今年でやめよう、
フルタイム勤務で不合格実感した司法書士試験
発表日も忘れていたある日、法務省から届いた通知には…

S.Iさん(30代)

◆受験回数 9回
◆主な受講講座
中上級講座》中級コース、演習コース
直前対策講座》プレ模試、全国公開模擬試験、うかる!記述式

私はこうして司法書士を目指す決意をしました

 みなさんはじめまして。私は人に役に立つ仕事で、定年など関係なく生涯現役でいられそうな仕事をしたいと思いました。また、当時就職難であり、法学部に入ったことから司法書士という資格を取ろうと思いました。

伊藤塾を活用した私の学習方法

①入門段階の学習法について

 私は勉強開始当初、他の受験指導校の入門コースを受講しておりましたが、理由付けを全くやらない講義で基礎があやふやになってしまいました。そこで違う受験指導校はどうだろうと思い、調べたところ伊藤塾で北谷講師の「択一合格エッセンス講座」の存在を知りました。この講座は勉強がある程度進んだ人でもつまずきやすい項目を重点的に取り上げられており、学習経験者がもう一度基礎をやるのにぴったりだと思いました。
 また、伊藤塾はテキストやドリルをPDFファイルとしてダウンロードできるため、働きながらの私としては携帯電話でテキストを読むことができ大変重宝しました。私はエッセンス講座のQ&Aドリルをメイン教材としていました。このドリルは絶対に間違えてはいけない知識が一問一答形式で記載されており、その周辺知識も図表で記載されていて大変使いやすいと思います。
※私の経歴をざっくり説明しますと、大学卒業後は受験生のふりをしてだらだらとアルバイト生活を5年くらい続け、2015年9月から平成2017年5月まで補助者をしていました。その年の試験終了後はバイトをしながら勉強していましたが、このバイトは朝から深夜まで及ぶことがあり、とても勉強できる環境ではなかったため、フルタイムの一般企業の事務職として2018年4月から働きはじめました。お気づきだと思いますが私は直前期にフルタイムとして働きはじめ、その理由は時間をある程度確保し収入を得るためでした。私は9回受験をしており、あまり参考になるようなことは少ないと思います。ですので、なぜ受験生活が長引いてしまったかを重点的に書かせていただこうと思います。

②余計なものに手を出した(出さざるを得なかった)

 他の受験指導校で入門講座を受講しておりましたが、理由付けを全くしない講義であったため、理屈っぽい私にとって理解ができませんでした。その入門講座の講師が言うには理由が知りたければ自分で調べてください。それも勉強です。とのことでした。確かにその通りだと思いますが、勉強をはじめた段階の者にとって調べ方すらわからず、結局わかりやすそうなテキストを別途購入し勉強しました。
 問題集も同じです。私は市販の問題集を含め5シリーズくらいに手を出していると思います。これでは覚えられません。なぜかというと、問題を解くときは「この問題はあのテキスト(問題集)のこの辺に載っていた」と、言ってしまえばテキストを写真として頭に記憶させそれを見ながら解いている感覚になると思います。しかし、あれやこれや手を出してしまうと記憶から引っ張り出すものの対象がかえって多くなりすぎて混乱してしまうのです。もしほかのシリーズに手を出したいと思っても、今やっているものが100%答えられるようになってからにするべきです。

③人の意見に左右された

 矛盾しているかもしれませんが、人に言われたとかやっているとかそういう理由でやり方や教材を変えない方がいいと思います。悩んでいて参考にするのならいいと思いますが、自分の中でこのやり方がいいと思っているのならそれに従ってください。自分の中で納得することが大事なのであって、方法、教材はその次です。あなたが信じたやり方で大丈夫です。自分と同じやり方をした合格者が過去にいなかったとしても、それでいいんです。私も9回目の受験でようやくこの決心ができたと思います。

④わかっている問題をも繰り返し解いてしまった

 私くらい受験勉強が長引いている方はおそらくこの先勉強しなくても正解できる知識があると思います。それらも含めて繰り返し解いていました。不安だったからです。しかし、時間の無駄でした。それは勉強しているのではなく、なぞっているだけです。
 ですが、大丈夫です。一度覚えてしまえば思い出すことにそこまで苦労しません。完全に血肉になっているものだってあります。重要なのはそういう知識とまだ覚えていない知識を見極めることです。例えば、半年ぶりくらいに問題をやったけど正解できた、といった場合それは血肉と化しています。大丈夫です。本番でも正解できます。直前期には間違えた部分だけやるようにしましょう。逆に言えばその時期にはそうなっている必要があると思います。

⑤ そもそも勉強してなかった。だらだらと日々過ごしてしまった。これが一番大きいと思います。

 
次に受かった年と駄目だった年の違いを書かせていただきます。
 

①本試験を意識「しなかった」

 2018年に受かったわけですが、本試験だと意識しませんでした。あくまで勉強場所が変わる程度の認識でした。普段と同じものを食べ、時間は間に合うようにいくそれしか意識しませんでした。これで緊張せずに済んだのだと思います。それまでの年度は誰よりも早く会場近くにつき、ファーストフード店で勉強していました。

②短時間の勉強をたくさんした

 私は合格する3年前からほとんどフルタイムで働いていました。受験当時もフルタイムで、土日祝日のほかに2.5日お休みをいただきました。おまけに片道車で1時間かかる職場でした。車なので睡眠時間を削るわけにはいきませんでした。正直言うと寝たかったのですが…
 私の主な勉強場所は車の運転席でした。信号待ちしているときにテキストを読んだり、問題を解いたりしていました。走行中、講義の音声を車内に流しっぱなしにしておいて、テキストのどこを講義しているのか頭の中で追っていく、というようなことをしていました。(余談ですが、クラックションを鳴らされたことはたくさんあります。迷惑だったと反省しています)
③時間が限られていた
 私は普段は主要4科目と休日に記述を1問ずつ解くというスタイルでした。マイナー科目はあまり手を付けられず、直前の2.5日にまとめてやりました。しかし、あまり焦っていませんでした。この短期間に全科目を2回ほど確認することができたのです。分量でいうと1日でドリルを数冊終わらせることができるようになっていたのです。時間が限られたことによって自分でも考えられないくらい集中できたのだと思います。試験直前にどのくらい勉強できるかが合否のわかれ目とは言いますが、決して日数を確保できればいいというものではないと思います。(ちなみに2016年度(15点足らず)は直前の9日間休みをもらい、2017年度(8点足らず)は仕事をやめ1月半受験専念でした。試験後はコンサートの係員のバイト(週3、4日で1日当たり8から12時間勤務)をし2018年度は4月からフルタイムで働きはじめました。)

④憲法、刑法を攻略できた。

 私はこの2科目が苦手です。対策としてはどちらも事例をそのまま覚えました。細かい用語や構成要件は覚えませんでした。
 
 北谷講師の「択一合格エッセンス講座」とQ&Aドリルと宇津木卓磨講師の「択一実戦力養成答練」の特に図表部分は何回もやりました。また山村拓也講師の「記述式答案構成力養成答練」は難易度分量ともにちょうどいいくらいに設定されており使いやすかったと思います。
 直前期は本当に時間が少なくこれらの教材のみをやりました。宇津木講師の直前期の無料公開講座もなかなか良かったと思います。結果として余計な知識が排除され、本当に必要な知識が残ったのだと思います。これらの教材以外から出たらどうしようとも思いましたが、伊藤塾の講師の方々を信じ、この教材以外から出たら知らないものは知らないと割り切って解くことに決めました。この試験は範囲がとても広いため、ある程度割り切ることが必要だと思います。
 模試が2回セットになっていますが、仕事の都合で1回しか受けられず、その結果も23、22問あたりしか取れませんでした。しかし、受かっているので模試の成績は気にせず、普段通りの勉強をしていけばいいと思います。

最後に

 これまでいろいろ書かせていただきましたが、前述のとおり私は受験生活が長く、その大半はアルバイトをしながらダラダラしていたという何とも情けないものでした。まさに勉強をしているふりをしていただけだったと思います。
 私は今年で司法書士試験をやめようと思っておりました。一般企業に就職し残業もそれなりにありました。そのような状況下で勉強を続けることは体力的精神的に持たないと感じました。最後の受験と決めていたので試験終了後はすがすがしい気持ちでした。気になるところだけ採点したところ全て間違えていて司法書士とは縁が切れたと思っていました。8月あたりには、他校にはなってしまいますが、未練を断ち切ること、職場の業務に関連することの理由から土地家屋調査士の講座を申し込みました。その後、合格発表も見たりはせず、法務省からの通知で合格したことを知りました。喜びよりも驚きの方が大きかったことを今でも覚えています。私は合格発表日をいまだに知りません。
 最後になりますが、私を心配しつつも応援してくれた家族に感謝したいと思います。周囲の人は自分で思っている以上に喜んでくれます。次はあなたの番です。来年どこかの司法書士会でお会いできることを楽しみにしています。ここまでお読みいただきありがとうございました。