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明日の法律家講座 東京校第293回

2020年2月15日(土)実施

希望の裁判所〜変化してきた司法と変化する司法〜

浅見 宣義 氏(大阪高等裁判所判事)
 


講師プロフィール

浅見 宣義 氏(大阪高等裁判所判事)

浅見宣義氏
1988年判事補任官、以後京都、大阪、大分、東京などの裁判所を経て、平成30年4月から現職。民事事件の担当が長いが、刑事、家事、少年事件も担当した経験がある。2年間預金保険機構に出向したこともある。職務の傍ら、1999年日本裁判官ネットワークを設立し、開かれた司法の推進と司法機能の充実強化に寄与するために活動している。
著書に「裁判所改革のこころ」(2004年、現代人文社)、共著に「裁判官は訴える」(1999年、講談社)、「裁判官だってしゃべりたい」(2001年、日本評論社)、「希望の裁判所」(2016年、LABO)、「裁判官が答える裁判のギモン」(2019年、岩波ブックレット)など。大分地方裁判所に赴任した縁で、「豊の国かぼす大使」に任命されている。

 

講師からのメッセージ 

「思い出の事件を裁く最高裁」(小泉純一郎元首相が、現役時代に紹介した川柳)、「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」(故平野竜一元東大総長・名誉教授)というフレーズは、かつて私たち法曹関係者には、胸に突き刺さるような批判であった。しかし、日本の裁判の現状は、日本の文化的土壌があるからこその現状であり、改革はなかなかできないのではないかというのが長らく法曹関係者の実感ではなかったかと思われる。
しかし、平成の時代に、事態は大きく動いた。民事裁判の分野では、3分間弁論、五月雨証拠調べという言葉に象徴されるような実情にメスが入れられた。その改革は、1998年の新民事訴訟法の施行で一段落するが、その後も改革は続いている。そして、1999年設置の司法制度改革審議会で、司法制度全般の改革が取り上げられ、最大の改革として2009年5月から裁判員裁判が実施されている。これにより、故平野元教授が舌鋒鋭く批判された刑事裁判の姿(「調書裁判」)は、議論の余地はあるものの、全体として着実に変わりつつあると評価し得る。
こうした変化の下で法律家をしていると、変化に対応する苦労はあるものの、仕事のやりがいはより大きくなっていると実感する。講演では、その変化の姿とやりがいの変化についてお話しをしたい。来ていただいた方には、共著「希望の裁判所」(2016年、LABO)を無料で進呈する予定である。
そして、今や「民事訴訟IT化」という大きな改革が司法に求められる時代になっている。これからは、若い皆さんが司法を担っていく時代である。司法の変化の姿を共有し、これからの司法や皆さんの将来を考える機会にしてもらえれば幸いである。