Vol.10 弁護士 平井康太先生
労働者の尊厳を守り抜く、使命と覚悟。
所属:東京法律事務所
専門分野:労働者側での労働事件、民事事件、交通事故など
泣き寝入りの犠牲と、労働問題への決意。
Q.自己紹介をお願いいたします。
平井康太です。
労働弁護士をしています。
Q.労働弁護士を志したきっかけを教えてください。
大学生のとき、身近な人が働いているときに怪我をしてしまいました。
労災ではないかと周りの人も思いましたが、本人はそう言ってしまうと仕事が無くなってしまうと不安に思い、言えませんでした。そして、立場が弱い人は泣き寝入りするしかないのだとぽつりと言いました。
本当に心から悔しくて、どうして真面目に働いている人が馬鹿を見ないといけないのだろうと思い、労働問題に興味を持ちました。
四大法律事務所からのオファーと、志。
Q.志が変わることはありませんでしたか?
元々、働く人の側で取り組みたい気持ちはありましたが、どのように実現していくか考えたことがあります。
その時、企業側で取り組むこともあるのではないかと思って、
いわゆる四大法律事務所と言われている企業法務事務所からオファーを頂いたことがありました。
但し、企業と労働者の利益が対立したとき、企業の弁護士は企業の利益を選ばなければいけません。
自分がどちらの立場でやっていきたいか考えたとき、やはり労働者側でやっていきたいと考え、今の事務所を選びました。
実態に即した、労働者性の判断。AGCグリーンテック事件。
Q.印象に残っている実務について教えてください。
2つあります。
1つは、弁護士2年目から取り組んだAGCグリーンテック事件です。
総合職は殆ど男性、一般職は殆ど女性というAGC株式会社の100%子会社において、総合職だけが社宅制度を利用できました。制度を利用できるかで、住居費用の補助が(最大で)約24倍程の差が開きます。利用できない女性にとっては、非常に不利益になっているとして、厚生労働省令が定めた類型以外でも違法になる場合があると主張しました。そして、司法判断が可能だと立法の経過を辿って、裁判所が認めました。
均等法が定めた間接差別以外の間接差別も違法になるという判決を獲得した点で、非常に意義のある判決だったと思っています。
日本初の獲得、Amazon配達員の労災認定。
2つめは、Amazon配達員の事件です。
配達員は個人事業主として扱われていますが、実態は労働者だと思うようになりました。例えば、Amazonが開発したアプリのGPSで、居場所をいつでも把握できる、配達する度に行動が記録されます。また割り当てられた荷物も拒否できず、いくら配っても報酬は変わらりません。むしろ、個人事業主としてガソリン代を負担させられているので、配れば配るほど損をしてしまいます。本当に個人事業主なのか、法律上の労働者ではないかと考えるようになりました。
法律相談へ来てくれた配達員以外にも、職場で同じように苦しんでいる人たちがいると聞き、みんなでの解決が必要な問題として労働組合の立ち上げを提案、支援しました。組合の立ち上げ後、配達員の一人が配達中に階段から転落してしまう大怪我をしてしまいました。私たちは覚悟を決めて、彼らが労働者だと認めさせるために労災申請を行いました。過去の最高裁で、トラック運転手の労働者性を否定した判決があります。今回の配達員の方々は、アプリで管理され非常に拘束が強いこともあり、過去の事例とは違う働き方をしているAmazon配達員として、日本で初めて労災認定を獲得できました。
弁護士として、実務家として一つ成果を出せた、人の力になれたことが嬉しかった覚えがあります。
「想定外を想定」する力を得た場所。
Q.伊藤塾で得た実力について教えてください。
実力を付ける、最初のステップが伊藤塾での勉強でした。
伊藤塾で培った法的で基礎的な知識や考え方、それに留まらない伊藤塾長の仰る未知に対応する力、想定外を想定しておくという考え方などが、今の実力に繋がっていると思います。
なので皆さんも、伊藤塾で志を実現するための最初のステップを踏めると思います。
私自身、今後も労働弁護士として、働く人や労働組合の権利を守りたいです。
まとめ
労働者の権利と主張を守る姿勢と実績が印象的な平井先生。
志を実現する最初のステップと位置づける伊藤塾での時間も、挑戦の背景にあることが心に残ります。
