明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第318回

2022年8月20日(土)実施

検察官として、弁護士として連合赤軍事件を顧みて

 

 講師プロフィール

古畑 恒雄 氏(元検察官、現ヤエス第一法律事務所代表弁護士、現更生保護法人更新会理事長)

古畑恒雄氏
1933年長野県飯田市生まれ。
早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了(民事法学専攻)。
1960年検事に任官。1993年最高検公判部長を最後に退官するまでの間に、法務省保護局総務課長と保護局長を務める。その後、公証人を経て、2003年弁護士。
現在、更生保護法人「更新会」理事長を務めるかたわら、受刑者の「寄り添い弁護士」活動を提唱、実践している。元早稲田大学法学部非常勤講師(刑事法)。
2018年に受刑者の改善更生のための活動により第9回作田明賞の優秀賞を受賞。
2022年2月24日(木) NHK「クローズアップ現代 50年目の独白 元連合赤軍幹部の償い」の取材に協力。
2022年2月26日(土)付け「朝日新聞」・「オピニオン」に「連合赤軍事件と私」というタイトルのロングインタビュー記事が載る。
 

講師からのメッセージ 

33年間検察官を務めて退官後弁護士となり、受刑者に寄り添う仕事を主に担当することとなった。訴追する側から防御する側に回った。ほぼ同時期に更生保護施設の理事長のポストを任された。おかげで、刑事政策を多角的に見る目が養われた。これまでにお世話をした受刑者は50人余り。そのなかに、50年前「あさま山荘」に立て籠もった連合赤軍の革命戦士もいた。いま、その身元引受人を務める。思うに、誰しも生まれながらに犯罪者であったはずはない。何かの拍子で運悪く道を踏み外したのだろう。いや,かくいう私でも、いつどんな事情で罪に問われるような行動に走ったかも知れないと思うことがある。そうならなかったのは,たまたま親きょうだいの愛情や、師、友人など周囲の人間関係に恵まれていただけのような気がしてならない。イエスもいわれる。「汝らの中、罪なき者まづ石を擲て」(ヨハネ伝福音書第八章七)と。
 受刑者と私とは決して別世界に住む異質な人間ではない。私とていつ罪に陥ったかも知れない紙一重の存在だ。そう思いつつ温かいままざしと優しいことばで受刑者と接し、改善更生というゴールを目指して彼らに伴走している。
 経験60年を超える一法曹の生きざまを通じ、日本の刑事政策の在り方を皆さんとともに考えたい。

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明日の法律家講座 東京校第315回

2022年5月21日(土)実施

「湖東記念病院事件」から学ぶ~供述弱者の冤罪を防ぐために~


LinkIcon 講演会のレジュメはこちら

 

 講師プロフィール

小出 将則 氏(一宮(いちみや)むすび心療内科院長)

小出 将則 氏
1961年愛知県生まれ。1984年早稲田大学法学部卒業後、同年中日新聞社入社。東京社会部で警視庁、東京地検、宮内庁など担当し、1991年退職。
1992年4月信州大学医学部入学。1998年卒業。名古屋第二赤十字病院で研修後、いくつかの病院で精神科・心療内科医として勤務。2014年、出身地の愛知県で一宮むすび心療内科開業。精神保健指定医・精神科専門医。労働衛生コンサルタント資格を有し、名古屋市や東海理化(株)などの産業医活動も行う。
2017年、滋賀の冤罪事件「湖東記念病院事件」で、殺人罪で服役中だった元看護助手西山美香さんの獄中精神鑑定を実施。

 

講師からのメッセージ 

 皆さん、初めまして。愛知県一宮市で心療内科を開業している小出です。プロフィールに記したように、法学部出身で新聞記者経験のある精神科医という異色の経歴です。ご縁があり、5年前、滋賀の冤罪事件被害女性の精神鑑定を行いました。「運よく」再審の扉が開き、2年前、無罪の確定判決が下りました。
 今回、これもご縁で「明日の法律家講座」でお話しさせていただく機会を得たことをうれしく、また誇りに思います。テーマは「湖東記念病院事件」。冤罪被害者の西山美香さん(42)は軽度知的障害・発達障害(ADHD)がある「供述弱者」です。こうした精神の疾患を抱えた人の触法行為が多いことはなかなか世間には知らされず、捜査の上でも配慮のないのが現状です。その中には西山さんのような冤罪被害も一定程度含まれています。
 警察官はもちろんの事、法をしっかり学んだはずの検察官や裁判官でさえ、故意にあるいは気づかずに彼らの人権を蹂躙することのある点に、われわれは自覚的であることが必要と考えます。
 今回の講演では獄中鑑定の経過を伝えることで、将来、必ず供述弱者と法的に関わるであろう皆さんのリーガル・マインドの向上に役立てていただければと考えています。

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明日の法律家講座 東京校第311回

2022年1月15日(土)実施

「ビジネスと人権に関する指導原則」で時流をつかめ!

 講師プロフィール

湊 信明氏(弁護士・「湊総合法律事務所」所長)

湊 信明 氏
1987年 中央大学法学部法律学科卒業
2003年 湊総合法律事務所開設
2013年 東京弁護士会 弁護士業務妨害対策特別委員会委員長
2015年 東京弁護士会 副会長
     関東弁護士会連合会 常務理事
2017年 東京弁護士会 中小企業法律支援センター本部長代行
2020年 日本弁護士連合会 弁護士業務妨害対策委員会委員長
2021年 東京弁護士会 中小企業法律支援センター SDGs プロジェクトチーム座長

<主な著書>
成功へと導く~ヒューマンライツ経営(日本経済新聞出版)
伸びる中堅・中小企業のためのCSR活用法(第一法規)
勝利する企業法務~実践的弁護士活用法(第一法規)
事例で学ぶ 生前贈与の法務リスクと税務リスク(大蔵財務協会)

講師からのメッセージ 

いま、企業と人権との関わりが急速に変化してきています。動きを作り出しているのは2011年第17回国連人権理事会で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」。この原則により、企業は国際人権を尊重することを宣言することが求められ、企業活動が人権に負の影響を与えていないかチェックし、与えているなら適切な措置を講じ、継続的にウオッチ、一連の活動を開示することなどが求められるようになったのです。
その影響は強力そのもの。企業がその対応を誤ろうものなら甚大なレピュテーションリスクを負い、不買運動、投融資引き上げにまで至ることもあり、企業価値の著しい低落を招くことから企業はその対応に躍起になっています。
さらに多数の国では、各国の状況に応じた国内行動計画(National Action Plan)を策定しており、日本政府も2020年10月に「ビジネスと人権に関する行動計画2020-2025」を発表しました。2022年は日本においても中小企業も巻き込んでこの動きが加速していくことでしょう。
当然、日本の弁護士をはじめとする法曹の活動にも大きな影響を与えることになります。私が所属する東京弁護士会では、2021年1月に中小企業法律支援センター内にSDGsプロジェクトチームを立ち上げ、中小企業によるビジネスと人権に関する指導原則への取り組み支援もその活動の大きなテーマとしています。私は、これからの法曹がこの原則をツールとして用いることにより良い社会に変えていくことも不可能ではないと思っています。
この講座では、ビジネスと人権に関する指導原則の基本的内容の他、弁護士をはじめとする法曹がこの原則を業務においてどのように生かしていくのかについてもお話ししていきます。是非、聴きにいらしてください。

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明日の法律家講座 東京校第312回

2022年2月12日(土)実施

数学書として憲法を読む~コロナ等現下の諸問題を視野に入れて


当日はZoomウェビナーでの開催となりました。
秋葉先生より特別に公開のご了解をいただききましたので、こちらでご覧ください。

 

 講師プロフィール

秋葉  忠利 氏(あきば ただとし)
(原水禁国民会議顧問、広島県原水禁代表委員、前広島市長、数学者)

秋葉忠利氏
1942年東京生まれ。高校時代 AFSによってアメリカに留学。東大理学部数学科・同大学院修士課程卒業。マサチューセッツ工科大学 (MIT)で Ph.D. を取得後、ニューヨーク州立大学、タフツ大学等で教鞭をとる。
世界のジャーナリストを広島・長崎に招待し、被爆の実相を伝えて貰う「アキバ・プロジェクト」を創設・運営。広島修道大学教授を経て、 1990年から衆議院議員、 1999年から広島市長を 3期12年務める。2014年まで広島大学特任教授、 AFS日本協会理事長。
市長在職中、平和市長会議会長を務め。世界の加盟都市数を 440から 5,000以上に。市政では財政再建、情報公開、市民サービス、都市環境などに力を入れ、暴走族追放条例、新球場建設を実現、オリンピック招致にも取り組んだ。
2010年には、アジアのノーベル賞といわれる「マグサイサイ賞」、 2011年には、ネパール政府創設のゴータマ・ブッダ国際平和賞、 2013年にベルリン国連協会からアジア人として初のオットー・ハーン平和賞、 2015年に谷本清平和賞等、多数の平和賞を受賞。
 
著書に『真珠と桜-「ヒロシマ」から見たアメリカの心』(1986年朝日新聞社刊)、『ヒロシマ市長』(2012年朝日新聞出版刊) 、『新版 報復ではなく和解を』(2015年岩波書店刊)、『数学書として憲法を読む』(2019年法政大学出版局刊 )他

講師からのメッセージ 

2019年7月に『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』 (以下、『数学書』と略) という、変ったタイトルの本を法政大学出版会から上梓しました。「数学」という言葉を聞いて拒否反応の出る人が多いかも知れませんが、「数学書として読む」とは、書かれていることを素直に読むことなのです。
それを次のようにまとめておきましょう。(1)言葉の一つ一つの意味を定義・確認して、その意味通りに読むこと、そして(2)書かれている文章を論理的に理解して、その文章から論理的に導かれる結果を大切にする。
その結果として、皆さんが最初に憲法に触れた時の新鮮な驚きと感動を再体験して頂けるはずです。
しかしながら、現在広く受け入れてしまっている裁判所の確定判決や定説・通説では、このような素直な読み方が行われていないのです。例えば、(1)「99条の憲法遵守義務は法的義務ではなく、道徳的要請である」という解釈や(2)「死刑は合憲である」という判決、さらにこのような解釈の「根拠」として使われている「説明」です。
「数学書として読む」試みの結果、これらの通・定説や判決は、「定義から逸脱」、そして「論理矛盾」両者の典型であることが分りました。
それは、単に論理的な意味で、つまり現実の社会とは関係のない、仮に「数学的」と呼ぶ世界での出来事として重要であるだけでなく、現実の政治や社会とも深く関わっています。ですから憲法解釈において、定義と論理という数学の基盤とも言うべき原則をもっと尊重すべきではないのか、という問題提起につながるのですが、今回の講演では、「定義からの逸脱」と「論理矛盾」の典型例を見て行きます。

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明日の法律家講座 東京校第313回

2022年3月5日(土)実施

私のこれまで、そしてこれから~国会議員秘書として、弁護士として、都議会議員として

 

 講師プロフィール

五十嵐 えり 氏( 弁護士、東京都議会議員)

五十嵐えり氏
1984年 名古屋市生まれ
中学校の時にいじめにあい不登校に。
高校には通わずフリーターとして働く。
飲食店、4tトラック運転手などを経験するなかで、非正規労働者の不当な現実を目の当たりにし、自己責任を理由に弱者が切り捨てられる社会を変えたいと思う。
高卒認定資格を取得したあと、24歳で静岡大学夜間主コースに入学。
昼間は仕事をしながら夜は授業を受け、名古屋大学法科大学院(既修者2年コース)へ入学。
30歳で司法試験に合格。
2015年 参議院議員事務所入所 政策担当秘書
2019年 同事務所退所
2020年 法律事務所入所 弁護士登録
所属:第二東京弁護士会。情報公開・個人情報保護委員会等、現在は弁護士として刑事・民事事件を扱うほか、原発被災者弁護団としての活動や若い女性対象の生活相談などに取り組む。
2021年 東京都議会議員選挙(武蔵野市選挙区)にて初当選
 趣味 お笑い、読書、歴史跡地巡り、ピアノ、映画・Netflix鑑賞など
 

講師からのメッセージ 

自分が伊藤塾で司法試験の勉強をしているときには、まさか10年後に東京都議会議員になっているなんて、想像できませんでした。今は、市民の声を直接に東京都にぶつけながら、日々仕事をしています。活動の基礎にあるのは、憲法の基本的人権や「正義」への思いです。私が、これまで経験した社会は、憲法も労働法もなく、理不尽がまかり通り、弱い人たちの人権が侵害される社会でした。正義の実現のために、弁護士として裁判を通じてだけではなく、議員として議会の場からも声をあげることの重要性を感じています。
講座では、私がなぜ弁護士を目指し、国会議員秘書になったのか、なぜ選挙に挑戦したのか、また、若いころの経験や私が考える自己責任社会についてもお話したいと思います。
司法試験に合格して、私の人生は180度変わりました。受験生の皆さんは、今、ゴールの見えない闇の中を走っている気分でしょうが、乗り越えた先に待つ世界を楽しみに頑張ってほしいです。将来の法曹を担う皆さんと、一人ひとりの人権が守られる社会を一緒に目指していきたいと思います。

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明日の法律家講座 東京校第314回

2022年4月9日(土)実施

支えているのは、私たち?~代用監獄・取調べ・死刑~

 講師プロフィール

田鎖 麻衣子 氏(特定非営利活動法人CrimeInfo代表、弁護士)

田鎖 麻衣子氏
1995年 弁護士登録(第二東京弁護士会)。以降、死刑再審事件や、刑事施設での処遇をめぐる国家賠償請求事件などに取り組みながら、日弁連の刑事拘禁制度改革実現本部・人権擁護委員会などの弁護士会活動や、死刑廃止や刑務所改革を目指す国内外のNGO活動に従事。
2016年 CrimeInfoの前身となるプロジェクトを英国・レディング大学と共同で開始。
2019年 死刑制度をはじめ、日本の刑事司法制度に関し、正確で信頼できる情報を提供し、市民による刑事司法への理解を促進することを目的に、特定非営利活動法人CrimeInfoを設立。
2021年 フランス共和国教育功労章シュヴァリエ受章。
 
主な共著に、『「被害者問題」からみた死刑』(日本評論社、2017)、『孤立する日本の死刑』(現代人文社、2012)、『刑務所のいま―受刑者の処遇と更生』(ぎょうせい、2011)、『人権読本』(岩波ジュニア新書、2001)。
訳書に、アンソニー・ルイス『ギデオンのトランペット』(現代人文社、2020)、アビー・スミス&モンロー・H・フリードマン『なんで、「あんな奴ら」の弁護ができるのか』(共訳、現代人文社、2017)など。
東京大学法学部卒業。一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。一橋大学法学研究科非常勤講師。
 
 

講師からのメッセージ 

日本に住む私たちにとって、警察による逮捕に続き、勾留の決定がなされた後も、被疑者の身体拘束が警察の留置施設において続くこと、その身体拘束状況下で被疑者の取調べがなされることは、ごく当たり前です。重大事件の被疑者が逮捕されると、被疑者が取調べで「真実」を語り、「真相の解明」がなされることを求める声が相次ぎます。しかし、勾留後も警察での身体拘束を認めることは、世界的にみると大変珍しい制度で、100年以上前から「代用監獄」として運用され、現在に至っています(現在は「代用刑事施設」という名称です)。国連の条約機関等からは、条約が求める人権基準に合致しないとして、代用監獄制度自体の廃止や、運用の抜本的改革を、繰り返し勧告されてきました。日本政府はこうした勧告を拒否し続け、いまや日本の代用監獄は、daiyo kangoku(ダイヨーカンゴク)として、世界的に知られるようになっています。
他方、代用監獄ほどではありませんが、世界的にみると珍しくなりつつある制度として、死刑があります。ほぼ毎年、年に1回から2回程度の死刑を執行する日本は、死刑制度を維持し、かつ、現実に死刑の執行を行う、少数の国のうちの一つであり、国連をはじめとする国際社会から、死刑の廃止に向けた行動をとるよう求められてきました。しかし政府は、国内の犯罪情勢や世論を挙げて、死刑制度を維持する必要性を訴えています。
もちろん、日本の刑事司法制度は、国際社会の要請や潮流のみによって決められるべきものではありません。しかし、国際社会からの声が、日本も批准する国際人権条約の要請に基づくものであるなら、単に勧告を拒絶し続けるわけにはいかないはずです。国際人権基準との乖離は、なぜ生じているのでしょうか?対話を拒む政府の固い姿勢を支えているものは、いったい何なのでしょうか?
皆さんと一緒に、考えたいと思います。

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明日の法律家講座 東京校第307回

2021年9月11日 実施

司法はこれでいいのか~「司法の危機」時代を生きた経験を踏まえて

講師プロフィール

阪口 徳雄 氏(弁護士、「あさひパートナーズ法律事務所」所属)

阪口 徳雄 氏
大阪府出身。1942年生、現在78歳
1966年 大阪市立大学法学部卒
1968年司法試験合格。1969年研修所入所(23期)1971年罷免
1973年 資格回復、同年東京弁護士会登録。1981年 大阪弁護士会登録
取り扱った主な社会的事件
株主オンズマン事務局長(株主側で株主代表訴訟など多数に関与)
公益通報者支援センター事務局長(内部告発者の支援活動に従事)
内閣官房機密費情報公開弁護団長(長年、内閣官房報償費が公開されなかったが最高裁において官房長官の掴みカネの総額の情報公開請求が一部認容)
政治資金オンズマン共同代表(国会議員の政治とカネを多数を告発)
森友問題の真相解明を求める弁護士・研究者の会の共同代表
政府の公文書のあり方を考える弁護士・研究者の会の共同代表
等、被害者なき事件を訴訟を活用して、真相解明を求める弁護士活動
自称 社会派弁護士

 

梓澤 和幸 氏(弁護士、「東京千代田法律事務所」所属)

梓澤 和幸 氏
1943年、群馬県桐生市の繊維小売商の家に生まれる。一橋大学法学部卒。
戦争中に三歳年上の長兄を失ったこと、それゆえに、父、母が一生かかえた悲しみの深さを知ったことが、反戦平和、人権の尊さを身につける基礎となった。
1971年4月弁護士登録(23期)。
裁判官の良心(憲法76条3項)とは何かを考え続けている。
著書『リーガルマインド―自分の頭で考える方法と精神』リベルタ出版 ほか

 

講師からのメッセージ

<阪口 徳雄 氏>
 50年前の4月に司法修習生を罷免されました。
 終了式において、クラス委員会を代表して、「裁判官の採用拒否された方に10分間、話を聞いて欲しい」と研修所の所長に要望したことで、弁明の機会も付与されず即日罷免されました。その後2年間、全国各地に、裁判所の中で何が起こったのかの訴えに回り、全国の司法反動を許さない大きな運動のおかげで2年後に資格回復されました。
 裁判官任官拒否事件や罷免事件などに遭遇した結果、弁護士になってから司法の民主化、日本の社会の不透明な問題に対する批判活動に積極的に関与することになりました。国会議員の政治とカネの問題があれば、特捜部に法律違反等で告発し、企業の役員が不正な事で、社会に被害を与えていると思えば、株主代表訴訟で責任を追及してきました。マスコミはその時は激しく批判をしますが、時期が過ぎればもう報道しません。最近では、森友、加計などにおいて政権に不都合な「公文書」が廃棄、改ざんされていますが、うやむやにされてしまいます。これらの問題に情報公開請求を活用して、78才の老人ですが、先頭に立って活動しています。
 弁護士は、自分が「正しい」と思うことを法律・訴訟等という武器を使って活動できる「自己満足度、100%に近い」職業の一つと言えます。
 伊藤塾生の方はその職業を目指す一番近いところにいます。ここで勉強できることは恵まれた、滅多にない機会です。
 法律の勉強は面白くなく、司法試験を辞めようと思うことは起こります。私も卒業寸前から勉強した為に、法律の基礎が解らず、辞めようと思い、新聞広告を見て会社に面接に行ったことがありました。その夜に兄から「お前なんか、サラリーマンに向くか」と説教されました。
 苦しい時は誰でも弱気になります。しかし、明けない夜明けはないように、暗闇から明ける時があるのです。それはその暗闇を我慢して苦労した人にのみ与えられるのです。ぜひ頑張って合格して下さい。そして私達の仲間に入って頂き、様々な社会的不条理なことを、法律を使って是正して欲しい。
 
<梓澤 和幸 氏>
 阪口君が罷免されたとき、生きた心地がしなかった。法曹資格が回復されるまでそれは続いた。
 誰が何と言ってもこの体験は胸の奥底から立ち去ることはない。それは人生を貫く一本の糸の出発点となった。
 苦難の真っ只中にある人のところに駆け付けること、その訴えを感じ取る力をもつこと、専門的力量によって人を助け出すこと、良心の力を育てること、この精神は、悔いのない職業人生を送るための礎です。
 受験勉強の最中に出会う、辛く、苦しい出来事こそ、鋼(はがね)に成長する鉄に与えられるハンマーなのかも知れない。
 エピソードを交えて語ってみたいと思います。当日語り合えることを楽しみにしております。

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明日の法律家講座 東京校第308回

2021年10月2日(土)実施 

Diversified キャリアのススメ〜弁護士としての社会課題への取り組み方

講師プロフィール

松澤 香 氏(弁護士、OnBoard株式会社ファウンダー兼Co-CEO)

松澤 香 氏
2001年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2002年 森綜合法律事務所(現 森・濱田松本法律事務所)(~2017年)
2008年 Harvard Law School (LL.M.)修了
2011年 国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 事務局 総務・調査部 調査課長(~2012年)
2014年 厚生労働省 年金局 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ガバナンス強化担当参与(~2015年)
2015年 東京大学大学院工学系研究科研究倫理委員会委員(~現在)
2016年 ビジネス・ブレイクスルー大学大学院「スタートアップ企業の実務」講師(~現在)
2017年 東京未来ビジョン懇談会メンバー(~2017年)
2018年 特定非営利活動法人 日本医療政策機構 アドジャンクトフェロー(~現在)
2018年 Harvard Law School Women's Alliance, Japan Chapter 共同代表(~現在)
2019年 日米医学医療交流財団(JANAMEF)広報委員(~2021年)
2019年 渋谷区教育委員会委員(~現在)
2019年 特定非営利活動法人日本医療教育プログラム推進機構 倫理審査委員会委員(~現在)
2019年 一般社団法人日本IT団体連盟 監事(~現在)
2020年 株式会社センシンロボティクス 社外取締役監査等委員(~現在)
2020年 内閣官房 スマートライフ実現のためのAI等を活用したシミュレーション専門家委員会委員(~2021年)
2020年 株式会社サイトビジット 社外監査役(~2021年)
2020年 株式会社メディカルノート 監査等委員取締役(~現在)

講師からのメッセージ 

私は、10歳の時に、火曜サスペンス劇場を見て、弁護士を志しました。社会正義を実現したい。人の役に立つ弁護士でありたい。自分の力を最大限生かして、世の中に貢献したい。そんな想いで20年間、走り抜けてきました。当初入所を決めたのは、Best for Clientsをミッションとした四大事務所。知的刺激に溢れるM&A案件・企業法務案件に携わらせていただき、弁護士としての足腰を鍛えていただきました。他方で、自身の中には、常に迷いがありました。企業法務を通じた社会貢献も素晴らしいけれど、最先端の社会課題に直面できる現場で自分に何ができるのか、弁護士の枠を超えてチャレンジしてみたい。そんな強い想いから、留学を転機に、国会に設置された原子力発電所事故調査委員会の調査課長に抜擢され、私のユニークなキャリアが始まりました。弁護士として公的機関の改革等パブリックな仕事に従事、そして、政策を実現することでより直接的に社会課題に取り組みたいと考え、国政選挙に出馬しあえなく落選。その後、仲間たちと共に既存の枠にとらわれない新時代のプロフェッショナルファームを設立、さらに今年は、昨今の取締役会の多様性確保のニーズを受けて、元大津市長の越直美さんと共に、Diversityは成長戦略を掲げ、OnBoard株式会社を立ち上げました。日々、迷いながら、悩みながら、がむしゃらに走ってきた20年間のお話をさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

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明日の法律家講座 東京校第309回

2020年11月13日(土)実施

民事介入暴力対策
~弁護士による暴力団事案被害者等の救済活動

 

講師プロフィール

大野 徹也 氏(弁護士)

大野 徹也 氏
1998年  明治大学政治経済学部経済学科卒業
1998年  司法試験合格
2000年  最高裁判所司法研修所入所(第54期)
2001年  同修了、弁護士登録(東京弁護士会)
2001年-2007年  名川・岡村法律事務所に勤務
2007年-2012年  アフラック副法律顧問(09年から法律顧問)職として勤務(社内弁護士)
2013年  プロアクト法律事務所入所
(伊藤塾 2期生)


<現在>
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 副委員長兼事務局長
東京弁護士会 民事介入暴力対策特別委員会 副委員長兼委員長代行
公認AMLスペシャリスト

講師からのメッセージ 

 今、日本には24の指定暴力団があり、25,900人の暴力団員等がいるといわれています。これら暴力団は、繁華街でのみかじめ料徴収、ヤミ金融、覚せい剤等違法薬物取引、恐喝行為といった伝統的な資金獲得活動に加えて、最近では、振込め詐欺などの新手の資金獲得活動にも進出してきています。これらの活動の過程では、多くの一般市民や企業が身体的・経済的な被害を被り、報復を恐れて泣き寝入りを余儀なくされています。もちろん、それが明らかな犯罪行為にあたる場合には、警察・検察が検挙し、刑事司法の下で処罰されることになりますが、刑事司法によって被害者の被害回復(賠償等)が実現するわけではありません。また、暴力団の側も、自身の検挙を免れるため、犯罪にはならないよう、あるいは犯罪としての証拠が残りにくいよう、その活動を巧妙化させており、全ての行為が刑事司法の下での処罰対象となるわけでもありません。そこで、暴力団の不当要求等による被害を受けた被害者から相談を受け、警察や検察とも連携しつつ、加害者側である暴力団等に対して、不当要求行為の中止を求めたり、損害賠償請求訴訟を提起するなど、民事司法の領域で、暴力団等反社会的勢力による被害者の救済活動を行うという弁護士の活動領域があります。それが、「民事介入暴力対策」です。
 受験生や一般の方にはあまりなじみがなく、弁護士がそのような活動をしていることについて意外と思われる方もいるのではないかと思いますが、国家による違法な権力行使の被害者を法的手段で救済するのが弁護士の本来的な業務であるのと同様、社会的実体として存在する組織犯罪の被害者を法的手段で救済する活動も、人権擁護と社会正義の実現を旨とする弁護士の「本来的な業務」であると私たちは考えています。
 そこで、本講座では、弁護士の一つの活動領域である「民事介入暴力対策」について、事件の実例などを交えながら、解説したいと思います。

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明日の法律家講座 東京校第310回

2021年12月11日(土)実施

マルチに生きる〜より良い社会を創るために〜

 講師プロフィール

酒井 邦彦氏(弁護士、元広島高検検事長)

酒井 邦彦 氏
1977年 4月 最高裁判所司法研修所入所
1979年 4月 東京地方検察庁検事
1985年 7月 ミシガン大学客員研究員
1987年 8月 法務省刑事局付
1990年 7月 在アメリカ合衆国日本国大使館一等書記官
1998年 7月 法務大臣官房参事官
2000年 4月 東京地検副部長
2002年 4月 国際連合アジア極東犯罪防止研修所長
2005年 7月 東京高等検察庁公判部長
2006年 7月 最高検察庁検事
2007年 6月 奈良地方検察庁検事正
2008年 7月 最高検察庁総務部長
2010年 10月 名古屋地方検察庁検事正
2012年 6月 法務総合研究所長
2014年 7月 高松高等検察庁検事長
2016年 9月 広島高等検察庁検事長
2017年 3月 退官
2017年 4月 TMI総合法律事務所顧問弁護士

講師からのメッセージ 

法曹の魅力の一つは、なんでもできることだと思います。
子どもは社会の宝ですので、長く虐待の防止に取り組んでいます。また、検事時代は犯罪と戦っていましたが、今は、世間から冷い視線を送られている犯罪者の社会復帰を助けるために、司法と福祉の連携を図るNPOの立ち上げに関わっています。また、これら支援の基になるコミュニティが崩れつつあるので、それを再構築するために、子ども食堂をサポートしています。さらに、若い力を育てる教育は、日本にとって待ったなしの課題です。現在文部科学省の学校法人ガバナンス改革会議のメンバーとして、学校改革を進めています。
東京2020オリンピック・パラリンピックは、スポーツの力をあらためて感じさせてくれました。僕は、スポーツの価値を創り、伝えるために、JOC日本オリンピック委員会の常務理事を務め、スポーツを通じて、多様性のある社会を実現するために、パラスポーツにも力を入れています。今回のパラリンピックの銅メダリストの伴走をしていました。
国際分野も法曹の活躍の場です。僕は、外交官として、アメリカの日本大使館で、大統領選挙などをリポートし、その後、国連で世界における犯罪と戦いました。また、人間の尊厳が守られるためには、法の支配が不可欠です。僕は、アジアの国々の司法制度改革を進めてきました。アウンサンスーチーさんとも直接お会いして法整備支援を進めてきたミャンマーでクーデターが起きたことは、痛恨の極みです。
このまま気温が上昇して行けば人類は滅亡します。次の世代に美しい地球を残すのは僕たち世代の責任です。ホンダなどの会社の取締役として、CO2削減などESG、SDGsを進めています。
以上のような活動は、それぞれ何の脈絡もないように思われるかもしれませんが、実は、底に流れているものは全く同じです。僕たちが生業としている「法」が究極的に目指しているのは、人間の尊厳、平等、自由だからです。あとは、皆様の勇気と努力にかかっています。