沖縄スタディツアー参加者の声

沖縄は私たちとつながっている

あおばさん

 
今年で3度目の参加となりました。昨年までは、沖縄の過去と現在の実情に衝撃を受け、そこばかりに目が向いていました。しかし今年は、沖縄で見聞きすることは私たちの地域、社会と全てつながっているのだと強く感じました。

チビチリガマと日の丸
 毎年訪れるチビチリガマ。小橋川さんからお聞きする沖縄の思いと決意。入り口にある金城実氏による平和の像。「右翼によって壊された」と聞いて、ひどい!同じ日本人なのにどうして?とずっと疑問に感じていました。ツアー参加者から知花氏の名前を教えてもらい、帰宅後『焼きすてられた日の丸』(知花昌一著)を読んでみました。そこで、日の丸・君が代の強制に対する村民の反対運動、それに対する右翼の反動という背景を知りました。出来事だけではなく、その背景やそれぞれの視点から物事を見ないといけないと感じました。また、日の丸については、国民全体でもっと議論が必要な気がしています。

むら咲むら
沖縄の芸能文化、三線に挑戦しました。短時間なのでレッスンがぐんぐん進みましたが、少しずつ弾けるようになって楽しかったです。最後にみんなで演奏して、気持ちよかったです。沖縄の粋なリズムと一体感。音楽はその場でみんなが一つになれるからすごいなと思いました。平和への糸口はこういうところにあるのかもしれません。

命どぅ宝(ぬちどぅたから)
伊藤先生から沖縄の方々の声をお聞きしました。先生は現地での交流や生の声を大切にされていて、そこにこそ核心があるのだと思いました。「命どぅ宝 が、あるおばあにとっては辛い言葉だった」というお話は衝撃でした。兵士からの性暴力により傷ついたおばあにとっては、生よりも死を選びたかったという苦しみ。命とはただ生きることなのではなく、人としての尊厳があってこそなのだと改めて感じました。
スタディツアー参加の直前、神奈川の平和集会で、キャサリン・ジェーン・フィッシャーさんのお話を聞いたばかりでした。横須賀で米兵から性暴力を受けたジェーンさんは、公正な裁きを求めて、「正義」を勝ち取るまで11年間もかかったそうです。兵士による性暴力の問題は現在も続いています。基地のある怖さ、さらには地位協定によって犯罪を擁護する体制に、自国に住みながら恐怖を感じました。過去ではなく今の問題。沖縄や神奈川だけでなく基地のある全ての県、そして国の問題です。

対馬丸記念館
沖縄出身の知人から「対馬丸には友達が乗っていた」と聞いていたので、乗船した人々を身近に感じ苦しかったです。遭難し、いかだで壮絶な体験をした少女。乗船後音信不通になった弟を気に留めながらも戦場へ邁進する青年。戦争に人生を翻弄されていく人々の運命が切なかったです。
「疎開は、軍の足手まといになるのを防ぐためと未来の兵隊確保のため」という記述を目にしました。「やっぱりそうなんだ。。。」国の政策にがっかりしました。この悲劇を起こしたのは、アメリカの追撃でもあり、自国の政策でもあったのですね。

辺野古とSDGs
辺野古ゲート前で反対運動の様子を見ることができました。プラカードを持つ人々の背後に、ズラッと並んだ直立不動の自衛隊員(警備員?)。復路で再度、ゲート前を通った時にも微動だにしない隊員たちが立ち続けていました。どんな思いで立っているのだろう? 心が見えないその姿に、自分の心が凍り付くような思いがしました。
一方、運動する方々は生き様そのものが力強く、かっこよかったです。今回は見るにとどまったので、自分で再訪して直接話を聞いたりアクションを起こしたりしてみるのもいいなと思いました。
大浦湾向かいの小学校で学ぶSDGsの話には驚きました。目の前にあるジュゴンの里がこんなに破壊されているのに、授業では別の課題を学習しているとのこと。自分たちの周りの問題から扱わず何のためのものなのか? 私たちの周りにはSDGsに限らず、言葉だけ形だけになっているものがあります。本来どうあるべきなのか本質を見極め行動していくことが大切だと感じました。

先生方との交流
伊藤塾の先生方と交流できるのが、このスタディツアーの醍醐味だと思います。食事をご一緒したり、先生方の考えをお聞きしたりし、貴重な経験をさせていただきました。
岡口先生ともお話する機会に恵まれたのですが、自分の勉強不足でしっかりと質問することができませんでした。映画「日独裁判官物語」を観て、裁判官の人権や人間らしさが尊重されるべきだと感じていたので、裁判官の在り方や他にも金太郎飴判決について、もう少しお聞きしたかったです。次回(?)は、もっと自分の疑問点を整理していきたいと思います。

最後に
数年前まで、戦争は遠くの過去の出来事に感じていました。沖縄スタディツアーに初めて参加してからの二年間で、私の住む地域の上空では頻繁に軍用機が飛ぶようになってきました。
戦争については「あの時代だったからしょうがない」とよく耳にします。今、「九条で平和を!」と言うと「そんな時代じゃない」と言われることもあります。時代のせいにしてあきらめるのではなく、今を生きる私たちがどんな時代を作っていきたいのか、それを実現していこうとすることが大事なのだと思います。沖縄に行くとその思いが強くなり勇気づけられます。そして、「憲法」という強い味方がいることに気づきます。今年も多くの気づきと学び、勇気を与えてくれたスタディツアーに感謝しています。先生方、スタッフの皆様、そして一緒に学びを深めてくれた参加者の皆様、ありがとうございました。