沖縄スタディツアー参加者の声

沖縄スタディーツアー 感想文

司法試験受験生 E・Yさん

 

ツアー参加に際して

 今回が初めての参加でした。また、1人での参加ということで、参加を決めるにも勇気が要りました。しかし、ツアーを終える頃には、まだまだこれから、あと2日くらいは旅をしたい、もっと知りたい、と、ツアーによってエネルギーが充電され、エンジンがかかってくるくらい濃密で貴重な時間でした。
 
 沖縄戦の歴史、また、ハンセン病の経緯は、書籍や医学書など、幼少期から触れる環境にありました。特に島での戦いというのは、祖父が最も過酷だったと言われる島での戦いから生還したと聞いているので、足跡を辿るような、初めてではないような、不思議な気持ちでした。
長崎や仙台、山口、神戸など、他の様々な戦争の跡を見る度に、その土地が育んできた人と、風土への理解が深まります。
そのような意味で、沖縄の人々を育んだ土壌を見て触れることができた今回のツアーは得難い経験となりました。

 

ツアー参加のきっかけ

 伊藤塾の先生方や、スタッフの方々、塾生の方や、ツアーに参加される方のお話を沖縄の地で伺いたかったこと、また、海に囲まれた土地の、その特性を目で見たかったことが最も大きなきっかけです。
人や土地の記憶を風化させずに自分の中に残すことは何よりも大切だと思います。海が好きで、「島人ぬ宝」という曲にあるような人々が見てきた景色を実感したいと思い、今回のツアーの参加を決めました。

 

それぞれの視察先

 斎場御嶽では、数々の物語や史実に思いを馳せながら巡りましたが、聖地を巡り終わる頃には思い悩むことを晴らすような、目の前のことに注力しようと初心に還るような景色で、前向きな心境の変化がありました。聞得大君について、多くの伝承がありますが、気になった点を質問できたことも、理解を深めることに繋がりました。
 
 3日目の最後の行程、糸数アブチラガマは、ガイドの方が「ツアーに参加した人には全員笑顔で帰ってほしい」と仰っていたことが大変印象的でした。お話一つ一つが丁寧で、当時の状況をなぞるものでした。かつての教訓から、ガイドの方が案内をしてくださる歩みには、誰一人として置き去りにしないという強い意思と使命感を感じました。
奥行きのあるガマ特有の湿度と、陸軍病院の分室となっていたことによる戦争の匂い、内部の岩質は、この旅で最も自分自身と向き合った場所となりました。
暗闇で向き合う自分と他者、そしてその地に今も色濃く残る集団の気配は、一度訪れたら忘れることができません。
 
 1日目のチビチリガマでも、ガジュマルの樹の隙間から見える光に、普段の私達は明るい気持ちになりますが、怯える日があったことを心に留めました。最も恐ろしいのは人を扇動する人の言葉であることを再認識しました。
 
 平和祈念公園では、眼下に海を望む絶景でしたが、「一斉砲撃を受けた際には、海が赤く染まったほどだという声もあった」と、バスガイドの方からお聞きしました。あの広大な青と緑が赤く染まるとはどれほどかと、人間の業の深さを思い知り、目の裏に赤が焼き付くようでした。
その後に訪れたひめゆりの塔と、ひめゆり平和祈念資料館は、当時のまま、その時にいた人が生きて、言葉を伝えてくるようでした。
 
 戦時中でない現在でさえ、病が流行ると人々は狼狽え、真偽不明の情報を受け取りますが、国立療養所 沖縄愛楽園では、施設に入所されている方が入所しなければならなかった当時について、
「高校に通っていたが、急遽入所する経緯について、高校の先生へどういった伝達が行われたのかわからない。その時に先生が何を思ったのか、それが知りたい。」と仰っていました。私はその言葉が重く胸に残っています。
 
 入門講座では伊藤塾長や伊関講師が様々なお話をしてくださいますが、言論の自由や、思想を表現することは、人の営みの中でとても大切だと実感する日々です。
武器と共に言葉も取り扱いが重要な世の中ですが、正確な知識と、正しい状況を知るためには、本だけでは不十分でした。今回のように生の声を聞ける学習機会をいただけたことは、大変有り難いことでした。
 
 渡具知ビーチの無血上陸について、実際の経緯は、平和ガイドの小橋川清弘さんのお話を伺うまで、本で読んでいるだけではわかりませんでした。また、コザ街歩きでは、グループで行動することで、同じものを見ていても視点の違いがはっきりし、伊関講師や他の方々の視点が大変勉強になりました。
 
 そして、エイサー体験は、腹の底から響く太鼓の音と、地面から沸き起こるような活気と韻のリズムに、生命力を感じ、力がもらえるような体験でした。

 

宿泊先

 1日目のベッセルホテルカンパーナ沖縄と、2日目の沖縄かりゆしビーチリゾートオーシャンスパは、どちらも快適で素晴らしい宿泊先でした。その他、御菓子御殿を始めとした沖縄ならではの食事も大変おいしく、特にさんぴん茶は常に持ち歩くほど、素晴らしい飲み物でした。
同室になった方とは初対面でしたが、同志で、空港で別れる際に、固く握手をして再開を誓いました。それほどに、出逢った11人の方とお話をした時間は忘れ難く、過ごした時間がまだまだ続けば良いのに、と思う3日間でした。

 

ツアーで得たもの

 伊藤塾長が仰るには、法律家は理想だと謗られても、理想を掲げ、現実を理想に近づける仕事だそうです。感銘を受けましたが、まずはより良い理想を知らなければ、夢物語を検討できなければ、現実を良くすることができないことが不安でした。
そのような意味では、伊藤塾の入門講座というのは、講座を通して、現行の法律と判例、学説から、何が正しい理想なのか、より良い理想が何かを学ぶことができると実感しています。
今回のツアーを通して、学んでいることや、自分の考えるより良い未来というものが正しいものなのか、様々な方と交流し、塾長や伊関講師のお話を伺う度に自問自答し、考えを新しくする契機となりました。
 
最後になりましたが、伊藤塾長と伊関講師、スタディツアー事務局の方々、ツアーに参加された方々へ、無事に旅を終えることができたこと、また、言葉を交わし、同じような風景を見ることができたこと、貴重な経験をさせていただいたことに感謝申し上げます。