志水晋介の3分チェック!行政書士 重要論点Q&A

Q&A方式で重要論点をチェックしよう!

重要論点のチェックといっても、日々の忙しい時間のやりくりのなか、わかってはいてもなかなかできない…、そんな皆さんが多いのではないでしょうか?
そこで、このコーナーでは、Q&A方式を使って3分で行政書士試験の重要論点を確認できる機会を設定しました。
どうぞ有効にご活用いただき、行政書士試験の合格に役立ててください。
 
*掲載の内容は、伊藤塾 行政書士試験科公式メルマガ 過去の内容から抜粋してお届けします。

志水 晋介講師

2001年 行政書士試験合格。
2000年より宅建士試験等の受験指導を開始。
2003年より伊藤塾で行政書士試験の受験指導を開始。

伊藤塾行政書士試験科立ち上げに携わり、法律初学者はもちろん、法律の学習経験を持つ受験生にも幅広く受験指導を行っている。
深い法律への造詣に裏打ちされた講義と思考力を養う指導法は、多くの活躍する合格者を毎年輩出し続けている。

現在は、行政書士試験の受験指導に加え、行政書士実務講座講師、桐蔭横浜大学非常勤講師、そして特定行政書士として活躍している。

第27回 民法 物権 抵当権

2022.8.25

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 
 
このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルに示し、
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
キッカケをお作りするものです。
 
 
ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、今回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
 
抵当山林をAが勝手に伐採して、木材を持ち出した。抵当権者の立場で元に戻せ!と言える?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 抵当権
 
 
 
 
 
○結論
 
 
言える。
 
 
 
○解説
 
 
典型的な抵当権侵害。
 
 
木材を山林から持ち出されると抵当権を
「第三者」に対抗できなくなるが、
勝手に伐採して持ち出したような不法なAは
「第三者」には当たらない。
 
 
したがって、抵当権者の立場で、
「元に戻せ!」と言うことは可能。
 
 
ちなみに、「元に戻せ!」ではなくて、
「自分に渡せ!」と言えるかは別問題。
 
 
抵当権者は、抵当不動産に対して
占有はしていないので、「自分に渡せ!」は
原則として言えないと考えておく。
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
抵当建物が放火で滅失。火災保険金はおりるそうだが、抵当権者の立場でどうにかならない?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 抵当権
 
 
 
 
○結論
 
 
保険金が支払われる前に物上代位による差押えをすれば優先弁済を受けられる。
 
 
 
 
○解説
 
 
抵当建物が滅失、ということは、
抵当権者の立場では
「おれの担保がぁ…」と焦ることになる。
 
 
しかし、民法は、物上代位を認め、
判例によると保険金請求権も
物上代位の目的となる。
 
 
そこで、保険金が支払われる前に、
物上代位による差押えをすれば、
保険金を債権回収のあてにできる。
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
上手く解答できましたか。
 
 
テキスト等に戻って、
該当箇所を確認しておきましょう。
 
 
ではまた!
 


第26回 民法 物権 質権

2022.8.16

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。

このコーナーでは、
行政書士試験の学習において重要となる知識、論点を
Q&A方式でシンプルにお示しし、皆さんがテキストや
教材に戻って勉強していただくキッカケをお作りするものです。

ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
では早速、始めていきましょう。
 

【問題1】
 
Aに質入れを受けていた時計が盗まれた!どうやってAから取り返そう?
 
 

○テーマ
民法 物権 質権
 
 
○結論

占有回収の訴えによるべき
 
 
○解説

質権者は、質物を占有していることから、
質物について、質権と占有権の2つの物権を有する。

そのため、2種類の物権的返還請求権を
考えることができそうだが、
民法は、占有権に基づくもの、
つまり、占有回収の訴えしか認めていない(353条)。

その理由は、質物の占有を失うと、
質権を第三者(盗んだ人を含む。)に対して
主張することができなくなるためである(352条)。

試験対策でちょっと難しいことを書けば、
352条の「第三者」は無制限説に立ち、
177条の「第三者」(登記の欠缺を主張する
正当な利益を有する者という制限説)とは
異なることに注意。
 
 

【問題2】
 
駐車場を質入れされた。特約は特にないけど、駐車場収入はどうすればいい?
 
 

○テーマ
民法 物権 質権
 

○結論

私の収入にしてよい。
 

○解説

不動産質権者は、質物である不動産を
使用・収益することができる。

そこで、収益は質権者が得てしまって構わない
(債権の弁済に充てる必要もない)。

ただし、不動産の管理の費用は質権者が
負担しなければならないし、
また、債務者に利息を請求することもできない。

なお、これらについては、
特約で別内容にすることも可能。
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
上手く解答できましたか。

テキスト等に戻って
確認しておきましょう。

ではまた!
 
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第25回 先取特権・質権

2022.8.5

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 
 
このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でお示しし、
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
キッカケをお作りするものです。
 
 
ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、第25回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
 
ある登記を見ると時系列が、抵当権→不動産工事の先取特権→不動産売買の先取特権とある。優先順位は?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 先取特権
 
 
 
 
 
○結論
 
 
不動産工事の先取特権>抵当権>不動産売買の先取特権
 
 
 
 
 
○解説
 
 
不動産に関する典型担保物権については、
優先順位が決まっている。
 
 
優先順位の高いものから
 
 
1 不動産保存の先取特権
2 不動産工事の先取特権
3 不動産売買の先取特権、不動産質権、抵当権
 
 
である。
 
 
3が複数ある場合は、早い者順、
つまり、登記が先にある方から優先する。
 
 
そうすると、今回のケース
まず、不動産工事の先取特権の優先順位が一番高い。
次に、抵当権、そして、不動産売買の先取特権という順になる。
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
時計を質に金を借りようと考えているが、質入れしたことにして実際には渡さずにいたい。担保と言える?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 質権
 
 
 
 
○結論
 
 
言えない。
 
 
 
 
 
○解説
 
 
質権設定は、債権者に目的物を引き渡すことによって、
効力が認められるが、

「引き渡す」には、占有改定による方法は含まれないもの

と解釈されている。
 
 
今回のケースで考えているのは占有改定による方法なので、
これでは質権の効力は認められない。
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
上手く解答できましたか。
 
 
自分のテキスト等に戻って
確認しておきましょう。
 
 
ではまた!
 
 


第24回 民法 物権 先取特権

2022.7.29

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 

このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルにお示しし、
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
キッカケをお作りするものです。
 

ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
では早速、第24回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 

【問題1】
 
建物賃貸借契約が終了。明渡しの請求をされたけど、敷金がまだ返ってこないので明け渡さなくても良い?
 
 
 

○テーマ
民法 物権 先取特権
 
 
 
○結論

転売代金債権について物上代位に基づく差押えをする。
 
 
 
○解説

これは一言。
明渡しと敷金返還の関係は、明渡しが先。

明け渡さないと敷金清算ができないから。

そのため、明け渡さないとダメ。
 
 
 
 

【問題2】
 
Aに時計売却。Aが代金支払わず、Bに転売、引渡し。Bも未払だが私が優先的に代金回収をする方法は?
 
 
 

○テーマ
民法 物権 先取特権
 
 

○結論

転売代金債権について物上代位に基づく差押えをする。
 
 
 
○解説

私は動産売買の先取特権を有する。

しかし、時計が転売され、引き渡されている
ので、時計について先取特権を行使することが
できなくなっている。

ただし、先取特権は物上代位が認められている
ので、Bが未払のうちに差押えをすれば、
転売代金債権について先取特権を行使できる。
 
 
 

いかがでしたでしょうか?
上手く解答できましたか。
 

ご自分のテキスト等に戻って
確認しておきましょう。
 

ではまた!
 
 


第23回 民法 物権 留置権

2022.7.19

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。

このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルに
お示しし、皆さんがテキストや教材に戻って
勉強していただくキッカケをお作りするものです。

ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
では早速、今回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 

【問題1】
 
売却した時計を買主が転売。代金支払がないので渡さずいたら転売相手が「渡せ」と。渡さないとダメ?
 
 
 
 
 
○テーマ
 
民法 物権 留置権
 
 
 
 
 
○結論

代金支払があるまで渡さなくても大丈夫。
 
 
 
 
○解説
 

「その物に関して生じた債権」を有する
債権者は、その物について留置権を有する。
 

「その物に関して生じた債権」には
「物の引渡義務と同一の法律関係から生じた債権」が
含まれるものと解釈されている。
 

この「物の引渡義務と同一の法律関係から生じた債権」の
代表格が、売買代金債権。

つまり、物の引渡義務(売買の目的物を引き渡す売主の債務)と
同一の法律関係(売買契約)から生じた債権(売買契約に基づく
売主の売買代金支払請求権)。
 
ということで、今回のケース、
私は時計に留置権を有する。
 

そして、留置権という物権は一度成立すると
第三者に対しても主張することができる。
 

したがって、第三者である転売相手に対しても、
留置権を主張して、代金を支払ってもらうまで渡しません
と言ってもOK。
 
 
 
 
 
【問題2】
 
住居を賃借中に雨漏りを修繕した。賃貸借契約は終了したが修繕費用は未払。貸主に明け渡さないとダメ?
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 留置権
 
 
 
 
 
○結論

修繕費用の支払があるまで明け渡さないのも選択肢としてアリ。
 
 
 
 
○解説

「その物に関して生じた債権」を有する債権者は、
その物について留置権を有する。

「その物に関して生じた債権」には「物自体から生じた債権」が
含まれるものと解釈されている。

「物自体から生じた債権」の代表格が費用
(必要費又は有益費)償還請求権。
 

今回の雨漏り修繕費用は必要費なので、
借主は留置権を有する。
 

したがって、修繕費用の支払があるまで
明け渡さなくてもOK。
 
 
ただ、明け渡さないと、その間の建物の使用料は
払わないといけないので、明け渡さないという選択が
良い選択とは限らないけれど。
 

ちなみに、修繕したのが賃貸借契約終了後だと、
留置権の成立要件を満たさなくなる可能性はある。
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
上手く解答できましたか。
テキストに戻って、確認しておいて下さいね。

今回は、このくらいにしておきましょう。
 
 


第22回 民法 物権 地役権

2022.7.12

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 
 
このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルに
お示しし、皆さんがテキストや教材に戻って
勉強していただくキッカケをお作りするものです。
 
 
ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、本日のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
 
隣地所有者が地役権の時効取得を主張してきた。どうもコッソリ毎日通行していたよう。認めないとダメ?
 
 
 
 
 
○テーマ
 
民法 物権 地役権
 
 
 
 
 
 
○結論
 
 
認めなくてOK
 
 
 
 
 
 
○解説
 
 
地役権は取得時効が認められるが、
「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができる」
ものに限って許される。
 
 
今回のケースのような、コッソリじゃ認められない。
 
 
通行地役権なら、隣地所有者が通路開設をしないとダメ。
 
 
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
通行地役権を設定して通路開設をしたけど登記ない。囲繞地の所有者が売却すると買主には主張できない?
 
 
 
 
 
 
 
○テーマ
 
民法 物権 地役権
 
 
 
 
 
 
○結論
 
 
主張できる可能性あり。
 
 
 
 
 
 
○解説
 
 
実際、地役権の登記ができないケースは
いろんなしがらみのある世の中、あり得る話。
 
 
さて、登記がないと原則として
地役権は第三者(囲繞地の譲受人など)には
主張できないが、今回のケースではどうか?
 
 
 
判例は、
 
「通行地役権(通行を目的とする地役権)の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠映を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないと解するのが相当である。」
 
としている。
 
 
長々とした一文だが、要するに、
地役権者がコンクリで通路を作っていれば、
登記がなくても、地役権者は囲繞地の譲受人に地役権を主張できますよ。
ということ。
 
 
あくまでも、原則は登記であることを忘れずに、
この判例の知識も覚えておきましょう。
 
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
上手く解答できましたか。
 
 
 
今週は、このくらいにしておきましょう。
ではまた!
 
 
 


第21回 民法 物権 地上権

2022.7.5

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 
 
このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルにお示しし、
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
キッカケをお作りするものです。
 
 
ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、第21回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
 
建物を所有するために土地を借りたいんだけど、
どういう方法がある?どういう方法がいい?
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 地上権
 
 
 
 
 
○結論
 
 
地上権設定契約
賃貸借契約
 
 
どちらにも長所、短所はあるし、
どちらをベースにしても特約でどうにでもなる。
 
 
なお、無償で借り受ける場合、
使用貸借契約も考えることは可能。
 
 
 
○解説
 
 
建物所有を目的として他人の土地を利用するためには、
主に、地上権と賃借権が考えられる。
 
 
なお、借地借家法では、いずれも「借地権」と表現され、
基本的に区別して取り扱われることはない。
 
 
両者に違いがある、試験対策でも知っておくべき特長としては、
 
 
地上権 目的に制限あり
賃借権 目的に制限なし(別に、資材置き場で借りても構わない)
 
 
地上権 地主に登記協力義務あり
賃借権 地主に登記協力義務なし
 
 
地上権 約定期間に最長、最短制限なし
賃借権 約定期間は最長50
 
 
地上権 地代支払は契約の要素ではない
賃借権 地代支払が契約の要素(タダなら使用貸借)
 
 
地上権 地主に土地修繕義務なし
賃借権 貸主に土地修繕義務あり
 
 
地上権 権利の譲渡に地主の承諾は不要
賃借権 権利の譲渡に貸主の承諾は必要
 
 
 
このような感じです。
 
 
ちなみに、一般的な借地権は賃借権でやっているように感じます。
(統計を見ているわけではないので、あくまでも個人的な感想です。)
 
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
通行地役権のある土地に不法占拠者がいて通行できない。地役権に基づいて土地の明渡しを請求できる?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 地役権
 
 
 
 
 
○結論
 
 
できない。
 
 
 
 
 
○解説
 
 
地役権も物権であるので、物権的請求権を行使できるが、
返還請求権は使えない(妨害排除と妨害予防のみ)。
 
 
ということで、地役権に基づいて土地の明渡しは請求できない。
 
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
上手く解答できましたか。
 
 
 
今回は、このくらいにしておきましょう。
ではまた!
 
 


第20回 民法 物権 所有権

2022.6.28

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 
 
このコーナーでは、
行政書士試験の学習において重要となる知識、論点を
Q&A方式でシンプルに示し、テキストや教材に戻って
勉強していただくキッカケをお作りするものです。
 
 
ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、第20回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
 
友人と別荘を購入。当分別荘を2人で共有しておきたいが、どんな取決めをしておけばいい?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 所有権
 
 
 
 
 
○結論
 
 
分割禁止特約(不分割特約)を結んでおくのもアリ。
 
 
 
 
 
○解説
 
 
各共有者は、いつでも共有物の分割請求をできる
のが原則。
 
 
そこで、友人が共有物の分割請求を
私の意に反してしてきても文句は言えない。
 
 
これを回避するなら、分割禁止特約を結んでおくべき。
 
 
なお、この特約は5年がマックスだが、更新は可能。
 
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
姉妹で共有してきた土地をいよいよ分割することに。
分割方法に制限はある?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 所有権
 
 
 
 
 
○結論
 
 
協議でやる分には、制限はない。
 
 
 
 
 
○解説
 
 
裁判で分割をする場合は、民法258条により、
現物分割か換価分割(競売で売り飛ばして
競落代金を分ける)が原則であり、
 
 
判例によって、全面的価格賠償(AB共有なら、
Aに共有物の単独所有を認め、AからBにお金を
払わせる)も特段の事情があれば認められる。
 
 
しかし、協議、つまり話し合いでやる分には、
分割方法には制限はない。
 
 
だから、特段の事情がなくても、
全面的価格賠償にしても大丈夫。
 
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
上手く解答できましたか。
 
 
 
今回は、このくらいにしておきましょう。
 
ではまた!
 
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第19回 民法 物権 所有権

2020.6.21

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 

このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルにお示しし、
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただくキッカケを
お作りするものです。
 

ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
では早速、第19回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 

【問題1】
 
 
分譲マンションを買ったら管理組合から売主が滞納していた管理費の支払請求を受けた。払う必要あるの?
 
 
 
 

○テーマ
民法 物権 所有権
 
 
 
 
○結論

基本的に、ある。
 
 
 
 
○解説

分譲マンションの管理費は、そのマンションの共用部分の
維持管理等のためにかかる費用であり、共用部分は、
各専有部分の所有者の共有と考えてよい。
 

共有物についての債権は、その特定承継人に対しても
行使することができるので、買主が、売主が滞納していた
管理費を請求されることには理由がある。
 

管理費や修繕積立金の滞納があるかないかは
中古マンションを買うときには十分気をつけましょう。

買わないという選択肢もあるし、
売買代金額の交渉材料とするという選択肢もあります。
 
 
なお、民法の「共有」は少人数の知った間柄の
共同所有を想定しているが、現代の、分譲マンションにも
適用はされる。

ただし、分譲マンションには、特別法として、
「建物の区分所有等に関する法律
(区分所有法とかマンション法と略される)」等があるため、
これらの法律に規定がない事項について、
民法を適用することになる。
行政書士試験ではここまでは聴かれないけど。
 
 
 
 
【問題2】
 
 
Aが死亡。Aには相続人(特別縁故者も)いない。Aと建物を共有していたが、建物の権利関係どうなる?
 
 
 
 

○テーマ
民法 物権 所有権
 
 
 
○結論

私の単独所有になる。
 
 
 
○解説

共有者の1人が死亡して相続人がないときは
(正確には、相続人も特別縁故者もないときは)、
その持分は、民法255条によって、他の共有者に帰属する。
 

そこで、今回のケースでは、
Aの持分は私が取得することになるため、
建物は私の単独所有となる。
 

なお、民法959条によると、
相続人も特別縁故者もいない者の相続財産は、
最終的に国庫に帰属する。
 

しかし、民法255条があるので、共有物については、
国と他の共有者の共有という状態にはならない。
 
 

いかがでしたでしょうか?
上手く回答ができましたか。
 
 
今週は、このくらいにしておきましょう。
ではまた!
 
 


第18回 民法 物権 所有権

2022.6.14

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 
 
このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルに
お示しし、皆さんがテキストや教材に戻って
勉強していただくキッカケをお作りするものです。
 
 
ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、第18Q&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
 
借金をするので甲土地を担保としたいが、甲は弟と共有。この状態で甲に抵当権設定をするにはどうする?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 所有権
 
 
 
 
 
○結論
 
 
弟の同意を得る必要がある。
 
 
 
 
 
○解説
 
 
共有不動産に抵当権を設定する行為は、
「変更行為」に該当する。
 
 
そのため、共有者全員の同意がなければ、できない。
 
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
ABC3人で共有している建物をAが単独で使用。管理について特段の取決めなし。管理の費用は誰負担?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 所有権
 
 
 
 
 
○結論
 
 
ABC3人が持分に応じて負担。
 
 
 
 
 
○解説
 
 
民法2531項によると、
各共有者は、その持分に応じ、
管理の費用を支払う。
 
 
そこで、特段の取決めのない今回の
ケースであれば、管理の費用は、
ABC3人が負担することになろう。
 
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
上手く回答ができましたか。
 
 
 
今週は、このくらいにしておきましょう。
ではまた!
 
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第17回 民法 物権 所有権

2022.6.7

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 

このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルにお示しし、
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただくキッカケを
お作りするものです。


ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
では早速、第17回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 

【問題1】
 
 
父の2階建ての家を兄と相続。兄が「お前には2階部分しか使わせない」と言ってきた。おかしくない?
 
 
 
 

○テーマ
民法 物権 所有権
 
 

○結論

おかしい。私にも(兄にも)家全体を使う権利がある。
 
 

○解説

相続財産は共同相続人の共同所有形態は
「共有」として扱われる。

各共有者は、共有物「全部」について、
その持分に応じた使用をすることができる。

そこで、兄の「2階部分しか使わせない」
という主張はおかしい。

私は、家全体を使用することができる。
ただし、この使用は「持分に応じて」で
あることには注意する。

例えば、兄と1か月おきに交互に使うという
ことなどになるか。
 
 


【問題2】
 
 
兄と2人で買った土地に不法占拠者が。兄は面倒だと言って動いてくれない。1人で何か言える?
 
 
 
 

○テーマ
民法 物権 所有権
 
 

○結論

土地の返還請求をすることができる。

自分の損害分については、不法行為に基づく
損害賠償請求をすることもできる。
 
 

○解説

不法占拠者に対しては、所有権に基づく
物権的請求権として返還請求をすることができるが、
このような行為は、「保存行為」に該当するため、
共有者は単独ですることができる。

したがって、まず、私は、不法占拠者に対して
1人で土地の返還請求をすることができる。

また、不法占拠されることにより損害が発生していれば、
自己の持分に応じた不法行為に基づく損害賠償請求を
することができる
(1人で、兄の分までまとめて損害賠償請求はダメ)。
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
上手く回答ができましたか。
 
今週は、このくらいにしておきましょう。
ではまた!
 
 


第16回 民法 物権 占有権

2022.6.2

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 
 
このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルにお示しし、
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
キッカケをお作りするものです。
 
 
ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
 
では早速、第16回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
 
古書店で買った本を「それは昨年盗まれた私の本だから返せ」とAが言ってきた。
どう対応しよう?
 
 
 
 
少し考えてみましょう。
 
 
 
いかがでしょうか?
 
 
 
答えは出ましたか?
 
 
 
 
では、解答と解説に入ります。
 
 
 
○テーマ
民法 物権 占有権
 
 
 
 
 
○結論
 
買った本の代金を払ってくれないと返しませんと言う。
 
 
 
 
 
○解説
 
即時取得の192条の例外として、盗品・遺失物については
193条の例外があるが、これが同種の物を販売する商人から
買い受けた場合には、193条の特例として194条がある。
 
 
今回のケースは、194条に該当する。
 
 
これによると、被害者は占有者が支払った代価を弁償しなければ、
回復請求ができないので、私としては、上記のような対応を
すべきであろう。
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
友人から借りてた自転車が半年前にAに盗まれた。私は、Aにどのような請求をできる?
 
 
 
 
 
少し考えてみましょう。
 
 
 
 

いかがでしょうか?
 
 
 
 

答えは出ましたか?
 
 
 
 
では、解答と解説に入ります。
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 占有権
 
 
 
 
○結論
 
占有回収の訴えにより、自転車の返還と損害賠償請求をできる。
 
 
 
 
○解説
 
私は賃借人であるので、自転車に対して占有権を有していることから、
今回のケースは、占有回収の訴えで対応するだろう。
 
 
 
盗まれていることから、「占有を奪われた」といえ、
また、半年前であるので「占有を奪われた時から1年以内」であり、
占有回収の訴えは可能である。
 
 
 
200条によって、私は、占有回収の訴えにより
占有侵奪者であるAに対して自転車の返還及び
損害の賠償を請求することができる。
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
 
今週は、このくらいにしておきましょう。
ではまた!
 


第15回 民法 物権 占有権

2022.5.26

 
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では早速、第16回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
 
母が亡くなる約1年前からあった指輪を相続で承継。が、これが叔母のだった。私は指輪を取得できない?
 
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 占有権
 
 
 
 
○結論
取得できない。
 
 
 
 
○解説
母は指輪に対して所有権を有していなかった。
 
相続した私が指輪を取得する方法としては、
取得時効、即時取得が検討されようが、
期間的な問題から取得時効は成立せず、
 
 
また、即時取得が成立するためには
「取引行為」が必要だが、相続は取引行為には
該当しないので、即時取得も成立しない。
 
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
貸していた本を友人が売却…買主は善意無過失である場合、私は本の返却を求めることはできない?
 
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 占有権
 
 
 
 
○結論
難しい。
 
 
 
 
○解説
買主が即時取得によって本の所有権を
取得しているケース。
 
 
貸していた本ということで、盗品又は
遺失物でもないから、192条の例外の
193条による回復請求もできない。
 
 
したがって、返却を求めるのは難しい。
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
できましたか?
 
 
テキスト等に戻って確認をしておきましょう。
 
 
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ではまた!
 


第14回 民法 物権

2022.5.19

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 
 
このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルに示し
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
キッカケをお作りするものです。
 
 
 
ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、第14回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
 
【問題1】
 
 
 
父が生前住んでいた土地を相続で承継。承継した私が住み始めて10年経ってA所有と判明。どうなる?
 
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 占有権
 
 
 
 
○結論
取得時効を援用して、自己所有にできそう。
 
 
 
 
○解説
相続による占有権の承継にも187条の適用はあり、
私は自己の占有のみを主張することができる。
 
 
そこで、私は、占有開始時善意無過失で
10年間占有を継続したことから、
自己固有の占有のみを主張し、取得時効を援用できそう。
 
 
なお、仮に父が借りていた土地であっても、
私が住んでいる(新たに相続財産を事実上支配することに
より占有開始)ことから、固定資産税の支払などをしていれば
(していると思うが。その占有に所有の意思があると客観的に
認められる)、相続を「新権原(185条)」として自主占有へ
の変更は認められ、取得時効の援用は可能であろう。
 
 
もちろん、私がAさんに地代の支払いなどをしていれば、
所有権の時効取得は認められない。
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
A名義の土地を買ったがB所有であったことが判明。売買時A所有と過失なく信じた私は即時取得できる?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 占有権
 
 
 
 
○結論
できない。
 
 
 
 
○解説
即時取得の成立要件の1つは、
取引行為の対象が「動産」である。
 
 
今回は、土地であるから、
即時取得はできない。
 
 
なお、即時取得はできないが、
94条2項(類推)適用で、土地を取得できる可能性はある。
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
 
今回は、このくらいにしておきましょう。
ではまた!
 
 
 
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第13回 民法 物権

2022.5.12

 
皆さん、こんにちは。
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このコーナーでは、行政書士試験の学習において
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皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
キッカケをお作りするものです。
 

ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、第13回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 

【問題1】

姉と遺産分割の結果甲土地は自分が相続。が、登記未了の間に姉の債権者が差押えをしてきた。どうなる?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 総則
 
 
 
 
○結論
登記がないので、甲土地の単独相続を姉の債権者には対抗できない。
 
 
 
 
○解説
甲土地をめぐって、遺産分割後に現れた第三者と
単独相続した者との関係は対抗関係にたつ。
 

そのため、登記がなければ、差押えをした他の相続人の債権者に対して
甲土地の単独相続を対抗することはできない。
 

なお、遺産分割前に現れた第三者に対しても同様に登記がなければ
甲土地の単独相続を対抗することはできない。
 

一方、相続放棄後に現れた者に対しては、登記がなくても
甲土地の単独相続を対抗することができる。
 
 
 
 
 
 
 

【問題2】

Aから時計を借りていたが、BがAから買ったから返せと言ってきた。Aからは連絡ない。返す必要ある?
 
 
 
 
 

○テーマ
民法 物権 総則
 
 
 
 
○結論
基本的に返さなくても良い。
 
 
 
 
○解説
動産物権変動の問題。
 

Bから見て、私は178条の「第三者」に当たる。
 

そこで、Bは、私に時計の所有権を主張するためには
178条の動産物権変動の対抗要件である「引渡し」を
受けている必要がある。
 

今回のケースでは、私が時計を占有していることから、
Bが「引渡し」を受ける方法として、「指図による占有移転」が
考えられる。
 

指図による占有移転があるためには、
Aから占有代理人である私に対して
「以後Bのためにその物を占有すること」
が命じられているはずであるが、Aから連絡がないことから、
そのような事情はなさそう。
 

ということは、Bは178条の「引渡し」を受けていないことになる。
 

したがって、Bは私に対して時計の所有権を対抗できないので、
私は返さなくても良い。
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
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では。
 


第12回 民法 物権

2022.4.21

 
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皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
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ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、第12回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
AがBに土地を売却し、引き渡した後、Cにも土地を売却し、登記はCへ移転。土地所有者は誰?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 総則
 
 
 
 
○結論
C
 
 
 
 
○解説
物権変動は意思表示のみで起こるが
起こった物権変動を第三者に対抗するためには
対抗要件が必要。
 
 
対抗要件は不動産の場合、原則として登記。
 
 
 
したがって、今回のケースだと
BはCに土地所有権を主張できず、
CはBに土地所有権を主張できる。
 
よって、土地所有者はCと考える。
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
Bに賃貸している(対抗要件なし)土地をACに売却し、登記も移転した。BC間の関係はどうなる?
 
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 総則
 
 
 
 
○結論
CはBに土地の明渡しを請求できる。
 
 
なお、Cが新賃貸人になるという
選択肢もあり得る。
 
 
 
 
○解説
CはBに土地所有権を対抗できる。
BはCに賃借権を対抗できない。
 
 
したがって、上記のような結論となる。
 
 
 
 
 
 
 
【問題3】
 
 
Bに賃貸している(対抗要件あり)土地をACに売却し、登記も移転した。BC間の関係はどうなる?
 
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 物権 総則
 
 
 
 
○結論
Cが新賃貸人となる(原則)。
 
 
 
 
○解説
先に対抗要件を取得したのはBなので
BはCに賃借権を対抗できる。
 
 
そこで、CとしてはBに明渡しを
求めることができず、賃貸人となる
しかないのが原則である。
*いわゆるオーナーチェンジ物件ってやつ
 
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
 
今回は、このくらいにしておきましょう。
ではまた!
 
 
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第11回 民法

2022.4.14

 
皆さん、こんにちは。
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このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルにお示しし
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただくキッカケを
お作りするものです。
 

ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
では早速、第11回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 

【問題1】
 

債務者が弁済期到来後3年後に一部弁済をした。それから3年経過した。保証人は消滅時効を援用できる?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 時効
 
 
 
 
 
○結論
できない。
 
 
 
 
 
○解説
一部弁済のような権利の承認は、時効の更新事由である。


時効の完成猶予・更新は、原則として相対効であり、
他の者に影響をしないが、例外的に影響を与える場合もある。
 

本ケースはまさにその場合であり
民法457条1項が「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による
時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。」
と規定している。
 

したがって、保証人は消滅時効の援用をできない。
 

なお、3年後に一部弁済をせず、今(つまり、6年経過し既に消滅時効期間が
完成している今)債務者が一部弁済をした場合、債務者は消滅時効の援用を
できないが、保証人はここまでは影響を受けないので、援用できる。
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 

台風が去った後、自宅の庭を見たら、隣の家の屋根がドーンとある。どうしよう?
 
 
 
 
 
 

○テーマ
民法 物権 総則
 
 
 
 
 
○結論
妨害排除請求をできる。
 
 
 
 
 

○解説
所有権が侵害されている場合、
所有権に基づく物権的請求権(物上請求権ともいう)を行使できる。
 

物権的請求権は、返還請求権、妨害排除請求権、妨害予防請求権と
3種類考えられるが、今回のケースなら妨害排除請求権を行使すべき。
 

なお、本ケースのように、侵害がある以上不可抗力によるものであっても
物権的請求権は行使できる。
 
 
 
 
 
 
 
 

【問題3】
 

建物を買った。所有権の移転時期について特約はない。引渡しも登記も済んでいない。いつから私のもの?
 
 
 
 
 

○テーマ
民法 物権 総則
 
 
 
 

○結論
契約時
 
 
 
 
 
○解説
物権変動は、当事者の意思表示のみによって起こる。
 

契約の目的物が建物である場合、
特約がなければ、たとえ引渡しや登記の移転がなくても、
売買契約時に所有権は買主に移転する。
 
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
今週は、このくらいにしておきましょう。
ではまた!
 


第10回 民法

2022.4.07

 
皆さん、こんにちは。
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キッカケをお作りするものです。
 
 
ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 

では早速、第10回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
隣地所有者が「お宅の塀がうちの土地に1m入ってる。取り壊せ」と。長年問題なかったのに、どうなる?
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 時効
 
 
 
 
 
○結論
取得時効が完成していれば、援用すべき。
 
 
 
 
 
○解説
20年間(占有開始時善意無過失なら10年間)、
所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、
その所有権を取得する。
 
 
今回のケースは、取得時効の成立を検討すべき。
 
 
時効期間が満了していれば、援用することで、
その部分も自分所有の土地となるので、
塀を取り壊す必要がなくなる。
 
 
なお、隣地に制限物権(地上権や抵当権)が
設定されていた場合、取得時効の成立によって、
それらも消滅するかは別の問題。
 
 
簡単に書くと、時効完成前に制限物権が設定されていたならば
それらの物権も消滅する。
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
 
友人にお金を貸した。返済期限からもう4年。そろそろ何かした方が良い?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 時効
 
 
 
 
○結論
せめて催告くらいしておくべき。
 
 
 
 
○解説
債権は、債権者が権利を行使することが
できることを知った時から5年間、又は
権利を行使することができる時から10年間、
行使しないと時効によって消滅する。
 
 
このケースだと返済期限から5年間で
消滅時効は完成してしまうであろう。
 
 
そこで、時効の完成猶予・更新事由を何らか考えておくべき。
 
 
友人と言うこともあるので、
いきなり強い手段に出るのもどうかと思われるが、
せめて催告くらいはすべきであろう。

友人関係でお金の貸し借りはあまりしないほうが良さそうですね。
 
 
 
 
 
 
【問題3】
 
 
 
Aの債務が消滅時効完成。保証人B、後順位抵当権者C、第三取得者D、物上保証人Eいる。援用権者は?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 時効
 
 
タイトルだけだと分かりづらいので
追加で事例を説明。
 
 
Aが自己の債務を担保するために、保証人Bに保証をしてもらうとともに、物上保証人EE所有不動産に債権者のため抵当権設定をしてもらった。
また、自己所有の不動産に抵当権を設定した。
 
 
要するに、Aの債務の担保として、保証人、自己所有不動産に抵当権、E所有不動産に抵当権という3つの担保があった。
 
 
そして、Aは自己所有不動産にCのために2番抵当権を設定した。そのうえで、Aは、この不動産をDに売却した。
 
 
こういう状況で、Aの債務が消滅時効完成した。
この時効の援用を誰ができるか?
 
 
 
 
 
○結論
A、BDE
 
 
 
 
○解説
当事者(A)、保証人(B)、物上保証人(E)、
第三取得者(D)は、民法上、援用権が認められ
ている。
 
 
これに対して、後順位抵当権者(C)
先順位抵当権の被担保債権の消滅時効に
ついて援用権が判例上否定されている。
 
 
なお、Cは自らに援用権がないが、
Aに対する債権者として、Aの援用権を
代位行使することは可能である。
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか。
 
 
 
 
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今週はここまで!
では。
 


第9回 民法

2022.3.24

 
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では早速、第9回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 

【問題1】

Aの子BからA所有甲土地を購入したが、Bには賃貸権限しか与えられてなかった。買主としてどうする?
 
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 代理
 
 
 
 
○結論
このケース、買主としては、複数の手段を考えることができる。
・Aに追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をする。
・契約を取り消す。
・Bに無権代理人として責任追及する
・表見代理の成立を主張し、Aに甲土地の引渡しを求める。
・Bに不法行為に基づく損害賠償請求をする。
 
 
 
 
 
○解説
代理人Bが権限外の行為をしているため、無権代理となる。

無権代理の場合、代理行為は無効であり、本人Aに契約の効果が帰属しないのが原則である。

この前提を確認した上で、相手方の保護(買主がとり得る手段)を検討する。
 

まず、買主は、催告権を行使できる。この場合、買主の主観は問われない(悪意でも可能)。期間内に確答がないと、本人Aの追認拒絶とみなされる。
 

次に、買主は、取消権を行使できる。この場合、買主は善意であることが要求される。善意であれば、過失があっても構わない。ただし、本人Aの追認があると取消権は行使できなくなる。また、これを使うと、無権代理人に対する責任追及や表見代理を使えなくなる。
 

さらに、買主は、無権代理人Bに対して、履行の請求か又は損害賠償請求をすることが考えられる。いわゆる、無権代理人に対する責任追及である。今回のケースであれば、甲土地の引渡しを所有者ではないBには求められないため、損害賠償請求となるであろう。この責任追及をするためには、本人Aが追認をしないこと、無権代理人Bが自己の代理権を証明できず、かつ、行為能力の制限を受けていないこと、買主が善意無過失(ただし、Bが悪意であれば、買主は有過失であっても構わない)が求められる。
 

そして、権限外の行為であるため、無権代理でありながら、本人への効果帰属を認めるという、“表見代理”の成立も可能性はある。この場合、買主には、代理人の権限あると信ずべき正当な理由(善意無過失)が要求される。
 

最後に、このような行為をしたBには不法行為が成立している可能性がある。その場合、買主は、Bに対して、不法行為に基づく損害賠償請求をすることもできる。
 
 
 
 
 
【問題2】

本人Aが死亡し、BとA所有甲不動産を勝手に売却した無権代理人Cが相続した。買主は甲を取得できる?
 
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 代理
 
 
 

○結論
Bが追認すれば、取得できる。
 
 
 
 

○解説
本人Aを無権代理人Cが共同相続した場合、それだけの事情をもって、(全体はもちろん、Cの相続分についても)無権代理行為は当然に有効になるものではない。
 

また、一方の相続人であるBは追認も追認拒絶もできるが、他方の相続人である無権代理人Cは信義則上追認拒絶をできない。
 

そこで、買主が甲不動産を取得できるのは、Bが追認をした場合となる。
 

買主としては、Bの追認があればそれで満足できるが、それが得られなかった場合、Cに対して責任追及(損害賠償請求)をすることになるであろう。
 
 
 
 
 
 

【問題3】

17歳のAから絵を購入。5年後Aが「あの時の契約を取り消す。絵を返せ」と言ってきた。どうなる?
 
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 無効と取消し
 
 
 
 

○結論
法定代理人の同意がなかったのであれば、Aは契約を取り消すことができ、買主は絵を返さないといけない。
 
 
 
 

○解説
取消権は、追認をすることができる時から5年、又は行為の時から20年の経過で消滅する。
 

本ケースでは、いずれも経過していないため、Aは取消権を行使できる。
 

そして、契約が取り消されると、遡及的に無効となり、当事者には原状回復義務が生じる。
 

そこで、買主としては、絵を返還しなければならない。
 

なお、Aも原状回復をする必要があるが、行為時に制限行為能力者である場合、現存利益の範囲で返還すれば足りる。そこで、Aが買主に返還するのは受け取った代金全額とは限らない。
 

買主の立場を考えると、ちょっと気の毒な話である。そこで、行為時に、詐術がなかったかなどを確認すべきであろう。
 
 
 

いかがでしたでしょうか?
 
 

今週は、このくらいにしておきましょう。
では。
 


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第8回 無権代理を整理しよう!

2022.3.17
 

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では早速。第8回を始めていきましょう。
 
 

無権代理はQAでやろうとするといっぱいになってしまうので、
気分転換がてら、整理してみます。
 
 

整理をするなら、相手方保護の視点での整理が一番使えるでしょう。
 
では、行きます。
 


(相続がらみをのぞく)無権代理の問題に出会ったら、
まず、相手方を見る
 
 
◆相手方が悪意なら→相手方には催告権がある

なので、相手方が契約を取り消せるとか、
相手方が無権代理人に責任追及できるとか、
本人に効果が帰属するとあったら、その問題は×
 
 

◆相手方が善意なら→相手方には催告権と取消権がある

なので、相手方が無権代理人に責任追及できるとか、
本人に効果が帰属するとあったら、その問題は×
 
 

◆相手方が善意無過失なら…

1 代理権授与表示
2 基本代理権あり
3 代理権消滅後の3類型
(1+2、2+3重畳類型もOK)に
当たるかどうかをチェック
 

これのどれかに当たらないなら、表見代理は×
 

なので、3類型のどれにも該当しないのに、
本人に効果帰属するとあったら、その問題は×
 

これのどれかに当たるなら、
相手方としては、催告権も取消権も
無権代理人に対する責任追及権も
表見代理も全部OK。
つまり、相手方としてはなんでもアリ
 
 

次に、相手方の保護に着目して試験で聴きそうな知識をチェック
 

まず、催告権。

催告権は相手方がどんな状況でもOK。
相手方の状況に気配り不要。
催告に対する本人からの確答がなければ
追認拒絶とみなす。
 
 
 
次に、取消権

相手方が善意であれば
(無過失、有過失問わず)使える権利。
本人の追認と相手方の取消権は早い者勝ち。
どっちかがあると他方は使えなくなる。
 
 

続いて、無権代理人に対する責任追及権

相手方が善意無過失であれば使える権利
(ただ、善意有過失でも使えるケース
<無権代理人が自分が無権限について悪意>は
ある。悪意なら使えるケースはない)
こいつは117条の条文で覚えておくのが安全
 
 

最後に、表見代理の3類型(重畳類型も含める)
 

相手方が善意無過失であれば、
相手方と本人との間の効果帰属が認められるヤツら。
 

無権代理がありながら、相手方と本人との効果帰属が考えられるのは
(相続ケースを除いて)、表見代理が成立するか、本人の追認があったときくらい。
 
 
なお、基本類型2権限外の行為の表見代理(2との重畳適用も含む)の場合、
善意無過失は条文上「信ずべき正当な理由」と表現されている。
 
 
 
このくらい覚えておけば、行政書士試験レベルだと
だいたいの択一問題に対応できると思う。
 
 
今週は、このくらいにしておきましょう。
 
 
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第7回

2022.3.10

 
皆さん、こんにちは。
伊藤塾 行政書士試験科講師の志水 晋介です。
 

このコーナーでは、行政書士試験の学習において
重要となる知識、論点をQ&A方式でシンプルにお示しし
皆さんがテキストや教材に戻って勉強していただく
キッカケをお作りするものです。
 

ぜひご活用いただけましたら幸いです。
 
 
 
では早速、第7回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 

【問題1】
 

自宅の売却権限を与えた代理人が売却代金持って逃げた…金を受け取ってないから家を渡さなくてもよい?
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 代理
 
 
 
 
○結論
買主が代理人の目的を知り、又は知ることができたならば、渡さない選択肢もある。
 
 
 
 
○解説

代理権の濫用のケース
 

代理人が権限濫用をした場合、
相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、
代理人の行為は無権代理行為とみなされる。
 

そこで、このようなときは、
本人は自己への効果帰属を否定できる。
 

ただ、本人としては追認することも可能することで、
自己への効果帰属を認めることも可能である
(普通はやらないと思うけど)。
 
 
 
 
 

【問題2】
 

本人から不動産の売却の代理権を与えられた。優良物件なので適正価格であれば自分が買うのはOK?
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 代理
 
 
 

○結論
本人からあらかじめ許諾をもらっていればOK。もらってないと無権代理行為となってしまう。
 
 
 
 

○解説
このようなケースを自己契約という。
自己契約は、原則として無権代理行為とみなされる。
 

なお、双方代理、利益相反行為も同様である。
 

そして、いずれも、あらかじめ本人の許諾が
あれば無権代理行為とはならない。
 

ちなみに、あらかじめ許諾がなくても、
無権代理なので、本人が(事後的に)追認すれば、
契約の効果は発生する。
 
 
 
 
 

【問題3】
 

不動産の売却権限を授けてた本人が死亡した。代理人としては、引き続き相続人のために仕事をすべき?
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 代理
 
 
 

○結論
すべきではない。
 
 
 

○解説
任意代理の本人が死亡した場合、
代理権は消滅する。
 

そこで、代理人(正確には代理人であった者)は
もはや代理行為をできない。
仮にやってしまうと、無権代理行為となる。
 

たとえ、本人に相続人がいたとしても、
この結論には変わりない。
 
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 

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第6回

2022.3.4

 
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では早速、第6回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 

【問題1】
 

詐欺取消しを悪意の第三者に主張したが、第三者が自分の代理人は善意無過失だから返さないと。困った。
 
 
 

○テーマ
民法 総則 代理
 
 
 
 
○結論
代理人が善意無過失でも、
詐欺取消しを第三者に主張できる可能性あり。
 
 
 
 
○解説

原則として、善意や悪意は、
代理人を立てている場合、代理人を基準に判断する。
 

しかし、本人が特定の法律行為をすることを代理人に委託した場合、
本人は自己が悪意、有過失であった事情について代理人の善意、
無過失を主張することができない。
 

本ケースでは、第三者が自ら悪意であるので、
あえて善意無過失の代理人を立てて契約をしたものと伺える。
 

このようなケースでは、表意者は詐欺取消しを
第三者に対して主張することができるであろう。
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 

本人から頼まれて代理人となったが、委任状を見たら権限が書いてない…なにができる?
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 代理
 
 
 
 
○結論
保存行為、利用行為、改良行為くらい。
 
 
 
 

○解説
代理人として選任される場合
その代理権限も併せて指定される。
 
 
しかし、代理権限が定められていない場合に備えて、
民法は、権限の定めのない代理人の権限を
1 保存行為、2利用行為、3改良行為としている。
 

簡単に言えば、大したことはできない。

例えば、処分権限はないので、
本人の財産を売却するような行為は代理できない。
 
 
 
 
 

【問題3】
 

本人から頼まれて代理人となったが仕事をするのが難しい。別人に頼むことはできる?
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 代理
 
 
 
 
○結論
原則としてはムリ。
 
 
 
 
○解説
任意代理の場合、1本人の許諾を得たとき、
2やむを得ない事由があるときを除いて、
復代理人を選任することはできない。
 

難しいという事情次第にもよるが、
基本的には、無理筋と考えておくべきかと。
 

なお、法定代理の場合は、代理人は
自己の責任で復代理人を選ぶことができる。
 

したがって、別人に頼むことも可能である
(ただ、本人に損害が発生した場合、
代理人は原則として責任を回避できない)。
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
 

今週は、このくらいにしておきましょう。
では。
 
 
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第5回

2022.2.25

 
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では早速。第5回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
【問題1】
 
 
高価な絵画を友人が格安で譲ってくれた、ラッキー。が、後から鑑定人から騙されたと友人が言ってきた。
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 意思表示
 
 
 
 
○結論
善意無過失で買った物であれば、友人は詐欺を理由に取り消すことができない。
 
 
 
 
○解説
 
 
鑑定人という第三者に騙されて友人は絵画を売却したことから、第三者詐欺に該当する事例である。
 
 
第三者詐欺は、相手方が悪意又は有過失のときに限り、取り消すことができる。
 
 
したがって、自分が善意無過失であれば保護されるが、そうでないならば、友人が詐欺を理由に取り消すことも考えられる。
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
中古物件を買ったが、前々主があれは脅された売った物で契約取り消したと言ってきた。返すことになる?
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 意思表示
 
 
 
 
○結論
前々主が取り消した時期が、自分が購入前ならば、登記次第。
 
 
自分が購入した後ならば、返さないといけない。
 
 
 
 
○解説
強迫を理由とする取消しは、取消前に現れた第三者に対抗することができる。
 
 
そのため、自分が購入した後に前々主が取り消したならば、前々主は自分に取消しを主張することができ、物件を返却する必要が出てくる。
 
 
一方、取消しをした者と取消後に現れた第三者との関係は、対抗関係で処理をする。
 
 
したがって、自分が購入する前に既に前々主が取消しをしているならば、当該物件の登記の名義人が誰かで結論は異なる。
 
つまり、自分が登記名義人であれば、自分が保護されるが、前々主が登記名義人であれば前々主が保護される。
 
 
 
 
 
【問題3】
 
 
買主に代金支払を求めたところ、あの契約は本人のためにした、自分は代理人に過ぎないという。どうする。
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 代理
 
 
 
 
○結論
顕名がなかったのであれば、原則として代理人に売買代金の支払を求めることができる。
 
 
 
 
○解説
顕名(本人のためにすることを示す)がなかった場合、代理人と相手方との間に契約の効果は帰属する。
 
 
ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、この限りではなく、相手方と本人との間に契約の効果は帰属する。
 
 
本ケースでは、顕名がなかった様子なので、売主としては、基本的ン的には、直接交渉をした者(代理人)に対して代金支払を求めることができるだろう。
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
 
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第4回

2022.2.18

 
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では早速。第4回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
【問題1】

息子名義にしていた不動産を息子が勝手に売ってしまった。取り返せる?
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 意思表示
 
 
 
 
 
○結論
買主が善意であれば、取り返すのは難しい。
 
 
 
 
 
○解説

不動産登記には公信力がないため、息子に所有権がない以上、買主は不動産を取得できないのが原則である。

しかし、民法94条2項類推適用が認められると、買主は保護される。

このケースでは所有者は自ら息子名義にしていたようであるが、この場合、買主が善意であれば保護されることになるだろう。
 
 
 
 
 
 

【問題2】

他にも保証人がいるからと債務者に頼まれて保証人になったが、嘘だった。保証人辞められるか?
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 意思表示
 
 
 
 

○結論
保証契約の相手方である債権者に対して、その事情を表示していたら、保証契約を取り消せる可能性あり。
 
 
 
 

○解説
このケースは、いわゆる動機の錯誤に該当する。
したがって、動機を保証契約の相手方である債権者に対して表示していた場合、取り消すことができる。

ただし、保証人(表意者)に重大な過失があると、債権者が保証人の錯誤について悪意又は重過失があるとき及び共通錯誤があるときを除き、取消しをすることができない。
 
 
 
 
 
 
【問題3】

勘違いで思い出の品を売ってしまった。気づいた時には既に買主が転売していた。なんとかなる?
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 意思表示
 
 
 
 

○結論
錯誤を理由に取り消しても、転売相手が善意無過失であれば、取消しを主張できない。
 
 
 
 

○解説
意思表示に錯誤がある場合、無重過失であれば取り消すことができる。
しかし、錯誤取消しは善意無過失の(錯誤取消前に現れた)第三者には対抗できない。

そのため、転売相手が善意無過失であれば、残念ながら売った物を取り戻すのは難しい。
 
 
 
 

いかがでしたでしょうか?
 
 

今週は、このくらいにしておきましょう。
 
では。
 
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第3回

2022.2.11

 
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では早速。第3回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 

【問題1】
 
友人が高級車を格安で譲ってくれた。ところが「そんなつもりじゃなかった」と言い始めた。どうする?
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 意思表示
 
 
 
 
○結論
友人が冗談だったならば、心裡留保で処理。
 
友人が言い間違え等だったならば、錯誤で処理。
 
 
 
 
○解説
 

【心裡留保で処理をする場合】
この場合、自分がその冗談に対して善意無過失であれば、契約は有効。しかし、自分が悪意か又は有過失であれば、契約は無効となる。
 
 

【錯誤で処理をする場合】
この場合、友人は契約を取り消す可能性がある。
友人が取り消すためには、友人に重大な過失がないことが要件となる。ただし、自分が友人が錯誤に陥っていることについて悪意か又は重過失があれば、友人は重過失があっても契約を取り消すことができる。
 
 
 
 
 
 
 
【問題2】

買った不動産がどうやら売主と元の所有者の間で契約がないのを偽ってたらしい。何それどうなる?
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 意思表示
 
 
 
 

○結論
元の所有者は自分には無効を対抗できない。
 
 
 
 

○解説
虚偽表示は無効である。
しかし、この無効を表意者は善意の第三者には対抗できない。

このケースは、どうも買主が売主と元の所有者の間の契約事情を知らなかったようなので、買主は保護されるだろう。
 
 
 
 
 
 
【問題3】

虚偽表示で債務者名義になっている不動産がある。差し押さえてしまえばこっちの勝ち?
 
 
 
 

○テーマ
民法 総則 意思表示
 
 
 
 

○結論
そんなことはない。
 
 
 
 

○解説
一般の債権者は民法94条2項の第三者に当たらない。

これに対して、差押債権者は民法94条2項の第三者に当たる。
 

一方で、94条2項で保護される第三者は(利害関係を有するに至った時に)善意が要求される。

今回のケースだと、債権者は既に虚偽表示であることを知っているので、差し押さえたところで悪意であるから民法上は保護されない。
 
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 

今週は、このくらいにしておきましょう。

では、また。
 
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第2回

2022.2.4

 
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では、早速第2回のQ&Aを始めていきましょう。
 
 
 
 
 
 
【問題1】
 
 
自分の15歳の子どもが勝手に洋服を買ってきた。お店に何とか言えない?
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 行為能力
 
 
 
 
○結論
 
契約を取り消すことができる可能性はある。
 
 
 
 
○解説
 
法定代理人の同意なく、未成年者は法律行為をすることができないのが原則であることから、一般論としては、親(親権者)としては、この売買契約を取り消すことができる。すなわち、売買契約を取り消し、そのうえで、洋服を返し、代金を返してもらうことができる。
 
しかし、子どもが、お小遣いで買ったものであれば、その処分は未成年者の自由であるため、取り消すことができない。
 
また、子どもが、店員に対して詐術(成年者であると偽る、親権者の同意を得ていると偽る)を行ったのであれば、取り消すことができない。
 
なお、親としては、この契約を追認する(有効なものとする)ことも可能である。
 
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
高齢の親が認知症を発症してしまった。一人で契約をさせることは危険。どうしよう?
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 行為能力
 
 
 
 
○結論
 
民法上の制度としては、成年後見制度の利用を考える。
 
 
 
 
○解説
 
精神上の障害によって事理弁識能力を欠く常況となった場合、後見開始の審判をうけることができる。
 
子どもとしては、家庭裁判所にこの審判の請求をすることを考える。
 
親が成年被後見人となった場合、保護者である成年後見人が、親に代理して契約をすることになり、また、親がしてしまった契約を取り消すことができる。
 
ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、成年被後見人の意思を尊重し、自由に行うことができるので、親のこういった契約までは制限することはできない。
 
なお、成年後見制度には、その他、事理弁識能力が著しく不十分な場合の保佐開始の審判(被保佐人)、不十分な場合の補助開始の審判(被補助人)がある。
 
 
 
以上は、民法上の制度であるが、実務においては、その他にも高齢の親の財産管理、財産承継をする方法も幾つかある。これらについての勉強は将来の課題と考えておくとよいかも。
 
 
 
 
 
 
【問題3】
 
 
不動産を買った相手方が被保佐人と言うことが判明した。この場合、何を考えておくべき?
 
 
 
 
 
○テーマ
民法 総則 行為能力
 
 
 
 
○結論
 
契約を取り消される可能性がある。
追認するか否かの催告をすることも選択肢として考えておく。
 
 
 
 
○解説
 
被保佐人は原則として単独で有効な法律行為をすることができるが、一定の重要で危険な財産処分行為については保佐人の同意を得なければならない。
 
 
不動産の売買契約はこれに該当するため、保佐人の同意が必要である。
 
そこで、同意なく行った売買契約を、被保佐人本人又は保佐人から取り消させる可能性がある。
また、この取消しは、自分が転売した相手に対しても主張できるため、買主としては厄介な立場に置かれることとなる。
 
 
そこで、買主(制限行為能力者の相手方)には、追認するかどうかの確答を求める催告権が認められている。
催告は考慮期間として1ヵ月以上の期間を定めて行う必要がある。
 
なお、この催告に対して確答がない場合、催告の送付先が被保佐人本人だと契約は取消しとみなされ、保佐人だと契約は追認とみなされる。
 
 
買主としては、追認が欲しいのが一般的であろうから、催告をするのであれば、保佐人に対してしておいたほうが良さそう。
 
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
今週は、このくらいにしておきましょう。
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第1回

2022.1.25

 
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【問題1】
 
 
胎児が不法行為を受けた場合、出生前でも母は胎児を代理して加害者に損害賠償請求できるか?
 
 
 
 
●テーマ
民法 総則 権利能力
 
 
●結論
できない
 
 
●解説
胎児には原則として権利能力はない。
 
例外的に、1 不法行為に基づく損賠償請求、2 相続、3 遺贈については、既に生まれたものとみなされるが、あくまでも、出生後に遡って認められるものである。
 
 
 
 
 
【問題2】
 
 
幼児が行った契約は認められるか?
 
 
 
 
●テーマ
民法 総則 意思能力
 
 
●結論
無効である
 
 
●解説
意思無能力者が行った法律行為(契約等)は無効である。
一般的に、幼児は意思能力を有しない。
 
 
 
 
 
【問題3】
 
 
16歳の者が売買契約をすることはできるか?
 
 
 
 
●テーマ
民法 総則 行為能力
 
 
●結論
法定代理人の同意がなければ、原則として、この契約は取消しすることができる。
 
 
●解説
未成年者(満18歳未満の者)は、法定代理人(親権者又は未成年後見人)の同意を得なければ、法律行為(契約等)をできない。
 
 
法定代理人の同意があれば、16歳の者が行った売買契約は有効であるが、同意がなければ、取消しすることができる。
 
 
なお、その他、この契約が、法定代理人によって目的が定めて許された処分(教科書代として渡されたお金で教科書を買う)であったり、目的を定めず許された処分(お小遣いでガムを買う)である場合は、法定代理人の同意がなくても、売買契約は有効である。
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
 
 
 
今週は、このくらいにしておきましょう。
では!
 
 
 


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