明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第306回

2021年8月21日(土)実施

会社員から弁護士に転向 ~弁護士業務において企業勤務経験が役立っていること~

講師プロフィール

冨永 伸太郎 氏(弁護士、弁護士法人松尾綜合法律事務所所属)

冨永 伸太郎 氏
1990年3月 東京大学 法学部卒業
1990年4月 東京海上火災保険株式会社にて勤務(1997年7月まで)
1999年10月 司法試験 合格
2000年4月 司法研修所入所
2001年10月 司法研修所修習生課程修了(54期)
2001年10月 弁護士登録(第一東京弁護士会)
2001年10月 椿法律事務所入所(2002年9月まで)
2002年10月 現在の弁護士法人松尾綜合法律事務所に入所

 

講師からのメッセージ

私は、大学卒業後、民間企業に就職しており、弁護士になったのは30歳台の半ばでした。
司法試験合格を目指して日々努力されている皆様の中には、私と同様、社会人経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。
早いもので弁護士になってから約20年が経過しましたが、日々の業務を遂行する中で、企業勤務経験が生きていると感じることが多々あります。
大別すると2つに分類できるのですが、1つは、使う側と使われる側の両方を経験したことによるものです。もう1つは、企業での実務経験が弁護士業にも活用できていることによるものです。
当日は、時間の許す限り、具体的な経験談をお伝えしたいと考えておりす。
併せて、弁護士に期待される役割などをお話したいと考えております。
 

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明日の法律家講座 東京校第304回

2021年6月19日(土)実施

日本の法曹界に新風をふかせる~リセを立ち上げた理由

講師プロフィール

藤田 美樹氏(株式会社リセ社長、弁護士(日本および米国NY州))

藤田 美樹 氏

1998年東京大学法学部卒業
2006年Duke大学ロースクールLL.M.
西村あさひ法律事務所において約18年間、国内外の企業間紛争に携わる。
リーガルテックによる紛争の事前予防に未来を感じ、2018年にリセを立ち上げる。
リーガルテック業界唯一の女社長であり、弁護士と4児(18歳、10歳、3歳の双子)の母としても活躍。
「消費者集団訴訟特例法の概要と企業の実務対応」等著書多数

 

講師からのメッセージ

 弁護士となって20年、ひたすら企業間の紛争に携わってきました。やりがいのある業務でしたが、起こってしまった紛争の事後処理の場合、前提となる契約書文言に縛られ、採ることができる手段が限られます。また、紛争が生じると、費用と時間がかかるだけではなく、人の心に大きな負の感情も残ります。そのため、業務を続けながら、予防法務の重要性を痛感していたのですが、同時に、弁護士の数も限られていますし、費用の問題もあって、全ての企業が十分な法的助言を受けるのは難しいという現状も目の当たりにしていました。
 今回の講演では、このような問題意識を持っていた私が、(1)どのような経緯でテクノロジーと出会い、(2)自らリーガルテックの会社を立ち上げることを決意したのか、(3)会社立ち上げ後、どのように上記問題意識を解決するためのサービスを開発したのか、(4)実際にサービスを提供し始めてどうなったのか、(5)起業後どういった出会いがあったのかなどをお話します。
 他業務においてもテクノロジー化が加速する中で、法務の世界だけがテクノロジー化を避けられるはずもなく、これからの法曹においては、テクノロジーとの共存という観点が必須です。どういった業務がどのような形でテクノロジー化していくのか、テクノロジー化が進む中で、法務に携わる人はどのようなスキルを磨き、「人」ならではの高度な思考が必要となる業務を行っていくべきなのか、などを考える契機としていただければ幸いです。

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明日の法律家講座 東京校第305回

2021年7月10日(土)実施
 

「荒野に希望の灯をともす」の上映会
〜医師・中村哲 現地活動35年の軌跡〜

中村 哲 氏

<当日の主な流れ>
(1)18:30~18:32 伊藤塾からの諸注意等 
(2)18:32~20:00 DVDの上映 
(3)20:00~20:10 休憩
(4)20:10~20:30 「ペシャワール会」による質疑応答
               (Zoomで)

 

映画の概要

 35年という長きに渡り、病や戦乱そして干ばつに苦しむ人々に寄り添いながら命を救い、生きる手助けをしてきた中村哲医師。しかし、2019年12月、用水路建設現場に向かう途上で凶弾を放たれ命を奪われてしまいました。
 突然の死は多くの人々に深い悲しみをもたらしました。しかし、一方で私たちに強く問いかけもしてきます。
 中村医師が命を賭して遺した物は何なのか、その視線の先に目指していたものは何なのか、と。その実践と思索を読み解きます。

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明日の法律家講座 東京校第300回

2021年2月13日(土)実施

本気でしていると誰かが助けてくれる~「日本と原発」等の映画にも触れながら

講師プロフィール

河合 弘之 氏(弁護士、映画監督)

河合 弘之氏
昭和14年4月 旧満州生まれ
昭和38年3月 桐朋高校卒業
昭和38年4月 東京大学入学
昭和42年9月 司法試験合格
昭和45年4月 第二東京弁護士会登録、虎の門法律事務所勤務
昭和47年4月 独立して河合・竹内法律事務所(現・さくら共同法律事務所)開設
浜岡原発差止訴訟弁護団長、大間原発差止訴訟弁護団共同代表、脱原発弁護団全国連絡会共同代表、3・11甲状腺がん子ども基金理事、中国残留孤児の国籍取得を支援する会会長、環境エネルギー政策研究所監事。
『原発訴訟が社会を変える』等著書多数。

 

講師からのメッセージ

弁護士生活50年。弁護士の世界は大きく変わりました。最大の変化は弁護士数の激増と巨大事務所の出現でしょう。私も当初は事務所を大きくすることを目指しましたが、途中からついていけないと諦め、独自路線に切り替えました。それは困難and/or大規模事件を得意とすることです。平和相互銀行事件、国際興業事件、秀和対忠実屋・いなげ屋事件等の実績を踏まえてのことです。
それで繁盛しましたが、それだけでは人間として、弁護士として不十分だと思い、中国残留孤児の国籍取得事業に取り組み1,250人分を取りました。その流れでフィリピン残留日本人の国籍も260人分取っています。各々40年、20年の仕事です。更に原発差止訴訟にも取り組みましたが、敗訴に次ぐ敗訴でした。
そこに東京電力福島第一原発事故がおきました。これを機に「脱原発弁護団全国連絡会」を組織しました。今、そのメンバーが全国で原発差止訴訟を展開中です。以前と違って五分五分の勝負です。その中で反原発映画「日本と原発私たちは原発で幸せですか?」「日本と原発 4年後」、自然エネルギー映画「日本と再生 光と風のギガワット作戦」を製作・公開し大ヒットさせました。私たちの戦いは優勢になってきています。国は自然エネルギーに大きく舵を切り、原発の存在感は日に日に薄れていっています。
そんな中、スルガ銀行・シェアハウス事件が発生し、被害者救済の戦いを組みました。3年前のことです。そして350人(債務約450億円)を完全救済(借金帳消し)しました。反原発闘争と同じ手法でした。
弁護士はやろうと思えば自由に良心に従って生きることができます。その生き方を一緒に考えてみませんか。

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明日の法律家講座 東京校第301回

2021年3月6日(土)実施

今日からできる![実践]将来海外で法律家として働いてみたいあなたへ

長岡 隼平 氏(弁護士、西村あさひ法律事務所所属、元伊藤塾塾生)

講師プロフィール

長岡 隼平 氏(弁護士、西村あさひ法律事務所所属、元伊藤塾塾生)

長岡 隼平 氏
2012年 京都大学法学部を卒業。
2014年 東京大学法科大学院を修了。同年、司法試験に合格。
2015年 弁護士登録
2016年~2018年 西村あさひ法律事務所東京オフィスで勤務。
2018年~2020年 西村あさひ法律事務所ハノイオフィスで勤務。
現在はCovid-19の影響で東京からリモートでハノイオフィスの仕事に対応している。
 

講師からのメッセージ

私は京都で育ち、ロースクールを卒業するまで、海外に行った経験は数回の旅行のみで、当然留学経験もありませんでした。しかし、法律の勉強を始めた頃から、日本の法律事務所の海外進出が始まり、自分もいつか、日系企業の海外進出の最前線である現地で、法律家として、日本の優れた物・サービスと、現地の社会との架け橋になりたいという想いを持っていました。そして今、その想いは現実になっています。
帰国子女ではない自分が、わずか2年の弁護士実務経験で、海外駐在を実現したのは、実は学生時代から弁護士登録に至るまでの周到な準備が背景にあります。また、実際に海外駐在を経験してみて、学生の当時は意識していなかったものの、「この経験が(意外にも)役に立った」という発見もありました。本講義では、帰国子女もそうでない人も、現在学生である人もそうでない人も、将来、海外で法律を使った仕事がしてみたいという人であれば誰でも、その日から実践できることを具体的に説明します。
また、リモートワークが定着した現在、実際に海外に駐在しなくても、日本の法律事務所に勤務して、外国の案件に取り組むという弁護士も多くいます(むしろその方が数としては圧倒的に多いです)。いわゆる渉外事務所でなくとも、外国人の刑事弁護や、外国人従業員・実習生に関する相談、外国企業とのトラブル等、「法律家が、外国語で、仕事関係の人と話したり、書面を読んだり、書いたりしなければならない」場面はあります。本講義は、そういった仕事に関心のある方にも、必ず役に立つ情報を提供するものであると信じています。
さらには、法律家の仕事は楽しく、やりがいのあるものだということも、本講義における重要なメッセージですので、自分は外国には興味がないという人も、勉強のヒントやモチベーションを得られる場になるはずです。
是非多くの方にご参加いただきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

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明日の法律家講座 東京校第302回

2021年4月3日(土)実施

刑事司法における法曹三者の役割

講師プロフィール

頃安 健司 氏(弁護士、元大阪高検検事長)

頃安 健司 氏
1942年 生
1961年 3月岡山県立津山高等学校卒業
1964年 司法試験合格
1965年 3月東京大学法学部卒業
1965年 4月最高裁判所司法研修所入所
1967年 4月東京地方検察庁検事
1970年 5月ウィスコンシン大学ロースクール卒業(LL.M.)
1993年 4月最高検察庁検事
1993年 12月大津地方検察庁検事正
1996年 1月法務省官房長
1997年 12月最高検察庁総務部長
1999年 4月同刑事部長
1999年 12月法務総合研究所長
2001年 5月札幌高等検察庁検事長
2002年 6月名古屋高等検察庁検事長
2003年 2月大阪高等検察庁検事長
2004年 6月退官
2004年 7月第一東京弁護士会登録東京永和法律事務所勤務
2008年 7月TMI総合法律事務所顧問弁護士就任

 

講師からのメッセージ

 私は、検事を37年間勤めた後、弁護士登録をして17年になります。検事退官直後は、検察は国民の期待にこたえ、よくその使命を全うしていると自負しておりましたが、弁護士として刑事弁護活動に従事しているうちに、検察も反省すべき点がいろいろあるなあと思うようになりました。法曹三者それぞれの立場があり、立場立場によって見える景色が異なることがわかってきました。
 一例が、いわゆる「人質司法」の問題です。検察官は、第一回公判まで、保釈請求に対し中々「しかるべく」の意見はつけたがりません。私が担当した中小事業者の所得税法違反(脱税)では保釈請求に当たり検察官や裁判官にある事情を説明したのですが、第一回公判まで保釈は認められませんでした。被告人は、資金繰りに日々奔走し自転車操業の状態であったため、勾留が長期にわたると倒産のおそれがあったのですが、検察官も裁判官も理解してくれませんでした。もっとも脱税事件では、捜査段階では事実を認めていながら、保釈になるや、公判では全面的に争う事例も珍しくなく、検察官も裁判官もそれを懸念したのでしょう。
 今回の講演では、刑事司法における法曹三者の役割についてお話してみたいと思っております。また、時間が許せば、日本の刑事司法の特徴などについても触れられればと考えております。

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明日の法律家講座 東京校第303回

2021年5月29日(土)実施

なぜ、原発を止めたのか〜原発の危険性について真剣に議論しよう!

講師プロフィール

樋口 英明氏(元裁判官)

樋口 英明 氏
三重県出身 
京都大学法学部卒業後司法修習(35期)
1983年4月 福岡地方裁判所判事補に任官
1985年4月より静岡・宮崎・和歌山・大阪・熊本・名古屋などの地方裁判所・家庭裁判所・
簡易裁判所の判事補・判事を歴任 
2006年4月~2009年3月 大阪高等裁判所判事 
2009年4月~2012年3月 名古屋地家裁半田支部長
2012年4月~2015年3月 福井地家裁判事部総括判事・福井簡裁判事
2015年4月~2017年8月 名古屋家裁部総括判事・名古屋簡裁判事 
2017年8月 定年退官 
主な著書 「私が原発を止めた理由」(旬報社)等

講師からのメッセージ

<人格権と原発事故>
(1)人格権とは
人格権とは人が生まれもって有する生命、身体、精神及び生活に関する利益の総体を指し、その根拠は憲法13条にあります。
 例えば、本の出版によって名誉が毀損される場合にはその本の出版を差し止めることが認められることもあるのです。名誉やプライバシーも人格権の一部ですがそれは生命と生活が維持できてこその話ですから、生命を守り生活を維持するということは人格権の核心部分といえます。したがって、原発事故によって放射性物質が拡散され生命を守り生活を維持することが困難となる危険があれば、人格権に基づいて原発の運転の差し止めを求めることができるのです。
 問題は、どの程度の危険があれば原発の運転の差し止めが認められるのかということです。人格権は各種の人権の中でも最も基本的で重要な権利であり、電力会社の経済活動の自由(憲法22条)よりも、上位の権利です。15万人余の人々のその権利が福島原発事故によって奪われたのです。これらのことからすると、福島原発事故のような事故が万が一でも起きる具体的危険性があるならば運転の差止めが認められるのです。これが2014年5月21日の大飯原発福井地裁判決に示された基本的な考え方です。
(2)現実的で切迫した危険
 しかし私は大飯原発に万が一の危険があるからという理由だけで運転を差し止めたのではないのです。判決では「大飯原発の危険性は万が一の危険という領域を遥かに超える現実的で切迫した危険だ」と判断しました。講演ではその意味を説明します。
(3)人格権を守るために
 人格権が侵害されそうになった場合に、裁判所に救済を求めるのは当然の権利であり、裁判所はそれに応えなければなりません。そして私たちも他の人の人格権が侵害されたときに、裁判所に任せきりにしたままでは結局自らの人権も守れなくなるのです。人権は国民の不断の努力によってこれを保持しなければならないのです(憲法12条)。
 

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明日の法律家講座 東京校第295回

2020年9月26日(土)実施

企業法務における弁護士の醍醐味とは~大手事務所のパートナーとして思うこと~

尾本 太郎 氏(「森・濱田松本法律事務所」パートナー弁護士)


講師プロフィール

尾本 太郎 氏(「森・濱田松本法律事務所」パートナー弁護士)

尾本 太郎氏
1995年 慶應義塾志木高等学校卒業
1997年 司法試験合格
1999年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2000年 濱田松本法律事務所(現 森・濱田松本法律事務所)入所
2005年 ハーバード大学ロースクール卒業(LL.M.)(International Finance専攻)
2005年 Slaughter & May ロンドンオフィス
2009年 森・濱田松本法律事務所パートナー(~現在)
2016年 慶應義塾大学法科大学院非常勤講師(企業法務ワークショップ・プログラム(ファイナンス・M&A)担当)(~現在)
クライアントの勇気ある挑戦を全力でサポートすることを夢見て弁護士となりました。自由で豊かな社会の実現のため、法務面にとどまらず総合的な観点から建設的、創造的な貢献をすることを目指しています。多数の事業会社、金融機関、不動産投資法人(J-REIT)、上場インフラファンド等の上場案件やM&A、航空機等の仕組み金融、金融規制法のアドバイスを手がけています。

講師からのメッセージ 

受験生時代、最初にじっくりと聞き込んだのが伊藤先生の講義でした。先生の熱い講義はとてもわかりやすく、今でも法律家としての私のバックボーンとなっている実感があります。明日の法律家講座も当時開講したばかりでしたが、何度か聴講の機会に恵まれました。ですから、伊藤塾でこのような機会を頂けることを大変光栄に思っています。
私は、弁護士登録以降、2年間の留学出向の期間を除いては、ずっと今の事務所で、ファイナンス・M&A・金融規制法を中心とする企業法務一筋でやってきました。ですので、今回は、これまでの経験を踏まえ、企業法務における弁護士の醍醐味について、私がこれまで実感してきたことをお話ししたいと思います。
弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とします。従って、企業法務における弁護士の醍醐味も、この弁護士の使命に整合するよう解釈されなければなりません。
ポイントは3つです。一つ目は「職人としての弁護士」、二つ目は「番人としての弁護士」、そして三つ目は「守護神としての弁護士」です。企業法務の世界では、日々、法律や判例にははっきりと書いていないこと、未知の論点、さらに法的な問題だけではないリスク判断などが求められます。その際の弁護士の役割はこれらの3つの切り口で整理できるのではないかと思っています。
これまでの体験を交え、これらの3つの切り口から企業法務における弁護士の醍醐味、そしてそれが弁護士の使命にどのようにつながっていくのかについてお話をしていきたいと考えています。当日皆さんにお目にかかれるのを楽しみにしています。

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明日の法律家講座 東京校第296回

2020年10月24日(土)実施

「検事は弁護士に、弁護士は検事にどう見えるか~冤罪防止に向けて」

市川 寛 氏(弁護士・元検察官)

 


講師プロフィール

市川 寛 氏(弁護士・元検察官)

市川 寛氏
1989年 中央大学法学部法律学科卒業
1990年 司法試験合格
1993年 検事任官。横浜地検、大阪地検、佐賀地検などで勤務。
2005年 辞職
2007年 弁護士登録

講師からのメッセージ 

2019年にはいわゆる松橋事件が、2020年にはいわゆる湖東記念病院事件がどちらも再審で無罪となりましたが、これらの事件が再審に至るまでには、検察による特別抗告などの激しい抵抗がありました。また、どちらの事件でも検察が無罪判決につながったかもしれない証拠を弁護人に開示しなかったことも明らかになっており、今日もなお、検察が無罪判決を嫌うことに端を発する問題が山積しています。
 ですが、検察が「無実と分かっていても敢えて抵抗している」とまではにわかに考え難く、無罪判決を嫌うのは検察なりの理由があります。その理由が外部から理解されないことが問題なのです。
 司法試験に合格し、司法修習を終えた人が検事任官すると、直ちに組織的に教育されて名実ともに検事になっていきますが、この教育課程で弁護士に対する見方も固定されます。この偏見とも言える弁護士への視点も、検察が無罪判決を嫌う理由の一つであり、同時に冤罪を招く理由の一つでもあります。
 他方で、刑事弁護を手がける弁護士もまた、平素の検事の振る舞いに業を煮やしてか、検事に対する偏見を強める傾向があります。
 制度上の対立当事者とはいえ、検事と弁護士が過度に争うことが本当に冤罪防止に役立つのか。冤罪防止のため、検事と弁護士はそれぞれどうすべきか。双方の経験を踏まえて語ることができたらと思っています。

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明日の法律家講座 東京校第297回

2020年11月28日(土)実施

憲法と教育 ~1947年教育基本法から安倍・菅政権まで~

前川 喜平 氏(現代教育行政研究会代表、元文部科学事務次官)


講師プロフィール

前川 喜平 氏(現代教育行政研究会代表、元文部科学事務次官)

前川  喜平氏
奈良県出身
1967年 麻布中学校・高等学校へ進学
1973年 東京大学文科一類入学。法学部へ進学し、故芦部信喜氏に憲法を学ぶ
1979年 国家公務員試験(甲種 - 行政職)に合格し、 当時の文部省に入省。
ケンブリッジ大学大学院留学
1997年 文化庁へ出向、文化部宗務課長
2001年 中央省庁再編に伴い文部科学省に変わり、同省初等中等教育局教職員課長
2001年 初等中等教育局財務課長
2006年 大臣官房総務課長
2007年 大臣官房審議官(初等中等教育局当)
2012年 大臣官房長
2013年 初等中等教育局長
2016年 文部科学事務次官
2017年 文部科学事務次官退任
2018年~   日本大学文理学部教育学科講師 (非常勤)

〈主な著書〉「面従腹背」、「官僚の本分」(柳澤協二氏との共著)他多数

講師からのメッセージ 

  安倍・菅政権の官邸一強体制は権力の腐敗と暴走を招きました。官僚は権力の私兵・下僕となり、三権分立も危うくなっています。一強権力の支配は本来自由であるべきメディア、教育、文化、学術の分野にも及んでいます1947年の教育基本法は、日本国憲法の精神にのっとって制定され、「人格の完成」と「平和的な国家及び社会の形成者の育成」を教育の目的に掲げ、「教育の機会均等」や教育への「不当な支配」の排除を謳いましたが、2006年の改正後は教育の戦前回帰の傾向が強まっています。
  学習権には自由権、社会権、平等権及び参政権の側面があります。自由権としての学習権は、憲法23条の学問の自由と重なり、教育の自主性を要請します。しかし、全国学力テストや道徳の教科化により、国は新自由主義や国家主義を背景に教育への介入を強めています。
  社会権としての学習権は、憲法25条の生存権と一体の「教育を受ける権利」として憲法26条に規定されています。教育の機会均等は、憲法14条の平等権にとどまらず、教育基本法4条に示されるように「経済的地位による差別の禁止」の意味を持っています。高校生や大学生の給付型奨学金は導入されましたが、経済的地位による進学機会の格差は厳然と存在しています。憲法26条2項の義務教育はすべての人に無償の普通教育を保障するためのものですが、現実には義務教育からこぼれ落ちた人がたくさんいます。
参政権としての学習権は、「知る権利」とあいまって、主権者として必要なことを学ぶ権利です。図書館や公民館はそのための重要な施設ですが、廃止・統合や民営化の風潮にさらされています。学校での政治教育は「政治的中立性」を理由に大きく制約されています。憲法と教育を巡るこうした問題について、皆さんが考えるきっかけになれば幸いです。