卒業(その後、会社員、結婚、出産、予備校講師を経て)
2002年 司法試験合格
2004年 鹿児島県弁護士会登録 (57期)
2010年  「弁護士法人えがりて法律事務所」設立
2021年 京都弁護士会に移籍
2021年 Kollect京都法律事務所(コレクト京都法律事務所)所属

鹿児島市生まれ。以後、大学1年まで神奈川県在住。 

【主な活動】  

2007年~2015年 鹿児島家庭裁判所 家事調停委員/鹿児島地方・簡易裁判所 民事調停委員
2012年~2013年 鹿児島県弁護士会 副会長
2013年~ 日弁連人権擁護委員会 大崎事件委員会 委員長
2014年~2019年 同「再審における証拠開示に関する特別部会」部会長
2019年~2022年  同「再審法改正に関する特別部会」部会長
2022年~ 日弁連「再審法改正実現本部」本部長代行



【 主な著書・寄稿】

『転落自白―「日本型えん罪」はなぜうまれるのか』(共編著 日本評論社  2012 年)
「被疑者弁護から少年審判後に至るまでの連携と協働」(岡田行雄編著『非行少年のためにつながろう!』現代人文社  2017 年)
「再審制度の抱える諸問題」(木谷明ほか編著『シリーズ刑事司法を考える 第5巻 裁判所は何を判断するか』岩波書店  2017 年)
『緊急提言!刑事再審法改正と国会の責任』(共編著 日本評論社  2017 年) 『隠された証拠が冤罪を晴らす―再審における証拠開示の法制化に向けて』(共編著 現代人文社 2018年)
「少年事件における多職種連携の意義」(阿部恭子編著『少年事件加害者家族支援の理論と実践』現代人文社 2020年)
『大崎事件と私―アヤ子と祐美の40年』(LABO 2021年)


講師からのメッセージ 

 司法修習生のとき、弁護修習で配属された事務所の所長が大崎事件第1次再審の弁護団長だったという偶然が、私と大崎事件との運命的な結びつきの始まりでした。弁護士登録直後に弁護団に加入し、以来18年間、弁護士としての人生の全期間を大崎事件の再審弁護人として活動してきました。
 しかし、大崎事件はこれまでに3度の再審開始決定を得ながら、検察官の不服申立てにより取り消され、事件から43年間、一貫して無実を叫び続ける原口アヤ子さんが95歳になった現在もなお、再審請求の闘いが続いています。
 「個人の尊厳」に最高の価値を置く日本国憲法のもと、無実の罪に人生を奪われる冤罪被害は、あってはならない究極の人権侵害であり、その加害者は国家権力です。それなのに、冤罪被害者を救うための最後にして唯一の手段である再審制度は、戦前の旧刑事訴訟法からほとんど変わらず、わずか19条の条文には手続の詳細を定めた規定すらなく、その運用は、個々の裁判官の広範な裁量に委ねられています。また、ようやく裁判所が再審開始を決定しても検察官の不服申立てにより審理が長期化し、上級審で再審開始が取り消される事態も珍しくありません。
 個別の事件の弁護活動だけでは、もはや冤罪被害者を迅速に救済することはできないことを痛感した私は、大崎事件の再審弁護活動の車の両輪として、再審法の改正に向けた活動にも力を注いでいます。最近になってようやく、メディアもこの問題に着目し、特集記事や社説、ドキュメンタリー番組などで現在の法制度の不備が報じられるようになりました。
 日本弁護士連合会は今年6月、「再審法改正実現本部」を設置しました。会長が本部長に就任し、法改正実現のために会を挙げて取り組む体制を整えました。
 今回の講演を通じて、大崎事件の理不尽と、再審法改正の必要性を「わがこと」として受け止めていただきたいと思っています。

明日の法律家講座 東京校第322回

2022年12月3日(土)実施

司法通訳の現状・課題と展望~自分の経験を踏まえて~

 

講師プロフィール

天海 浪漫 氏
((社)日本司法通訳士連合会 代表理事・司法通訳士(2019年認定を受けた)・元伊藤塾塾生)

天海 浪漫 氏
1960年 中国内蒙古生まれ、上海育ち。小中高の時代、とても辛い人生の試練を受けた。
大学卒業後、青春の情熱をもって社会を変えようと思い、夢を追い続けた。
結局、夢は夢のままで現実にならなかったが、社会を変えるよりも、自分に合う社会を選ぶ方がよほど簡単だと悟った。
それで、涙を呑み、故郷に背中を向け、振り向かないまま国境の外へと旅立った。
1992年 人生を変えようという一心で中国から来日。
日本語学校に通いながら、同年(!)弁護士会の通訳として登録、その後裁判所の通訳も登録。数年前検察庁の通訳にも登録した。捜査・弁護・法廷の通訳をすべて経験し、司法通訳歴は30年を超える。
2000年伊藤塾に入塾、司法試験本科生コース、2004年さらに行政書士コース。伊藤塾での在籍期間は6年。

【主な活動】  
伊藤塾で学んだ知識を活用した結果。
2005年 東京国際人権協会を立ち上げ、在日外国人をサポートする活動を開始、今も継続中。
2009年 日本司法通訳士連合会を立ち上げる。
同年11月 全国初の「司法通訳技能検定試験」を創設、試験的に実施。
2010年~ 年1回の「司法通訳技能検定試験」を本格的に開始、今年までで13回を実施。
2019年  念願の「司法通訳士認定試験」を創設し、「司法通訳士」という民間資格を誕生させる。

講師からのメッセージ

伊藤塾に入塾したとき、私の人生はまさにドン底だった。伊藤塾は私を救ってくれた。
1999年の秋、突然アクシデントで、我が家は母子家庭となった。そのとき、私はビザ(在留資格)がない、国保がない、就労資格がない、扶養してくれる家族もいない…それだけではなく、わずか1歳の息子(日本国籍)を養わなければならない…在日外国人にとっては、人生に最悪の局面を直面した。
数か月後、偶然に伊藤塾(当時「伊藤真の司法試験塾」という)のことを知り、塾長の「無料講座」を聴きに行った。
私は教室一列目真ん中の席を選び、塾長の目の前に座っていた。私が講座を聴きに行った動機は、法律に興味があったのは勿論ですが、真の動機は、法律を学び、それを武器にして、自分に理不尽なことをしてきた、公権力を掌握している人たちをやっつけることだった。当時、塾長が講義で最初に言った言葉は今でも覚えている。塾長が言ったのは、「…もし、復讐とかの目的でこの講座を聴きに来たら、今すぐ帰る方がいい。ここの法律講座は復讐のためのものではない…」塾長の目の前に座っていた私が、それを聴くと、居ても立っても居られなくて、自分の心が塾長に覗かれたようで、恥ずかしくて机の下に潜りたかった。塾長の言葉は私の心を敲いているようで、私は塾長の言葉に感動し、復讐の念を捨て、きちんと法律を勉強して社会に役に立つことを決心した。そして、迷わず入塾した。
私は伊藤塾で学んだ法律の知識を司法通訳の仕事に活用し、接見も捜査も法廷も、自白事件も否認事件も、ほぼ支障なく通訳ができるようになった。また、刑事事件に限らず、民事事件・行政事件・少年事件もこなせるようになった。
自分が司法通訳として成長していくうちに、司法通訳人全体の技能と地位の向上のため、何をしたらいいかを考え、そこで、2009年5月21日、裁判員裁判制度発足と同時に、日本司法通訳士連合会を立ち上げた。
私は、仕事上邁進しただけではなく、自分の人生にもドン底から這い上がることができた。だから、「伊藤塾に救われた」と言っても過言ではない。これから、「法曹界における司法通訳の課題の解決策」について皆さんと共に考えていきたい。

明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第323回

2023年1月14日(土)実施

在外日本人国民審査権訴訟大法廷判決とその行く先

 

講師プロフィール

吉田 京子 氏
(弁護士、「高野隆法律事務所」パートナー、元裁判官)

吉田 京子 氏
2001年 愛知県立岡崎高校卒業
2005年 東京大学法学部卒業
2007年 東京大学法科大学院修了
2009年 裁判官任官、東京地方裁判所勤務
2011年 退官
2013年 弁護士登録
2020年 UC Hastings College of the Law 修了(LL.M., 刑事法専攻)

【著作等】  
「逮捕の必要性」高麗邦彦/芦澤政治編『令状に関する理論と実務Ⅰ 別冊判例タイムズ34号』(判例タイムズ社、2012年)

講師からのメッセージ

 私は大学で高橋和之先生に憲法を教わりました。高橋先生とほか3名の先生方の書かれた憲法の教科書を読みました。もしかすると、皆さんの中にも、同じ本で憲法を勉強されている方がおられるかもしれません。これは二分冊の分厚い本で、本当のことを言うと、当時の私にとっては少し荷が重く感じていました。
 さて、それから20年経ちました。弁護士になって、最高裁判所の大法廷で弁論をしました。15名の裁判官全員一致で違憲判決を得ました。新聞やテレビでも報じられ、恩師や懐かしい友人たちからもわざわざ祝福と激励のメッセージをいただきました。大変ありがたいことです。でも、それで終わりではありません。まだやらなければならないことがあります。そのうちの一つが、受刑者の選挙権です。
 昨年8月に、受刑者の選挙権を制限する公職選挙法の憲法適合性を問う訴訟を提起しました。その準備のために文献を読んでおりますと、あの懐かしい本に行き当たりました。高橋先生の書かれた『憲法』という本です。共著者のお一人が亡くなっているためか、残念ながら2012年の第5版を最後に改訂はされていないようでした。その2012年のものを手に取って読みますと、そこに、受刑者の選挙権についての記載がありました。もしもお手元にあるようなら、ぜひ皆さんもそれを読んでみてください。
 私がそれを読んだのは、提訴日が迫るある週末の夜です。その日、弁護士として働き暮らす喜びを改めて強く感じることができました。同時に、若く不安な時代にそれでも勉強だけはしていた自分や友人たちのことを思いました。法学徒としての皆さんの日々の先に、どんな素晴らしいことが待っているのか、さらに詳しくお話しさせていただきたいと思います。

明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第324回

2023年2月18日(土)実施

憲法訴訟の実務と代理人の役割を考える
~旧優生保護法事件(大阪)における第二審逆転勝訴を題材としつつ~

 

講師プロフィール

吉原 秀 氏(弁護士、「TMI総合法律事務所大阪オフィス」所属)

吉田 秀 氏

2010年3月 広島学院高等学校卒業
2014年3月 大阪大学法学部法学科卒業
2016年3月 東京大学法科大学院修了
2016年12月 最高裁判所司法研修所入所
(注:司法試験論文式試験総合75位、公法系・民事系は2桁順位、選択科目(倒産法)は1桁順位)
2017年12月 大阪弁護士会登録
2018年1月 弁護士法人大江橋法律事務所勤務
2020年12月 TMI総合法律事務所大阪オフィス勤務

【主な取り扱い分野】
M&A / 商事関連訴訟 / 民事再生 / 私的整理 / 破産 / その他事業再生・倒産処理 / カルテル・談合 / 企業結合 / 下請法 / 当局対応 / その他独占禁止法・競争法

【登録・所属】
大阪弁護士会(2017年) / 民事訴訟法学会(2018年) / 全国倒産処理弁護士ネットワーク(2018年) / 大阪弁護士会倒産実務研究会(2018年) / 大阪弁護士会独禁法実務研究会(2019年) / 大阪弁護士会憲法問題特別委員会副委員長(2021年)

【著書】
『代理人たちの憲法訴訟-憲法価値の実現にむけた営為とその記録』(編著) / 『法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕』(共著) / 『債権法改正を踏まえた契約書法務』(共著)

【論文】※憲法に関するもののみ掲載
学術会議任命拒否と憲法23条に関する諸問題 / 学術会議任命拒否問題を「今」考える-「学問共同体の自律」と「学問の自由」の距離と連関をみる- / 岡口裁判官の罷免は本当に許されるの?-憲法上の法原則としての比例原則を考える- / 同性婚に関する憲法上の諸問題
ほか多数

講師からのメッセージ

司法試験・予備試験の憲法の論文式試験を見て、皆さんは普段どのように感じるでしょうか。その論文式試験の問題は、皆さんが実務に出て、「きちんと」憲法訴訟の代理人を務められるか、その「基礎」を問うものですから、訴訟代理人として求められる視点と答案作成上の視点にはいくつもの類似点があります。憲法訴訟にもしご関心があるのであれば、司法試験・予備試験の憲法の問題ほどワクワクしながら取り組める事例問題はほかにないはずです。
さて、「憲法訴訟の代理人」に求められる役割とは何でしょうか、そして何より【訴訟で勝つために必要なこと】とは何でしょうか。少し司法試験に近づけてみれば、立法裁量とは何でしょうか、また、どのような場合に立法裁量は狭まるのでしょうか。表現の自由の価値とは何でしょうか(まさか「二重の基準論」を説明して、おしまい、ではありませんよね?)、「平等」とは何でしょうか。これらを言語化できずに、憲法訴訟代理人が務まるはずもありません(し、実務家としてのいわば前提を備えているかを試す司法試験で説得力のある答案を書けるはずもありません。)。
「合格後を考える」一環として、憲法訴訟代理人に求められること、憲法訴訟の実務において重要な視点などについて、私が代理人を務めている旧優生保護法事件を題材にお話させていただき、近い将来、共に実務の世界で憲法訴訟に携わる(かもしれない)身として、皆さんと一緒に憲法訴訟を「実務的に」考える時間を共有しましょう。正解などありません、かといって、何でもよいわけでもありません。ぜひ皆さんご自身も思考を巡らせながらお付き合いいただきたいと思います。
憲法の価値を実現したい、私も伊藤塾の元塾生として、今日に至るまでこのテーマについて考え続けています。この講座が、「未来(あす)の法律家」たる皆さんにおいて、憲法訴訟の実務を考える契機となればと思います。なお、講師の私見の一部は『代理人たちの憲法訴訟-憲法価値の実現にむけた営為とその記録-』(弘文堂、2022年)にて記しておりますので、必要に応じてご覧いただいた上、ご参加くださいますと幸いです。

明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第316回

2022年6月18日(土)実施

自分にしかできないことを~迷うことは自由の証

 

 講師プロフィール

越 直美  氏 (弁護士、三浦法律事務所所属、OnBoard株式会社CEO、元大津市長)

越直美氏
西村あさひ法律事務所、NYのDebevoise & Plimpton、コロンビア大学客員研究員を経て、2012年から2020年まで大津市長。当時最年少の女性市長として、待機児童ゼロや人口増加を達成。ガス事業コンセッション等の公民連携、自動運転、いじめAI予測等のスマートシティを進める。
現在は、三浦法律事務所パートナー弁護士として、日本やシリコンバレーのスタートアップ支援、公民連携、スマートシティに注力。また、OnBoard株式会社CEOとして、女性役員の育成・紹介。ブイキューブ、ソフトバンクの社外取締役。日本・ニューヨーク州・カリフォルニア州弁護士。北大院・ハーバード大学ロースクール修了。

 
著書に「公民連携まちづくりの実践―公共資産の活用とスマートシティ」(学芸出版社)、「教室のいじめとたたかう」(ワニブックス)等。

講師からのメッセージ 

 私は、ニューヨークの法律事務所で働いていたときのある出来事をきっかけに、女性が仕事か子どもかの二者択一を迫られるのではなく、「自由に選択できる社会」をつくりたいと思い、大津市長に立候補しました。市長としての2期8年間で、保育園等54園約3000人分を整備しました。その結果、待機児童がゼロになり、5歳以下の子どもがいてフルタイムで働く女性が70%増加し、市の人口も増加しました。
 しかし、それはゴールではなく、始まりでした。日本の上場会社の女性役員は7.5%。今は、OnBoard株式会社CEOとして、「Diversityは成長戦略」を掲げ、女性役員の育成と紹介を行っています。また、三浦法律事務所の弁護士として、スマートシティや公民連携に注力しています。
 私が伊藤塾に通っていたころには全く想像していなかった未来でしたが、人生の選択に迷ったときに友人がかけてくれた「自分にしかできないことを」「迷うことは自由の証」という言葉を、今も大事にしています。そして、迷った結果、本当にやりたいことが見つかれば、その後のどんな困難も乗り越えていけると信じています。
 私は司法試験になかなか合格できずに、伊藤塾には大変お世話になりました。弁護士になってからも、司法試験の悪夢を見ることが多かったのですが、その後ニューヨーク州とカリフォルニア州の司法試験を受け、45歳にしてやっと、試験のコツのようなものが分かりました。試験後の少し先の明確な未来を想像することは、とても大事です。そのこともあわせて、お伝えできればと思います。

明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第317回

2022年7月16日(土)実施

現場で憲法とともに歩む
――若手弁護士の活動日誌:ヘイトスピーチ、表現の不自由、入管、DNA訴訟などを中心に

 

 

 講師プロフィール

熊本 拓矢 氏(弁護士、「名古屋第一法律事務所」所属、元伊藤塾塾生)

熊本拓矢氏
名古屋市出身
シンガポール日本人小学校卒業
東海高校卒業
京都大学総合人間学部卒業
京都大学人間・環境学研究科中退
同志社大学法科大学院修了
2017年 司法試験合格
2018年 名古屋第一法律事務所入所

 

講師からのメッセージ 

私は、受験生のみなさんのほんの少しだけ先輩の、若手弁護士です。
受験生の頃と同じように、四苦八苦しながら、目の前の事件に取り組む毎日です。
わからないことばかりで、先行きも見通せず、もがくばかりなのは、受験生の頃と変わりません。
それでも、私がこれまでやってこれたのは、伊藤真先生の「結果が必ずしも明らかでなくても挑戦することにこそ、人としての意義がある。」との言葉に触れたからです。
そして、私たちには、先行きの見えない「暗闇」の中でも、法、何より憲法というてがかり、もっといえば「希望」があるのです。
「憲法」という希望、てがかりとともに、未知の状況・問題に立ち向かい、人に尽くす。
若手弁護士でもそうしたことに取り組めるのだという「希望」を、私の経験から、皆さんと共有したいと思います。