明日の法律家講座 バックナンバー

明日の法律家講座 東京校第298回

2020年12月12日(土)実施

ライフステージにあわせて働き方をデザインする

鈴木 麻子(弁護士、元伊藤塾塾生)


講師プロフィール

鈴木 麻子 氏(弁護士、元伊藤塾塾生)

鈴木 麻子氏
1980年 ドイツ生まれ
1999年 東京学芸大学附属高等学校卒業
2003年 司法試験合格 2005年 東京大学教養学部国際関係論分科卒業
2006年 弁護士登録(神奈川県弁護士会)
2017〜2019年 一般社団法人ジャパン・ダイアローグ・ジャパン・ソサエティリサーチャ(弁護士登録抹消)
2019年 弁護士再登録、家事案件専門の自由が丘テミス法律事務所開所
国際協力の分野に憧れて大学に進学したのち、伊藤真先生の憲法の講義に感銘を受けて法曹を志す。日本国憲法が、個人の尊重、生命、自由、幸福追求に最大の価値をおいていることに希望を見出す。離婚や相続など家族のトラブルに関する案件を数多く担当。加えて大規模な社会的案件(神奈川こころの自由裁判、在日米軍兵による犯罪被害等)や、国際人権NGOの運営にも携わる。20代後半から30代前半にかけて原因不明の体調不良、難病の疑いで手術・入院、さらに最愛の妹と夫を相次いで若くして亡くす経験を経て、自分の人生を見つめなおす。2016年末で一旦弁護士業を休業し、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する社会的企業の活動を支援。弁護士再登録後は、離婚・相続・パートナーシップや家族関係を専門に、紛争予防のためのカウンセリング・アドバイスや家事案件を行なっている。
 

 

 

講師からのメッセージ 

 弁護士は、人様の人生をお預かりする仕事です。それゆえ、専門的な知識や経験に加えて、人生とは、生きるとは、世界とは何か・・・という人間観、死生観、世界観がおのずと仕事の在り方に反映されると感じています。私自身は、10代から国際協力の分野に興味があり、「なぜ世界から痛ましい紛争がなくならないのか」という疑問を持ち続け、伊藤先生から憲法を学んだことで、日本国憲法13条を拠り所に弁護士としてのキャリアをスタートしました。国際人権NGOの活動にも参加し、グローバル・ユニバーサルな視点から社会にアプローチすることを模索していました。
 その後、自分自身の病気、家族との死別というライフイベントを経て、個人の内面のあり方に興味をもつようになり、心理学、カウンセリング、対話の技法、最小単位のコミュニティである家族の人間関係についての学びを深めていきました。ご縁に導かれ、弁護士のキャリアを一時中断し、「対話(ダイアローグ)」をソーシャルエンターテインメイトとして社会に広げていく社会的企業の活動のリサーチャーとして活動。弁護士業を離れてみることで、肩書きのないありのままの自分の使命を考えなおす機会となりました。
 そして自分の専門知識、興味関心、そして果たすべき使命が重なりあったのが「家族・パートナーシップの専門の弁護士」という新たな肩書でした。自分のライフステージに合わせて、働き方をその都度見直して、デザインしなおすことができるのが弁護士の仕事の魅力のひとつだと思っています。私自身の少し「異色」なキャリアをお伝えすることで、みなさんがより自由に、ご自身らしく法律家としての生き方や働き方をデザインしていくヒントになれば嬉しく思います。

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明日の法律家講座 東京校第299回

2021年1月16日(土)実施

仕事と人権活動と育児を、いかにして両立させるか

講師プロフィール

海度 双葉 氏(弁護士、横浜合同法律事務所所属、元伊藤塾塾生)

海度 双葉 氏
2011年 早稲田大学大学院法務研究科 修了
2012年 司法試験合格
2013年 弁護士登録(神奈川県弁護士会)
2014年 秘密保護法対策弁護団 事務局次長
2018年 神奈川県弁護士会刑事法制委員会 副委員長
2019年 出産
2020年 産休育休を経て職場復帰

講師からのメッセージ

受験生時代に伊藤塾に通い、伊藤先生の講義を受けました。特に憲法の熱い講義は圧巻で、感銘を受けました。
このたび、このような機会を頂きまして、大変光栄に思います。
弁護士法1条に明記されている、基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士の使命に基づき、多くの弁護士が、人権活動・公益活動などに取り組んでいます。
私の場合、司法修習生の時に、国会で秘密保護法案が審議されており、委員会を傍聴したり、反対運動の院内集会のお手伝いをしたりしていたのですが、目の前で法案が強行採決されました。様々な情報を得て、知ることができるということは、民主主義が機能するための必要不可欠な前提条件になります。その根本を揺るがす秘密保護法に反対するため、対策弁護団(約400名が加入)を立ち上げ、活動を続けてきました。その後、安保関連法制、通信傍受法改悪、共謀罪などについても、法律家として、学習会講師や雑誌寄稿などを通じて、問題点を発信してきました。
また、仕事面では、普段、労働事件や家事事件を多く取り扱っているのですが、厚木基地爆音訴訟や加計学園情報公開請求訴訟などの社会的な案件にも携わっています。弁護士業そのものと人権活動とが、地続きだと感じることも少なくありません。
近時は、出産・育児もあり、慌ただしい毎日です。まさに奮闘中という形ですが、そうした経験も踏まえて、弁護士の仕事の魅力に加えて、ワーク・ライフ・バランスについても、お話しできればと思います。

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明日の法律家講座 東京校第290回

2019年12月14日(土)実施

あるべき刑事司法とは何か~しくじり体験を踏まえて

【講師】前田 恒彦 氏(元検察官)
 


講師プロフィール

前田 恒彦 氏(元検察官)

前田 恒彦 氏
 広島県呉市出身。広島大学大学院社会科学研究科修了(法学修士)。1993年に旧司法試験に合格し、96年に検事任官(司法修習48期)。カナダ司法省留学。約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。
ハンナン事件や福島県知事汚職、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件などで主任検事を務める。
2010年、郵便不正から派生した厚労省虚偽証明書事件において証拠改ざん(フロッピーディスクのデータ改変)に及んだことで一転して被疑者、被告人及び受刑者の身となり、602日間の身柄拘束を経て、2012年5月に満期出所、社会復帰。
現在はヤフーニュースやフェイスブックなどのネット媒体を使い、刑事司法の実態や問題点を独自の視点で発信中。

 

講師からのメッセージ 

検察は有罪無罪を勝ち負けと捉えています。弁護士ですらも「無罪を勝ち取った」といった言い方をしています。しかし、本当にそうした意識でいいのでしょうか。勝ち負けと捉えているからこそ、勝ちたい、負けたくないと思うわけだし、勝つために無理をします。負けたくないから、不利な事実を隠そうとします。
これこそ、未来の法曹界を担う皆さんに変えていっていただきたい点です。すなわち、「有罪無罪は勝ち負けではない。有罪であっても無罪であっても、法と証拠に基づき、裁判手続を通じて正義が実現された、と捉えるべきだ」というものに――。
そもそも「真実」は当事者本人しか知らないことだし、それでも誤解や記憶違いはあります。
万能ではない愚かな人間が過去に遡って事実を認定していく以上、誤りもあり得るわけですが、その「真実」に少しでも近づくために、どのようなアプローチをしていくべきなのか。無実の人を処罰することなく、かつ、罪を犯した人を漏らさず処罰するための手段は何か。
あるべき刑事司法とは何か、というテーマは古くて新しい問題ですが、皆さんにはこれを常に意識し、この機会に是非深く考えていただきたい。
私は、(1)捜査・取調べ・訴追を行う検事、(2)逆にそれらを行われる被疑者・被告人、(3)刑に服する懲役受刑者、(4)重要事件の参考人・証人と、一般の人が経験したことのない真反対の立場を経験しています。
こうした経験に基づく複眼的な視点により、あるべき刑事司法とは何かについて、改めて考える機会を提供できればと思っています。

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明日の法律家講座 東京校第291回

2020年1月11日(土)実施

マチ弁から最高裁判事へ~お気の毒な弁護士が歩いてきた道

山浦 善樹 氏(元最高裁判所判事、弁護士)
 


講師プロフィール

山浦 善樹 氏(元最高裁判所判事、弁護士)

山浦 善樹氏
1969年 一橋大学法学部卒業、(旧)三菱銀行入社
1970年 三菱銀行退社
1971年 旧司法試験合格
1972年 最高裁判所司法研修所司法修習生(26期)
1974年 司法修習修了、弁護士登録(東京弁護士会)
1979年 最高裁判所司法研修所付
1996年 最高裁判所司法研修所民事弁護教官
1999年 東京弁護士会民事訴訟問題特別委員会委員長
2000年 法務省司法試験考査委員(民事訴訟法)
2001年 日本民事訴訟法学会理事
2003年 法務省新司法試験実施に係る研究調査会委員
2004年 山梨学院大学大学院法務研究科教授
2008年 筑波大学大学院ビジネス科学研究科法曹専攻教授
2011年 中央大学大学院法務研究科客員教授
2012年 最高裁判所判事
2016年 弁護士登録(再)(東京弁護士会)
2017年 旭日大綬章受章

 

講師からのメッセージ 

2011年1月、最高裁判事の推薦人事が進められていることを知らず、いつものように夜遅くまで事務所で仕事をしていたとき電話が鳴った。「山浦君、元気か、今年は最高裁判事のなりてが一人もいないんだって、明日が締切りだが、お前出てみないか」という友人からだった。立候補者がいないことに違和感を感じ、即座に「じゃぁオレ出てみるよ」。そして、もし決まったら事務所をたたむ必要があったので、依頼者に「しばらく事件を受けられない」と言うと、心配そうな顔で「先生、何かあったんですか」。「いや、実は最高裁判事に立候補した、もしそうなると弁護士をやめるしかない」というと、彼は笑いながら「先生、なに考えているの、先生は大学時代は学生運動やバイトばかりでロクに大学にもいかず、銀行員失格で、大学院にもいかず、著名事件の経験もない、大事務所でもない、東大や中大卒でもない、留学経験もない、おまけに金もない…そんな人が最高裁判事になんて、なれるわけないでしょう!」。そういえばそうだと安心した。
そんな弁護士が歩いてきた道を振り返ります。

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明日の法律家講座 東京校第292回

2020年2月1日(土)実施

司法試験は、絶対に合格する試験なのです。ただ、勉強の方法と、その表現の方法について、考え直して見ませんか?

松尾 翼 氏(「弁護士法人 松尾綜合法律事務所」代表弁護士)
 


講師プロフィール

松尾 翼 氏(「弁護士法人 松尾綜合法律事務所」代表弁護士)

松尾 翼氏
1953年 早稲田大学法学部卒(法学士)。
1960年 弁護士登録、東京弁護士会所属。
1969年 ワシントン大学ロースクール卒(比較法修士)。
1984年 コロンビア大学ロースクール客員講師。
1989年 ベルギー ルーヴェン・カソリック大学法学部客員教授 他、
    メルボルン大学、早稲田大学、日本大学法学部、日本大学法科大学院講師等。
弁護士生活60年 現在も数多くの海外及び国内の民事・刑事紛争の現場で活躍中。
クライアントも、ポール・マッカートニー、マイルズ・デービスらの海外著名人や日本赤軍の岡本公三などの刑事事件の弁護、日本の大企業に対するアメリカ連邦裁判所係属中の民事、商事事件などで現地法律事務所と共同受任する等、多岐に渡る。
また、民事事件では、日本における企業再生の第一人者として、立て続けに7件の大型企業再生事件で内外債権者を相手方として、会社の再建を成功させる。一方、アメリカの司法調停手続でニューヨークの有名巨大法律事務所から日本の全国紙に謝罪文を掲載させ、さらに日本で2億ドルを新生銀行から支払わせ、大型倒産を解決したことは特に有名。
他方、学者、教師としても、コロンビア大学ロースクール、ルーバン・カソリック大学他、日本国内および海外の有名大学法学部等で教鞭を取る。
「U.S.&Japan Bankruptcy Law(1971年)」「Law and Politics in China’s Foreign Trade(共著、1973年)」「議論に絶対勝つ方法(ゲリー・スペンス著、松尾訳)」「最終弁論―歴史的裁判の勝訴を決めた説得術(監修あと書き)」をはじめ、著書、翻訳書他も多数。

 

講師からのメッセージ 

私は1931年生れ、東京で育ちました。しかし早くから父は無く、さらに1945年5月の東京大空襲で母、姉、弟を喪い、幸い祖父母の家に転がり込むことこそできましたが、一転して裕福な小市民の生活から貧乏生活に落ちました。この為、旧制中学、新制高校、早稲田大学第一法学部と進学することはできましたが、中学4年から働き乍ら勉強することになりました。旧司法試験は4回目に合格しました。翻って、今、目の前にしているあなた方受験生を見ると、私は本当に申し訳ない気持で一杯です。経済的負担や、精神的負担とが、60年も前に勉強していた私達より余程酷くなったり重くなったりしているようです。それなのに、その逆に将来への明るい展望がより狭まっているのではないかと心配するからです。
司法試験合格は、人生の終点ではありません。新しい人生のスタートラインにつく資格取得の要件なのです。
しかし、一旦、法律家の資格を手に入れたら、下記信条を指針の参考の一つとして下さるよう、切に希望しております。
失敗を恐れず、前に向かってチャレンジしてください。
【法律家としてのCreed(信念・綱領)】
「至誠而宝無私即剛」(至誠而して寶、無私すなわち剛(つよ)し“Honesty makes one precious; Selflessness makes one upright”)依頼者の為に誠意を尽くすことこそ宝であり、無私こそ依頼者にとって最も剛きものである。もっとくだいて言うならば、弁護士業の本質は、「お金儲けとは無関係」ということです。 参考資料:弁護士ドットコム「忘れ得ぬ言葉」
 

ご参加の皆さんは必ず小六法をご持参ください。

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明日の法律家講座 東京校第293回

2020年2月15日(土)実施

希望の裁判所〜変化してきた司法と変化する司法〜

浅見 宣義 氏(大阪高等裁判所判事)
 


講師プロフィール

浅見 宣義 氏(大阪高等裁判所判事)

浅見 宣義氏
1988年判事補任官、以後京都、大阪、大分、東京などの裁判所を経て、平成30年4月から現職。民事事件の担当が長いが、刑事、家事、少年事件も担当した経験がある。2年間預金保険機構に出向したこともある。職務の傍ら、1999年日本裁判官ネットワークを設立し、開かれた司法の推進と司法機能の充実強化に寄与するために活動している。
著書に「裁判所改革のこころ」(2004年、現代人文社)、共著に「裁判官は訴える」(1999年、講談社)、「裁判官だってしゃべりたい」(2001年、日本評論社)、「希望の裁判所」(2016年、LABO)、「裁判官が答える裁判のギモン」(2019年、岩波ブックレット)など。大分地方裁判所に赴任した縁で、「豊の国かぼす大使」に任命されている。

 

講師からのメッセージ 

「思い出の事件を裁く最高裁」(小泉純一郎元首相が、現役時代に紹介した川柳)、「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」(故平野竜一元東大総長・名誉教授)というフレーズは、かつて私たち法曹関係者には、胸に突き刺さるような批判であった。しかし、日本の裁判の現状は、日本の文化的土壌があるからこその現状であり、改革はなかなかできないのではないかというのが長らく法曹関係者の実感ではなかったかと思われる。
しかし、平成の時代に、事態は大きく動いた。民事裁判の分野では、3分間弁論、五月雨証拠調べという言葉に象徴されるような実情にメスが入れられた。その改革は、1998年の新民事訴訟法の施行で一段落するが、その後も改革は続いている。そして、1999年設置の司法制度改革審議会で、司法制度全般の改革が取り上げられ、最大の改革として2009年5月から裁判員裁判が実施されている。これにより、故平野元教授が舌鋒鋭く批判された刑事裁判の姿(「調書裁判」)は、議論の余地はあるものの、全体として着実に変わりつつあると評価し得る。
こうした変化の下で法律家をしていると、変化に対応する苦労はあるものの、仕事のやりがいはより大きくなっていると実感する。講演では、その変化の姿とやりがいの変化についてお話しをしたい。来ていただいた方には、共著「希望の裁判所」(2016年、LABO)を無料で進呈する予定である。
そして、今や「民事訴訟IT化」という大きな改革が司法に求められる時代になっている。これからは、若い皆さんが司法を担っていく時代である。司法の変化の姿を共有し、これからの司法や皆さんの将来を考える機会にしてもらえれば幸いである。

明日の法律家講座 東京校第294回

2020年9月12日(土)実施

「公法系弁護士」の面白さ~近時の補助金不交付問題等を題材として~

平 裕介 氏(弁護士、日本大学法学部助教、元伊藤塾塾生)


講師プロフィール

平 裕介 氏(弁護士、日本大学法学部助教、元伊藤塾塾生)

平 裕介氏
2004年 中央大学法学部法律学科卒業
2006年 日本大学法科大学院修了
2008年 弁護士登録(鈴木三郎法律事務所、東京弁護士会)
2012年 日本大学法科大学院助教
2018年 日本大学法学部助教
行政事件や自治体からの法律相談等を中心に担当する「公法系」弁護士&研究者。行政法専攻。大学教員として、日本大学法学部・法科大学院のほか、國學院大學法学部などの大学で非常勤講師を担当しながら、東京弁護士会憲法問題対策センター副委員長として、憲法の法教育(小学生~高校生)にも携わる。日本公法学会会員。
国立市行政不服審査会委員、東京都・港区建築審査会専門調査員、江戸川区法律アドバイザー、厚木市事務職員・技術職員昇任予定者研修講座講師、全国建設研修センター講師等を担当し、法曹の実務経験や研究内容を踏まえた専門的知見を自治体等に提供している。
最近の主著は、「行政不服審査における不当裁決の類型と不当性審査基準」行政法研究28号(宇賀克也責任編集)167頁(2019年)、『法律家のための行政手続ハンドブック』(共著・山下清兵衛編、ぎょうせい、2019年)、『新・行政不服審査の実務』(共著・青栁馨編、三協法規出版、2019年)など。

講師からのメッセージ 

公法(行政法・憲法)分野の研究と訴訟等の実務の両方を扱う弁護士兼研究者の仕事の面白さ・やりがいに加え、司法試験・予備試験等の科目でもある憲法・行政法の学習と現実の法律家の業務や研究が実際にどのようにリンクしているのかになどついて、講師自身の経験談や最近話題になっている具体的な事例(文化的な表現の自由の保障を実質化するための公的な補助金が様々な事情により交付されないこととされた社会問題等)を交えながらお話しします。
当日お越しいただいた方には、補助金不交付をめぐる講師作成の事例問題とその解答例(答案例)等の資料を無料で配布します。聴講していただく方のご質問やお悩みにも丁寧に回答します。皆さま、ぜひお越しください!

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明日の法律家講座 東京校第288回

2019年11月9日(土)実施

紛争解決・紛争予防を通じて社会正義を実現する~私の活動レポート

【講師】岩﨑 崇 氏(弁護士、「未来創造弁護士法人」横浜オフィス代表、慶應義塾大学大学院法務研究科 助教、元伊藤塾スタッフ) 
 


講師プロフィール

岩﨑 崇 氏(弁護士、「未来創造弁護士法人」横浜オフィス代表、慶應義塾大学大学院法務研究科 助教、元伊藤塾スタッフ) 

岩﨑 崇氏
神奈川県横浜市出身。
2002 年 横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校 卒業
2005 年 東京学芸大学附属高等学校 卒業
2009 年 首都大学東京 都市教養学部法学系 卒業
2010年 行政書士試験合格
 同年  国家公務員I種試験(法律職)合格
2011 年 慶應義塾大学大学院 法務研究科 修了
 同年  司法試験合格 (司法試験受験後から司法修習開始まで伊藤塾スタッフとして勤務)
2012 年 司法修習修了(新65期)
 同年  弁護士登録 三谷総合法律事務所 入所
2014 年 事務所法人化に伴い、「未来創造弁護士法人」に改称
2017 年 慶應義塾大学大学院法務研究科 助教 就任
2019 年 未来創造弁護士法人 横浜オフィス代表 就任 
<主な取扱業務>
中小企業向け顧問弁護士業務(契約書作成、労務、法令調査等)
「裁判より交渉を、紛争解決より紛争予防を」
 

講師からのメッセージ 

「なぜ弁護士になったのですか?」
仕事をしていると、しばしばこの質問を受けます。
 
私は現在弁護士7年目です。これまで「明日の法律家講座」にご登壇された錚々たる諸先輩方に比べ、経験も実績も乏しいと思います。ですが、こんな私でも頼ってくれる依頼者・お客様がいて、一緒に仕事をしてくれる仲間がいます。とてもありがたいことです。
私は身内に法律家がいるわけでもなければ、もともと弁護士への憧れがあったわけでもありませんでした。ただ、法律の論理的な考え方や、司法を取り巻く制度への興味はあったようです。
司法試験受験時代は、法曹三者(弁護士、裁判官、検察官)のみならず、官僚や研究者など、進路に迷いながら勉強をしていました。
司法修習を経て、縁あって弁護士という職業を選択することになり、一般民事、家事、刑事など様々な事件を取り扱ってきました。
その後、事務所の法人化を契機として、現在は中小企業向けの顧問弁護士業務に特化して、日々職務に取り組んでいます。
「中小企業が経営を伸ばすことは、日本を救うということだ」を合言葉に、弁護士法人のほか、税理士法人、コンサルティング会社を設立してグループ化し、中小企業の経営をトータルでサポートする体制を整えました。
今後、自分たちがお手伝いできることは益々増えていくと思いますし、志を同じくする仲間を沢山増やしていきたいと考えています。
 
本講座に出席される方の多くは、法律家を志している方だと思います。
「なぜ弁護士になったのか?」
「なぜ弁護士を続けているのか?」
「これから何を目指していくのか?」
その答えの一例をご紹介させて頂きますので、みなさんが自身の無限の可能性を信じ、その人格と能力を社会のために惜しみなく発揮される契機となれば幸いです。

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明日の法律家講座 東京校第289回

2019年11月30日(土)実施

憲法の現場を生きる

【講師】六車 明 氏(慶應義塾大学名誉教授、元東京高等裁判所判事)
 


講師プロフィール

六車 明 氏(慶應義塾大学名誉教授、元東京高等裁判所判事)

六車 明氏
1952年 東京生まれ
1975年 慶應義塾大学法学部卒業、司法試験合格
1978年 東京地裁判事補
1982年 高松家裁判事補
1985年 法務省刑事局付検事
1989年 東京地裁判事
1991年 仙台地裁判事
1995年 東京高裁職務代行判事
1997年 東京高裁判事
1998年 公害等調整委員会審査官
1999年 慶應義塾大学法学部助教授
2002年 同大学法学部教授
2004年 同大学法科大学院教授
2014年 弁護士登録 (2019年まで )
2017年 同大学法科大学院グローバル法務専攻( LL.M)教授
2018年 (株)国際協力銀行 環境ガイドライン担当審査役( 2019年まで)

著書など
『環境法の考えかたⅠ―「人」という視点から』(慶應義塾大学出版会・ 2017年)
『環境法の考えかたⅡ―人と企業とのあいだから』(慶應義塾大学出版会・ 2017年)
「多数者による取消訴訟と訴額」行政法判例百選Ⅱ第7版(有斐閣・ 2017年)
「豊島産業廃棄物不法投棄事件」環境法判例百選第3版(有斐閣・ 2018年)
 

講師からのメッセージ 

 私は、実務法曹のときも、大学のときも、そのあとも、人生のさまざまな場面で、「いま、憲法の現場を生きている」、と感じるときがありました。とくに、最初に裁判官になったので、裁判官に関することが多かったと思います。
 例えば、裁判官から法務省の刑事局に移ると、自分の起案は、十数人の決裁を受けるので、判決との違いを実感します。さらに、罰則のある法律案の決裁では、「裁判官は、この構成要件は、ほんとうに明確であると考えるか。」と確認されます。
 また、最高検察庁は、高裁で無罪判決があると、上告審議をしていました。そこに法務省の担当者として呼ばれると、「この上告理由であれば、最高裁は、高裁判決を破棄するだろうか」と意見を求められます。
 裁判官に復帰後、行政委員会の公害等調整委員会に出向したときは、豊島(てしま)産業廃棄物不法投棄事件を担当しました。豊島の島民と香川県が厳しく対立しており、その紛争の解決を、非公開の調停手続ですすめます。何げない言葉のもつ影響が大きく、いつも、裁判官のときのことを思い出します。
 裁判官から大学に移り、環境法の研究と教育を始めると、そこは、学問の自由、大学の自治の世界です。新聞記者の方から、自分が関係した裁判について、取材を受けることもあります。
 大学を退職後、国際協力銀行の第三者機関に応募しました。銀行は、選考委員会をつくり、オープンに人選をすすめます。仕事の内容は裁判官と似ているので、裁判官の人選、さらに国会議員の人選を思い浮かべました。
 こうした、私の憲法の現場をお伝えし、皆さんと、憲法や法律について、考えたいと思います。

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明日の法律家講座 東京校第285回

2019年7月13日(土)実施

冤罪の阻止・根絶と法曹の責任

【講師】木谷 明 氏(弁護士、「法学館法律事務所」所属、元東京高等裁判所部総括判事、元法政大学法科大学院教授)
 
 


講師プロフィール

木谷 明 氏(弁護士、「法学館法律事務所」所属、元東京高等裁判所部総括判事、元法政大学法科大学院教授)

木谷 明 氏
神奈川県平塚市出身。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。
1961年 大学を卒業して司法研修所に入所。司法修習を経て
1963年 判事補任官(東京地裁)。最高裁判所調査官、浦和地裁部総括判事などを経て
2000年5月 東京高裁部総括判事を最後に退官。
同年6月 公証人(霞ヶ関公証役場)となる。
2004年から2012年まで法政大学法科大学院教授を務める。
2012年より弁護士。
 
最高裁判所調査官時代に担当し、判例百選に掲載された裁判は「月刊ペン事件」、「よど号ハイジャック事件」等7つある。
『「無罪」を見抜く-裁判官・木谷明の生き方』(岩波書店、2013年)等著書も多数。著書の『刑事裁判の心―事実認定適正化の方策』は、周防正行氏の映画作りの参考にされた。周防氏によると、映画『それでもボクはやってない』の前半部に出てくる人権派の裁判官は、木谷氏を理想としてあこがれる若手裁判官を描いた由である。

講師からのメッセージ 

冤罪ほど恐ろしいものはない。ある日、突然、身に覚えのない犯罪の嫌疑を受けて取調べを受け、いくら弁解しても受け付けてもらえず、身柄も拘束されて家庭や社会から断絶させられたと想像してみてほしい。多くの人は、逮捕される前は、こういう話を聞いても「ひとごと」と考え、「まさか現代の日本でそんなことがあるはずがない」と思うだろう。しかし、これは絶対に「ひとごと」ではない。いつ自分の身に降りかかるかもわからない現実なのだ。
君は思うだろう。「警察がひどい取調べをしても、あの難しい司法試験を合格した検察官は、きっとぼくの言い分を聞いてくれるだろう。」「万一、検察官が聞く耳を持たない場合でも、公明正大な裁判官は、必ずぼくの言い分を聞いてくれるに違いない」「日本の刑事裁判は『疑わしいときは被告人の利益に』という『刑事裁判の鉄則』に基づいて行われているのだから、万が一にも冤罪など起こるはずがないじゃないか」と。
しかし、ひとたび囚われの身となった君は、現実の厳しさを嫌と言うほど思い知らされる。検察官の取調べは、警察より多少ましな場合もあるが、多くは、警察捜査の上塗りをしているにすぎない。確かに、以前と違って弁護人の活動は活発になった。しかし、それでも、通常の能力の弁護士にとって、強大な国家権力と対峙して、否認している君を代用監獄から救出するのは至難の業だ。現実には、いわゆる「人質司法」が蔓延しているからだ。
肝心の裁判官はどうか。日本の刑事裁判の有罪率は99・9%以上と言われている。要するに、検事が有罪と考えて起訴したら、公判(裁判)で無罪判決を獲得できる確率は1000件に1件もないということだ。そして、いったん有罪判決が確定した後に新証拠を提出して行う再審手続は、「針の穴に駱駝を通すより難しい」とさえ言われている。
今回の講演では、私が現在弁護の一角を担っている具体的な再審事件(恵庭OL殺人事件)を例に引きながら、刑事裁判の現実の姿を明らかにするとともに、冤罪を阻止・根絶するために法曹が果たすべき役割・責任を明示する。
これから法曹を目指す諸君には是非とも聞いてもらいたいと思う。