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明日の法律家講座 東京校第289回

2019年11月30日(土)実施

憲法の現場を生きる

【講師】六車 明 氏(慶應義塾大学名誉教授、元東京高等裁判所判事)
 


講師プロフィール

六車 明 氏(慶應義塾大学名誉教授、元東京高等裁判所判事)

六車明氏
1952年 東京生まれ
1975年 慶應義塾大学法学部卒業、司法試験合格
1978年 東京地裁判事補
1982年 高松家裁判事補
1985年 法務省刑事局付検事
1989年 東京地裁判事
1991年 仙台地裁判事
1995年 東京高裁職務代行判事
1997年 東京高裁判事
1998年 公害等調整委員会審査官
1999年 慶應義塾大学法学部助教授
2002年 同大学法学部教授
2004年 同大学法科大学院教授
2014年 弁護士登録 (2019年まで )
2017年 同大学法科大学院グローバル法務専攻( LL.M)教授
2018年 (株)国際協力銀行 環境ガイドライン担当審査役( 2019年まで)

著書など
『環境法の考えかたⅠ―「人」という視点から』(慶應義塾大学出版会・ 2017年)
『環境法の考えかたⅡ―人と企業とのあいだから』(慶應義塾大学出版会・ 2017年)
「多数者による取消訴訟と訴額」行政法判例百選Ⅱ第7版(有斐閣・ 2017年)
「豊島産業廃棄物不法投棄事件」環境法判例百選第3版(有斐閣・ 2018年)
 

講師からのメッセージ 

 私は、実務法曹のときも、大学のときも、そのあとも、人生のさまざまな場面で、「いま、憲法の現場を生きている」、と感じるときがありました。とくに、最初に裁判官になったので、裁判官に関することが多かったと思います。
 例えば、裁判官から法務省の刑事局に移ると、自分の起案は、十数人の決裁を受けるので、判決との違いを実感します。さらに、罰則のある法律案の決裁では、「裁判官は、この構成要件は、ほんとうに明確であると考えるか。」と確認されます。
 また、最高検察庁は、高裁で無罪判決があると、上告審議をしていました。そこに法務省の担当者として呼ばれると、「この上告理由であれば、最高裁は、高裁判決を破棄するだろうか」と意見を求められます。
 裁判官に復帰後、行政委員会の公害等調整委員会に出向したときは、豊島(てしま)産業廃棄物不法投棄事件を担当しました。豊島の島民と香川県が厳しく対立しており、その紛争の解決を、非公開の調停手続ですすめます。何げない言葉のもつ影響が大きく、いつも、裁判官のときのことを思い出します。
 裁判官から大学に移り、環境法の研究と教育を始めると、そこは、学問の自由、大学の自治の世界です。新聞記者の方から、自分が関係した裁判について、取材を受けることもあります。
 大学を退職後、国際協力銀行の第三者機関に応募しました。銀行は、選考委員会をつくり、オープンに人選をすすめます。仕事の内容は裁判官と似ているので、裁判官の人選、さらに国会議員の人選を思い浮かべました。
 こうした、私の憲法の現場をお伝えし、皆さんと、憲法や法律について、考えたいと思います。